このブログでも取り上げたものがありますが、これで11ヶ所目のレビューとなります。北から南まで、まあ飽きずに行くもんだと、我ながら思わなくもありません。
今回は、十日町市の明石の湯をご紹介いたします。色々取り上げてきた新潟県の温泉施設でも、かなり変わった施設です。
十日町市は新潟県内でやや南側に位置した街です。周囲に山が多くて、近隣の市町村からはちょっと隔離されている印象があります。
そして雪が多いというイメージが非常に強いのですが、日帰り温泉施設が固まっている地域でもあります。
今回の明石の湯はJR十日町駅の近くにあり、道の駅 クロステン十日町に隣接して建っている、美術館やレストラン・バー、ローカルFM局のスタジオが入館しているキナーレという建物の中にあります。
これだけでも、非常にトリッキーな印象を受けますよね。美術館と温泉施設を同じ建物にします?
公式サイトにも書いてありますが、著名な建築家の方が設計したとのこと。
建物はコンクリートの打ちっぱなしですし、真ん中に四角い巨大なプールというか池があって、その周りをコンクリートの建物がぐるっと囲む形状になっています。
池越しに撮影。写真左手が温泉施設入り口 |
看板はありますが、夜に訪れるとどこから入るんだろうという感じの、なんとも言い難い建物です。
温泉施設というと、大抵は暖色系の壁だったり照明だったりしますよね。木のイメージが結構強いんじゃないでしょうか。
そこにコンクリート打ちっぱなしですからね。この落ち着かない感じは、なかなかのものです。
中へ入ってみても、コンクリートがむき出しの内装になっています。
美術館が入っていることもあり、全体的なオシャレ感もあるにはあるのですが、同時にものすごい違和感も拭いきれません。
入り口の右手に靴箱があり、靴を脱いで上がってそこに預けます。ロッカーもありますが棚になっている部分もあり、どちらを使ってもいい模様。靴箱の鍵は自己管理です。
受付で入館料を払います。
大人600円で17時以降は500円。レンタルタオルが200円ですから、値段的には新潟県内では安めな部類に入ります。
受付脇にはお菓子や果物類などの販売コーナーがあり、そこを抜けて奥へ進むと座敷の休憩室があります。
ここも壁はコンクリート打ちっぱなしですが、床は畳敷き。
この違和感は半端ないですよ。間違って畳敷いちゃったみたいな。椅子じゃないんだっていう。
多分ですが、外国のスパみたいな造りやしつらえ方であれば、もしかしたらそんなに違和感がないのかもしれません。
でも中身はよくある日帰り入浴施設なんです。
利用するのはセレブなマダムじゃなくて、その辺のおじちゃんおばちゃんなんです。
気を取り直して奥へ進んでいくと、仮眠室があります。
この中は照明が落とされているのでコンクリートの寒々とした感じは薄く、6ヶ所ほどの仮眠用の縦長のクッションが敷いてありました。
試しに寝てみましたが、いい硬さで寝心地は悪くありません。お風呂上がりに、他に誰もいなかったこともあって、しばらく寝転んで休んでいたくらいです。
さて脱衣所へ。
中央に3段積みの背の低いロッカーが2列だったか3列並んでいて、入り口側のみ4段積みロッカーだったと思います。
ロッカーそのものは鍵付きの普通の物で、空いている所を選んで利用する仕組み。
背が低いため見通しが良く、スーパー銭湯などでありがちなロッカーによる圧迫感がありません。
なんならコンクリート打ちっぱなしでも、脱衣所ならそんなに気になりませんでしたし、どちらかといえばスッキリしている印象です。
ドライヤーも大型で、綿棒やヘアトニック類などのアメニティも置いてあり、そういった意味でもいい脱衣所だと思いました。
温泉レビューしてるブログで、脱衣所を褒めてるのはウチくらいですかね。
お風呂場へ。「ちぢみ」というお風呂場でした。偶奇数日で男女入れ替え制のようです。
洗い場は仕切りなし。シャンプーボディソープ完備です。
背中合わせに10ヶ所ほどとなっていて、隣同士はそれほど狭くはないのですが、後ろが近めなのでシャワーなどが飛び散らないような気遣いが必要でした。
内装はやっぱりコンクリートむき出し。照明も暖色系じゃなくて蛍光灯で間接照明的な感じもありませんから妙に明るく感じます。
上手く言えませんが、内装がまだ完成してないお家で、もう風呂に入ってるような気分です。
浴槽はジェットバス付きの大きな物と、薬湯の物のみ。あとはサウナがあるだけで露天はなしです。
大きいといっても5、6人も入れば一杯になるほどなので、正直なところお風呂に魅力は感じませんでした。
泉質も元々の水温が低いようで、加温と一定条件で加水ありのようですし、そっちを重視するかたにも、ちょっと面白みはないかもしれませんね。
じゃあレビューするほどじゃなくね? という気もするのですが、公式サイトを見てもらうと結構色々とやっているんですよね。
越後妻有交流館キナーレ 明石の湯
http://kinare.jp/
SNS系もLINEやフェイスブックなど幅広く情報発信しているようですし、LINEなどは特典も用意されています。公式サイトやブログなども、がんばってる感がすごく出てるんですよね。
お風呂も変わり湯にしたり、女性のお風呂をライトアップするみたいなイベントも随時開催していて、どうにかしたい感が伝わってきます。
ただ、田舎のおじちゃんおばちゃんが、コンクリート打ちっぱなしの休憩室の座敷で寝転がったりラーメンすすってる光景の、その感じ。
トイレに行くと、スリッパの定位置に足の形がタイルというか床面にあらかじめ描かれていて、すこくいいアイディアだなと思うんですけどね。
そのスリッパにデカデカとマジックで「キナーレ」って書いてある感じとかね。
美術館の方はどうだか知りませんが、この温泉施設を見るに、やっちゃった感がふんわり漂っているところが、他所じゃなかなかないんじゃないかなと。
少なくとも、ハコモノはもうしょうがないけど、何とか色々とやっていって盛り上げようという方向性じゃないかと思えてくるのです。
美術館と温泉。
この明石の湯のちょっと異様な感じは、実際に行って見てようやく、なるほどとなるんじゃないかと思います。
こういう状況でも地域の方々はごく普通に利用しているという、そのギャップ込みで楽しめるかたにはぜひ一度と、オススメしたいスポットでした。