春の魚沼散歩 リメイク前の展示SLを探して商店街を歩く(新潟県魚沼市)

2019年4月14日日曜日

#散歩 #鉄道 #旅

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 特に予定していなかったのですが、色々ありまして過日ちょっとした散歩にでかけてきました。場所は米どころ、新潟県魚沼市です。
 気まぐれにスタートしたのですが、これぎなかなかいい感じの散歩になりました。まだ桜が咲く前の少し肌寒い春に散歩したお話。

きっかけはニュースから


 今回の散歩の直接的な動機になったのはこちらの記事です。

屋外展示のSL 化粧直し 魚沼 只見線復旧を応援|地域|新潟県内のニュース|新潟日報モア - https://www.niigata-nippo.co.jp/sp/news/local/20190406461651.html

 新潟県の地方新聞である新潟日報のネット記事です。
 読んでみると、往時はこの地域を走っていて現在はこちらの公園に展示してあるSLをリメイクしようというもの。
 
 公園などで、SLに限らず退役した船舶や航空機や消防車などの車両を展示してるところって、たまに見かけますよね。
 どうやらそういった展示車両を、現役で走っていたころの復元的な感じで塗り直す計画があるようです。
 
 記事を読んでみてまず思ったのは、経年等によって当時を知っている人や鉄道ファンのかたからすれば、ちょっとアレな見た目になっているらしいと。
 
 逆に考えれば、今は展示物としては結構いい感じに年季が入った見た目になってるとも言えるんじゃないか。レトロ感とはちょっと違うかもしれないけど、風合いや寂れ感みたいなものが出てるんじゃないのか。
 そう思ったんですよね。
 
 鉄道ファンの方々から見れば、記事の通りにもっと当時の面影が感じられるように再塗装して、メンテナンスされた状態で末永く展示してほしいという心境なのだと思いますし、それはもちろん理解できます。
 ただ、特に思い入れのない私にしてみれば、公園に設置されているちょっとくたびれた遊具にグッとくる時があるように、展示物として「余生」を過ごしている車体も同じようにいい味わいになっている気がしたのです。
 
 それが塗装されてリニューアルされてしまうと、今の味わいというのはもう消えてなくなってしまうんだろうなと。
 それが正しいことであっても、なんかなって。なんかなーって。

自分で自分の外堀を埋めていく

あわてるな昔はみんな歩いてた

 でね。
 その記事を読んでいた時に滞在していたのが、まさにその公園のある魚沼市だったんですよね。
 ぜんぜんこの件とは関係なく、たまたま休日に訪れていただけなのですが、公園の場所を調べてみるとそれほど遠くはありません。
 
 だからといって、特に列車に興味があるわけでもなし、ましてや当地はまだ雪が降ったりしているような気候でね。
 仮に行くとしたら、駐車場なんかない普通の町内にある公園のようですから、歩いていかなくちゃいけないのに、この寒い中出歩くのはどうかと。どうなのかと。
 
 とりあえず記事を読んだのが夜だったので、行けるとしたら明日しかありません。
 どうせ明日だって今日みたいな感じで最高気温6度とかそんなじゃないのと、天気予報を見てみたら曇りだよと。気温は13度くらいまであがる模様だよと。
 
 …や、でも別にSLとかさ、興味ないしね。特に興味ないもんね。うん。

歩道の花を眺めながら
寒暖差が大きかった当日。春はもう少し

 そこで一旦SLのことは忘れたのですが、小一時間ほどして例のCoke ONアプリで一週間の累積歩数によってスタンプがもらえるというアレ。アレがあと5千歩ほど足りないということに気がつきまして。
 
 5千歩となると、いつもの私が普通に休日を過ごしていたらまず歩かない歩数です。そして5千歩というのは、ちょっと出歩けばあっさり達成できる、つまりはもうちょっとでスタンプをゲットできちゃう歩数でもあるんですよね。
 
 …歩く?
 歩くとしたら、なにか目的があったほうがいいよね。
 そう思った瞬間に、先ほどのSLのことを思い出したんです。
 車を某所に停めておけば、歩いて行けちゃうよね。しかも、ちょうど5千歩くらい歩けちゃうよね。
 今しか見ることができない、いい感じにくたびれているであろうSLを見ることもできるよね。
 
 なんかこう、理由を見つけにいってるもとい偶然が重なってるこれって奇跡な思考回路により、外堀が埋まっていく感じ。
 自分で穴を掘ってその土を一回捨てて、別のところから土を持ってきて穴を埋めてる感じ。理論武装ならぬ理由武装。
 なんでしょうかね、これ。
 

武装しまくりで散歩開始


 あくる日。
 近くでもないけど歩いていける距離にある某駐車場に車を停めましてね。結局、その公園に行くことにしまして。

マンホールの蓋

 この近辺は以前歩いているんです。小出駅という、ローカル線の只見線の始発駅があるあたりでね。冬季はスキー場にもなる大きな公園もある場所です。



 その時は小出駅のすぐ横を流れる魚野川にかかる橋を渡って、そこに広がる商店街の入り口まで来たものの、なんか気が向かない病に見舞われて引き返しているんですよね。
 
 その時は気が向かないと思ったものの、昔ながらの商店街を歩くのは嫌いじゃないので気にはなっていたのです。
 リベンジってほどでもないけれど、例のSLのある公園も近いし、ついでに商店街をブラブラすれば歩数も稼げてちょうどいいんじゃないの作戦です。理由で武装しまくりです、ええ。

