今回は新潟県上越市の北側に位置する、ゆったりの郷に行ってきました。実は過去に数回来ているのですが、今回は初めてまだ日が高い時間帯にお邪魔しました。
こちらの温泉そのものもいいのですが、全体的な空気感が独特なので、そのへんも踏まえていかにゆったりしてきたか、というお話。
道の駅の隣にある温泉
ゆったりの郷があるのは上越市吉川区というエリアです。上越市の中心部からは車で20〜30分ほどと、ちょっと離れた位置になります。
日本海に沿うように走る国道8号線沿いに柿崎という町があります。
そこから内陸側に車で5分ほど行ったあたりの田んぼの真ん中といった風情の場所に、今回お邪魔したゆったりの郷があります。向かいにはコンビニ併設の道の駅があるので、比較的わかりやすい場所です。
この道の駅は酒蔵が併設されていて、中を見学できたりします。
また先ほども書いたようにコンビニが敷地内にありますし、このゆったりの郷もレストランが併設されているので、市街地からは離れていますがこの周辺へ立ち寄る動機としては充分なスポットになっています。
昼下がりからお湯につかる
到着したのは午後の早い時間帯でした。駐車場には車がそこそこ停まっていまして、混んでいたら嫌だなと思ったものの、お隣のレストランのお客さんかもしれないと思い直して車を降ります。
隣のレストランからは美味しそうな匂いが漂ってきていますが、とっくに食事は済ませてしまったものですから、ここでご飯を食べるという手もあったなぁ、などと思いつつ玄関口へ。
入り口は結構長いスロープになっていて、両脇にA4でラミネートされたレストランの食事メニューがたくさん貼ってありました。
そこを抜けると建物の入り口。
節電なのか入り口付近はちょっと暗めになっていて、その印象が強く残っています。
地元のかたがゆったり中
靴を脱いでロッカーに預け、券売機で入浴券を買って鍵とともにフロントに預ける方式です。
料金は大人600円と、新潟県内では比較的安めの値段設定になっています。酵素風呂というものもあるようで、こちらは1,560円ですが今回は普通にお風呂に入ることにしましょう。貸タオルもありますから、手ぶらで来ても大丈夫ですね。
靴箱の鍵と入浴券をフロントに渡すと、脱衣所のロッカーの鍵と引き換えてくれます。
フロントの前にはちょっとしたお菓子やお酒、野菜などが並べられているコーナーがあります。
さらに奥へ進むと、通路を挟んで右手には椅子席やマッサージチェアがある休憩エリアで、左手は結構な広さの畳敷きの大広間になっていました。
すでに地元の方々がちらほらと、まさにゆったり中といった様子でくつろいでいます。客層はこういった地元の方が中心なんでしょうね。せかせかしてないというか、ゆるい感じの時間が流れていましたよ。
右手の向こうには中庭があって、レストランの建物が見えます。中からもレストランと直接つながっているようで、店員さんが食事を持って大広間に運んでいるのを見かけましたから、温泉側にいても注文できるようですね。
さらに奥へ進むとお風呂場の入り口があります。その脇には健康ランドによくあるようなリクライニングできるソファが並ぶ休憩室が見えます。
そういえばここに「仮眠室は2階になりました」という張り紙があって、後で行こうと思っていたのをこの記事を書いている最中に思い出しました・・・
重厚な引き戸の向こうへ
脱衣所へ。入り口には男女別の大きな暖簾が掛けられていて、その先は木製の重々しい引き戸になっています。
この戸のちょっと滑りが悪い感じが、妙に懐かしくて新鮮でした。
古い家の引き戸ってこんなだよなぁなんて思いつつ、よいしょっとひとり分だけ開けて中へ入ります。ピシャっと閉まりませんから、ちゃんと閉めるにはちょっと力がいる感じ。
けっして開きにくいと文句を言いたいのではなく、昔の重いけどしっかりした戸ってこういうものですし、味があっていいものだなと思います。
人によってはユーザーフレンドリーみたいなことで、自動ドアとか設置したほうが便利だと思うのかもしれませんけど、私はこういうのが嫌いじゃありません。
ロッカーは四角いよくあるタイプのもの。入り口近くにドライヤーのある洗面所があり、綿棒などのアメニティ類はないようでした。
お風呂場へは押しボタンで開く自動ドアになっています。脱衣所はあの戸なのに、ここは自動なんだっていう。若干肩透かし気味な感じがなんともいえません。
ってゆーか、脱衣所からお風呂場の入り口までの話が長くね? ね。
広めの浴槽でゆったり
ようやくお風呂です。
私が入ったのは和風の浴室のようでした。男女は定期的に入れ替えになるようで、もう片方はローマ風呂とのこと。先にも書きましたが、ゆったりの郷には何度か来ているのですが、こちらの方はまだ入ったことがないと思います。
和風だからなのか、壁も天井も板張りです。結構年季が入っている感じがしますね。
室内の中央に大浴槽と丸い浴槽が二つあり、それを囲むように洗い場があります。サウナもありました。
洗い場は仕切りなしですが狭くはありません。シャワーは温度が若干ブレるものの、勢いが良くていい感じです。シャンプー類の備え付けがあります。
丸い浴槽は天然鉱石が入っているものと薬湯風呂になっています。大浴場の方は独特の濁りがあるお湯で、こちらがこの温泉の特徴かもしれません。
「涼しい」から「寒い」への移行期間といえる10月にお邪魔したのですが、熱すぎない温泉に肩までつかっていると日頃の疲れが徐々に溶けほぐれていくような気がしてきます。
大浴槽の外側はガラス張りになっていて、露天風呂への入り口があります。
