雑談ラジオ 春、そして出会い

2023年3月26日日曜日

#道の駅 #旅

t f B! P L

  春っぽくなってきたじゃないですか。

 地域によっては桜が満開なんてニュースとか、映像とか。そんなのも聞こえてきたりして。

 

 マスクも、まあ好きにすればいいじゃないってことになってね。一応は着けてる人のほうが多そうだけど、外してもいいですよと。

 

 季節的にも、そういうここしばらく続いてた抑圧みたいなものからちょっと開放された感じからもそうなんだけど、まーなんか変な人を見かけるようになったなと。

 お前も充分ヘンだろっていう人は、あれだ、話し合おう。手旗信号で。面と向かって。

 

 もちろんこっちだって出かけるわけです。ようやく道路の雪もなくなってきて、運転も普通にできるようになってきてね。

 どこに行くにもそんなに支障はないってなったら、雪道は無理だけど春になったら行きたいなと思ってた場所とかが、曲がりなりにもあるわけですよ。

 

 そうやって出かけるからこそ、なにかに出会っちゃうというか。出会いたいとはこれっぽっちも思ってないなにかにも、出会っちゃうなと。

 そういう話。

 

 出かけるとはいえ、どこに行くかをキッチリ決めて行くってことはほぼないんです。

 海の方へ行ってみようか、とか。スーパーで買い物できればいいや、そこに行くまでにはどのルートでもいい、もっと言えば隣の市町村のスーパーまで行ったっていい、みたいな。


平日晴れ間の昼下がり 

 その日も休みで。めずらしく平日に休みが取れましてね。

 午前中は寝てたんだったかもう覚えちゃおりませんけど、多分ダラダラとしてたと思うんです。

 

 午後のどっかのタイミングでようやく動き出しまして。

 とりあえず、腹がへったなと。家にいたってお腹はすくわけですよ。

 

 じゃあなにか食べたいものはあるのかっていったら、そんなにないの。焼肉だとか寿司だとか目玉焼きだとか、なんかそういう具体的なのもないんです。

 

 近所にさ、いわゆる町中華とか定食屋みたいなのがあればね。

 特に決まったものはないけど、とりあえずそこに行ってみてメニューを眺めて決めればいいや、ここんちのメシはどれもそこそこ美味いし、みたいな。

 なんかそういう使い勝手のいい店があればいいんだけど、なんにもないわけ。

 

 いや、まったくないってことはないの。あるにはあるけど、行きたいって思えないっていうか。

 

 今の住処も、ここに来て何年だ?

 そんなに長くはいないけども。

 

 都会の、県庁所在地とか大きめの都市に住んでいたら考えられないと思うけど、やっぱり美味い店とか限られてくるじゃないですか。

 もっと言うと、ご飯食べるのに長時間ならんだりは、さすがにしないの。そこまでして食べたいものを思いつかない。

 

 要は、自分の行けるタイミングに営業してて、かつスムースに食事ができて、そんなにバカみたいに美味くなくていいけど普通の味のお店って、案外少ないと思うんですよ。

 

 そうやって、ここならいいかと思って出かけていくと出会うんです。知り合いと。


会わないに越したことはない 

 知り合いっていうか、例えば取引先の誰かとか同じ会社に勤めてる誰かみたいな、顔は知ってる程度の人とバッタリってことが起こりうるわけ。

 

 それがまぁ、苦手というか。

 親しい感じで話せる人ならいいよ。別にいいけど、そうとは限らないじゃん。

 

 そっちだってプライベートなわけだからさ。普段、仕事とかで会う時は着てないような私服で、家族と居たりするわけですよ。

 女装とか。

 あとコスプレね。ジュディ・オングの。オングスタイルで。

 

 で、町中華みたいなところでさ、ちょっと離れたテーブルにいるのは、あれオングじゃね? って。

 だって目立つわな。メシを食うには明らかに不向きだから。不向きな服だからさ。私の中でお眠りする時以外は向いてねぇから。オングスタイルは。

 

 いや待って、あのオングどっかで見たような…

 あ、取引先の部長じゃん!

