夏休み信越放浪記 0日目

2017年8月13日日曜日

#夏休み信越放浪記 #旅

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 旅に出る日があるじゃないですか。今日から旅に出るぞって日。
 それと日常生活を送っている日の境界線はありますか。

 ありますかと言われても、知らんがなとなるでしょうが、0日目。とりあえずここから書いとこうと思うんです。旅に出る前の話から書いとかないと、どうも納まりが悪いんですよね。自分の中で。
 

トラブルメーカー


 休みを取っていいよと言われたのが、七月の終わりだったと思います。
 口にした本人は、それがイコール業務的な失敗を意味しているとは、もしかしたらわかってなかったんじゃないかと、今でも思っていますけど。
 
 
 幾つかお仕事的なプロジェクトがあって、それらが並行で進行してると思ってください。
 とはいえ、ひとつのプロジェクトごとに専属の人員が割り振られるわけもありません。そんな余裕のある大企業じゃありませんしね。
 となれば、少数の人員で複数の案件を効率よくやっていくしかないというのが自明の理でね。
 
 あの、料理だってそうでしょう。
 朝、出かける前にご飯を食べるよと。

 ご飯と豆腐かなんかの味噌汁と焼き魚に、ちょっとしたおひたしやらを出そうと思ったら、材料を揃えて米を研いで水を吸わせておくくらいは準備として前夜にやっておくわけです。

 飯を食う時間帯なんてある程度決まってきますから、それに合わせて炊飯器のタイマーをセットして、お湯を沸かして出汁を取ってる間に魚の準備。

 その合間に作れる、おひたしやら味噌汁の具やらの下ごしらえをしつつ、上手いこと料理が全部出揃うように段取りして作業していくじゃないですか。
 だから、あれだよね。世の中の奥様たちはすごいよね。マジで。
 
 それを一品ずつ作るってのはもう、ちょっとナンセンスなんだろうなってのは、料理がほぼほぼできないあたしにだってわかりますよ。
 例えばご飯が炊けてさ、なんなら味見したあとで、

「お米がたってる(はぁと)」

 なんて誰向けかわからない感想も述べて、そこでようやくお味噌汁に着手、とかやってたら朝飯を食べるのが夜になっちゃうわけ。
 
 タイトなスケジュールのお仕事を上手く段取りして、締め切りや納期のデッドラインを可能な限りバラけさせてずらしておけば、少数精鋭でも対応可能。

 自分では制御できない部分は、関係各位と事前に交渉したり、後々響きそうなトラブルなんかがあれば見過ごさず先に片付けたり、まあ普通の対応しておけばおそらく大丈夫かなと六月はじめころには思ってたので、夏休みどーしよっかなぁと呑気に考えるような余裕もあったんですがね。
 
 
 そこへ、ちゃぶ台返しというか爆弾投下というか、そういうのが炸裂しやがったのが七月半ば。
 とうの昔に渡してあって、その通りに決済されてるはずのものが、止まっているみたいな感じを想像してもらえば概ね間違っちゃいません。
 
 こっちは、それは全く問題ないからと聞かされて動いてましたから、ある計画がいきなり全面的にストップしまして。
 いつもよりちょっと早起きして飯の支度をするからと、家の誰かに目覚し時計のアラームをセットしておいてくれと頼んだはずなのに、セットしてないみたいな。目覚めたら8時みたいな。
 
 間の悪いことに、職場の大規模なシステムメンテナンスがお盆休みの直前という日程で設定されていましてね。
 その期間中は全面的に社内システムが使えない、メールも見れなけりゃサーバーにアクセスもできないわけです。
 かろうじて電話は生きてますから、やろうと思えば昭和40年から50年代のように、書類の束を机に積み上げて電卓とボールペンで戦えばいいんですよ。いいんですけど、いま2017年だぜ?

