行ってきましたと書いてますが、行きたくて行ったというよりは、見つけちゃったという感じです。
あまり食べ物系の記事を書く事がないのですが、これはちょっと書いておきたいと思わせるお店でしたよ。
駅前で街ブラ気取り
所用で新潟県は長岡市に行った時のことです。
夕方に小一時間ほど空き時間ができまして。
新潟県はあちこち行きましたが、普段は車移動が多いものですから、駅前というエリアにはなかなか立ち寄る事がありません。やっぱり駐車場の問題がありますから。
今回は徒歩ということもあり、いい機会ですから普段なかなか行けない駅前をウロウロすることにしたという事です。良く言えばいわゆる街ブラってやつですか、まあ傍から見れば徘徊ですよね。
夕ご飯にはちょっと早いものの、何か食べようかなという気にはなっていました。
その日は昼間っからまあまあの勢いで降った雪が、夜になって少しおさまってきたような天候でね。
新潟県内、特に長岡市周辺地域は融雪のために歩道や車道から水が出るんです。
本当に至る所にパイプが埋めてあって、路面の4つ穴の開いた噴射口から水が吹き出して雪を溶かしていくんですね。
これがまあ、場所によるのか穴の詰まりとかなのか、放物線を描きながら膝上くらいの高さまで結構な勢いで噴出している所もあれば、高原の湧き水のごとく、じわぁっと染み出している所もあるんです。場所によってはプチ噴水になっているので、避けながら歩く感じになります。
溶けた雪も、この寒さですからすぐに揮発するわけもありません。半端に溶けた雪と、その成れの果ての水溜りが歩道を覆っている状態で、正直歩きにくいんですよね。
よばれた
そんな中を徒歩でアテもなくさまよっていると、こんな看板を見つけまして。
立地的には駅前の一等地と言えそうな、大きめの交差点の一角です。そんなに目立つ位置にあるわけじゃありませんが、色々気になるでしょ? 色んな意味で気になる。
これは呼ばれたなと。
この店に呼ばれたなと思いましてね。
とにかく呼ばれたからには行かなくちゃいけません。
お店は二階にあるようです。こういう街並みに突然ある薄暗い階段って、ちょっと気になりますよね。
若干の不安と何が出てくるんだろうというわくわく感を覚えつつ、目の前の階段を踏みしめながら上っていきます。
この急な階段。時代を感じさせずにはいられません。古い建物って階段が急ですからね。
玄関口を開けると若干薄暗くて、一瞬開店前なのかなと思いましたが、店の奥にマスターがいまして。
いらっしゃいませと声をかけられて少し安心します。初めての店ってちょっと緊張しますよね。
まさかのフィギュアたちがお出迎え
このお店に入ってみて、目を奪われない人はいないと思います。
入り口から奥の方まで、店内の半分は長い時間使い込まれてきたであろう棚や椅子やテーブルといった調度類が並び、もう半分はめくるめくレトロなおもちゃが並ぶという光景が広がっていました。
マスターが奥の方の照明を点けてくれましたが、間接照明というかぼんやりと灯るオレンジ色の明かりでね。明らかに時間の進み方が遅くなっていくのが、肌で感じられます。
店内のあらゆる所が気になるのですが、何はともあれ店の中ほどに陣取って、マスターが出してくれたメニューを見ながら何を頼もうか考えます。
カレーの店ってくらいですからね。カレーを頼むのは決まっていたのですが、色々と種類があるので迷うわけです。メニューを見ながら迷ってる時も楽しいものですよね。
結局、入り口で直感で気になっていたハンバーグカレーを注文した後に、しばし店内を眺めます。
見ていても飽きない古いフィギュア、いえ、このお店流に言えば「フィギア」たちが、ショーケースの中といわず外といわず並んでいます。
どんなおもちゃと遊んだの?
これらはずっと昔、町のおもちゃ屋の店頭に並んでいたはずです。
おそらく、今はもう店を畳んでしまったような町のおもちゃ屋さんから、とっくに老けてもうそんな事も忘れてしまった昔の子供たちの元へゆき、こうして今は地方都市の片隅で余生を過ごしているんだろうなと。
・・・おもちゃってのはどうでしたか?
簡単に買ってもらえないモノだったでしょうか。それとも、誕生日とかクリスマスとかに、何とかかんとか言いながらも買ってもらえたものでしたか?
長く遊んだものも、すぐに飽きたものもあるでしょう。古いおもちゃって、憧憬というか、妙な気持ちのゆらぎを覚えます。
それはレトロ趣味という言葉では言い表せない何かを含んでいるような気がするんですよね。
ハンバーグカレー登場
店の中をあちこちと見入っていると、マスターがハンバーグカレーを持ってきてくれました。食事の写真はめったに撮らないのですが、ここは失礼して一枚。
ハンバーグは分厚くて、さらにライスの上にどーんと乗っかっていますから、見た目のインパクトはなかなかのものです。
ルーがかかっているのでちょっと分かりにくいですが、上には目玉焼きが乗っています。
カレールーの海に、目玉焼きとハンバーグとライスの島が浮かんでいると思ってもらえれば間違いございません。ルー大陸です。幻のルー大陸が見つかりました。
カレーと目玉焼きの組み合わせは最高でしょう。さらにハンバーグですからね。これ以上ない豪華な布陣にテンションが上がらないわけがありません。
早速いただきます。
美味い以外に言葉はないのですが、このハンバーグは単品で食べてみたいくらいに美味。カレーなしでもバクバクいけると思います。メニューにあったかしら。
カレールーは昔ながらの、というよりは、洋風なサラッとした口当たりでね。ライスとも相性が良くて、辛すぎもせずいい感じです。
巻き戻した時をゆっくりと過ごす
そこそこ食べるのが早いほうだと自覚があるのですが、時間が巻き戻りそうな空間でいただく食事の時間はゆっくりと過ごしたくて、ちょっと長めに滞在してしまいました。
おばけパフェも気になるのですが、5名から注文可能のようで、どんなものか見る事はできませんでした。
あの急な階段を降りていくと、現代時間に急速に近づいていくのかもしれません。ぽっかり空いていた時間は、今やちょうどいいくらいに進んでいましてね。
また来る機会を作ろうと思いつつ、師走の街を後にしたのです。