雑談ラジオ 半日休みでタイヤ交換とチャーハンと

2022年12月4日日曜日

#食べもの

t f B! P L

  なんかね、忙しくて。

 休みとかも全然ないの。時期的なこともあんだけど。延々と働いてる感じで。

 

 で、そんな中で、降って湧いたように半日だけお休みが取れて。

 

 半日休みってさ、結果休まらないじゃん。午前中にしろ午後にしろさ、休めって言われても、身体も気持ち的にも休まるもんじゃないじゃないですか。

 むしろ要らないまであるんだけど、そんな休み。だって仕事がそのぶんだけ、後倒しになるんだから。4時間休憩したのと変わんないんだって。


冬がはじまるよ

 でも、実際にはその半日休みがないと困るのがね。もう冬になるの。

 雪が降ってくるの。

 そうなったら、タイヤ変えないといけないんだって。

 

 積雪がほとんどない地域にお住まいの方、あるいは首都圏みたいに電車が発達してる地域の方はピンとこないと思いますけども。

 今住んでるところはクルマ社会ってやつでね。マイカーがないと通勤も買い物もままならない、街がそういう構造なんです。

 

 それに加えて、冬になるとガッツリ雪が積もるの。下手すりゃ積雪深っつって雪が降ったらメートル級で積もるやつが、たった一日で降ってくる時だってあるわけ。

 そうなると、普段は歩いてなんとか行ける場所にある、唯一のスーパーとかさ飯屋とかにも辿り着けなくなっちゃう。

 

 スタッドレスタイヤを履いてないと、全然無理なの。通勤も買い物も。

 

 で、タイヤを交換しないといけないんだけどさ、これが11月のアタマくらいからずっと忙しくてほとんど休みが取れてない状態だったせいで、交換できてないわけ。

 ニュースとかじゃ12月に入ったら雪になる、みたいなことを言い出すしさ。

 

 だからちょうどいいやと。半日休みを使ってタイヤ交換をしてもらおうと。

 ついでにいうと、常備薬をもらいに医者にも行っておいたほうがいいなと思ってて。年末までどうせ忙しかったりすんだろと。そうなりゃ医者通いも難しいんだから、タイミングがあるうちに行っといたほうがいいぞと。


半日しかない休みの予定を組む

 で、急遽決まった休みだからさ、タイヤ交換してくれるところを探すんだけど、これがどこも一杯なんだわ。

 そりゃそうだよね。12月になったら雪が降るって言ってんだから。みんな一斉に交換したいってなるじゃん。ネットとかで色々探しても、半日休みの時間内にやってくれそうなところが見っかんないんだ。

 

 それで、前にも使ったことがある、出光のネットサービスでピットインプラスっていうのを思い出して。

 要は出光系のガソリンスタンドでタイヤ交換とか点検とかができる店舗を、横断的に検索して予約もできるサービスなのね。

 

 これが結構便利で、空き時間の確認も費用もわかるから、事前にある程度の予定が立てられるっていうか。

 ガソリンスタンドでなにかメンテしてもらうと、すごく高く付くイメージがあったんだけど、作業費用が明示されてるからそういう不安感もないし。

 

 で、とりあえずタイヤ交換の予約を入れたのはよかったんだけど、それと並行で医者の予約をしようとすると、タイヤ交換の予約時間が中途半端な時間帯でしかも結構長くかかるせいで、半日休みの間でどうやら医者は行けそうにないってのがわかるわけ。

 

 医者ってさ、予約の時間に行ったってすぐ診てもらえるとは限んないじゃん。そりゃそうだよね。そんなの仕方ないし、そこに不満があるわけじゃないんだけど、予約時間をアテにしてギュッとしたスケジュールを組むわけにはいかないじゃない。

 

 分単位で、

 

  9:55… 病院到着

  9:57… 検温と受付開始

  9:58… 前のじいちゃんが受付の美人事務員さんの説明が聞き取れなくて病院コントみたいになってるのを列の後ろから見る

  10:03… マツコ・デラックスを上からぎゅっとしたみてぇな婦長さん登場。じいちゃんを連れて退場

  

 みたいなスケジュールは組めないじゃない。組んだとてその通りに進行できるとは限らないじゃない。いねぇし。マツコをぎゅっとした婦長も眼鏡の似合う美人事務員も実際にはいねぇし。妄想だし。

 

 そうなると、半日しかないから。その時間内であれもこれもやりたいけど、そんなに詰め込んだってこなせないから。

 だから医者はあきらめて、タイヤだけ変えようと思ったのが前日の夜だったんです。


身体と気持ちはシンクロしない

 でね。お休みの日の朝になって。

 

 そんなさ、連日ド残業して休みの日も出勤してさ。

 半日休みもらったら、もう動きたくないよね。

 なんにもしたくないの。メシはかろうじて食ったけどさ。なーんにもしたくないの。なんにも。

 

