2026年みちのく7日間の旅 その3 岩手で惑う

2026年6月28日日曜日

#2026みちのく旅 #車中泊 #食べもの #道の駅 #旅

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 東北みちのくの旅の話も三回目となりました。

 前回は台風バリの暴風の中、石巻から北上して岩手県へというところまででした。

 5月4日の朝。旅を続けていられるのもあと少し、ということろです。

旅のひと幕

 花巻市の道の駅で目を覚まします。

 窓の外は、雨。

 風は多少はおさまったようですが、上質な絹のような雨が降り続けています。

 昨夜、スーパーで買っておいたお惣菜が入ったレジ袋をガサガサやると、カツカレーが残ってまして。朝から重たい飯になっちゃってさ、なんだなと思いながら、車中泊仕様の車内で食べ始めます。

のむ
のみます

 体調は相変わらずよくはないのですが、前回ちょっと書いた鼻腔のデキモノ。それに薬を塗っている時に表面の皮が取れまして。どうやら治りそうな感じになっております。

 顔の筋肉を動かした時の違和感はちょっとあるものの、五輪真弓の「恋人よ」を切々と歌い上げるのもつらかった数日前ほどではありませんでね。

 薬が効いたのか自然治癒なのか知る由もありませんが、朝っぱらからひとりカラオケ状態で道の駅から出発いたしました。

 向かったのは、スーパー銭湯です。

 ネットで調べてましたら、早朝営業しているところを見つけましてね。そこで身体を洗って、その後はたまった洗濯物をという目論見です。

 その、このブログをね、初めてご覧になったってかたがもしいらっしゃったとしてですよ。どうやら旅の話らしいななんて思いながら見てるとして。

 異国情緒あふれるようなさ、地元のかたとのふれあいとかさ、美味い食いもんとかさ、そういうのになるのかなみたいなのを思い浮かべてたとしたらですよ。

 のっけから生活感あふれる話っていう。

 鼻のデキモノの話とか洗濯するとか。メシは食ってるけど昨日の残りの半額カツカレーじゃん。しかも朝メシで。

 でもね、そんなもんです。

 旅もまた、日々の営みっていうね。上手いこと言った。あたし今いいこと言った。誤魔化せた誤魔化せた。やんややんや。

朝風呂で自分磨き 

 あちこちで書いていますが、なにぶん混雑は避けたい主義です。

 お風呂っていったって、このゴールデンウィークのド真ん中ですよ。なんかその、芋洗いのようにして入浴するのはちょっとな、と思うわけです。

 そうすると早朝、もしくは深夜に望みを託すしかない、ということになり。

 昨夜、お風呂に入りたい一心でネットを徘徊したところ、まあここならいいんじゃないのかなというスーパー銭湯を見つけたということです。

 その早朝営業をしているスーパー銭湯は盛岡市にありまして。そうなんです。盛岡市へは昨日も行ったんですけど、また舞い戻ることになります。

 あらためて幹線道路を北上して、件のスーパー銭湯に着いたのは8時すぎだったと思いますが、駐車場はほぼ満杯。

 かろうじて空いていたところに車を滑り込ませた後も、1台、2台と車がやって来るとあっては、館内が混んでいないわけがありません。

 うーん。まぁね。知ってたよ。そうじゃないかと思ってた。盛岡市民の皆さまも朝風呂好きだよね。そりゃそうだ。

 ましてや開店直後に来たわけでもないっていうね。起きられねぇから。目覚めてパッと動けるような体質じゃねぇんだから、こちとらは。

 かといって他にアテもないし、とにもかくにも行ってみようと車を降ります。

 建物の一階部分は駐車スペースになっていて、エレベータで上がった先がどうやら受付のようです。

 上向きの三角が描かれたボタンを押して待っている間にも、家族連れらしき人たちが思い思いのお風呂セットをぶら下げてやってきますから、事ここに至っては混雑を覚悟したほうがよさそうです。

 上階へ行くと、いわゆるスーパー銭湯然とした感じの玄関があります。システムもよくある感じで、靴箱に靴を預けて券売機で入浴券を買って、受付へ行ってというパターン。

 入場してみれば食事や休憩エリアが並んでいて、こんな朝からお客さんで賑わっています。

 脱衣所や浴室も一般的なスーパー銭湯とほぼ変わらない造りで、大きな浴槽と電気風呂とかジェットバスみたいな変わり風呂がぎゅっとしてる感じでした。よく言えば安定感がある、悪く言やぁ面白みのない感じではあります。

