東北を一周しようという旅も5日目になりました。現在地は青森県十和田市の道の駅とわだ とわだぴあ。旅の朝を迎えたところです。
青森のどこへ行く？
こんな旅を続けていると、これがずっと続くような気もしてくるし、その一方で区切りに向かってもいるという、少しだけ奇妙な感覚を覚えています。
太陽が昇りはじめると目が覚めがちな車中泊の旅ですが、この日もそんな感じで早起きだったと思います。昨日、陸前高田のホームセンターで買った寝袋のおかげで、短時間でもゆっくり眠れたってのも大きくて、買って正解。
青森といえばリンゴってことで、昨日の夜スーパーで買っておいたリンゴジュースを飲みつつ、今日をどうするかぼんやりと考えてみたんですけど。
東北一周を福島からはじめたので、宮城岩手は北に向かっていき、逆に秋田山形は南下するっていうのはザックリ方向性が決まっていたんです。
ただ、今いる青森をどうするかっていうのはあまりイメージできてなかったんですよね。
青森の北端、マグロで有名な大間とかへ行ったほうが一周した感は出るんですけど、ここまでの道のりも特に地形的な部分は意識せずに来ちゃったこともあり、いまさら北端にこだわるのかどうかは微妙かなと。
もちろん行ってみたいし、行ってこそ東北一周みたいなのはどこかにあったんです。
ただ、それを実現させるには長期連休をもらった身とはいえ、残り時間がちと少ない気もします。かといって、途中を高速道路なんかを使ってすっ飛ばしていくのも、性に合わないというね。
じゃあ南の方、現在地の十和田から秋田へぐーっと抜けていくのも、青森をすぐ通過しちゃうもったいなさみたいな謎の感情があって、どうもうまくないんです。
結局、とりあえず北の方には向かってみようと。青森市方面を目指しつつ、気が向いたところで止まったりすればいいじゃないかと。出ました、なんとなくスケジュール。
ただ懸念するのは、この日は5月3日。ここから土日を含めば5連休という人も多いはずで、なにをするにも混雑が気になるわけです。
伝染病とか以前に、昔っから人の多い所へ行かないようにしてるもので、そういう意味からも朝早く動き出して混雑回避しようということで早めの出発となりました。
浅虫温泉
途中でコンビニで朝ごはんにしたり、ガソリンスタンドに寄ったりしつつ国道4号線を走っていきます。
青い森鉄道と合流するような道筋をそのまま進んでいくと陸奥湾が見え、さらにしばらく走った先の浅虫温泉の道の駅が見えて、とっさにそこなら駐車場もあるんじゃないかということになり。
道の駅 浅虫温泉に着いたのが9時半ころで、駐車場はかなりいっぱいに近い状態でした。駐車スペースがなければすぐに出ようかと思っていたのですが、折りよく空いていまして。
そうなると、歩いて色々見て回りたい場所が目の前にあります。
浅虫温泉駅なんてのも隣接していますし、道の駅に温泉もあるっぽい。
歩道橋から海も見えるし、道の駅の中庭っぽい場所では屋台のようなものも並んでいます。
歩道橋から海を撮ったり、駅のそばにある桜らしきものを撮ったり。
朝ごはんを食べたってのに、ネーミング負けして思わず買い物したり。
ここは道の駅併設の温泉施設もあるんですよね。入ってみたいとチラと思ったものの、お風呂でゆっくりするより先を急いだほうがいいという気分の方が支配的です。
そうこうしているうちに人も増えてきたので、旅を続けることにしまして。浅虫温泉を後にします。今度は風呂だな。そうしよう。
青森空港への道
この日はけっこう気温も上がってきてて、長袖のＴシャツの袖をまくって車の窓を開けて走ってると丁度いい感じのご陽気でね。
ドライブ日和には違いなく、それほど混雑もしていなそうな道を選んで走っていると、開けていた窓からデカいハチが入ってきちゃって。
助手席側の窓ガラスにつかまって動かないの。
横目でチラッと見るとアシナガバチってんですかね？
昆虫とか詳しくないから正確にはわかりませんけど、足は長くてその時はやたら大きく感じて。
