ポイントカードは作らない
あちこちウロウロするようなフワついた生き方です。常連になるまで通うほど長居する事もありません。仲良くなるほどほだされる事もありません。
ですから、どこに行ってもあるようなコンビニや量販店やネットカフェなんかのカードは作っても、ローカルな町なかのお店のポイントカードや会員カードは滅多に作りません。
お持ちですか、お作りしましょうかと問われると、伏し目がちにそっと首を横に振る日々です。
記憶を辿ると、数年前に具合が悪くなるほどの肩凝りに耐えきれず、旅先で転がり込んだマッサージ屋さんがずいぶん手厚くしてくれたので、もう来ないかもしれないよと断った上で作った事がありました。
他には、ダラダラと伸びた髪が疎ましくなって、時間が空いたのをいい事に、予約もなしに立ち寄った床屋さんでも作った事があります。そのくらいですかねぇ・・・
カードを何枚も持つの嫌ですし、また来るかどうかもわからないということもあり、面倒なりとこちらからカードを作りたいと言う事はまずありませんでね。
気がついたら15回
そんな私も勧められれば、気分によってはポイントカードの類を持つ事もあります。今回のえちご川口温泉もそのパターンでした。ポイントカードがあるなというのは、何回か来るうちに知ってはいたのですが、特に聞かれないうちはこちらから言うこともないというスタンスです。
ルールを聞いてみると、一回来店する毎に1ポイント。ハンコを押してもらえます。曜日によっては2ポイントの日があるとの事です。
ポイントカードにはマスが30個あり、15個貯まると無料券が貰える仕組み。
この15ポイントって、かなり遠いなというのが最初の印象でした。
仮に地元の方で、温泉を月に一回利用するとしても、無料券ゲットまでは一年以上かかります。
2ポイント貰える曜日になるべく行くようにすればもっと効率は良くなりますが、都合が合うとは限りませんよね。
私のように仕事で滞在している、それもこの付近にいつも居るとは限らないような感じだと、さらにハードルは高く感じてしまいます。
普通の人って、年間15回も温泉に行きます?
行きましたよ。15回。
もちろんポイントカードを作る前にも行ってますし、さらには他の温泉も行ってますからね。もうどうかしちゃってる勢い。
薄々感じていましたけど、ちょっと、その、ね。色々と大丈夫かなと。自分の事ながら、あらゆる意味で大丈夫なのかなと思っちゃったりして。
通うにはわけがある
というわけで、先日ついに無料券を入手しました。はがねのつるぎを買った時のテンションと同等です |
何度か紹介していますが、えちご川口温泉は立地的に立ち寄る機会を得にくい所にあるなと思っています。
市区町村的には長岡市なのですが、実際は飛び地となっていて長岡市街地からは車で30分ほど離れています。
高速道路のインターがそう遠くないところにありますが、そもそもここで降りるという選択肢が少ないのではないかと思います。ビジネス利用にしろ観光にしろ、長岡インターまで行ってしまった方が何かと便利でしょう。
ですが、それが故の穴場感を醸し出すあたりに、私みたいな者は惹かれるのです。
越後湯沢方面に向かう国道17号線から外れて、5分ほど急な傾斜を登ったあたりの山の中腹に位置しているため、眼下にうねる魚野川を見下ろす景色を露天風呂や休憩スペースから眺める事ができます。
ちょうど夕陽が落ちる方角に面していて、お湯に浸かりながら眺める夕暮れ時の風景が素晴らしいのです。
建物も大きく広々としていて、食事処や売店も完備。大広間で無料のお茶なんかを飲みながら、ゆっくり休憩することもできます。
こういう自販機の並ぶ通路ってワクワクする |
平日の夜あたりにうまく潜り込めると、基本的には地元の方しかいないからでしょうが、お風呂も大広間もずいぶんゆったりと利用することができます。
都市部のスーパー銭湯じゃこうはいきませんからね。人の多いお風呂で芋洗いの後は、ガヤついていて落ち着くことなんかまずもって無理。狭い休憩所に居場所を探すのがやっとでしょう。
無料券を利用した
そんな穴場感にもかかわらず、ちゃんとした設備があって居心地よくゆっくり休める上に、上手くいけば素敵な景色を堪能できるとあっては、足も伸びるってもんですよ。おかげさまで、通いに通ったご褒美として、タダ風呂の権利を獲得したというわけなんですね。
ポイントが貯まると、受付で無料券を発行してくれます。これには期限が付いていますので注意が必要。
冬期間は路面のコンディションによっては、温泉までの道を登れなくなる可能性があります。車種によっても差はあるでしょうが、私の乗っているFF車でスタッドレスタイヤ装備でも、途中から明らかに苦しくなる事があります。
場合によっては、ふもとまで辿り着いても雪で引き返す可能性もありますから、期限の付いた無料券が無駄にならないように天気のいい日を選んで利用してきました。
冬の間は露天風呂が一部閉鎖されています。かなり広いお風呂なので、湯音を保つのが難しいようですね。コスト面でも負担が大きいのかもしれません。
源泉を使った露天風呂は冬でも開放されているので、赤錆色の熱めのお湯を楽しむ事は可能です。こんもり積もった雪に囲まれて、熱い風呂から遠く彼方の山々に沈んでいく夕陽を望むのは格別でした。
おっ、と思ったのは、お風呂の入り口にあった注意書き。場所が場所だけに写真は撮りませんでしたが、
「野生 サル 出没中」
と書いてあります。
サルがいるの? マジで?
多分、温泉にサルが入って来るようなのほほんとした、頭にタオルを乗っけてるような、害のない感じじゃないんでしょうけど。
そんな地域なんだなと、あらためて思わされる貼り紙でした。
湯上がりは、大広間でゴロゴロ。思う存分ゴロゴロしておきます。お風呂もいいのですが、このゴロゴロタイムもなんかいい。いいんです。
そんな感じで、個人的には新潟県内でトップクラスにおすすめの温泉、えちご川口温泉を無料で堪能したというお話でした。
雪深くなってきましたし、もう15ポイント貯まるかどうかはわかりませんが、機会を見つけて行くに決まっています。