 勝てないって。相手はインターネットですよ。コンピュータですよ。石器時代の斧とかで相手は戦車ってことでしょうよ。無理だって、ビジネスとか無理無理。
 
 普通はそのシステムメンテをお盆期間中にやるか、いっそのこと会社の休業日に設定するもんだと思いますが、
 
 「お前たちは二言目にはシステムメンテナンスがって言うけど、私はそんなに業務に影響があると思えない」
 
 と言ってのけるような、脳が化石化して久しいお歴々が、でんと構えているような魔窟ですからね。通常営業なんだそうですよ。
 
 そういった背景込みで考えると、並行で動いてる幾つかのプロジェクトのデッドラインがお盆休み後のある数日内に集中するということになり。まあ人災ですかね、それが現実に起こることになったんですね。
 
 
 前置きが長くなりましたが、システムが止まったらもう何もできることがないレベルで段取りをし直し、冒頭のセリフを頂戴したという次第です。
 できることがなーんもないんだもん。なんにも。
 
 実際には色々ありましたが、とにかく夏休みが若干多くなったのは間違いありません。

どこに行こうか、雨の中


 だから、旅に出ているというわけです。
 いつもの仕事半分の旅ではなく、行き先から何から完全自由ですよ。
 
 完全自由といっても、実質お盆休み期間直前ですし、宿だの公共交通手段だのはめぼしいところは満席でね。
 元々プランニングされた旅をしない人ですから、あたしゃ。だから、そういうのは望むところなのですが、遠くまで出かけるのは、体力的なこともありちょっと難しいなという状況でもあり。
 
 仕事の関係でスタート地点は新潟県某所。
 県でも中央の地域ですから、東西南北どこに行っても距離的に他県に脱出するまでが意外とかかるんですよね。
 
 仕事で新潟県に滞在するようになりましたが、あちこち行ってるとはいうものの、隅々までというわけではありません。
 どうせなら行ったことのない地域を通りたいということで色々調べた結果、新潟県でも群馬長野寄りにある津南町というところに大きなひまわり畑があるというのを知りまして。

 群馬方面はしばらく行ってないし、津南町経由でそのまま群馬に抜けるルートが面白いんじゃないかという結論に至ったというわけです。
 
 
 その日は雨模様の中、国道17号線を長岡市〜小千谷市〜長岡市川口地域と抜けていくルートを通ったと思います。

 小千谷市あたりから川口地域は、信濃川と魚野川が合流している地形でね。
 鉄道も国道も高速道路も、およそ道と名のつくものはそこを通る地形とは完全に無縁に敷かれているわけではありません。
 川と道と鉄道が、お互いに並行したり交差したりしながら続いていくんです。

 ちょっとした山っぽい空気感のある、カーブやアップダウンの続く道を濃厚な緑の気配を感じながら走っていると、いつの間にか視界が開けて眼下に雨天で濁った勢いのありそうな川が見えてきてね。
 それもいつの間にか川から離れて、やがてトンネルを抜けると今度は田園風景が現れると言った具合。
 この地域を車で走っていると、そうやって景色が移り変わって流れていく感じがより強く身体に入ってくる気がして、なんとなく気に入っています。
 
 
 川口地域といえば、以前ブログでも書いた「えちご川口温泉」がありますが、せっかくだし違った場所も行きたいという気分を優先してスルー。

 そのまま魚沼市へ抜けた頃には天候のせいもあってかなり暗くなっていました。津南町のひまわり畑は営業時間が17時までとのことですし、今日はちょっと間に合いそうもありません。
 
 誰に決められた旅でもありませんから、今日行くものと決めつけることもないでしょう。魚沼市には大きめの道の駅もありますし、日帰り入浴のできる温泉も幾つかあるようです。

 それなら何処かの温泉で旅の疲れ、というよりはここ数日で淀みに淀んだあれこれを洗い流して、適当な何かを食べ、この世の何処かの隅っこでひと晩明かそうかということに決めました。
 

 入った温泉のお話は、別に書こうかなと思います。
 いつしか雨も上がってね。その時になって、ようやく面倒な日々から開放された気分になってきたのです。日常から脱出してやったぞと。

 実際には電話というやつが邪魔をしてくるのですが、こうなったら旅に出ている感はもう止まりません。
 明日はひまわり畑だなと思いつつ、道の駅で就寝。こうして、旅と日常との境界線である、0日目が終わろうとしています。

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