感じても何も運転中だから。危ないって。ピンチだって。事故っちゃうよマジで。
とにかく一番近くにあったコンビニの駐車場に、なるべくハチを刺激しないようにすーっと入っていって、窓の外へ追い払ったんですけど、刺されなくてよかったよね。
で、せっかく寄ったんだしってことで、コンビニの店内に入るのはいいんだけど、なぜかおにぎりとか買ってきちゃって。
ほら、ピンチを脱したから。おなか空いたのかな。
そんな感じで青森市の南の外れをかすめるように西に向かっていると、標識に「青森空港」というのが混ざりはじめてきたんです。
なんとなくそっちに向かって走っていると、どうやらその青森空港に行く道はその手前から有料道路らしいということがわかってきます。
空港付近で車を停められるなら、飛行機が飛び立ったり着陸するのを見物するのもいいなぁなんて、軽い気持ちで空港の方へハンドルを向けてみたんですけど、有料道路を通ってまで見るもんでもないしなぁっていうね。
まあでもこの道しかないなら仕方ないかと思いつつ走っていたんですけど、途中で何台もの車が脇道へそれていくの。目の前にいた車もウインカーをそっちに出すに至って、ああたぶん空港へ行かない道もあるんだなと。
で、自分も釣られてそっちに曲がっていったんですけど、やたら細い道になっていくわけ。
その時点ではマップアプリも起動してなくて位置関係はわからなかったものの、青森空港を、いや有料道路を迂回するような地元の人しか知らない道があるんだろうと。
確かに、周辺に住んでる人は毎回有料道路を通されても困るだろうし。
いや、待てよ。
有料道路云々の前に途中分かれ道が幾つもあったよね。そっちへ行けば迂回自体はできるんじゃないの。
あれはなんなの？ 空港に用がない人はあっちに行けばいいんじゃないの？
答えなんか出ないんですけど、でももうずっと一本道なわけ。
Uターンできそうな場所もないし、なにより自分の後ろからも車がついてきてるから、止まることもままならないんです。
知らない道を気ままに走ってると、時々こういうことが起こるんです。
あれは確か長野だったか群馬だったか、一応ナビさせて走ってたんだけど自分の思ってたルートじゃなくてどこかでリルートされてたみたいでね。
ナビの言う通りに走ってたらどんどん峠みたいなぐねぐねの一本道に入っていくわ、後ろから若干煽り気味に車が付いてくるわ、ガソリンの残りも少なくなってくるわで散々な目にあったなぁ…
だから不安は不安なんだけどもう進む以外にないから。とりあえずそのまま走ってたら、目の前に青森空港が見えてくるの。
どういうこと？
これはなにか裏道ってこと？
多分そうなんだと思うんです。
青森空港の真正面に出る裏道があって、もちろんその正面の道は有料道路っぽいんだ。そして特に料金も払わず有料道路に出ちゃうし、青森空港にも入れるっぽいんだよね。
なんかそれってビクビクするじゃん。有料道路を通ったらそりゃあ正規料金をお支払いしますよ。でも、その脇道から有料道路に繋がるどこにも料金所とかないんです。
なんなら普通に、自分の前も後ろもどんどん通過していくの。
あ、ってことは、有料道路の終点に料金所があるってこと？
でもそれもないの。普通に道がつながってるだけなんだ。
その後味の悪さっていうか。
初めて通る道で知らないとはいえ、有料道路を無料で使っちゃった感じっていう。あとは青森空港に入った時点で料金を精算するのかもしれないけど、それも今の道があるのが変だよね。
カメラとかで撮られてて後で請求とかくるのかな。てゆーか、そもそもその抜け道を塞いでおいてもよさそうな、他になんにもない感じの道だったけど。
あれはなんだったんだろう。
林檎の花と岩木山
そのまま、休憩しちゃあ30分走って、みたいなことを繰り返しながら走っててね。
学がないから違うかもしれないんだけど、多分リンゴの木だろうなっていう雰囲気の木があちこちの、農園と呼ぶのが正しいのか、農家の方のそういうところにいっぱいあって。