 

 ってなったりするでしょ。

 あっちはラメラメの怪鳥みてぇな格好で、袖っていうか羽根っていうかそれを担担麺にどうにか入らないようにしながらさ。オング感を損なわないようにがんばって麺をすすってる時にだよ。

 

 挨拶に行ける?

 どーもーだって。無理だよ。挨拶に行かないまでももし目があったらだよ。アイシャドウばっちりの目とあっちゃったらだよ。

 

 いくらその町中華が美味いって評判でも、そういう誰かに会う可能性があったら行けないって。

 

 人目を気にするってわけじゃないんですけどね。

 こっちは完全に誰とも会わない自由行動を前提にしてるから。ひとりで徘徊モードになってるわけ。

 

 そこに知人とかが居ちゃったりしたら、急に現実感でちゃうじゃない。こっちは、仕事とかで知り合いと会ってるモードとはかけ離れてんだから。

 行き場もなく彷徨い果てて、完全にそういうモードになってんの。もちろんオングスタイルだよ。ヴァッサァーって羽根広げてるところにだよ。同じ会社の同僚とかいてみなよ。

 

 そんなことを思っちゃったら最後だよね。もう行けないんだ。誰かに会いそうな近場には。

 

 普段、仕事とかで会ってる時に世間話で、どこそこのラーメン屋に行ったとか聞くと、もうそのラーメン屋は行けないよね。少なくともふらっと行く気にはならないの。

 

 もちろん、プライベートタイムで会ってもいいなって思えるくらいの親しさなら別ですよ。不意に出会ってもこっちの空気感を変えなくていいタイプの人なら別ですけど。

 

 でも、めんどくさいが先に立つ人のほうが多いでしょうよ。実際。


誰もいない場所で菓子パンでも

 だから、お腹は空いたと。でも、どこに行こうかっていう段になったら、職場の近くとかみんなが行きそうなエリアとかはもう敷居が高いわけ。バリヤが張ってある感じ。

 

 じゃあどうすんのかっていうと、とにかく遠くへ行ってしまおうってことになるんですよね。三つ隣の街とか、そういうレベルで。

 

 でも、都会に住んでればまずそういうことはないじゃない。どこに行くにしても選択肢が多いし、そもそも偶然バッタリってことがめずらしい。

 

 田舎は田舎で、車に乗ってとりあえず人の少ない地域に行っちゃえば、人口の少なさゆえに誰とも出会わないっていう面もあってね。よく営業続けてられるよねっていう、ポツンと建ってるような大手のコンビニとかあるからね。

 

 その日もそういう、人の気配のしないコンビニまで行きまして。とりあえず菓子パンなんか買いましてね。

 今日は平日だから。みんな仕事してるわけで、そっち関係の人とバッタリな可能性は低いと。

 でも、逆に外回りの連中とかいるじゃん。あいつらどこにいるかわからないから。できるだけ、いつもの行動範囲から離れたほうがいいに決まってるわけです。

 それに、ちょっとサボり半分で、こういうコンビニとか来そうじゃない。

 

 いい陽気だし、どこか遠くの公園のベンチで、菓子パンとお茶で。それでいいじゃないかと。出よう出ようコンビニを出よう。

 

 いや待てよ。海とかいいんじゃないの?

 さすがにまだ寒いし、平日だし、こんな時間ならだーれもいないんじゃないの?