露天風呂は大きな屋根と目張りがありますので、入浴しているとそれほど開放感はありませんが、立って目張りの向こうをのぞくと田んぼが広がっていて、遠くの山まで見渡せるような景色になっています。
立地上仕方がないのでしょうが、いい雰囲気の景色だけにちょっと残念ではありますね。
ローマ風呂にも行ってきました
ここからちょっとだけ追記します。
先日再訪した際に、前々項の写真で女湯となっている方が男女入れ替え制により利用できました。
左側の方も、脱衣所も含めて基本的な構成は同じです。右側との違いは内装の違いくらいでしょうか。
建物の外側に面して内風呂の大浴槽がどーんとあり、その向かいに仕切りなしの洗い場があります。
大浴槽の他には丸い小さめの浴槽が二つあり、片方は入浴剤の入った変わり湯で、もうひとつはラジウム鉱石というものを入れたもの。これも双方共通だと思います。
あとは普段入らないので記憶が定かではないのですが、こちら側にはミストサウナがありました。
他には露天風呂という感じです。
特徴的というか、浴室の違いで目立ったものは、内湯の周りに生えている照明。生えているってなんだよと思うかもしれませんが、まさに生えてるんです。
高さ1メートル、太めの丸い柱のようなものが4、5本ほど内風呂を囲むように設置してあり、そこからさらに二回りほど細い柱がもう1メートルほど伸びていて、その先端に丸い照明が付いています。
天井までは届いていないので、ニョキっと生えてる感じ。
これも、ゆったりの郷独特のちょっと変わった雰囲気にマッチしているといっていいのか悪いのか。日帰り温泉の浴室には、あってもおかしくはないけどあんまり見ないよなといった感じを受けるモノです。
実は、向かって右の和風な浴室にも同じように柱が立っていたと思うのですが、あったのは下の太い方1メートルまでで、その上に丸い照明がくっついていたように記憶しています。
双方の浴槽で同じだったのに片側だけ壊れてしまって外したのか、それとももともとこうだったのかはわかりませんが、こっちの柱は背が低いこともあって実はそんなに気になっていませんでした。
ですが、先日利用した方の浴室にあったやつは、浴槽に肩までつかってしげしげと眺めていると、じわじわと奇妙さを覚えてきたのです。
じわじわとくる味わい深さ
色々と書いていますが、私はこの施設が嫌いじゃありませんでね。
全体的な雰囲気がなんとも独特で味わい深いものに、ちょっとずつハマっていく感覚です。
最初はなんか統一感がないかなとか思うんですけど、だんだんそれがいいなと思いはじめている自分に気がつくんですよね。
それはきっと狙ったものではない、経年によるものや後から変えたり追加したものが混ざり合うことで、不思議な空間を生み出しているなぁと感じているのです。
最近訪れた中では同じ新潟県十日町市の美術館併設の温泉、「明石の湯」が狙ってやってる感じの例だと思います。
あちらは併設の美術館などと同じ建物ということもあり、コンクリート打ちっぱなしの壁面に浴室内の照明も白色系と、日帰り温泉のパブリックイメージである「和」な感じとはあえて違う雰囲気です。
誤解をおそれずに言えばちょっと落ち着かないくらいオサレ感のある施設で、そういうコンセプトなんでしょう。
長年の営業が生む空気感
もしかしたら、この施設を利用しているほとんどの人や従業員さんたちは、私が感じているようなカオスな空気感などは、まったく感じていないかもしれません。
多分、私のツボにハマる感じで、なかなかいい味を出している施設なのです。
他にも会員制度が結構いい条件だったり、なにげに館内の自販機のコカコーラ製品にも100円で販売してる物が多かったりとか、営業的にもがんばってる感じも好感を持っています。
玄関口のイベントの案内板 |
結構人気の施設のようで、いつも大勢のお客さんがいるので施設内の写真をあまり撮っていないこともあり、この独特な雰囲気を見ていただけない代わりに、駄文を尽くしてみようと思います。
どう独特かというと、あちこちにベタベタ貼られている張り紙や調度類など、建物全体から受ける和とも洋ともつかない入り混じった空気感が、ともすればカラフルな、悪い言い方ならチグハグなイメージを持っちゃうのです。
かといって、別に洗練されていたり統一感があるべきかといえばそんなことはないわけで、ちょっとカオスな感じが魅力になるってのもあるでしょう。ゆったりの郷は、どちらかというとそんな感じなのです。
長期間営業しているお店って、徐々に手直しや注意書きや思い切って導入した新しい設備なんかが入り混じって、営業開始当初とは違った「味」がある感じになるでしょう。
わかりますかね、あれですあれ。
これがいいイメージになるか悪いイメージになるかは、その人次第でしょうから、万人にオススメしますとは申しませんが個性的な施設であることは間違いありません。
私はといえば、結構気に入っているという自覚があります。
いつか利用してみたいレストラン
レストランの方は利用できていないのですが、メニューのネーミングもね、ちょっとツッコミどころがあり、こちらも気になってはいます。
温泉そのものも比較的安価に利用できますし、道の駅が近いぶんハイシーズンはわかりませんがそれほど混雑していない印象ですから、サクっと温泉につかってご飯食べてといった感じでは利用しやすいと思います。
上越市のゆったりの郷へ行ってきました。味のある、あるいはコクのある温泉です。立地的に頻繁に行くというのは難しそうですが、このあたりはドライブが楽しいエリアでもありますし、タイミングが合えばまた利用したいと思っています。
公式サイト
長峰温泉 ゆったりの郷http://www.kisnet.or.jp/~yuttari/