昨年、2018年の秋の終わりに、新潟県上越市の春日山周辺に辿り着いたというお話。
湧き水があると聞いてきました
ちょっと前に、某所に湧き水を汲みに行ったというお話をブログに書きました。そういったことをしたのは初めてだったのですが、地元のかたなどが結構利用しているのを見て驚いたのを覚えています。
違いがわかる男、なんてコピーのついたコーヒーのコマーシャルがありましたけど、汲んできた水でコーヒーを沸かして飲んでいると、安物のインスタントも多少美味いような気がしてくるから不思議です。
その湧き水にはその後二度ほど訪れて、コーヒーを淹れたりしたと思います。
今まではまったく素通りしていた「湧き水」というキーワードが、自分の中ですっかり定着しましてね。もちろん頻繁に汲んでくるようなことはありませんが、ネットで調べてみたりするようにはなりました。
ブログを書くようになって、旅や散歩から戻ったあとで行った場所などをネットであらためて調べる、という行為が増えています。
書くにあたってはやはり正確なところを記したいと思っていますし、何より基本いきあたりばったりな道行きですからね。
その場では知らなかったことが後々ネットで調べて初めてわかる、といったことが多々あって、それはそれで楽しかったりするのです。
話を戻しますと、これまで数回に渡って書いている新潟県上越市のお散歩シリーズのためにネットで調べ物をしている最中に、山奥ではなく比較的街なかに湧き水があるらしいということがわかったのです。
場所は前回まで散歩していた五智地区から南へ車で10分少々と、それほど離れていませんし、なにより地図上ではすぐそばまで車で行けそうなくらい市街地に近いのです。
こういう時に便利なのはストリートビューであるのは百も承知なのですが、それを事前に見ちゃうと興ざめする場合もあるじゃないですか。行ってみて初めて、あぁこういう所なんだこういう道なんだってわかるというのが良かったりするわけで。
今回は行ってみようかなという気持ちのほうが大きいこともあり、そもそも車で行けるなら道がどうなっているかみたいな心配をそれほどしなくていいやと、地図にマーキングだけして閉じてしまいました。
龍の吐く水
秋の気配はもうすっかり鳴りを潜めてきた、でも冬というには少し早いと言い聞かせたい、そんなころ。件の湧き水まで行ってみることにしました。
結構厚めの雲がかかっていますが、雨はどうにか降らないだろうという感じ。上越市までのドライブも快調そのものです。
上越市から糸魚川市を抜けて富山県に通じる国道8号線を南に折れて県道を走っていると、春日山神社へ向かう道と交差します。そちらの方へ曲がってさらに5分ちょいくらいで目的の湧き水の出る場所に辿り着きます。
周辺は上越市の中心部からちょっと外れたあたりで、それほど辺鄙な場所でもありません。
御前清水と呼ばれているそれは、道のすぐ脇にありその近くに空き地があってそこに車を停めてもいいようです。この前訪れた小千谷市の湧き水のほうが人が多かったものの、ここもそこそこ水汲みにくるかたがいます。
その空き地に車を停めて水を汲んでいたり、中には自転車の前カゴいっぱいにペットボトルに入れた水を積んで帰るかたもいました。
写真を撮ろうと思っていたので、他の方々がいなくなってから私も空のペットボトルを持って行ってみます。
大きな石に龍の像が作られていて、その口から勢いよく水が吐き出されています。水量はなかなかのものです。ネットで調べると、季節やその年によっては枯れることもあったようですが、今はそんな気配を感じさせません。
龍といえば日本では水を司るイメージがありますし、塩ビのパイプからドバドバ出ているよりはありがたみがあるような気になります。
雪の降った季節にも来てみたので、その時撮ったのが冒頭の一枚です。なかなかいい風情でした。
肝心のお水は、飲んですぐ違いがわかるようなセンサー能力の高い舌を持ち合わせていませんが、コーヒーや紅茶を淹れて美味しくいただいたのは間違いありません。
上り坂の向こうは
水も汲んだし、さあ帰ろうかという段になって、ようやく周囲の景色が目に入ってきたのはどういうわけか、自分でもよくわかりません。
この御前清水を目的地にして来たものですから、その先や周辺までは気にしていなかったということもあるかもしれません。
その御前清水の目の前の道は、わずかずつカーブするゆるい上りの坂になっていました。少し先に旅館が建っているのが見えます。
そういえばこの道に曲がってくる交差点に、春日山神社と書かれていたなと、地図にも確かに春日山神社が近くにあったことも一緒に思い出しました。
面倒なことに春日神社というのも近くにあって、てっきりそっちが戦国時代などの歴史モノが好きなかたにはおなじみの、上杉謙信ゆかりの春日山神社だと思いこんでいたのです。
ですが、どうも今目の前にある道から春日山神社に行けるっぽいなと。
さらに今いる御前清水のすぐ近くに案内板があって、「大手道」と呼ばれる春日山城があった時代に使われていた道が伸びているのがわかったのです。
要はこの御前清水という湧き水は、春日山城跡や春日山神社のふもとに位置しているというわけなんですね。
私ですか?
もちろんヒマですよ?
行くの? 行っちゃうの?
ここに車を停めさせてもらっても大丈夫そうだし、ちょっと歩く?
そうなのかー、そうなんだ、歩くんだ、そういう気分なんだー
誰が誰に問うているのかわかりませんが、脳内の緊急会議の結果、全会一致で歩くということになったようです。
そんなわけで、今汲んだ水の詰まったペットボトルを車に置いて、旅館が見える上りの道を歩きだします。
タイトルの「散歩」がようやく始まろうというタイミングですが、秋という言葉が持つあたたかさがもうすっかり遠のいた感のある春日山に足を踏み入れたお話は、またページをあらためて書こうと思います。