 なんならタイヤ交換の予約キャンセルして、このままグッタリしようかとかなり真面目に考えたくらい、まったく動けなくて。

 なんか知らないけどハイパー低気圧だったかダブル低気圧だったかそんなのもきててさ。そういうのに影響を受ける身体になっちゃったもんだから、頭痛はするし耳はおかしいしで、そういうのもあってまー動きたくなんかないの。

 

 昨日の夜の段階では、いつもと同じ時間に起きて支度して、朝からやってるホームセンターとかに行って買い物しようと思ってて。

 

 冬にタイヤを換えただけじゃ、冬支度は片手落ちでさ。フロントガラスが凍ったりするわけ。いや普通に車のドアも凍るからね。だから、解氷剤っていうの? ああいうのも買っておきたいし。

 場合によっちゃ大雪で動けなくなった時のための脱出用スコップとかさ、色々あるわけですよ。

 

 そういうのを探したり買ったりする時間を作ろうと思ってたんだけど、これがまったく動きたくないの。一切無理なの。

 それでもやっとかないといけないと。せめてタイヤだけでも換えとかないと。

 

 だから、身体を布団からひっぺがすようにして家を出たのは、まあまあ遅めの時間帯だったんです。

 

 シーズン直前で、タイヤ交換の予約もなかなか取れないようなタイミングだったせいで、予約が取れたのが家からけっこう遠いガソリンスタンドでね。

 

 そっち方面にはあんまり行ったことがなくて。あらかじめマップで確認したら、買い物できそうな場所にも近いし住宅地っていうかそういうのもあるから、待ち時間にちょっと散歩するなんてこともできるかなと思ってたんですけどね。

 

 いざ行ってみたら、予約時点で提示された作業時間よりもかなり早めに終わりそうな気配がすると。

 実際、ガソリンスタンドの店内で待ってる間にも、タイヤ交換なのか別のメンテナンスなのかでお客さんから電話がかかってきてて、応対してる店員さんも空き時間がなかなかない的な説明してたりして。

 

 やっぱり混んでるのは間違いないっぽいんだけど、そこはプロっていうか。パッパッと手際よく作業してもらえて、サクッとタイヤ交換が終わったんです。


ふらりと入ったラーメン屋で

 当初の予定では、タイヤ交換してる間に買い物とかを済ませて帰宅して、そのまま仕事に向かうとちょうどいいくらいだったんだけど、交換作業が思いの外早く終わったせいで、1時間くらい空き時間ができましてね。

 

 そうだ。ラーメン食べよう。なんつって。

 ちょうど開店時間だし。なんつって。

 

 綿密な予定とか立てるだけ無駄だよね。塩ラーメン頼んでっから。開店前に食い物屋の前に並んだのなんていつ以来だよっていう。買い物しろよ買い物。あったろ、買うものメモとかしたろ。

 

 いいんだよ、タイヤ換えときゃなんとかなんだよ。それより今ラーメン食べたいんだから、そっち行けばいいんだよ。ラーメン屋の営業時間内に帰宅できないような忙しさなんだからさ。食っとけ食っとけ。

 

 でね。

 こっからはツイッターにも書いたんだけどさ。ある意味ネタバレしてんだけど。

 

 自分が注文を済ませて、店にもチラホラ客が入り始めて。

 後から来た客で、おばあさんがふたつ隣のカウンターに座ったわけ。

 

 こっちもさ、隣の客なんざマジマジと見たりしないから。

 たまにいるよね、なんかこっち見てくる謎のおっさんとかいるじゃん。周りの様子が気になってしかたない、小学校の通信簿に「少々落ち着きがない」って書かれてそうなおっさん、いるじゃん。

 

 そういうの、やだからさ。だから注文する声だけで、あとは雰囲気だけなんだけど。

 声でパッと浮かぶのは、ラーメン屋のカウンターよりはそれこそ町医者の待合室にいる感じのおばあさんなんだ。

 

 声の張りはちゃんとしてるし、ちょっと気の強い感じも受けるんだけど、やっぱり歳はけっこういってるんだろうなっていう。

 お年寄りが集まるマージャン教室でぴしぴしやってそうな感じの。

 

 それがさ、聞くともなしに聞こえてきた注文がね。

 

 「特製チャーハン大盛りね。あと半チャーハン」

 

 っていうの。

 

 最初、聞き間違えたなと思って。

 特製ラーメンの大盛りと半チャーハンかなって。それならまだわかるじゃない。

 いや、それだってけっこう食うほうだよね。営業で外回りしてる若手のサラリーマンが注文するやつじゃん。

 もしくは食い意地だけはったおじさんがさ、いやー昔はチャーシュー麺大盛りと普通サイズのチャーハンに餃子までいけたんだけどねー、って訊いてもないのに言ってくるやつでしょ。知らんがな的なやつじゃん。