 

 もうね。

 なにかに追い立てられるようにして出発しまして。

 知ってる人なんか誰もいないんだよ。いないけど、追われちゃってるんだから。いちゃいけないってなったんだから。しょうがないよね。

 

 で、とりあえず海岸線沿いまで車を走らせまして。

 シーズンになると車で一杯になるんだろうなぁっていう、もちろんこの季節は店じまいしたままの海の家的なやつが並んでる駐車場に辿り着いたのが、14時とかそのくらいだったと思います。


海とかもめと風の匂いと 

 だだっ広い駐車場のまんなかに、ソロでツーリングしてるであろうライダーのおじさんが、地べたに座って休憩してるのをよそ目に、海が見える駐車場の端っこに車を停めましてね。

 だって、そのおじさんの気持がよくわかるもの。どこから来てどこに行くのか知らないけれど、ここがいいんだなっていう。邪魔しちゃいけねぇって。

 

 駐車場のすみっこのほうで、車のウインドウをちょっとだけ開けておくと波の音と潮風が少しだけ入ってくるんです。

 さっき買った菓子パンを食べながら、ぼーっとしていられるこの感じ。こういうことなの。

 

 こういうモードになりたいし、実際なってる時に急に浅い関係の顔だけしか知らないような知り合いと会いたくはないんですよね。全部台無しじゃない。

 

 それで、しばらく海でゆっくりしてたんですけど、そろそろちょっと移動してみようかななんて。

 海岸沿いをドライブするか、なんてね。

 

 ついでに、菓子パン1個しか食ってないし、ゆっくりのんびり走ったら夕方くらいになるだろうから、家からかなり遠いけどたまに行きたくなるラーメン屋まで行こうかな、なんて思いつきまして。

 

 そこはね、美味い! ってわけじゃないんだけど、なんか時々行きたくなる味っていうか雰囲気なんです。店構えとか込みでそんな感じなの。

 久しぶりにそこに行こうかな、だったらそろそろ出発してもいいんじゃないかな、って。

 

 冬の青、濃いめの海の色ではなくて、太陽のせいでもう少し若々しい感じの青い海を脇目に見ながら車を走らせていると、さっきまでの駐車場とは違って普通に人の大勢いる、海沿いの道の駅的な場所が見えてきましてね。

 

 さっきの駐車場で止まって正解だったな、なんて。

 いや、ここもきっといいところなんですよ。観光スポット的には多分いいところなんですけど、海のそばでひとりぼんやりっていう感じではないじゃない。

 

 と同時に、平日でも観光客がいるところにはいるんだなと。

 

 実際その日けっこう走ったんですけど、やっぱりちょっと有名な観光地然としてるエリアには、人が集まってるんですよね。

 それはそれで、もちろんいいことなんです。

 でも自分が行きたいところではないよな、っていう。

 どれがいいとか悪いじゃなくて、単にそれだけのことなんです。


ひょんなことから道を違える 

 そんなことを考えつつ、ひたすら海沿いをドライブしてたんですけど、この先の海のすぐそばを通る道がどうやら工事中で行けない様子で。

 仕方なく、いったん海を離れる方向へ行くしかなくなりましてね。

 

 海沿いを走ってる間は、特に行き先に悩まないというか迷わないというか。とりあえず海を見ながら飽きるまで走ってりゃいいや、みたいなことになるんですけど、そこから離れていくしかなくなっちゃって。

 

 そうすると、急にアテがない気がして。

 いや、もともとアテなんかないの。そんなのどっか行っちゃってるんです。

 

 だって、公園で菓子パン食べるミッションはもう達成しちゃったし。海を見ながらにはなったけれども、それはクリアしちゃったし。

 

 じゃあ帰るかっていうとそれには早すぎるでしょう、さすがに。

 

 で、思いついたのが、何年か前に桜の季節に行った道の駅がもうしばらく走るとあったよなと。

 あのあたりは車で走っててもなんかこういい感じの景色で、ついでに桜の咲き具合も見てきて、おそらくまだまだなはずだけど早咲きの桜なんかあるかもしれない。

 そしたら、写真のひとつも撮ればいいじゃないか。ちょっと旅した気分になれるんじゃないか。

 

 そんなふうにふわっとした考えを、頭の中でまとめるようなまとめる気がないような感じで、そのまましばらく車を走らせまして。

 

 着いたんです。道の駅。

 

 あー、やっぱり混んでるんだ。

 

 記憶では道の駅の建物の前に、それほど広々ってわけではないけど駐車スペースがあって、少し離れて大型車とかバスも入れるだだっ広い駐車場があったはずだなと。

 

