日本海沿いに建つ「大崎温泉 雪割草の湯」は比較的小さな温泉施設ですが、なかなかどうしていいところでした。
まだ冬が立ち止まっている頃に、冷え切った身体を温泉であたためてきたというお話。
ルート352を走る
新潟県が面する海岸線のちょうど中ほどに位置しているのが柏崎市です。同じくその日本海沿いに国道402号と352号が走っていて、このルートはドライブするにはちょうどいい感じなんですよね。
晴れた日に海沿いをのんびり流すのもいいですし、雨の日だって逆巻く日本海の波しぶきを横目に走るのも、それはそれで悪くありません。
天候と時間帯によっては夕陽が海に沈んでいく様子を、気が済むまで見ていられます。海岸沿いに車を停められる場所がありますから、そんな場所でコーヒーでも飲みながら日が暮れるってのもいいもんでね。
そんな海沿いにあるのが、今回行ってきた雪割草の湯です。
国道352号を走っていると石地海水浴場と大崎海水浴場との中間あたりに、その雪割草の湯があります。
山側に大きな駐車場があるので注意して走っていればわかると思います。また便数などはわかりませんが、バス停がすぐ近くにありました。
雪割草の湯
到着したのは日も暮れかけた18時過ぎでした。
雨こそ降っていませんが、かなりの強風で車のドアを持っていかれないようにしながら降りると、ごぉごぉという音が鼓膜というより腹から響いてくる感じです。
ちなみに駐車場は建物の前にも数台分あり、この日は暦のせいか時間帯なのか車はそれほど多くなく、建物前のスペースに停めることにしました。
まず、特徴的な施設の名前が気になりますよね。
なんでも隣に雪割草の里というのがあって、そこに雪割草がたくさん咲いているんだそうです。
花の名前に詳しくないものですから、雪割草と言われてもどんな姿かピンときません。
学がないというのはこういう時に、後悔というか反省というかそんなちょっと後ろめたい気持ちになりますが、こちとら無駄に鍛えられた妄想力がありますからね。
あれでしょ、雪割草っていうくらいだからメートル級に降り積もった大雪原の下からでも、よいしょーっと力強く首をもたげて根雪を割りながら現れるようなヤツなんでしょ?
なんかビオランテみたいなのが脳内で咲き誇ってますけど、ちょうど雪解け間近というタイミングで訪れたせいか、入口に雪割草が販売されていました。
誰がビオランテだよ。かわいらしい花じゃないの。
写真が上手く撮れていなくてすいませんが、よく見ると雪割草の花が牛乳などの紙パックでできた箱に入ってるんですよね。なかなかいいじゃありませんか。
木の札に感じる若干の銭湯感
あんまり玄関口でウロウロしているのも不審者そのものですから、いえね、否定はしませんけどもともかく中へ入りましょう。
玄関の左手に靴箱がありますから、まずそこへ。靴箱の鍵は玄関正面の受付へ持っていくと、こんな木製の札と交換してくれます。
これもなかなかいいシステムですよね。大昔の銭湯などにあった、木製の板がロッカーの鍵になっているアレを連想しました。
料金は大人500円と新潟県内では比較的安い部類なのですが、18時以降はなんと300円とそれこそ銭湯なみの価格になるそうです。タオルセットのレンタルは200円でしたので、それも借りました。
こちらは柏崎市所有の施設のようで、こういった価格で開放できているのかもしれませんね。
ロッカーは好きなものを使ってくださいと受付のかたに言われ、なるほどと思いつつお風呂場へ向かいます。
脱衣所は広々というわけではありませんが、必要充分だと思います。お風呂場に先客がいる気配はしますが、脱衣所には他に誰もいませんでした。
内湯と露天風呂
お風呂場へ。
室内の左右の壁沿いに仕切り付きの洗い場が並んでいます。シャンプーボディソープ完備です。
正面奥には大浴槽がひとつあるだけのシンプルな浴室です。
公式サイトで見るとふたつある浴室は男女入れ替え制になっているようで、この日利用した浴室は天井から壁の半分ほどが木張りになっていて、人が少ないことも相まって落ち着けるいい雰囲気でした。
お湯はどこかツルスベな感じがして、外の荒れた天候で冷え切ったこの身がじんわりと温まっていくのがわかります。
浴槽の縁に腰掛けて、時々動くほかは微動だにしないおじいちゃんとかがいて、どう考えても時間がゆっくり進んでいるに違いありません。
ぼんやりと埒のあかないことを考えていると、浴室の壁際にドアがあって、露天風呂と書いてあるのを見つけます。
外は強風で湯上がりとはいえあまり出たくありませんが、ホラ、ブログにも書けるじゃないのと邪心100%な動機に操られるようにそちらの方へ行ってみます。
出たら下りの階段があるとは思ってなくてですね。
は? 階段かよと思いながら、滑らないようにしつつも全力で身体を冷やしにくる冬の終わりの日本海から吹いてくる海風から、逃げるように階段を降りていきます。
そのまま建物の外周を沿うように角を曲がると、露天風呂がありましたありました。
考えてみればそんなに長い階段でも通路でもないのですが、不意を突かれたのと寒いのとで露天風呂にありつくまでの距離感はなかなかのものでした。
位置関係としては内風呂から一段下がった場所に露天風呂が設置してあります。ちょっと浅めかなと思いますが、肩までつかるのに不便なほどではありません。
おそらく海岸沿いから少し高くなっている立地上、こんなふうに配置したのだと思うのですが、ちょっと面白い感じがしますよね。
ここからは目張りがしてあるものの、条件によっては夕陽が見えるそうです。晴れていれば青空も見えると思います。夏場なんかは最高でしょうね。
…私の訪れた現在ただ今は厚い雲のせいで真っ暗ですが、これは明るいうちに来るべき温泉だったようですね…
露天風呂はこのひとつしかないようで、内湯の入れ替え制とともに、その日に入れるのは男女どちらかになるようです。
館内でくつろぐ
適当に切り上げて、湯上がりタイムを過ごそうと館内をウロウロしてみます。
リラックスルームという部屋があって、中はこんな感じ。
この他に畳敷きの大広間があって、そこでものんびり休むことができます。
大広間にはちょっとした調理場があって、食事の注文が可能でした。
自販機なども完備されているので、お風呂上がりにちょっとくつろぐのには充分でしょう。
私も大広間の隅っこに陣取って、魂が抜けきったようなふわぁっとした時間を堪能しました。
ただちょっとだけ問題もあり、どうやら携帯電話の電波が弱い模様。私はau系のUQモバイルを利用しているので、docomoなどでは問題ないのかもしれません。
館内にはWIFIが飛んでいるようですので、そちらを利用するのもいいと思います。
夏場にどうなるのか気になる
個人的には人も少なめだし値段も休めだしと、かなりいいな印象を持った雪割草の湯でした。今度は日の高い時間帯に来てみたいなと思っています。
反面、海水浴場が近いこともあり、夏場にはそういった系のお客さんが増えるのかなという気もします。
のんびりできるという印象を持ってしまったゆえに、またそれほど広い施設ではないこともあって、混雑するかどうかは非常に気になります。
いくら市の所有する施設とはいえ、ある程度は儲かってもらわないと存続できなくなることも考えられるので、お客さんはそれなりにいてほしいのも正直な気持ちだったりするので、ちょっと複雑なんですよね。
そんな結論の出ないことを考えつつ、ほぐれた身体が冷めないうちに海沿いの道をまた走りはじめたのです。
大崎温泉 雪割草の湯 http://www.ksz.or.jp/yukiwarisounoyu/