ちょうど花の咲くころだったらしくて、青森を抜ける道の途中でかわいらしく咲いてるのを色んな所で見かけたんです。
停まってもよさそうなところがあったら、ちょっとお邪魔して写真の一枚も撮らせてって思いながら走ってたんだけど、結局そういう場所はなくて延々と進む羽目になったんですけどね。
あと岩木山っていうの？
まだ雪の残ってるデカい山がどーんと見えてて。
走ってても楽しいんだわ。
知らないからこの時期にリンゴの花が咲いてるとか思ってもみないし、あんなデカい山があるとかもさ。
そりゃリンゴの名産地だってこととか、山の名前くらいは聞いたことがあるけど、目の前にあらわれるとああ今やっぱり違う土地にいるんだなってなるよね。
そんな感じで走っていることが楽しかったのと、かといって停まれそうな場所を見つけられないまま、青森県の弘前から秋田県の能代へ抜けていったんです。
ちょっとね、もうちょっと色々行ってみたかったけど、残り時間を考えると移動メインになっちゃったよね。青森、また来ればいいか。
行ける時に行かなかった後悔、みたいなのもわかるんですけど、どっちかというと足が自然と向かない時は、今そのタイミングじゃないんだろうなって思うのね。
無理して行っても、あんまりいいことがないっていうか。この世の全てを見ることは無理なわけで、その中でも縁があれば辿り着けるっていう風に思っちゃうの。
その縁を大事にしたいっていう気持ちのほうが、行けずじまいに終わってしまったなにかより、少しだけ強いんですね。
いとく
やがて、日の傾きに釣られて、今夜はどうしようっていうふうになってきてまして。どこで一泊しようか問題。
でも、この日はなぜかそんなに迷わずに選べたんですよね。前の記事で書いたように、前日は紆余曲折っていうか右往左往っていうか、ずっとそんな感じだったんですけど。
まずはいざ連休に入ったとはいえ、ルート次第ではそれほど混んでいない道もあるというのがわかり。
それはお店もそうなんだけど、明らかにそっちいったらそりゃ大混雑に決まってるっていうところに行かなければ、そこそこ快適に旅が続けられるなっていう感じになってきて。
あと、気に入ったスーパーを弘前で見つけちゃって。
これが、名前をすぐ間違えるんだけど。
いとく。
いとくっていうチェーン店なんですけどね。すぐ間違って、いくとって言っちゃうんだけど。
その、いとくっていうスーパーがなんかいいんですよ。品揃えの過不足なさとか、お惣菜の種類とか店の造りとか雰囲気とか含めてのやつなんですけど、妙に気に入っちゃって。
主に青森や秋田にチェーン展開しているようなんですけど、ハシゴしちゃったからね。弘前で行って、秋田県に抜けた先の能代でも見っけたもんだから、行っちゃったよね。
普通さ、旅先でハシゴするなら、気の利いた居酒屋とかさ。スイーツとかラーメン屋とか、そういうのじゃないの。しかも違ったお店に行くもんじゃないの。
なに、同じチェーン店のハシゴって。しまむらとか吉野家のハシゴみたいなもんでしょ。
そう思いつつも2件目のいとくに寄ってみても、やっぱりなんかいいんだよね。なんなら翌日も朝から行ってっからね。
美味い鮭の、焼き方がカリッカリのやつとかあったりさ。朝から食ってるから。
そんな感じで秋田県に来て、能代をウロウロしたあと、目星をつけておいた道の駅へ辿り着いたのはもう暗くなってからでした。
秋田の夜もふけてゆく
寄ったのは道の駅おおがたというところで、これで1県1泊は継続してきています。これもいつのまにかそうすることになっちゃってるけど、別にそれが目的とかじゃないんですよ。なんかそうなっちゃってるってだけで。
でね。
暗くなって着いたから駐車スペースが空いてるか不安だったんですけど、ちょうどよくいい感じに混んでいない場所があって、そこに車を滑り込ませることに成功します。
周りも車中泊っぽい車が多いし、なんなら間隔を空けて隣に停まってる車は、頭にライトを点けて車中泊モードにしようとギッタンバッタンしている真っ最中な雰囲気で。
