11月がそろそろ終わりみたいな。
で、冬が近づいてる感があるじゃないですか。
いちょうの葉っぱも結構落ちてきたし、さすがに暖房も入れはじめたし、あなた今晩なににする? なんてきかれて、そうだなぁそろそろ鍋なんかがいいかなぁ、白身魚の切り身なんかが入った、しいたけとかもいいねぇ、ネギも入れておくれよ。ちょっとぬるめにした燗酒があるといい。あとはお前さえ居てくれれば俺ァなんにもいらないよ。
…ってなるじゃないですか。ひとりで。むしろ独りでそうなるじゃないですか。幻覚が見えるじゃないですか。いもしない人が見えるじゃないですか。だって寒いんだもん11月も終わりなんだもん。
なんだよ、のっけから。小芝居だかまぼろしだかわかんねぇ話から入るんじゃないよ。
なべの話
でね。
鍋ならね、なんとか作れるんですよ。料理にかんしてはひどいもんですけど、あたしだって鍋くらい作れるんですから。
アクとか取りませんよ。ダシとかも知ったこっちゃないですよ。とりあえずなんかそのへんに売ってるものを煮りゃあ、なんかそれっぽくなるっていう。
レシピが一行だから。買う→煮るだから。なんなら矢印入れたって五文字だから。
油とかはねるじゃん。パチパチはねんじゃん、あいつ。ライブがはねたらくらいはねるじゃないですか。
昔パチパチって雑誌あったよね。なんだっけ音楽雑誌だったっけ。
昔って、好きなアーティストが新曲を出すみたいな情報って、多分ラジオが一番早かった気がするの。雑誌とかって刊行日が決まってるから。週刊誌だって一週待たなきゃいけないじゃん。
テレビの場合は新譜出すよって告知が一番早いってことはなくて、プロモーションで発売直前とかにテレビに出るとかはあっても、新譜が出るよっていう情報、あるいは今レコーディング中だっていう話はラジオだった気がするのね。
よく考えたら、情報解禁はそういう媒体での時差みたいのも考慮してんだろうけど、なんかちょっとだけ早い気がしたもんだよ。ラジオって。
ただやっぱり、インタビューとかは音楽誌の方がじっくり読めるっていうか、ラジオとかテレビとかの媒体でロングインタビューってのはなかなかないしさ。
けどね。
新譜を買って聴く前に、音楽誌とかでインタビュー読んじゃうと、先入観ができちゃうじゃん。それはよくないと思うわけ。
基本、好きなアーティストってのはごくわずかなんです。ほんのひと握りなの。
90年代の、音楽シーンがバカみたいに盛り上がっててミリオンセラーがバンバン出てた時代って、あの歌もこの歌も聴くっていう人が多かったと思うんだけど、あたしゃそうじゃなくて。
流行ってるとそっちにいかないから。ひねくれ曲がってるから。ねじくれうねり曲がりまくってるから。マクリマクリスティだから。タクラマカン砂漠だから。砂漠つながり。つながってないけど。
だから、貴重なわけ。新曲が出るっていうことが、貴重なの。一年に一回、もしくは二回あるかどうかの貴重なイベントなわけ。お祭りなわけ。お祭りマンボでありお祭りサンボでありお祭りランボーなわけ。砂漠つながりね。つながってないけど。むしろ関係ないけど。
その貴重なさ、新曲をやっぱり素の状態で、事前情報なしで聴きたいじゃない。こういう意味を込めてる、こういう状況で生まれた、こういう音いいじゃんってなことは、とりあえずいったんなしで聴きたいじゃん。
そこは送り手と受け手の関係性っていうか。こっちも全力だからさ。フルで聴きたいから。
だから音楽誌は読みたいけど、聴いたあとで読みたいっていう。その当時、パチパチとかワッツインとかそんな雑誌がけっこうあって、あとはラジオくらいだから。音楽関係の情報ってそういうところからしか得られなかったから。あと狼煙と。五色米と。
米に色つけて街角に置いといて、それで合図っていうか情報を伝えるってすごいよね。あれ本当のこと?
なんか子供のころにそんなのあったじゃん。忍者のすべてみたいな本あったじゃん。忍者屋敷の図解みたいなのが載ってたりするやつ。
それからの記憶なんだけど、五色米って、お米をなんかで染めて色をつけるんです。で、その色に意味を持たせて忍者同士が情報を伝えてるって、そういう忍者アイテムがあるっていう話だったと思うんだけど。そんなのを読んだのね。
例えばね。あの、ここは想像で、その本に書いてあったことじゃないんだけど。
待って、ここまでも想像っていうか妄想だらけの無駄話だけど、いまさら「ここは想像だけど」とかことわり入れる意味ある?