 早朝ならそこまで混んでないんじゃないかという予測は外れましたが、洗い場も浴槽も順番待ちになるほどの激混みではないので、これはもうお風呂を堪能というよりサッサと済ませてしまおうというモードになりまして。

 細かいところはイマイチ記憶に残っていません。

 唯一そうですね、記憶に残ったというか、残したくはなかったんですけど残りやがったというか。その、まあいいんですよ。いいんですけどね。

 ベロ磨きってんですかね。

 あれに余念のないかたがいらっしゃいまして。

 サッサと済ませようモードとはいえ、身体を洗って入浴を済ませ、最後にシャワーでサッと流して上がろうっていうその全行程の間中、ずーっとベロをですね。

 あの、ローリング・ストーンズのアレみたいな感じで。舌を出しっぱなしで。鏡に向かって。

 その、ずーっと。ブラシで。ええ。ええええ。

 …ずーっとだぜ? あたしが風呂から上がってもやってんだぜ?

 なにあれ。あれが妖怪ベロ磨きじゃなかったら、訴えていいよね。あんなに磨くんならキッチンハイターに浸けた方が早いって。

 てゆーか、家でやれっていうか、逆にその調子で家でやってると家族全員から白い目で見られかねねぇから、ここでやってんのか知りませんけどね。

 しかも朝っぱらから。もうヤスリでよくないっていう。鉄の棒の。ギッザギザの。

口コミを見てしまい 

 そのスーパー銭湯の真ん前には、朝ラーメンと書かれた看板の出ているラーメン屋がありまして。

 朝ラー。

 ありかもしれないと思ったものの、そのラーメン屋の駐車スペースを見る限りはここのスーパー銭湯と同じくらいには混んでいそう。

 駐車場が満杯だからって、店内の席まで一杯とは限らないだろうと思ったし、もっと言うとスーパー銭湯の駐車場に停めた位置がちょうどそのラーメン屋から、道路を挟んで真ん前でして。

 このまま行っちゃってもいいような気もしなくもない。ないけど、雨が豪雨ではないものの止め処無く降り続けているんです。

 混み合っているスーパー銭湯から出てきたばかりですし、一服がてらちょっと様子を見ることにします。

 その間に、あまりやらないことなのですが気が向いて、口コミ的なものを見たんですけどね。

 いや、その店が特別悪く書かれているってことはなかったんです。何をしても批判めいた事を書くやつってのはゼロにはなりませんから。だからいいこともそうじゃないこともあるな、っていう程度だったんですけど。

 もうそういう世の中っていうか。

 この世の全員がレビューという名の、なにかを書くじゃないですか。そういうご時世ですよね。

 当然、文章力だってピンキリですし、伝わろうが伝わらなかろうが書きたい人は書けばいいし、そういう人たちは書いたってことだけが重要で、どう読まれるかとかはどうでもいいんだと思うんです。

 でもなかにはさ、そういう口コミ欄にどう表現すればいいのか、その、作家性のある文体で書く人っていますよね。

 …あれ、なに?

 いやね、てめぇのことを棚に上げるつもりはないんです。でも、こっちはブログですから。そういう場でしょっていう意識があるわけ。

 あれ、なに?

 あれもうさ、口コミはもとよりレビューですらないやつあるじゃん。

 今朝、庭にツツジが咲いた、から始まるやつとかさ、あるよね。お前んちのツツジが咲くかどうかは知らねぇよっていう。その書き出しなにっていうさ。

 あと、写真ならともかく、動画とかアップされてんじゃん。しかも舐めるようなアングルで延々と撮ってるやつとかさ、ありますよね?