こっちもササッとシートアレンジして、あとはもうまったりと、いとくで買ったお惣菜をアテに夜を更かすだけにしたんです。
お隣さんは、真っ暗だからイマイチ判然としないけど多分二人連れなのか、ライトを点けて色々やってるオジサンみたいな影と、もうひとりいるっぽい。
そのライトが作業中ずっと点けっぱなしなせいで、たまにこっちに向くのが眩しくて。
向こうは向こうでせっせとやってることだから、こっちも窓に目隠しをしてしまうことにしたんですけどね。
車中泊セットも旅先の100円ショップでずいぶん充実させちゃって、初日と比べてかなり快適になっちゃったな、なんて。のんびりスマホでラジオとか聴きつつ、ビールなんて飲んでね。
そんな静かな秋田の夜にひそむことにしたんです。
10年前
翌朝。旅ももう、6日目です。
でね。色々どうするか迷ってます。
この日自体も、連休的にはもう一日の猶予はあるものの、その次の日の仕事の準備というか下見をしておきたいっていう事情もあって、それをその猶予の一日でやりたいとも思ってるんです。
あと、このブログ的にも迷ってて。
書いてないことはあるんだよ。6日も旅したんだから。あるし、それも書いちゃいたい。成仏させたいわけ。
あるんだけど、これを書いてるのがもう5月の終わりに近いと。そろそろ一ヶ月前になるわけで、記憶もちょっとあやふやになりつつあるんです。
旬なうちに書きたいじゃない。自分の中で旬なうちに吐き出しておきたいじゃない。
別にここまで引っ張るつもりはなかったけど、これを書く時間を仕事のある平日に取るのがなかなか厳しいの。
だって、勢いで書くしかないんだもん。
こんな、うわ言みたいな旅のことなんて、事細かに書いてらんないって。熱病みてぇなもんなんだからさ。行きあたりばったりの旅なんて、基本どうかしてんだから。うなされて行った旅の話なんて、嘔吐も同然で書くしかないの。
そもそもなんで東北一周とか言い出したかっていう。急に。いくら、3年も続いた自粛モードからもう大丈夫だってなったってさ、急にどうしたっていう。
東北一周はね、実は10年前。約10年前に一度やろうとしてるんです。
あの時は冬だったと思うんですけど、確か暖冬で雪もそんなに積もってないねっていう年じゃなかったかな。
真夜中に急に思い立ってだったか、それともドライブしてたら帰る気がなくなってそのまま延々と走ってそうなったんだったか。
もう細かいことは覚えてないんですけど。
山形スタートで、その時点ではもう夜中だった気がするんですけど、秋田に向かって延々と走って朝焼けをどっかのコンビニの駐車場で見た記憶があります。
そのまま秋田のとある道の駅までは走った記憶があって、これも理由は全然思い出せないんですけど、そこでストップしちゃったんですよね。
で、そのあと、何度か長期の休みを使って東北一周ってのを考えてはみたものの、タイミングだったり色々合わなくてできなかったっていうのが、ずっと続いてたんです。
だからって、その10年の間に、東北一周するにあたってここに行こうとか、こうしてみようみたいなのは、一切かたまってないわけ。1ミリも。
毎回、東北一周って面白そうじゃね？ から、1ミリもだよ。まったくだよ。
いやそりゃ、候補くらいはあるよ。行ってみたい候補はいっぱいあるよ。でも、全部回れるかっていったら無理じゃない。
本当に行けそうな時が来たら、実際に行ったら、寄れたら寄るくらいのスタンスでいいよねって。
そうやって、書いてる自分も残念に思うくらい、ちょー漠然とした東北一周っていうお題目のみのやつだけが、自分の脳内にあったのね。
機を見つけられずに10年も経っちゃったけど、あの時の東北一周の続きをやりたかったの。衝動だけで始めたあの続きを、もう一度やっておきたかったのね。
どこでもドアが不安を呼ぶ
ただね、その10年前に夜通し走って辿り着いた道の駅がどこだったか、正確に思い出せないんです。
