山形初秋旅 台風前夜

2017年9月25日月曜日

#山形初秋旅(台風編) #旅

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 シルバーウィークってのが、いつ頃からそういった名前で呼ばれるようになったんでしょう。記憶にある敬老の日は9月の15日です。いつの間にか月曜日固定になったんですね。

 いつからそうなったのかちょっと覚えておりませんが、とにかく連休があるに越したことはありません。
 連休があれば何処かに出かけようとなるのが、私にとっては自然な流れでして、今回は稲穂が黄金色に輝く山形県に行ってきました。
 


9月15日は特別な日


 9月の15日という日には、ちょっとした思い入れがあります。初めてひとり旅をしたのがその日でした。
 まだ未成年でね。この旅も初めてのひとり旅が逃避行になっちゃうという、なにか暗示的なものでした。いつかネタ切れのときにでも書いてみましょうか。
 
 古い話は置いておいて、とりあえず今回は山形へ行ったお話を書きましょう。
 前回の長野の時もそんな感じでしたが、山形へ行こうとスケジュールを立てて行ったのではなく、直前までどこに行こうか決めかねていたのです。

 直前っていっても前日とかじゃないですよ。当日というか出発するほんの数分前までまで悩んでました。計画性のなさはどうよっていうね。
 

台風がくる


 旅する少し前のこと。
 連休が取れそうだと分かってから、直感的に思っていたのは北に行くことでした。自分でも何故かはわかっちゃいません。

 それが折しも台風18号が連休のあたりに接近するというニュースを見ましてね。さてどうしたもんかと考え込むことになったのです。

 何処かに行くのはもう決定事項なんです。こちとら、何時でも何処でも旅してるようなものですから。

 そうはいっても台風を舐めちゃいけません。
 回避できる危険は回避するべきですから、例えば台風の進路予報から外れそうな太平洋側へ行く旅も検討はしました。
 
 ただね、元々の予感直感第六感が北だと言っているわけです。
 ちょっと前の長野行きの旅の話を読んで下さったかたなら、ああまたかと思うでしょうが、そういう予感というか行きたい方向に反して旅立っても良いことはないんです。
 
 おまけに、お仕事のほうも連休直前になって色々ときな臭くなってきまして。
 これは休日返上という着地点もあるのか、という空気も漂い始めてきましてね。これは、おかしなことになってきたなと。
 
 こりゃあとっとと、
 
 「お疲れ様でしたっ!」
 
 と誰にも聞こえないようにつぶやいて、そっと消えちまうのがベストでしょう。
 そういえば先週は、負の流れに巻き込まれて、休日出勤になってしまったという経緯もあり、ともかく目をつけられないうちに逃げてしまったほうがいいなと。
 

逃げるが勝ち


 当日の夕方。
 やるべき仕事を終えて、前のめりかつ急ぎ足で現場を脱出しましてね。おもむろに携帯電話を取り出すじゃないですか。で、電源ボタンを長押ししますでしょ。
 
 あれ、画面が消えた?

 電池切れかな、あーじゃあしょーがないよね。電源が入んないんじゃね。しょーがないよね。
 
 
 逃げるが勝ちという至言に従えば、大勝利です。
 そのままなにかに追われるようにノンストップで走り続けて、新潟県新潟市へ到着したのが20時前後じゃなかったかと記憶しています。
 ここまでくれば、仮に急に仕事になったとか言われても大丈夫じゃないかと。

 米どころ新潟は収穫の時期。
 すでに半分以上は刈り取られてきれいになった田んぼを横目に、ふと日が暮れるのが随分早くなったなと思いました。
 日々汲々としていて、いつの間にか実りの秋が来ていたのにも気がついていなかったような、そんな気分になったものです。
 
 新潟市内で適当に夕ご飯をとりながら、時間も半端だしこれからどうしようかと考えます。
 このまま気の済むまで走って、疲れたところで車中泊するのがベストな気もするのですが、ここのところ若干寝不足気味ということもあり、できればゆっくり眠れるような環境を確保したいところです。

 他方、台風18号は予報通りに接近中。このままですと日本海側を通ってきますから、北上するなら台風に追われる格好になります。
 
 方向性としては、北上して山形や秋田方面に行くルートと、東に向かって福島方面といったルートの二択になるでしょう。
 もちろん西や南にも行けますが、そっちの方角から逃げるように走ってきたもんですから、なんとなく追いかけられている感があって、戻る気にはなれませんでした。
 携帯の電源はオフのままです。念のため。
 

新潟市内で一泊


 自分の行く末を決められずにいたら、眠気のほうが強くなってきましてね。
 とりあえずは新潟市内で一泊することに決定。幸い、以前ブログで紹介したホテル「ディアモント新潟西」が空いていたので、ネットから予約を入れます。

 県内のビジネスホテルの中では若干高めの価格帯ですが、居心地の良いホテルで空いてるなら即押さえてもいいレベルで気に入っています。
 
 コンビニのおでんが割引になっていて、飯を食ったというのに思わず買って食べちゃったせいもあって、眠気が相当なことになっておりましてね。
 
 これはいかんと、ホテルにチェックインして地下の大浴場に入ったあと、自室に戻ってからの記憶がありません。
 気がついたら布団もかけずにベッドに倒れ込んでいて、窓からは太陽の光が差し込んでいました。久しぶりの爆睡だったような気がします。

頭痛の予兆

 
 この時から若干頭が痛い気がしてはいました。
 寝すぎて頭痛がするのかなくらいにしか思っていませんでしたが、今思えば台風による気圧の変化、あるいは稲刈りの季節になることがある偏頭痛だったようで、この後しばらく悩まされることになるとは、この時はまだ知る由もありません。
 
 そんないいとは言えないコンディションですが、旅に出てしまえばテンションは上がるもので、決まらなかった行く先についても、一夜明けて気持ち的な整理がつきました。
 
 このまま国道7号線を北上して山形県は鶴岡、酒田をまずは目指すとしましょう。
 行ってみてピンとくるものがなければ、米沢や山形福島、あるいは秋田青森と行ってみるつもりです。
 
 … 
 …
  
 …国道7号を北上?

