秋の終わりの上越散歩 史跡編

2019年1月13日日曜日

#散歩 #秋の上越散歩 #旅

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 軽い気持ちで始めたはずの公園散歩。その続きになります。
 前回は、あいかわらずの好天の下、人の気配がしないばかりかイノシシの気配がありそうな五智公園の展望台を制覇し、公園の北側に位置する住宅地に抜けたところまででした。
 その後、足の向くまま閑静な住宅地をさまよい始めます。けっして怪しい者ではございません。ええ。

史跡を歩く
どこへたどり着いたのか


 時々車が通るような、静かな道路沿いを歩いていきます。アパートやマンションらしきものはあまり見かけず、一軒家が密集した静かで平和な町といった風情です。
 久しぶりに人の気配がしますから、どこかこう安心感みたいなものがあったのは事実です。人がいるところにイノシシはいないでしょう。
 天気はこのまま持ちそうですし、冬の前のおだやかな空気が散歩日和そのものです。自然と背伸びをひとつすると、上げた手のひらが空に触れそうな秋の昼下がり。

 そうだそうだ、元々はこういう感じの素敵なご陽気の昼下がりに、ある程度閑散とした散歩しやすい通りをポツポツと歩いてみるつもりだったんじゃないか。何をいきなりイノシシ注意的な半分山みたいな公園に足を踏み入れたのか。
 
 いまさらながらそんなことを考えつつ通りをブラブラしていると、小さな看板を見つけます。

静かな通りを歩く

 写真では見にくくて恐縮ですが、写真中央の上、電柱に取り付けられた看板に「居多ケ浜記念堂」と書かれています。居多ヶ浜というのは地名っぽいけれど、記念堂というのはなんの記念なのか見えてきません。こんな町に何があるんだろうと、そちらへ行ってみることに。
 
 静かな通りからより静まり返った脇道に入っていくと、住宅地の中に少し大きめの家が見えてきます。個人の住まいというよりも、町内会の集まりで使う公会堂というか町民会館的な建物という趣きです。

居多ヶ浜記念堂

 首だけ突っ込むように覗いてみると、玄関先には先ほど看板で見た「居多ケ浜記念堂」の文字がありました。特に門などもなく建物の玄関口とそのまま庭につながっていて、このまま敷地の中へ入ってよさそうな気もします。
 
 ちょっと迷ったものの、見た感じでは誰かのお宅という様子ではなさそうだし、記念堂と看板も出てますから入ってみてもいいだろうと、なんとなくそーっとお邪魔してみます。

庭の中

 手入れの行き届いた庭の中には石碑などが見え、奥にはお堂が建っています。お寺っぽい雰囲気もありますが、寺社というわけでもないんですよね。

お堂

 先ほど看板の出ていた通りに面した建物の中から話し声が聞こえてきましたが、こちらに向かっての声ではなさそう。中で何か集まりでもあるのだろうと、そのまま庭を拝見します。
 
 庭にある石碑などを見てわかってきました。ここはどうやら親鸞聖人とゆかりがある土地のようです。

親鸞聖人像
親鸞聖人像

 私自身は信仰もなく歴史に取り立てて詳しくありませんので、後にネットで調べたところ、鎌倉時代の僧侶である親鸞聖人が流罪となった時に流れ着いた際の上陸地点とのことでした。
 庭の一角は日本海に面した崖になっていて、ここが海のすぐ近くだとその時ようやく知ることになります。

海が見える広場につながっている

 ちなみにですが、この散歩に限らず途中ではグーグルマップなどはほとんど見ないことがしょっちゅうです。大まかな方向や道筋を数回確認したっきりで、あとは気の向くまま歩いてみることが多いですかね。
 この時は写真を撮りまくっていて、バッテリーも少々心許なかった記憶があります。
 
 話を戻しましょうね。
 そのうち、庭から出る別の小道を発見。その向こうに目をやると、駐車場や休憩用の屋根付きベンチがあるちょっとした広場になっているようです。

広場

休憩所

 海に面したあたりは段差を上って高くなっていて、そこへ行ってみると青い海と砂浜が眼下に広がっていました。

ちょっとした高台

 ついさっきまで紅葉の終わりかけた山の中にいたもんですから、目の前の海がなおのこと青く目に染みましてね。あの砂浜まで行ってみようという衝動に突き動かされるようにして、公園を後にします。
 
 公園自体は崖の上というか、海からかなり高い位置にあって、すぐ近くに真っ直ぐ下りていく急な坂道がありました。その下は海岸沿いを走る道路になっていて、それを越えると砂浜になっています。

海岸沿いの道路

 海水浴場なんでしょう、今はもうシーズンオフで営業していないようですが海の家らしき建物やボートも見えました。どうやら居多ヶ浜と書いて「こたがはま」というようです。

お休み中のボート

 砂浜へ降りていきます。
 風はかなり強く吹いていますが、陽射しのせいか寒くはありません。足を取られる浜辺を海に向かって進むごとに、打ち寄せる波の音がそばまで寄ってくるようです。
 髪を逆立てる勢いで吹き付ける潮の匂いを含んだ風が、きっと知っている誰かの声のように思えてきます。それは来るなというのか、それとも来いというのか、そんな気がして仕方がありません。
 