1枚だけ写真を撮ってて、それから察するにここだという場所はあるんだけど、なにせもう記憶もないわけ。
でね。
旅の6日目の話をこのまま書くかってのも迷ったけど、記事を分けようかとも思ったけどもういいや、書いちゃえ。
その6日目の朝を迎えた、道の駅おおがたは例の10年前に来た場所じゃないんだけど、すぐ近くにある道の駅ことおかがそうだと思うんだ。
道の駅おおがたってのは、男鹿半島の方、だからより海側に位置してるんだけど、ことおかの方はより内陸側にあって地図上で見るとほぼ真横の位置関係にあるんです。
それで、起きてすぐは動けなくてしばらくダラッとしてから、さっきも書いたようにスーパーいとくへ朝から行って、開店したてのスーパーで朝ごはんにしてから、道の駅ことおかに向かったんですけどね。
着いたらすぐ目立って見えたのは、道の駅の構内の一角になんにもない野っ原があって、そこにピンク色したドアが立ってるの。
どこでもドア的な感じで。
で、家族連れとかが入れ代わり立ち代わり、どこでもドアごっこみたいな感じでドアのところで写真撮ったりしてるんだ。
あった？ 10年前もあった？
あったら覚えてそうなもんだけど、一切思い出せないの。
思い出せないのはその道の駅のどこを見ても同じで、建物を見ても風景を見てもなーんにも記憶を刺激しないわけ。
旅先で一回通った道って、何年か後に通った時にデジャヴみたいに思い出すってことは今まで何度も経験してるんです。でも、それも起こらない。
ここじゃない、の、かな？
みたいになりながら、とりあえず空いてる駐車スペースに入って車を降りたんですけど。
午前中も早い時間とはいえ、やっぱりゴールデンウィークだからさ、もうお客さんが結構いるの。ソフトクリームが有名なのか、みんなそんなのを片手に思い思いにブラブラしてるんだ。
こっちは10年前の、どっちかっていうと志とか目標とかじゃなくて怨念みてぇなものをどうにかしたくて、ここまで延々と旅を続けてきてるわけ。
しかもわざわざ当時とは逆周りで。
そんな状態だからさ、ソフトクリームとかキャッキャいって食うわけにはいかないっていう。どこでもドアよりタイムマシンをくれよっていう感じだから。
遠回りしても
まず、やりたいのは、10年前に撮ったであろうあの写真に写ってる、観光案内みたいな看板を探したい。道の駅とかによくある、周辺のイラストマップ的なやつと名所とかが描かれてる看板があるはずだと。
それと同じものがあれば確証が持てるかもしれない、記憶がよみがえるかもしれないじゃない。
それと同時に不安もあるわけ。
あのどこでもドアって、あの日もあそこにあったんだろうか。だとしたら写真の一枚も撮ってたっておかしくないんじゃないか。
これが何を意味してるかっていうと、リニューアルしてるんじゃないのかっていうことなんです。
この道の駅がリニューアルされてて、ドラえもんにゆかりがあるのか知らないけど、どこでもドアが設置されたりさ。
中のお店とかアトラクションとかが模様替えされて、古い看板とかはすでに撤去されてる可能性があるんじゃないかと。
現に、この旅ではないけど、久しぶりに行った道の駅がリニューアルされちゃったせいで雰囲気が相当変わったっていう体験を、つい最近してるせいもあって、そういう不安もどこかにあるんです。
それで、とにかく看板はどこだ看板はどこだっていう。
周りに大勢いる、家族連れとかツーリングの集団とかとはソフトクリームの販売所を探してるけど、こっちは看板探してっから。みんなウロウロしてるんだけど、ウロウロっぷりが明らかに違うよね。ひとりだけあやしいって。
あったよ。見つけたよ。
やっぱりリニューアルというか、細かくは違うけど。
微妙に写ってる建物の感じから、ここで間違いなさそうだよ。
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| 2023年撮影 |