 で、その記憶の通りの道の駅の建物側の駐車場は8割くらいは埋まっている状態でした。平日ですが、県外ナンバーもそれなりに停まっている印象です。

 

 それで、空いているスペースに停めて、とりあえずは桜並木より道の駅の方に歩いていったんです。


久しぶりにあった親戚の子供が 

 あとから思い返せば、その時点でちょっと違和感はあったんです。

 このブログでも、何年か前の当時行った時のことを書いてるはずですけども。

 

 その時の印象は、道の駅としての規模はそんなに大きくないけど地場の野菜とかが売ってたり、ちょっとした足湯なんかがあるような、地味だけど色々がんばってるなっていうくらいのものだったんです。

 少なくとも何年も経って記憶も風化してますから、大づかみのイメージではそんな感じのままで、道の駅の敷地内を歩いてたんですけどね。

 

 なんかノリノリのBGMとかかかってるんです。

 前回来た、その何年か前は、確か地域のコミュニティFMだったかの知らねぇおじさんが、わが町わが村わが地域のいいところをご紹介してるような、そんなノリのラジオ的なものが流れてた気がするけど。

 これもハッキリ覚えてるわけじゃなくてイメージなんですけど、確かそんなだったような。

 

 で、自分も名前くらいは知ってる、ここらへんではそこそこメジャーなラーメン店の看板が出てて、オープン席みたいなのも見えてきて。

 あれ、こんなのあったっけ。

 

 入り口の前にはシャレオツなベーカリーバス、要は移動販売のパン屋さんみたいなのも停まってるし、ああなんかちょっと雰囲気が変わったかなっていう。

 

 で、道の駅の建物の中に入ってみると、地域の物産とか採れたて野菜みたいなのが並ぶエリアがあって、人が大勢いるんです。

 そこは前回もこんな感じだった気がするんですけど、どうにも店内でかかってるノリノリBGMとちょっと合わないような、なんかこう妙な違和感があるんですよ。

 

 違和感というか気配というか。

 これはなんだろうと思いつつも、その売場をぐるっと見て回って。

 お客さんも多いし、そんなに買いたいものも見つからずに、入ってきた玄関とは別の方から出たんです。

 

 そしたら、そこが広場になってて、デイキャンプとかが楽しめるエリアになってまして。

 前は足湯があって、足湯は今もあるんですけど、その周りはなんにもなくて確かゴーカートだったかサイクリングだったかができる広場だったような気がしたのが、今はテントみたいなのがいくつも張ってあって。

 

 焚き火とかがあって。なんならそこでマシュマロ焼いてる家族連れみたいなのもけっこういて。

 で、前はなかったと思うんだけど、小屋みたいなのが三軒くらい建ってて、キャンプで食うのかなんかそういうご飯を売ってるんです。

 

 こっちは例のノリノリBGMとピッタリっていうか。そういうの好きそうっていう気配が充満してるわけ。屋外なのに。

 

 前は確か、干からびる寸前みてぇなGとバーが、ももひきを膝上まで捲くりあげて足湯に浸かってるような、確かそんなだったよ。

 そこに広い公園があって、子供がきゃっきゃしてるような、そんな感じだったよ。

 

 なんかわかんないけど、記憶にあった絵に別の絵を切り取って貼り付けたみたいな。

 10年ぶりに会った親戚の野球少年だった彼が虹色のアフロでママチャリで!? みたいな。

 なんとか会館って名前の古いパチンコ屋がガワだけ残ってて、中にダーツバーが入っちゃったみたいなさ。

 

 そりゃあ、そそくさと離れますよ。マシュマロ? 焼かねぇっての。

 デイキャンプを楽しむご家族に混ざってマシュマロを焼けるような人間だったら、今ごろ知り合いに会おうがなんだろうが堂々と行列のできる店でオサレなランチ食ってるっての。


あいつがもうすぐやってくるから 

 でね。

 これはもう、ここにはいられないじゃない。

 