で、要は赤いお米がさ、忍び込む予定の武家屋敷とかお城とかの塀の近くに置いてあったとして。それを見た忍びの者が、なるほど赤だから警戒が厳重なんだなって。
つまり、すでに屋敷とかお城にスパイみたいな感じで潜入したりしてるやつからの、メッセージにになってるの。お米の色でメッセージになってると。
例えば黒いお米があったら、夜を意味してて、緑のお米があったら庭を意味してるとしたら、なるほど深夜に庭に通じてる勝手口を開けておくからそこから入れってことか、みたいな。
だから、青と白と赤のお米があるってことは、そうかフランスか。フランス人が来てると。
ってことは、エッフェル塔のかぶりものをして忍び込めば、フランス人が、Oh! エッフェル塔! ナツカシイデスネ! とかいって近づいてくるから、そこでマカロンに睡眠薬を練り込んだやつを無理矢理くちに入れて眠らせてる間に、任務を果たせばいいんだな、とか。
でも、カラスが白のお米だけ食っちゃったりして。青い米はいくらカラスでも食わないよね。真っ青な食い物とか食べることある? アメリカのご家庭くらいだろそんなの。日本じゃないだろう、ないない。江戸時代ならなおさらないよ。妄想だって時代考証ってもんがあるんだよ。ないない。
じゃあフランス人はなんなんだって話なんだけど。鎖国鎖国。
で、カラスが米を食っちゃってさ。青と赤のお米だけ残っちゃって。
そうすると、忍者が困惑するわけ。赤は警戒厳重だろ。青は誰もいないから安全って意味だったよな。赤と青ってことは、ええとそうか火と水か!
ってことはあれか、いったん火事を起こすわけか。すでに女中として潜入してる、くのいちのお菊がボヤ騒ぎを起こして、火事だー、誰か来ておくれーって。
で、結果、サンマの焼きすぎなんだよ。まっ黒焦げなんだもん。で、お前はおっちょこちょいだなぁ、あはははは…
ってなってる時に、頭から水かぶって桶持って突入すればいいのか。火消しのコスプレして。
…あれ、なんだっけ? なんの話だったっけ?
なべの話です
そうだ、音楽誌の話だよ。てゆーかもともとは鍋の話だよ。
で、音楽誌に載ってる、レコーディング中のエピソードとかは読みたいじゃん。でも、それを読んでから曲を聴くと、自分の中で妙にそのことが曲にくっついちゃって、イメージが代わっちゃうじゃない。ヘンな色が付いちゃうわけ。
お米にね、色を付けて、五色米っていうんだけどね。
その話する? 戻る? 広がるよ、五色米の話を広げたいなら広がるよ。飢饉の時は米がないからとか、そっちからグイグイ広がるよ?
いいの、もういいの、五色米の話はもう、いいの。ええ。はい。どうも。はい。
だからその、そういう前フリなしで曲を聴いて、思ったことわからなかったこと、鳥肌が立った曲とかそうでもなかった曲とか、自分の今のアンテナで引っかかったものを持って、あらためて音楽誌の情報とかインタビューを読みたいってのがあって。
そうすると、そこから広がったりするし、答えがあったりするし、答えっていうか解釈が増えるってのが正しいかな。
だから当時は年イチとかそのくらいで、ラジオから新曲の情報を得て、予約して、音楽誌はなるべく見ないで、でCDを買ってきてひとしきり聴いてから音楽誌を読む、みたいな流れがあったんです。
今はネット中心で、音楽誌も廃刊になってるの多いよね。いまないよね、パチパチとか。当時、パチパチ読んでるっていうと音楽シーンおっかけてますアタシ最先端です感あったよな。知らねぇビジュアル系みたいなの、やまほどいたもんね。
でも、今にして思うと、インタビューって録音して書き起こしたもの、っていう前提なんだけど、まるまる全部使ってるとは限らないじゃない。
今ネットに転がってる、ラジオとかの書き起こし、みたいなやつと、実際の放送とを比べると特にそう思うけど、文字と声とでも印象って変わってくるし、書き起こしの方は編集できたりするじゃない。
(笑)って付け足せば、会話ではそんなに笑ってるようなトーンじゃなくても、和やかっぽい感じにできるじゃん。
例えば、(苦笑)って、本人がいま苦笑いしてますって言わないもんでしょ。苦笑われてる方が、ああこの人苦笑いしてんなって思っての、(苦笑)じゃん。
苦いと苔って似てるよね。字面が似てるよね。書く時に、くさかんむりの下なんだっけ、ってなるよね。
苔ってペン持って書くことがないか。そうか。ないか。ないよね。そうか。ないか。
だから、当時は音楽誌のインタビュー記事を読んで、そのまま受け取ってたけど、実際はどうかってのは書いた人の良心によるっていうか。ライターの人の書き方っていうかそのさじ加減で、違うよなっていまさら思うのね。
で、それによって聴いた音楽のイメージが変わったりするんだよ。最初になんにもなしで聴いた時のイメージがあったのに、いったん変わっちゃったらもとのイメージってもう戻ってこないじゃない。