 自分自身で歩いておきながら、海に辿り着くなどと思いもよらなかったせいで、本当にこの海に呼ばれたような感覚が抜けません。

波打ち際

 波打ち際。
 砂浜を波が洗い流しているそのすぐ脇に立ち、どのくらい風に吹かれていたかは忘れてしまいましたが、自分が誰なのかを思い出すには海がいいのです。
 山でもなく、森でもなく、街でもなく。
 
 後ろ髪を引かれる気持ちと海風に背中を押される気配を感じながら浜辺を後にして、またあの親鸞聖人の上陸地点という広場に戻ってきました。
 
 前回の記事ではリーフレットの入っているポストをご紹介しましたが、ここにもそのポストがありました。こちらではウォーキングマップと書いてあり、散歩コースがいくつか書いてあります。
 実はこういったリーフレットの入ったポストのようなものが、上越市のあちこちの観光スポットに設置してあります。

リーフレットポスト

ウォーキングマップ

 リーフレットに載っている地図や、広場に建てられた看板のお散歩コースを眺めてみます。
 もちろん、素直で控えめで人のいい私のことですから、お散歩コースがあってもその通りに歩くはずもないのですが、それはともかくこの近くには史跡や神社などが密集しているのがわかりました。
 
 歴史や神社仏閣などはけっして嫌いじゃありませんが、特に好きこのんで行くといったこともまたありません。
 ですが、ただただ黙々と歩くだけの散歩よりは、多少なりとも目印や目的地があった方がモチベーションが下がりにくいでしょう。たぶん。きっと。
 
 そもそも、散歩そのものにしたって、別に健康に気を使ってるわけでもなく運動したいわけでもないのです。
 ただまぁ、旅をしている中で徒歩で知らない街を見て回る楽しさも知っていますし、そういったものに出会えるかもしれない。最悪はブログのネタくらいにはなるだろうといった程度のスタンスなのです。
 
 ですから、例えばストリートビューのVR版やドローン目線のカメラみたいなものがあり、リアルに街の中を見て回れるのなら歩く必要はないんじゃないかとも思います。

足跡
足跡がどこまでも追ってくる

 さて、とりあえず居多ケ浜記念堂隣の小さな公園まで戻ったものの、この後どこに行こうかということになりましてね。
 あまり遠くまで行ってしまうと車を停めている駐車場まで戻ってくるのが大変になるな、という思考も働いて、現在地の確認も兼ねてひとまずグーグルマップを起動。
 ちょっと考えた末に、駐車場の方へ戻るルートを歩いてみることにしました。
 
 グーグルマップを見ると、その道沿いにも公園があるようです。図らずも公園巡りみたいになりそうです。
 五智公園に比べたらはるかに小さな公園のようですが、その近くに先ほどの浜辺と同じ「居多」という名のついた居多神社と、歴史の里会館という場所があるようです。
 
 先ほどは「歩く必要はないんじゃないか」と書きましたが、昼下がりの見知らぬ路地をヒタヒタと歩いている、そういうシチュエーションは楽しすぎるんですよね。
 歩行というスピード感で見えたり聞こえたり感じたりする景色が、「旅をしている時の感覚」にかなり近いんだと思うのです。
 
 そんなとりとめのないことを考えながら歩いてると、ほどなく右手に居多神社、左手にはバスが停まれるような大きめの駐車場と例の歴史の里会館と思しき建物が見えてきました。
 観光客か地元の方かわかりませんが、何人かが建物の中に入っていったのが遠目に見えました。ということは営業中ってことでしょう。まずはこちらから行ってみることにしましょうか。

歴史の里会館

 その「五智歴史の里会館」ですが、玄関先がなかなか独特で、私が訪れた時はこんなベンチや風車がありました。

かわいいベンチ

変わった風車

 変わった形の風車は、よく見るとビールなどの空き缶です。缶の側面に切り込みを入れ上下から少し潰して風が通るようにし、上からストローに針金を通したものを取り付けてくるくると回るようにしたものでした。
 
 お手製の風車にしてはあまり見たことがない、夏休みの工作で作ったら面白そうって感じのもので、風を受けると結構なスピードで回転します。回っていると切り込みが入ったラベルがなかなかきれいで、空き缶で作ったとは思えません。
 これが軒先に5、6個ほどぶら下げてあって、晩秋の海風で勢いよく回り続けていました。

空き缶風車

 玄関を抜けると、特に受付もなく普通に入っていくことができました。ちょっとしたお土産物などの物販コーナーや郷土史などの展示物があり、雰囲気的には小規模な道の駅といった感じですかね。
 会議に使うような長テーブルと椅子がおいてあり、先ほど見かけた先客らしきかたが数名、お茶を飲みながら談笑していました。
 
 先客がいましたので中の写真は撮っていませんが、公式サイトを見る限りこの周辺の散策の拠点として利用して良いようです。
 
公式サイト
五智歴史の里会館 - http://myhp.joetsu.ne.jp/~gotisato/

 さて、続きはまたあらためて記事にしたいと思います。
 散歩開始から2時間ほどかけて、だらだらふわふわと歩いておりますが、まだまだ終わりではございません。

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