 そういうのを見っけちゃってさ。そういう客もいるんだっていう。なんかしらないけど、一気に行く気がなくなっちゃって。

 もうさ、むしろ営業妨害だよね。あたしひとりが行くかどうかなんて、そのラーメン屋の売上に対して影響ないけどさ。もう営業妨害レベルだって。

 で。

 朝ラーメンとか、幻想だと。そんなものはなかったということになりまして。

 とりあえずコインランドリーに行こう。お洗濯しよう。

 終わるのを待ってる間にコンビニかなにかに行けばいいじゃないかと。旅もそろそろ終盤とはいえ、どこかに行くアテなんかないんだから。急いでもいないし。

しっかり洗濯 

 それで、昨日ちょっと目を付けておいた、スーパーマーケットの敷地内にあるコインランドリーに行きまして。

 ちょうど洗濯をしている間にスーパーが開くから、そしたら中をのぞいてみよう、なんて思いながら、まずはコインランドリーへ行ってみたんです。

 クリーニング店に併設されてて、比較的新しい感じの設備かなと思ったんだけど使えるのはコインのみの、シンプルな感じの洗濯機が並んでましてね。

 そのぶんってことなのかどうか、あたしが思ってるコインランドリーの相場より多少は安く設定されている気がしますし、洗濯物が入ったバッグから衣類を放り込んでいったんです。

 一週間の長旅とはいえ、一週間ぶんの着替えを持ってきたわけじゃありません。車中泊前提ですから、車内の荷物が増えすぎると邪魔になっちゃってね。

 なので、途中でコインランドリーに寄るつもりだったものの、そう何度も立ち寄るってことになると旅のテンポってものを損ないかねません。

 なので途中で一回だけコインランドリーに寄るイメージで、そのくらいの量の着替えを持ってきていたんですね。

 そのほとんどを洗濯するとなると、一台の機械ではちょっと多すぎる。

 コインランドリーに設置された洗濯機は小型中型はいくつかあって、みんな乾燥機能付きなんですけど、大型のは一台だけでそっちは乾燥なしの上に、すでにシーツかなんかがぐるんぐるん回っているのが見えます。

 じゃあ、空いてるわけだし、中型二台を使って洗濯するかと、持ってきた洗濯物を半分ずつにしてそれぞれを中型洗濯機に入れて、両替機に行って千円札を崩してきます。

 んで、一台目から。

 まずはコースのボタンを押せということらしいので洗濯乾燥ボタンを押すと、デジタル表示で700と出ました。なるほど料金700円ってことねと、百円玉を入れていって7枚が入った瞬間に、ガションと音がして洗濯機の蓋がロックされて中に水が注入されていくのがわかります。

 で、隣の洗濯機に行ってボタンを押して、百円玉を1枚2枚と入れていって7枚目を入れた瞬間に、あっ! ってなって。

 ボタン押し間違えてる。洗濯のみコースにしてる。

 要は、ボタンがいくつかあって。

 洗濯+乾燥10分コース600円

 洗濯+乾燥20分コース700円

 しっかり洗濯コース乾燥なし700円

 並んでんだよ。ボタンが並んでんの。同じ料金のボタンが並んでんの。

 しっかり洗濯コース押したよ。ガションだよ。蓋がロックされてお水が注入されてるよね。

 しっかり洗濯とかいいんだよ。あたしが着てるのなんかただのTシャツだよ。車中泊の旅にそんないい服着てこないよ。ギリで穴が空いてない程度のやつだって。イーロン・マスクの家にあったら床を拭くようなやつなんだって。

 当然、間違えましたスイマセンボタンとかはないの。やり直しは効かないの。ロックされちゃってるから。

 そうなると追加で乾燥機使わなきゃなんだぜ? 10分100円とか、追加で払わなきゃいけないの。朝から謎の舌磨き男はいるわ、ボタン間違えるわさ。なんなの?

スイーツを探して 

 もうね。朝っぱらからぶんむくれですよ。どんむくれです。

 これはもう、旅先のローカルなスーパーマーケットに開店早々お邪魔して、ご当地スイーツのひとつも見っけないとやってられません。

 …スーパーに行きたいだけなんですけどね。スーパーマーケットをウロウロしたいだけなんですけどね。てへ。

 コインランドリー併設という、あたしにドンピシャな並びのスーパーマーケットはちょうど開店したばかりで、チラホラと地元のかたと思しき人たちが店内へ吸い込まれていくのが見えます。

 そこのスーパーは何年か前に、同じチェーンの別の店に寄ったことがあって、そこで衝撃的な食い物を見つけたことを思い出しまして。

 あの、おはぎっていうの? ぼた餅が正解? 言い方はよくわかりませんけど、要はお餅をあんこでガッツリとコーティングしたようなのあるじゃないですか。

 あの上にまあまあの量の生クリームが乗ってるっていう。

 最近じゃそういうパンとかどら焼きっぽいのとかを見るようになった気がするけど、どうやらここのスーパーじゃ多分だけど結構前からその生クリームぼた餅みたいなのを売ってるらしくて。