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| 約10年前に撮影。冬 |
ここに来てたんだ、10年前。
あの時始めた東北一周の旅を、逆方向から迎えに行く形で、ようやく一周つなげたよ。
会えたよ。自分に会えた感じ。
ひとりでさぁ、看板の前で。周りに人はいっぱいいるけど、みんなスルーするような看板の前で。バッシャバッシャ写真撮って。なにこの人。看板マニアなのっていう感じだよね、傍から見たら。
東北一周 完
それで、ちょっと落ち着いてね。
達成感とかもあるから。落ち着いて。ソフトクリーム？ 食いたきゃ食いなさいよ。いいよいいよ。いくらでも食いなさいよ。
色々考えて。時計を見たり。お空を見たり。
ナビとかに相談してみたりしてね。
このまま迷わず走れば、今夜22時にはおうちに着きますと。
明日は、仕事の準備した上でゆっくり休めますと。明後日の仕事にのぞめますと。
…結果から書くとね。
走ったよねー
9時間で400kmオーバーだって。オール下道。ちゃんと22時過ぎには着いたよね。ナビってすごいな。
あれ、山形県は？ ここまで東北各県で一泊ずつしてて、最後に山形で一泊しないのかって？
あのね、よく考えて。
おうちのお布団でおねむしたほうがいいよね。いいに決まってますよね。車中泊で寝袋？ バカじゃなかろうかと。おうちでゴロゴロしたほうがいいに決まってっから。
それに東北一周はしますしね。このまま下道で山形経由で帰ればちゃんと一周しますしね。タイトルに偽りはございませんからね。
パン工場へ
いやね。
ここまで書いといて山形スルーはないだろうと。わかりますよ。わかりますとも。
青森を抜ける時もそうだったんだけど、ただ通り抜けるのは違うという気持ちと残り時間とのせめぎあいみたいなものが、特に旅の後半になるほどずっと頭にあったんですよね。
ただ、事実と大きく違うことを書くわけにもいかないしさ。
というわけで、こっからは蛇足だよ。書かなくてもいいやつだよ。おまけのコーナーだよ。
その9時間かけての帰宅中なんですけど。これはまだ秋田の話。
要は国道の大きな道を走ってればいいから、ナビもつけずに進んでたんですけどね。
途中一回道を間違えて。間違えてっていうか正確には左折専用レーンに入っちゃって。他の車もいて、今さら車線変更もできない感じになったから、とりあえず左折してどこかでUターンすればいいやと思ったんです。
で、左に曲がって車を返すようなところを探してたら、デイリーヤマザキってコンビニがあるじゃないですか。それを見つけて。
じゃあ、これから長い道のりだし、飲み物とか買い足しといても損はないからコンビニに寄って道を戻ろうということになり。
そのデイリーヤマザキに寄ったんだけど。
デイリーヤマザキってさ、お店で焼いたパンみたいなのを売ってたりもするじゃない。
それで、パンのひとつも買っとけば運転中に食えるかなと思って、そっちのコーナーに行ってみたんだけど。
これがまさかの、パン工場が経営してるデイリーヤマザキで。
通りを挟んだ目の前にパン工場が建ってんの。ヤマザキパンの工場じゃなくて、地場のパン屋さんの工場があってコンビニもフランチャイズで経営してるんだと思うんだけど。
最近はさ、食品系の工場の敷地内に直売所とかを置いてるパターンもあるけど、目の前がパン工場でそのパンを売ってるコンビニって、そのパン絶対美味いでしょ。
買ったわー。うまかったわー
あの、道も迷ってみるもんだっていうかさ。左折レーンも間違って行ってみるもんだなっていう。
こういうのが好きなの。旅がやめらんないの。
神様のお導き
蛇足と言っちゃ山形に失礼だよね。これは蛇足じゃないやつ。
蛇足じゃないやつ？ 蛇足を書いてから本編に戻る気なの？
あれでも、よく考えたらたいていそんなだな、このブログ。
じゃあいいか。山形もちょっと寄ったところがあるんです。
もう帰宅モードにはなっちゃってたの。一応はさ、長い間できなかった東北一周の続きができて、自分の中で区切りはついちゃったから。