 

 それが聞き間違えじゃないっぽいの。塩ラーメンすすりながら、耳だけおばあさんの方に集中させてるんだけど。

 

 今さ、こんなご時世だからカウンター席でも、ついたてみたいなの置いてるじゃない。

 そこのラーメン屋のついたてはいわゆる塩ビ板じゃなくて、なんか不透明のやつで。だから、相変わらずそのおばあさんの姿形は、そのついたてのせいもあってよく見えてないんだけど。

 ラーメン食いながら二度見するのもさ、なんか嫌じゃない。

 

 だから声だけ。声とあとは雰囲気だけするおばあさんがさ、チャーハン大盛りと半チャーハンだっていってるの。

 ガタイのいいおっさんならわかるよ。おばあさんだよ。

 

 異様でしょ。チャーハン大盛りに半チャーハンだよ。ジョンソン・アンド・ジョンソンみてぇなもんだろ。

 普通、アンドの前後は違うもんがくるじゃん。サイモンとガーファンクルとかさ。ヒロシとキーボーとかさ。アンドってそういうもんじゃん。

 長州力アンド長州小力とも違うんだよ。それは一応別人だもんね。一応ってなに?

 チャーハン大盛りと半チャーハンはおんなじもののサイズ感が違うだけでしょ。しかもこれから食うものだよ。


大チャー半チャー

 ひとつ考えられるのはね。

 その店はチェーン店で、他の店舗には何度も行ったことがあるんだけど、その店自体は初めてだったの。

 だから、大盛り以上のメニューがないのかもしれないと。

 

 本当はね、大盛りの上の特盛りなんていうのがあれば、あたくしの胃袋は満足するんだけどねぇ。いえ、このお店は悪くないのよ、いつも美味しくいただいてるもの。ここのチャーハンは本当に絶品なのよ。おほほほ。

 

 でも特盛りがないのよねー。

 今日はおなかが空いてて。さっきまでほら、町内会の清掃やってたでしょ。イチョウの落葉がすごくて。

 あと、迷い込んできたクマも退治しなきゃいけなかったじゃない。やっぱり歳かしらね、クマが爪でこうやってきたのを、いつも通りローキック二発で動きを止めて懐に潜り込んでからの一本背負いで投げただけなのに、なんだか疲れちゃってねぇ。


 だからおなかぺこぺこなのよ。仕方ないから大盛りに半チャーハンにしようかしら。むかしはねぇ、特盛チャーハンふたつに味変で半ライスつけてからのチャーシュー丼までは余裕だったんですのよ、こう見えて。おほほほほほほ。

 

 的なことなの? って。自分の中でそうなってきて。

 

 ふたつ隣にいる、ついたてでよく見えない、見てないけど声だけするおばあさんが、だんだんできあがってくるわけ。

 

 で、店員さんもさ。聞き返しもしねぇの。

 

 「はい、カウンター4番さん、大チャー半チャー!」

 

 とか言ってんの。威勢のいい兄さんがさ、いつものことですけどなにか? って感じで注文通してるからさ。

 

 こりゃいよいよだなと。このばあさん、タダもんじゃないなと。

 多分名物ばあさんなんだよ。店員の間ではチャーハンババアって呼ばれてるんだって。

 

 お前さん、新人だから知らないと思うけど火曜と木曜は必ずチャーハンババアが来るから。有名なんだよ。調子がいい日は大チャー半チャーに餃子二人前だよ。火曜はシフト入ってないの? って会話が、バイトの間でもちきりになってんだって。

 

 大盛りチャーハンの上に、半チャーハンの入った器をプッチンプリンでやるみたいにして乗せてさ。縁起のいい親子の亀みてぇな感じでチャーハン上に半チャーハンをオンする、あのババアだよ。レンゲはでかいやつを渡すんだよ。ウチはそういうルールだから。

その日の塩ラーメン
その日に食べた塩ラーメン


 もうね。

 完全に、伝説のチャーハンババアの来店に遭遇した感じだよね。ふたつ隣の席に居合わせたことが自慢になるっていう。え、ナマで見たの!? っていう感じの。

 

 そしたらさ、その後から客が入ってきて、自分とおばあさんの間に座るわけ。ばあさんの連れ合いなんだよ。じいさんがチャーハン大盛り担当で、ばあさんは半チャーハンなの。

 強いて言えばチャーハン老夫婦だった。こっちが会計に席を立った時にチラッと見たら、仲良さそうなこじんまりした二人だった。

 多分常連なんだろ。いっつもじいさんがクルマで一服つけてくる間に、ばあさんが先に入って注文済ませとくとか、そういうやつなんだろ。しらんけど。

 よかったよ、あやうくサイン下さいって言うところだった。伝説のババアとか誰だよ。いねぇから。妄想だから。

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