 その時はさ、生クリームぼた餅的なやつの売り場を見てると、気のいいおとーちゃんとか、そのへんのおばちゃんとかがポツポツ来ちゃあ、手に取っていくわけ。

 あたしも買うよ。どうやら飛び道具っていうか、流行りに乗って売り出しましたどうですかみたいな商品じゃなくて、親しまれてる感があったからさ。買うよね。

 それが、やっぱり美味くて。カロリーは見た目通りあるんだろうけど意外と甘すぎないし、そん時も長旅だったんですけど疲れの残る身体にはやたら美味しく感じて。

 同じチェーン店だし、またそのスイーツが売ってないかなと思ってたんです。

 あの時は専用のコーナーみたいなのが出来てて、そこにズラッと並んでたような、なんてその時の記憶を反芻しながら店内をウロウロしてみたんですけど。

 ないね。ないよね。

 もっと言うと、このあと近くの同じ系列店をいくつか回ってみたんですけど、どの店にもなくて。

 その場で調べたら、どうやらお彼岸とかの時期によるものみたいで、でも前回もゴールデンウィークだったようなと思ったんだけど、やっぱりないのね。

 で、これを書いてる今あらためて調べたら、どうやら通年で売ってるみたいなんだけど、この旅では結局見つけられなかったんです。

 その代わりに、近海産のカツオのたたきの端っこだけを集めたのが、お安く売ってまして。

 白いご飯も売ってまして。

 食うでしょ。そりゃあ食うよ。カツオのたたきを白飯に乗っけて食うよ。どう見たって美味そうでしょうよ。

 だいたい、時間があるんだから。乾燥までに時間がまだまだあるんだから。片方は乾燥までノンストップだけど、もう片方の洗濯機はいったん出して乾燥機に入れるっていうひと手間かかるんだから。

 その間にゆっくりカツオのたたき丼を食ってりゃいいんだよ。旅ってのはこういうことなの。

 てゆーか、よくよく考えたら、起き抜けにカツカレー食ってんだよな。朝の5時半からカツカレー食ったよな。

 いや待てよ、未遂とはいえ朝ラーとか行きかけてたよね。なんか妙におなか空いてる感じなんだけど、ちゃんと食ってんだって。

 これがまた美味くて。

 端っことはいえカツオには違いないし、ご飯だって今朝炊いたやつだろうし、それを岩手は盛岡の見知らぬスーパーの駐車場で食ってるこの感じ。

 放浪してる感。

 ホテルの朝飯とも有名店での外食とも町中華に立ち寄って食うメシとも違う、自分で探して選び取ったのを街の片隅で食ってるこの感じっていう。ね。

 なんなんだろうね。好きなの。こういうのが好き。

大荒れの街へ 

 お洗濯も、無事に終わりまして。

 無事じゃないけどね。数百円、乾燥のために追加で払ってっから。

 とにかく身体も着るものもキレイキレイしまして。

 ここでちょっとその、いったん、これを書いてる今の話をしますけど。

 なんかその、書けなくて。

 あたしの場合は、ホントに神が降りてきて書くんです。ブログ神と呼んでるなにかがあたしに降りてこないと書けないの。

 書くっていっても、

 友達とランチしました!! おいしかったです!!!

