かまぶろと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
今回は長岡かまぶろ温泉に行ってきましたので、そのお話です。普通の温泉ではちょっと体験できない「かまぶろ」が特徴的な旅館のお風呂でした。
長岡市内を南北に走る国道17号線を南に向けて走っていくと、途中から上越線と国道が並行している辺りがあります。そのさらに東側に県道370号線が通っています。
撮影しにくいので写真はありませんが、国道のほうを走っていますと途中で気になる看板を見かけましてね。通りすがりですからよくよく見ちゃおりませんが、「かまぶろ温泉」と表記があります。
私は温泉通というほどではありませんし、温泉に掲げられている泉質表示を見てくぅーっ、となるほど詳しくありませんが、どんなもんかと気にはしておりました。
シャワーじゃ取れない疲れを癒やしたいというのが、日帰り入浴の目的のひとつだったりするせいか、どうしても気に入った居心地の良い所へと足が向いてしまいます。
ですから新規開拓はここのところご無沙汰。気分的にも話のタネとしても、いつもと違うところへ行ってみようかなと思っていたもんですから、タイミングを見計らってお邪魔したという次第なんです。
さて、国道を逸れて県道へと入るわけですが、このあたりは国道のそばやJR沿線と言っても商業施設で賑わっている場所ではありません。閑静なという表現のぴったりくる住宅地でして、新築の戸建てやアパートは目立たず、この土地の空気に馴染んだお家が多いようでした。
その中に紛れるようにひっそりと旅館があるのです。
看板もそうですが建物も年季が入っているように感じました。それでも駐車場には県外ナンバーの車がありましたし、送迎用のバスも停まっておりますから、ボチボチ使われている宿なのかもしれません。
長岡市の中心部からは外れた地域になりますが、そのぶんのんびりできるのかもしれないな、などと思いながらお風呂セットを準備。着替えとタオルを突っ込んだカバンとお風呂セットをぶら下げて、玄関口に向かいます。
夕方というにはちょっと早めの時間帯でしたから、人の気配はしません。それでも玄関の戸をくぐった時にチャイムが鳴りましたから、そのうち誰か来るだろうと思って待っておりましたら、女将さんと思しき方がいらっしゃいました。
日帰り入浴で初めてであることを告げると、お風呂の場所と、「最初に身体を洗ってかまぶろへ」という内容の説明をしてくれました。なるほど。
言われるがまま歩いていきますと、殿方ご婦人と書かれたプレートと暖簾がありました。心の中で、殿方ですか、殿方ですと自分に確認してそちらのほうへ。
まったくどうでもいい事ですが、紳士服売場でもたまに自分に紳士なの? と確認してしまいます。ええ。
閑話休題。ガラガラと戸を開けると、目の前に何やらちょっと不穏な扉があります。
これは何かなくてはいけません。おそらく、ここが「かまぶろ」でしょう。ここがかまぶろじゃなかったら逆に大変です。かまぶろって書いてありますけども。
目を離して周りを見回すと、コイン返却式のロッカーやドライヤーもあるようです。他に脱いだ物を入れるカゴがありまして、中に衣類が見えますから誰か先客がいるんでしょう。
ってことは、「身体を洗って」脱衣所に戻ってきて「かまぶろ」へ入る方式なんだろうなと考えつつ、まずはお風呂場へ。
ちょうど先客と入れ違いで、浴室内には誰もいません。写真もありませんが、中は銭湯を想像してください。そこからケロヨンの黄色い桶を取っ払ったら非常に近い風景となります。
ボタンを押すと一定水量のお湯が出る仕組みの洗い場に腰を下ろし、ワンプッシュで昨今のスーパー銭湯などでは考えられないほどの長い時間お湯が出続けるシャワーに、壊れてるのかしらと思いつつ「身体を洗う」ことに成功。湯船もありますから取りあえず入っておきましょう。