 透明度の高い湖でしか生きられない――

 いやそりゃ美化し過ぎだな。

 こちとら、泥沼でびちびちやってるのがギリセーフな生き物なんです。生き物飼育係なんです。いきもの係長代理補佐サブリーダー候補なんです。

 

 だから急遽、とにかく何処かに行こう。行ってしまおう。行ってしまわなければならないってなって。

 車に戻りまして。

 スマホを見ましてね。どっか行くアテはないかと。

 

 ああ、運転中にいくつか通知とかが入ってんなと。

 確認したほうがいいのもあるから、そこからスマホをチェックしはじめたんですけど。

 

 その中にドラクエウォークのお知らせみたいなのがあって。

 やってるんです。まだ細々と続けてるんです。サービス開始と同時に始めたのでもう三年半くらい、ダラダラと続けてるんです。

 

 位置情報ゲームっていうんですけどね。実際に街とかを歩いたり移動することでゲーム内でも歩くことができて、それによってゲームを進めていくような感じのスマホアプリなんですけど。

 外出とか散歩とかに出るための理由付けというか、言い訳としてはいいんです。

 

 で、ドラクエウォークを立ち上げまして。

 せっかくあんまり土地勘のない場所まで来たんだから、なんか変わったことがゲーム内で起きてないかなと。

 

 そしたら、説明すると面倒なので細かくは書かないけれど、ゲーム内でのイベントの真っ最中で、今でしか戦えない、このイベント期間中でしか戦えないドラクエのモンスターがいるんです。

 

 この道の駅に。

 

 正確にはあと30分後にモンスターが現れるんです。

 

 マジかと。

 一刻も早く離れようと、行くアテがなにかないかと思っていたのに。

 あと30分、ここにいたほうがいいってことか。

 

 わかりますよ。読んでるかたで、そのゲームを、ドラクエウォークをやってない人からしたら、そんなのどうでもよくねってなりますよ。

 冷静に考えたらそうなの。レアなモンスターかなんか知らないけど、たかがゲームのことですよ。もっと別のなんかあるだろうと。

 

 でも、曲がりなりにも三年半もやってるわけですよ。そんだけの期間やってればさ、それなりにあるわけ。たかかゲームの、スマホの中のデータがちょっと書き換わる程度のことだとしても、なんかあるんですよ。やってる側としては。


30分で出会うこと

 でね。

 もう30分待つしかないじゃない。

 これが春のご陽気で、車の中にいたらまあまあ暑いの。30分、車の中でエアコンつけてるのもなんかちょっと、ねぇ。

 

 そうだ、桜咲いてないかな、なんつって。ちょっと歩いて見に行ったんだけど、ようやく開花って感じでね。

 すぐ見終わっちゃって。写真も撮らなきゃ、なんつってパシャパシャ撮ったけど、全部ピンボケだよ。なんだよなんだよ。

桜


 …まだ5分も経ってないよね。

 例の焼きマシュマロエリアには見えないバリアが張ってあって、正確には自分で張り巡らしたからそっちは行けないしさ。

 どうするかってなって。

 

 それで結局、ここらへんだとそこそこ名前のあるラーメン屋がテナントで入ってるみたいだから、そこに行こうと。どうやら客もほぼいない感じだと。

 どうせ菓子パンしか食べてないし、ラーメンくらい入るよねと。

 

 順番は変だよ。ラーメンのあとにデザートで菓子パンだろうよ。変だよ。でもしょうがないじゃん。

 

 で、お店の方に行ったら券売機があって。初めて食べるから、普通のラーメンでいいかなと。

 お店の名前は聞いたことがある結構有名店だけど、食べるのは初めてなのね。

 

 ホラあたし、人の大勢いるところダメじゃん?

 知ってる人に会ったらやだなとかいってどこにも行けなくなって、結果自宅から100km近く離れた道の駅にいたりするじゃん?

 有名店とか無理に決まってるじゃん。ね?