 え、以上なの? みたいなのは書こうとすら思わないから。写真いっぱいで映え重視みたいなのもどうでもよくて。

 なるべく自分の言葉で、なるべくその時の心理を含めてっていうのがあって。

 それがさ、なんかずっと書けなくて。この旅が終わって次の旅に出ても、まだ書けなくてさ。お供え物が足りねぇのか降ろす術が湿ってんのか知らねぇけど。

 で、ちょっとね、この時のことを忘れつつあって。

 グーグルマップのタイムラインとかSNSとか写真を見て思い出しつつ、でもやっぱり忘れてることもありそうで。

 だからちょっとここからは駆け足気味になるんだけど。

 てゆーか、洗濯の話で尺を取りすぎなんだよ。読んでるかたもコインランドリーで数百円損した話が読みたいんじゃないだろうよ、おそらく。

 で。

 この日はまた、アイス食いに行ってるんです。

 件の、もりおか町家物語館ってところにあるカフェで、前回も書いたけど牧場かなんかで売ってるジェラートが食えるのね。

 これが気に入っちゃってさ。特にミルクの濃厚さが格別で。カフェのある部屋にはお土産も売ってて、そこでもちょっと買い物したりして。

 あげるアテのないお土産を買うっていうのを、旅に出たらやってまして。行くアテのない旅ばかりだから、そういうのもいいだろうと。

 なにかのきっかけで誰かと旅の話になって、気が向いたらその時あげればいいやっていう。

 そこでお土産買ってジェラート食って、なんだかんだあって石巻に戻ったんです。

 というのも、明日。5月5日には帰路につかなきゃいけないと。

 盛岡から戻るためには秋田方面へ抜けるか南下して宮城山形と行くかの二択なんだけど、これも前回までの中で書いたかどうか忘れちゃってるけど、来月には秋田に行く予定があって。

 秋田方面はその時があるからってことで、じゃあまた石巻でっていう流れだったと思います。

 んで、石巻に夜になってから着いて、スーパーで夕ご飯買って、今回の旅で何度もお世話になってる、温泉付きの道の駅に寄ったんですけどね。

 時にゴールデンウィークの真っ只中ですよ。激混みなの。駐車場に空きなんかないんだ。

 しかもまた暴風警報が出てて大荒れなわけ。ばっしゃばしゃの雨が降る中、駐車場を一周しても停める場所がないのね。

 どうする。

 寝る場所ないかもよ。

 周りを見ればおそらく同じような目的の車が、何台もいるんです。場内は一方通行なので、たまたま目の前で空いてくれないと、もう一周してる間に埋まっちゃうのは目に見えています。

 いやでもね、そういうのも込みなんですよ、車中泊を選択するって。

 なんか、車中泊の旅みたいなのをこれ見よがしに特集してる雑誌とかさ、動画とかあるけどね。確約なんかないわけ。それが当たり前で。

 ぶっちゃけ流行っていいようなもんじゃないの。異国に行ったらちゃんと宿に泊まって、ゆっくりするのがいいに決まってんだよ。

 で。

 そういう状況とはいえ、あたしも放浪の旅がそこそこ長いもんてすから、パッと見た限り、ああなんとかなりそうだなっていう感じもあって。

 ここはいったん退避して、21時のちょっと手前にまた戻ってきたんです。

 その時も駐車場は当然のように満杯だったんですけど、場内を回ってるうちに目の前でひとつ空きが出まして。ラッキーではあったものの、そうなるだろうと踏んでのことだったので。上手くいってよかったなと。

 要は、県外ナンバーも多かったんですけど、ご当地のもチラホラ見えたので。これは、地元の方が道の駅併設の温泉に入りに来てるんだなっていう読みで。

 だったら閉店時間になれば駐車スペースが空くだろうと。

 それを拾えるかどうかは賭けになるけど、闇雲にぐるぐる回ってるよりはいいだろうっていう。

 実際、駐車スペースに停まってる、エンジンのかかった車のすぐわきで待ってる車とかもいてさ。順路上なのに。

 そんなことをしてまで車中泊なんてするもんじゃねぇじゃん。違う道の駅なりなんなりに行きゃあいいし、なにかあったら移動できるのが車中泊でしょっていう。

 やっぱり、いいもんじゃないんです、車中泊って。

思い立っちゃった 

 その夜はそれで終わりじゃなくて、ものすごい風で。

 あたしが岩手に行ってた間も、暴風警報は宮城県にずっと出てたんじゃないかな。

 車の中だから、揺れるんですよね。地震みたいに揺れるの。眠れないってほど神経質でもないけど、けっこうなもんで。

 ただ、それも悪いことばかりじゃなくて、これだけ車中泊組が多いとマナーの悪いのもいるもんなんだけど、ここまで荒れた天気なら外でずっとしゃべってたり騒いだりするような連中もいないっていうね。