ここは温泉とのことで、相変わらずそこまで興味がないので成分やらかけ流し云々は覚えちゃおりませんが、浴槽へ注がれる蛇口の脇にはそれっぽい文言が書いてあったと思います。それほど熱くもないのですが、浴槽の深さもないので肩まで浸かるにはちょっと斜めになって入浴しなくてはなりません。
そうこうするうちにお客さんが入ってきましてね。
近所の常連さんじゃないかとピンときたもんですから、あの扉がかまぶろへの入り口なのかどうか確認する意味で、今しがた来たお客さんに先に行ってもらおうと思いついたわけなんです。
ブログに書いたかどうか忘れましたけども、私はそんなに長湯するほうじゃありません。熱いお湯じゃないので浸かっているぶんには大丈夫だと思いますが、あとから来たお客さんも「最初に身体を洗ってかまぶろへ」のルールに従ってのんびり洗っておりますから、ほんのりのぼせてきました。
我ながら阿呆なことをやってるなと思い始めた頃に、お客さんが浴槽を出てその足で脱衣所のほうへ戻っていきます。これで服を着始めたら作戦失敗ですから、ちょっとだけ間をおいて私も脱衣場へ。
・・・いませんね。先ほど出ていったお客さん、いませんね。
ってことはアレです、この扉の中に入っていったか、ほんの1分少々の間に身体を拭いて着替えて、もしくは全裸で外へ出たかの二択となるわけです。全裸じゃないでしょう、多分。
ということで、私も中へ踏み込みます。なぜか微妙に忍び足で。
いました。さっきのお客さん。
それよりも扉の中ですがね。確かにかまですね。
中に薪をくべて上に鍋でも置くようなあのかまの巨大版といえば伝わるんでしょうか。あるいは陶芸などの焼き物をするかまの中にいる感じです。
天井から壁も床も土壁なんでしょうか。天井は低めで圧迫感がありますね。床にはゴザが敷いてあります。ホームセンターで売ってるようなのではなく、本来のゴザです。
ふと、先ほどの洗い場で排水になんか茶色い切れっ端が引っかかっていたのを思い出しました。このゴザの切れっ端ですね。
お客さんがゴザで寝転がっていますので、私も真似してみます。床から熱が伝わってきて、じんわりと身体が温かくなっていく感じ。
これ、今でいう岩盤浴ですね。床を何で温めているんでしょう。温泉のお湯なのか本当にこの下で火でも炊いているのか。とにかく寝転がっていると、結構あったかくなりますよ、コレ。
以前、岩盤浴を体験したことがあります。あの時は温まった石のベッドに横になる感じでしたが、床暖房の強いやつの上で寝ている感じですね。
公式サイトで説明を読むと京都が発祥だそうで、なぜ遥か北の地で営業なさっているのかはわかりませんが、歴史のあるもののようです。また床は耐熱レンガと書いてありました。
ちなみに最初にかまぶろという単語を見た時は、いわゆる五右衛門風呂を想像していました。色んなお風呂があるものです。
長湯しないと書きましたが、サウナもあまり利用しないので、実際にこの中にいたのは10分もなかったと思います。それでもじんわりと汗が滲んできて、サウナと違って空気はそれほど温まっていないので自然に近い状態で汗を流すことができるのではないでしょうか。
また私は大丈夫でしたが、閉所が苦手なかたはちょっと厳しいかもしれません。3、4人横になるのがやっとの広さですし、出入り口も例の小さな扉しかありませんので。
かまぶろを出て、浴室へ逆戻り。汗をたっぷりのシャワーで洗い流し、ひとつ伸びをします。かまぶろの発汗効果なのか長湯をしたせいか、心地よいだるさがあります。
このあとは何も予定を入れていません。ゆっくり寝たい気もするし、外は夕暮れ前の好天でしょうから風に流されて何処かへ行ってしまうのも悪くないでしょう。
長岡かまぶろ温泉旅館
http://www.kamaburo.com/
お宿そのものを利用しておりませんが、色々なプランやTwitter、Facebookなども展開していて、営業努力されているのが伝わってきます。
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