小さな公園の大きなSL


 まずはその公園のお話から。
 商店街から外れた住宅地の片隅に、こんな小さな公園がありました。

公園とSL

 そして公園の敷地に比べたらちょっと不釣り合いに見える、屋根付きの大きな建物がすぐ脇に経っています。これが例のSLが展示されている車庫のような建物でした。
 まずはそのSLの写真を。

SL車両正面

SL車両斜めから

車庫内の看板
ゆうえんちだったのか…

車輪部分

C11-46号の歩み

銘板部分アップ

 復元的にリニューアルされるのはいいことに違いありません。小出駅から歩いてくることも可能な距離ですから、鉄道ファンのかたはもしかしたら、ローカル線の只見線に乗るついでにここまで足を伸ばすこともあるでしょう。
 子どもたちだって見に来るかもしれませんし、そういうことで波及効果とまで言いませんが、なんらかのいい影響があるかもしれないですよね。
 
 でも個人的には、リニューアル前のこういう感じもいいのです。見に来たのは、ひとまず正解だったと思っています。
 

商店街のローカルスーパーに惹かれる


 商店街というとなんとなくアーケードのある通りと、人が行き来するイメージ、あるいはお店が閉まっちゃっていて閑散とした寂れたようなものを想像するんじゃないでしょうか。
 
 魚沼市の小出地域はその中心街が大きく分けてふたつあります。
 まず小出駅が魚野川という大きな河川のそばにあります。
 ローカル線ですから駅自体も大きくありませんし、加えてその周辺は川のそばであるためか土地の高低差が結構あり、そういった立地のせいか駅周辺にお店は少なめ。
 
 小出駅から出て魚野川を渡ると、アーケードのあるいわゆる商店街が広がっています。そしてそこから住宅地を挟んで国道17号線まで辿り着くと、それに沿うように大型店舗やショッピングモールが並ぶといった感じです。

魚野川と橋

 川を渡った先にある昔ながらの商店街をブラブラしたのですが、規模は大きくありませんが訪れた日曜日でも意外と店を開けているところが多くてね。そのせいかどうか、人もまずまず歩いていました。
 ガラーンとした寂れた空気感というのも何か感じるところがあるものですが、人の往来があるというのもいいものです。
 
 中でも個人的に発見だったのはこちらのスーパーマーケット。
 
サカキヤ

 あちこちでローカルのスーパーマーケットに行くのが、ちょっとした趣味というか楽しみのひとつになっています。その地域性とかが垣間見えたりするのが、地域密着なスーパーじゃないかと思うんですよね。
 
 早速入店しまして、買い物カゴをぶら下げながら店内を徘徊開始です。
 そのあたりのスーパーに負けずとも劣らない感じの品揃えになっていて、値段設定もまずまず。とりわけ他のお店との違いが見た目に出るお惣菜コーナーも、ちょっと美味そうなものが並んでいますよ。

購入したお惣菜

 この時はなぜかサツマイモの天ぷらとハムカツチーズだったか、そんな揚げ物に気を惹かれましてね。そちらを購入して店を出たのです。
 昔ながらの地元のスーパーという部分だけではなく、レジは電子マネー対応でPayPayなども利用可能でしたから、そういうところに投資できているというのも好印象でした。 

静かな神社でたたずむ昼下り


 でですね。
 気がついたらもう5千歩なんてとっくに歩いてるんですよ。行きたい場所ももう行っちゃったわけで、つもりもう目的は完全に失われているのです。
 できれば車を停めている駐車場にワープしたい。頭に最新式の竹トンボみたいなのをくっつけて飛んで戻りたい。空飛ぶじゅうたんでもいい。

歩道のレリーフ

 でも歩いてきちゃってますから、仕方なく戻る方向へと足を向けるのですが、単純に引き返すのはなんか嫌じゃないですか。
 今来た道をまた戻るというのはどうも心理的に抵抗があるというか、つまらないし芸がないでしょう。そうなると遠回りっぽいけど、ぐるーっと大きく迂回するような道を行ってみることになるのです。
 
 そんな感じで百も承知の遠回りをはじめてみると、もういいじゃんワープしたいという気持ちが半分は残っているのですが、自分のアンテナに引っかかるなにか、その時にしか感じないなにかに出会わないだろうかという期待感も半分出てくるんですよね。
 いいかげんなものです、ええ。
 
 そういう感じで、気になったものを写真に撮ったりしつつ歩いていると、こじんまりしたいい感じの神社を見つけまして。

清水川邊神社

灯籠の雪囲い
灯籠にも雪囲いが必要

狛犬

 神社仏閣だって特に興味はないのですが、古い建築物に惹かれるのか、それとももっと別の言葉では言い表せないなにかに惹かれるのか、信心もないのに立ち寄ってしまうんですよねぇ…
 

徒歩のスピード感でしか見つからないもの


 歩くということそのものは、それほど体力があるわけでもない私にとっては、望んでやりたいことではありません。
 ただ、旅をして歩いてみることで見つかるものが、やっぱり面白かったりするんですよね。
 鈍行やバス、自転車などの旅もそれはそれでいいのですが、旅に出たらどこかで歩くというスピード感で時間を過ごしたいと思うのです。
 
 歩いたほうがいい、でもただ歩くことが好きなわけじゃないという、相反する気持ちを抱えていると、歩くことになにか目的や意味やオマケをくっつけないと、なかなか「じゃあ歩こうか」とはなりませんでね。
 健康にいいとかそういった意識高そうな目標ではなかなか重い腰は上がっちゃくれませんから、多少でも興味のあることをいくつも作ってようやくなんです。
 
 理由武装しないと歩くこともできない、暑い寒いダルいめんどくさいと、歩かない理由はすぐさま思いつくようなダメ人間ですから、天秤が歩く方にかたむいた時があったら、またこんなお話を書くかもしれません。

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