 そんな感じで思ったよりはちゃんと眠れて、旅の最後の日、5月5日を迎えました。

 あとはただ道を戻るだけ、途中で土産のひとつも買いながら、そうなるだけだろうと思っていました。起きるまでは。

 起きてからいつものようにすぐには動けなくてほんやりしてましたら、ふと思い出したことがあって。

 ここまで来たなら行きたいところがあったよなって。昨日まで一切思い出さなかったんですけど、急に。思い立って。思い立っちゃって。

 混み合う石巻の道の駅を朝も早くから後にして、向かったんです。

 岩手県に。

 また? またなの? 昨日戻ってきたばっかりじゃんよ。

 また行くんだよ。行くの。せっかく近くに来たんだからさ。行くの。今すぐ行くの。

 目指すは岩手県の一関市です。ネットで調べた限りでは、一番近いのがどうやらここらしいということでした。

一関市
見知らぬ山道をゆく

 まったく予定にない道を延々と走って、まったく寄るつもりがなかった道の駅で時間つぶしに立ち寄って、ちょっと地震もあったりしつつ、なんかこうその、ね。

 なんでここにいるの感。

 自分でもわかってないんだから。

 朝飯食ってないから道の駅で売ってた目玉焼きやきそば買ってさ。食ってんだ。やることないんだよ。目当てのお店が開くまで、まだ時間があるからさ。

 そもそも帰る方向とは真逆なんだよ。目玉焼き美味いしさ。道の駅に到着してすぐ地震がくるしさ。

 目の前で起こってるなにもかもが、全然予想とか予定にないやつなんだよ。

 なんでこうなってるのか、てめぇでわかってないんだから。

 そもそも、そんな旅なの。旅全体が予定調和とはかけ離れたやつなんだけど、それにしてもっていう。帰るんじゃなかったのって。

道の駅で
…食べすぎじゃね?(冷静に)

 目的はお菓子です。

 ここいらのご当地のお菓子で、いくつかのセンから名前を聞いてて、それは一度食べてみたいなと思ってたお菓子があって。

 その直営店が一関市にあるらしいと。岩手県内にいくつもあるんだけど、一番近いのがここの道の駅からすぐそばにあると。

 で、オープンして行ってみたら、もう何人か客がいるんだ。ゴールデンウィークとはいえさ、そんなことある? 色んな土産物が置いてあるような、駅ナカのショップならわかるよ。

 また、ちっちゃいお店なんだよ。街のケーキ屋さんって感じのさ。でも店員さんもテキパキ働いてんだ。感じのいい店で。

 お目当てのお菓子を買って。「三代杉」ってお菓子なんだけど。

 これが不思議な味というか食感というか。

 うっすいバームクーヘンのクッキーサンドっていう感じで中にチョコが入ってるんだけど。こう書いただけでも、あんまり味を想像できないでしょ。

 どう言えばいいのか、また食べたくなるような、ガツンと押しのある美味さじゃなくて後を引くような、クセになる感じで。

 パッケージは渋い感じなんだけど、たまに思い出して食べたくなるようなそんな感じだったな。

フルールきくや
ロゴがかわいい

フルールきくや

旅と旅の起伏の中で

 その後はもう、イマイチ覚えてないんだけど、その道の駅の近くにあった、これもドローカルなスーパーというか地元の個人経営の商店っていうような店で三陸産のタコブツを買ってみたり、渋々ながらも帰っていく途中で寄った山形のスーパーで秋田名物のババヘラアイス食ったり。

 道すがら、おそらく20年ぶりとかで通った街で、色々思い出したり。

 あのホテルに泊まった気がする、あの公園に寄った気がする、みたいなのがなんかぶわーっって、よみがえってきて。

 旅先で一度だけしか通ってない道でも、何年か後に通るとデジャヴみたいな感じで思い出したりすることがあるのね。

 そうならない道もあるの。今回の旅で言えば、石巻の街並みは年末に行った浜松にかなり似てて。自分のなかではね、あくまでもそうなんだけど、記憶を取り違えてる感じになったな。

 初めて見るものと一度は見たものとが混ざったり揺らいだりするのも、歳を重ねたせいもあるだろうけど、なんか不思議な気持ちになって。

 また来ようと思っちゃうよね。

 で。

 途中でけっこう大きな事故のために一時的な大渋滞に巻き込まれたり、水を張ったばかりの田んぼに夕陽が映る道をひたすら走ったりして、旅が暮れていきました。

 楽しかった。

 でも寂しくはないかな。

 旅と旅の間が長いか短いかの違いしかなくて、またいつか旅に出るんです。どうせ旅に出るんです。

 その起伏の中で、行けるところまで。それだけのことで。

 また訪れる景色も、初めての景色も、きっとあるんだろう、みたいなことで。

 そんなじゃないの。そんな。たぶんそんなだよ。

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