それって結構、こわいことだよね。そういうことがある、って知っててもいつの間にかそうなっちゃうことって、あるもんね。
そろそろ鍋の話に戻る? やめとく? このまま90年代の音楽シーンについて語る? それもダメか。だって追っかけてないもんね。音楽シーンとか追っかけたことがないじゃんね。
なべの話なんです
で。
油がはねるのこわいじゃん。パチパチするじゃん、あいつら。てゆーか、こっから脱線したんだ。パチパチこわい。音楽誌こわい。
その点、鍋物って、火元の周辺と鍋の中の水がなくならないようにすれば、比較的こわくないじゃん。蓋するとぶくぶくなるから、それはこわいけど。
急に語彙力なくない? 蓋するとぶくぶくなるってなに? 語彙力はもともとないからいいんだけど。
で、夏は鍋とか無理じゃないですか。ちょっと、無理。暑いんだもん。いくら冷房をガンガンのキンキンにしたって、さすがに無理だって。
だから冬は鍋が多くなるんです。そういう人も多いと思うんです。
でね。最近は便利でさ。
鍋の素みたいなの、売ってるじゃない。なんたらスープとか固形状のやつとか、色々あるじゃない。とりあえずそれを入れておけば鍋感が出るっていうか。
こちとら味なんかわかんないんだから。たいていのものは美味いんだからさ。
でも毎回同じ味にしてるってのは、さすがに飽きてくるの。いくら鍋奉行とはいえ飽きてくるの。お奉行さまだって、毎回毎回しょうゆじゃさ、飽きてくるんだよ。
だから塀のおもてに色のついたお米をね、器用に並べておいて。お米で「しょうゆあじ あきた」って書いておくと、出入りしてる味噌屋のオヤジが、お奉行さまがしょうゆに飽きたってのに気がつくんだよ。
じゃあもう、味噌鍋にするかってんで、桶いっぱいに味噌入れて。
そしたらフランス人の客も来ちゃって、外に五色米の赤青白と、いくらなんでも味噌持ってきすぎって書いたのと並べなきゃいけなくなっちゃって。スパイの女中が。名前なんだっけ、勢いで書いてるから名前とかよくわかんなくなるよね。もともと妄想だしね。
お菊。お菊が外に米持ってって並べるわけ。
それをカラスが食うもんだからさ。お菊が来たら米が巻かれてるってのを知ってるから。カラスは頭がいいから。米を食うかは知らないけど。調べといて。読んだ人はちゃんと調べといてね。ここは基本正しいことは一切書いてないところだから。
でさ、お菊キター! ってなって、カラスがせっかく並べた暗号の五色米を食っちゃうじゃん。そうすると、みそもっとくれ、みたいに見えなくもない感じになっちゃてるから。
それを見たら、味噌屋のオヤジだってやる気になっちゃうわけですよ。お奉行さまがたいそう味噌鍋がお気に召したんだと。しかも、赤青白のお米が並んでるってこたぁあれか、フランス人が。フランスからお客さんが来てんだなって。
だからフランス人用に味噌マカロンとか、腕によりをかけて。
で、お菊はお菊で、これは暗号が伝わってないってことに気がつくから。しょうがないから味噌で米を染めて、茶色くして。
赤いのと並べて、味噌はもういいからっていう。
そうすると忍者が、ちゃいろ? ってなって。
茶色ってなんだと。五色米だぞと。赤青白緑黒で、お前茶色ってどういうことだと。
百歩譲って、赤っほいけど黒くもあるから、ははーん。警戒が薄くなるのは夜ってことか。忍び込むには夜だなと。微妙なニュアンスを伝えてきたんだなと。
こっちは忍び歴が長いから。もう何年も忍んでるから。そういうが伝えられるように、お菊もやるようになったなと。
てゆーか、味噌マカロンってなに? あんの? あったら食わないよ。食うわけないよそんなの。
あと、味噌屋のオヤジにも暗号バレてんぞ。忍者ちゃんとしろ。
どこまで戻ればいいの、鍋か。鍋の話か。
なべの話だったはず
で、今の季節は鍋ものが増えるんだけど、飽きがくることもあるのね。案外、おんなじメニューでも飽きないほうだと思うんけど。
多分美味しくないからなんだよ。自分で作ってると、詳細はどうでもいいからさ、美味いものにしようという気がないわけ。努力もしないし、学びもしないの。
これが、誰かが作ってくれたものだったら、同じメニューがずっと続いたって飽きないんだ。毎日コロッケだっていいみたいな気持ちになるの。味そのものっていうより、作ってくれたことに重きが置かれるっていうか。
そこで、色々売ってる鍋の素みたいなのをあれこれと買ってくるんです。
変わった食材とか手に負えないし、入れるのは白菜とかの葉っぱものと、切り身の魚とかすり身とか、ネギとかきのこ類とか、そんなのになっちゃうんだけど、スープが違うと普通に美味しくいただけるっていうね。
あとはカレーと、シチューと、おでんがあれば、どうにか食いつないでいける、この季節は食べ物的にはそんなに悪くない時期かなぁと思うんです。
O.D.N |
以上。
いや、オチとかないから。雑談ラジオだから。うん。うん。