 うそうそ。
 海沿いを走りたかったもので国道を早速外れてしまいました。前言撤回もいいところですが、北上はしてるのでセーフ。
 左手に日本海が広がる海沿いの道をのんびりと進んでいきます。
 
 天気が良ければ、夕陽がとんでもなくきれいに見えるあたりですが、残念ながらまだ午前中。妙に蒸し暑い感じと散開する雲の流れが、確かに台風の予兆を感じさせます。
 
 そのまま道なりに進んでいけば山形県に突入する道のはずだったんですが、どこをどう間違ったのかいつの間にかどんどん海から外れていきまして。
 結局、村上市街に入ってしまいました。

 特に何処かアテがある道行きではありませんから、そのまま村上市内をブラブラしてみたり、お昼を適当に食べてみたり。
 
 あ、まずいまずい。今日中にもせめて新潟県から脱出したいんです。
 いやね、特に理由はないんですけど、新潟県って意外と広いのでダラダラしてると何時までも県境を越えられないんですよね。
 連休で長めの旅に出てるのに、出発した都道府県をいつまでも出てないのって、なんか嫌じゃありませんか。
 

追われるように北へ

 
 そんな当人以外には謎の理由で北上を再開。
 村上市内を通過する国道7号線も海へと到達し、そのまま山形県へ越境を果たします。

 サークルKサンクスがファミマに転換するというのが進んでいますが、県境を越えて山形に入ると間もなくあったサンクスもファミリーマートになっていました。
 新潟県にはサンクスがなく、新潟側から山形へ入ると、「久しぶりにサンクスを見た!」みたいな感覚を覚えて、県を越えたんだなという実感が湧いたものでした。

 世の移り変わりにつれて、こういう地域差も感じにくくなってきているんですかね。
 
 
 そういうわけでこの道を通るのは初めてじゃありません。もう2年前ですから2016年の、紅葉も進んですっかり秋色になったこのあたりを旅したことがあります。
 
 今回はまだ9月。黄金の海原のように田んぼが広がり、風がその穂を撫でているのが目にも鮮やかです。
 面白いなと思ったのは、品種のせいなのか時期的なものなのか、新潟県内の田んぼは7割程度は収穫が進んでいる様子だったのですが、山形に入ったら稲刈りをしている様子は見られませんでした。
 確かに遠目に見ると少し緑がかった感じもしましたし、収穫には若干早い時期なのかもしれません。
 

「来たことある感」連発


 青い海から黄色の海へと視界が移り変わる中、山形県は鶴岡市の中心部へ。久しぶりに目にする街並みは若干変化していたものの、こんな感じだったなと記憶が刺激されます。
 

 あちこち行っていると、二度目の訪問時には「ああここ通ったことあるな」と思うことがあります。
 
 一度しか通ってない道を覚えている人って、どのくらいいるのか知りませんが、デジャヴのように強烈に思い出したり、まったく記憶を揺り起こさなかったりするんですよね。不思議なものです。
 
 街の感じが似ているのか、自分の中で全然違う街が混ざることがあったりするので、記憶の中の道と現実の街並みが繋がらなくて、えっと思ったりします。
 それと、先ほど書いた二度目の街でのデジャヴっぽい「ここ来た事ある感」とが、ぐちゃぐちゃっと自分の中で巻き起こっているのも、旅が楽しい理由のひとつだったりね。 
 
 鶴岡を素通りして酒田市に行こうかとも思ったのですが、「ここ来たことある感」が通る先々で起こっちゃってるもんですから、鶴岡市に居るだけで楽しくなっちゃいましてね。
 そろそろ日も暮れるし、今夜は鶴岡市周辺でゆっくりすればいいかと、夕ご飯の買い出しに出かけます。
 
 ヤマザワという東北地方のローカルなスーパーがありまして、地方のスーパーマーケットを見ると入らずには居られないという不治の病に侵されているもんですから、吸い込まれるように入店。
 すでに何を買ったのか記憶はありませんが、ライフログを遡るとうどんを買った模様です。

見知らぬ道の駅へ辿り着く

 
 この時点で風はかなり強くなっていまして、本格的な台風上陸は明後日だとの予報も合わせて考えると、無理な移動は控えたほうが無難かもしれません。
 
 それに加えて、偏頭痛が悪化しつつありましてね。
 鉄の棒を頭部に巻きつけてギリギリと締め上げられるような状態が続いては、ちょっと治まるようなことが繰り返し訪れやがる状況で。
 
 ちょっとギブアップ気味な思考停止状態のままで宿を探すのも面倒になったのと、宿泊先で迷惑をかけるよりもいざとなったり病院にそのまま行けばいいしと、車中泊を選択。
 検索の結果、一番近い道の駅に車を滑り込ませたのはもう随分暗くなってからで、キツめの薬を喉に押し込むように飲んでなんとか効いてきたのを見計らって寝てしまいました。

 このほぼ偶然辿り着いた道の駅が、この旅で大きなウエイトを占める場所になるとはまったく想像していませんでした

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