旅情で脳を麻痺させたい
仕事の話を書いても面白みはありませんからバッサリ割愛しますが、夏の残党がまだまだ意気盛んな九月の晴れた日に、新潟県は佐渡ヶ島へ行ってきました。
船という交通手段は旅情をかきたててくれますよね。海の上に浮かぶ船に乗るという経験は、そういった職業を選ばない限り非日常的なものだと思います。
潮の匂いが強くなる港から、ゆっくりゆっくりと離れていく船の上で、カモメの鳴き声と海風とを感じながら缶ビールを開けたら、もうね。
旅に出ている以外の感情なんか湧きますか?
・・・湧くんです。仕事ですから飲めませんし。
旅情で脳を麻痺させようと頑張ったものの、上手くいくことはなく、それなら仕方ないと段取りよく業務遂行する方向に頭を切り替えたのが良かったのか、午後の時間帯にはフリーになれまして。やればできんじゃん。
自由時間だけど移動できない
ここからがやっと自分の時間なのですが、ちょっとした問題があります。
今回は自家用車ではなく新幹線で新潟まで来て、徒歩で佐渡に上陸しているので、島内の移動手段が限られます。
島内の公共交通機関はバスだけで、電車は通っていません。そのバスも一時間に1本あればいいという感じですし、大きな通り沿いを走っているだけですから行き先も限られます。
一泊するならレンタカーも考えたのですが、その日のうちに佐渡を離れなければいけない関係上断念した次第です。
ですが、お仕事関係でちょっとした交渉の末に島内の移動手段を確保。これで限られた時間ですが、身動きが取れるようになりました。
ちなみにこの当時佐渡ヶ島で見た中で、最安のレギュラーガソリンの価格は138円/Lでした。新潟市内は118円〜120円ですから、20円近くの差ですか。自家用車で行こうというかたは、新潟でガソリンを満タンにして渡航するほうがいいですね。
温泉に行きたい欲
できればスーパーマーケットを見てみたかったのですが、この日は夏の気配すら感じるくらいのいいご陽気でね。
すっかり汗をかいたので、食欲よりも入浴の方を優先したい、、、
もう一回言いましょうか。
食欲よりも入浴。
欲と浴がかかってるっていうことが自分の中で面白くて仕方がないという、睡眠不足と仕事疲れと旅疲れで脳半壊状態でして、とにかく風呂に入りたいモードだったんです。
近くに日帰り入浴施設はないかと、お仕事の合間を縫って関係各位にリサーチしてみると、最近まで休業していた温泉が復活しているからと教えてもらいました。
なんでも佐渡ヶ島にも相当数の温泉があるとのことで、以前はあちこちに温泉宿や日帰り温泉施設があったんだそうですが、経営難や老朽化で廃業したり営業期間を短くしたりする流れになっているらしいのです。
人口もおそらくは減っているんでしょうし、地元のかたの利用者数がそれに比例している可能性はありそうです。
また、船でしか行けない土地柄とあって、一泊以上するなら大浴場のあるホテルなどを利用することになるでしょう。
そうなると日帰り入浴施設としては、地元の客も減り、観光客も期待できないといった感じになっているのかもしれません。これはまあ、勝手な想像なんですけど。
田畑を縫って辿り着いたら
その教えていただいた復活した温泉へは、正直この道をこう行けば辿り着けますと、文章で書きにくい場所にあります。
船のメインの港である両津港からは車で25分ほどと、それほど離れていない場所なのですが、バスが通っているメインの国道からはちょっと外れた道を入って行かなくてはいけません。
温泉施設は「金北の里」という名前。金北というのは佐渡島内で最も高い山の名前なんだそうですが。
スマホのナビに従って、国道を外れて田んぼ道を進んでいきます。すでに稲刈りが始まっているようで、トラクターというんでしょうか、稲刈り機が田んぼの中をずいずいと進んでいくのが見えました。
品種のせいなのか実り方の違いなのか、他の場所で見る稲よりもずいぶん黄色く見えたのが印象に残っています。
それと思しき場所に到着すると体育館のような建物があり、その奥側に温泉施設と思われる建物がありました。
駐車場は広めですが車がほとんどなく、車を降りてみるとセミがまだ夏だと元気に主張する声だけが響いていて、人の気配はありません。
本当に営業しているのかと思ったくらいです。復活したという話でしたけど実はごく短期間だけだった、みたいな感じだったらどうしようという不安もあります。
おそるおそる玄関口まで行ってみると、自動ドアが開きます。どうやら営業している様子。
入り口の張り紙には営業時間が11時から0時とありますから、深夜帯まで営業しているということでしょう。これ、結構すごいことなんじゃないでしょうか。