 

 ラーメン屋のコスプレをするとしたらさ。例えばだよ。コントとかじゃなくて。ラーメン屋プレイとかでもなくて。例えば。

 

 頭にタオル巻いて腕組みして仁王立ちパターンがまずあるじゃん。

 あとはバンダナとか。昔ながらの料理人的な白い帽子をちょこんとかぶるパターンとか。

 そういうので言うと、オーガニックなカラーのキャップとかベレー帽かぶって、ファーストフード店の制服のもうちょっとおしゃれなやつ着てる、あのパターンってあるじゃない。

 

 そういう感じ。

 ラーメン屋の店の名前から受けるイメージは、最初に書いたラーメン屋コスプレでいえば、タオル腕組み系っていう感じなんだよ。店名、漢字だし。

 修行して修行してやっと暖簾分けっていう。

 

 店内も、道の駅の中にあるんだけど、ローカル駅とかフェリー乗り場の食堂コーナーっていうか。そばうどんっていう感じの。かけうどん350円って手書きで貼ってありそうな。

 

 多分元々はそっち系っていうか。そういうことだったんじゃないかなっていう名残みたいなのを感じたんだけど、店員さんはオサレキャップしてんだよ。

 

 その店の名前と店内のギャップが、なんかその。

 

 いや、そりゃあテナントだろうから。暖簾分けしてここで店を出しましたってことじゃないだろうから。スタッフのおねえさんたちだって、本店みたいなところでちゃんと修行してきたんだろうしさ。

 

 ラーメンも美味かったしね。悪いなんて言ってないし、いいんだよ。別にいいの。

 こっちがなんか勝手に想像っていうか妄想っていうかイメージで、なんかちょっとそのあれってなってるだけなんだから。

 

 いいんだよ。

 道の駅だってリニューアルすりゃあいいし、わかんないけど儲からなきゃ続けていけないんだから流行りに乗りゃあいいし、コンサルみたいなのがこれだっていうのに乗っかってやってみるのだって悪かないよ。

 いるかどうかも知らないけど。

 デイキャンプに焼きマシュマロに有名ラーメン店の誘致みたいなのをやりだしたコンサルがいるかどうかも知らないけど。

 

 でも、そういう気配っていうか匂いを感じちゃったんだからしょうがないよね。それはこっちの問題だし、じゃあどうするかっていうと、とりあえずその場を去るくらいしかやれることはないんです。


5分で出会うこと

 おそらく人気があるんだろうから、大混雑してても捌けるようにお店の人も手慣れてると思うんだ。ラーメンが出てくるまでに全然待たない。それで美味いもんだから、スルッと食べちゃって。

 

 まだ30分経ってないんだよ。ドラクエウォークのモンスターはまだ来ないの。

 

 あとね、確かここに来るまでは、たまにいく居心地のいいラーメン屋さんに行くつもりだったよね。

 お腹いっぱいだよね。海を見ながら菓子パン食ってからデザートにラーメン食ったもんね。居心地のいい店に行ったほうがよかったんじゃないかな。おかしいな。

 

 んで、しょうがないから外の自販機コーナーでお茶なんか買っちゃってさ。車の中にいると暑いから外で立ったまま茶を飲みはじめちゃって。なにしてんの?

 

 いいんだって。あと5分も潰せばいいだけだから。ドラクエやったらすく出発だから。

 

 たった5分だよ。

 たった5分のその間に、いるよね。いるっていうか、出会っちゃうよね。

 

 春だからなのかな。

 

 色っぽいっていうより寒そうっていう服装のおねーさんが、ビックリするほどピンクな服を着せられた犬連れて歩いてたりさ。

 

 ボクぼーがえる、おうちがえるるるーってなって道の真ん中ででんぐり返ってる子供を、どうにかなだめてるおばあちゃんとかさ。

 

 明らかにサリーちゃんのパパっていうかアラーキーのバッタモンっていうかニセーキーっていうか、そんな風貌のじいさんがスポーツカーから降りてきたりさ。

 

 うん。

 

 帰ろうって。

 もう帰ろうって。

 

 そんなだよ。そんな。


QooQ