日帰り入浴施設が夜遅い時間まで営業していることは珍しくありませんが、聞くところによると佐渡島内のお店は、業種を問わず営業時間が短いんだそうです。
全国でチェーン展開している店やコンビニなどはともかく、島内のローカルなお店は閉店が早いので、夜の9時にもなればどこに行っても真っ暗だよということでした。
田舎なんてどこも似たようなものですが、そういう土地柄で、しかも最近復帰した温泉施設がそういう営業時間を選択するというのは、中々思い切っているんじゃないかと思ったのです。
おすすめしたいけどできない理由
後で書きますが、この温泉を単独でレビューしたりおすすめするのは、今はしないでおこうと思っています。
ですが話の流れ上、ざっとどんな感じか書いてみましょう。
入浴料は大人500円。貸タオルやシャンプー等の備品はなく、受付で購入できます。今回はいつものお風呂セットもないので、ここで買い求めました。
ちょっと変わっているのが、ロッカーを使うかどうか聞かれたこと。使うなら受付で鍵を渡してくれます。
ほとんどが地元の人で貴重品など持ち込まないのか、昔ながらの銭湯よろしく着替えなどをカゴに入れてロッカーを使う人がいないのかもしれません。
変わったところでは、ドクターフィッシュを飼っている水槽があって、そちらを利用できますが、5分で500円とちょっと高めな料金設定でした。
とりあえずロッカーの鍵を借りて中へ入ります。
ドクターフィッシュの水槽を横目に暖簾をくぐって脱衣所へ。
ロッカーで汗をかいた服を脱ぎ、着替えのシャツを持ってきておいて正解だったなと思いながら脱衣所を見回してみると、色々と張り紙がしてありました。
どうやら、この温泉で浴槽の栓を抜くなど悪質なイタズラが多発している様子。警告文などの張り紙が幾つかしてあり、ちょっといやな感じです。
こうなるとレビューしたりおすすめすることは控えたくなります。弱小ブログとは言え、いいなと思ったものを書きたいですからね。
浴室内は仕切りはないものの広めに取られた洗い場があります。入り口脇にはサウナもありました。
浴槽は広めのものがひとつあるだけで、変わり湯のようなものはなし。露天はありませんが、外に面している浴槽の壁が一面ガラス張りで、明るくて悪い感じはしませんでした。
ちょっとマナーが悪いなと感じる先客がいたので、長湯せず出てしまいましたが、お湯はちょっと茶色みを帯びている感じで熱くなく、休み返上で蓄積された疲れを緩和するには充分なものでした。
脱衣所には大きめのドライヤー、これが業務用なのか見たことがないくらい電源コードが長いものが2つ無料で使うことができます。
休憩所は座敷になっていて、畳の部屋。無料の給水機がありました。
妙な騒動が落ち着いて、また利用する機会があれば印象が変わるかもしれない、ちょっと残念な感じですね。
たこ焼きに舌鼓
休憩所でちょっとだけ休んでから温泉を出て次の目的地へ。
おすすめされたラーメン屋さんはすでにお昼の営業時間を過ぎていたので、その近くのたこ焼き屋さんへ。
ラーメン屋が閉まっていたら、と教えてくれたたこ焼きは佐渡の名物というわけではないようですが、なかなか美味しいとの話でしたから港へ戻るまでにサクッと食べるにはもってこいでしょう。
これが大きめのたこ焼きで6個入り。
かなりふわふわの仕上がりでしたから、大阪など本場のものがいいんだという感じのかたにはどうか知りませんが、私的にはアリでした。
長い爪楊枝というか串が付いてきますが、箸で食べたほうが手っ取り早そうな感じ。もちろんちゃんと串で食べられます。
ノーマルのたこ焼きを買ったのですが他にもいくつか種類があり、値段も550円からと特に高くはない印象でした。
私らしい旅の在り方ではない感じでしたので、記事にするか迷ったのですが、地元のかたおすすめのディープ系なスポットに行けたという満足感がありましたので、ライフログ的な意味でも書いてみました。
佐渡のパブリックイメージなんじゃないかと思う、海産物とか離島情緒みたいなものにはかすってもいませんが、それはいつものこと。
なかなか気軽に行ける場所でもありませんし、行ったというだけでも良かったんでしょう。
帰りの船の中はガッツリと寝ていたおかげで、長い乗船時間も体感することなく無事に新潟市に到着。バスで新潟駅に移動してさらに新幹線という、乗り物に乗りまくりの一日となりました。
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