で、大通りは外れるんだけど、天気もいいし海を見ながら走りたいと思ってて。
山形県から新潟県の県境あたりの海岸線沿いって、夕陽が沈むのが見えていい感じなんです。何回か通ったことがあるけど、車で走るにはすごく気持ちがいい道路でね。
夕陽を眺めながら海風に吹かれて走るなんて、長い旅のエンディングとしては最高じゃないですか。映画化決定だよね。全米とかもう泣いてる可能性もあるとかないとか。
時間帯的にも、夕陽が落ちる頃にはちょうどその海岸沿いを走っていられそうだってことで、山形県には悪いけど止まらずに走り抜けてしまおうと思ってたんです。
途中、コンビニくらいは寄ったんですけど、それもさっき書いたデイリーの他に1回か2回だけだった気がするんです。
で、海沿いを走ってたんですけど。
だんだんお腹痛くなってきちゃって。
いやそりゃ、美味いパンをコンビニの駐車場で目の前のパン工場を眺めながら食べましたよ。ふたつ。
朝だってスーパーのお弁当食べましたし。育ち盛りかっていう。
もっと言うとね、これは言い訳と取られてもいいんですけど。
旅が終わっちゃうじゃない。連休も終わっちゃうじゃない。
それが嫌なの。もっと続けたいの。もう一周したっていいんだって。行ってないところの方が断然多いんだからさ。
でも、終わっちゃうじゃん。それがストレスっていうとアレだけど、それを無意識に避けようとして結果食べる方に行く感じわかります？
なんかね、途中のコンビニでもお弁当食った気がするんだよね。秋田山形なんてコメが美味いに決まってんだから。コンビニのご飯だって、今どきご当地のやつ使ってるしさ。
そりゃおなか痛くもなるよ。
そして海沿いのその道に立ち寄れるコンビニがないの。
行けども行けどもずっと海なの。ないんだよ。
なんかこんなことあったよね。旅の初めの方でもなんかあったよね。
で、路肩の広いところで一旦停めて、スマホのマップを開いてみるんだけど、かなり遠くにしかコンビニはなさそうだと。
ただ、このまま行けばマップ上にトイレマークがある、駐車場なのか公園なのか、そんなところがあるのがわかり。もうそこしかないだろうと。
そこまでナビさせて行って、なんとか事なきを得たんですけどね。
その場所が山形県の由良っていうところなんだけど、見覚えがあるの。
白山島っていう小さい島があって、そこに赤い橋がかかってるんだけど、間違いなく来たことがあるの。道の駅のどこでもドアは覚えてなくても、さすがにこれは覚えてる。
10年前の、東北一周目指して途中で引き返しちゃったあの日に、間違いなく来てるんだ。
こんなことある？
確かに、あの時も自分のことだから、ドライブするなら海沿いを走ろう、景色がいいじゃんっていう思考回路になった可能性は高いと思うんだ。
そして今もそうやって海沿いを走ってたんだから、仮にトイレを探してなかったとしても、ああここ見覚えがあるなって辿り着いたかもしれないの。
だけど、その時のトイレから生還してきたあとの、ふと周りを見渡して、うわなにコレここ来たことあるわ！ っていう、その感じ。
トイレの神様ってこういうことかっていう。お導き感だよね。
そこにある建物の入り口とか脇にある自販機とかも見覚えがあったし、なんなら周囲の住宅地の感じとかも、あの時はこの家に入居募集の張り紙があったよなみたいなことまでウワーッと記憶がよみがえってきて。
それで、10年ぶりにその島へつながる赤い橋を見たんだけど、その当時は橋を渡って島へ行ったりした記憶があって。
ただ今回は、観光客もけっこういてね。島にも人が大勢いるのが見えたから行くのはあきらめて。
また来るよ。山形もまた来るよ。
連休が終わったくらいじゃ旅は終わらない
ああ、思い出したけど、いいか。ここからガソリンが残り少なくなって、夕陽を眺めながら海沿いを走ってたらガス欠で遭難するかもと思って泣く泣く内陸側の市街地の方へ行った話もあるんだけど、いいか。
だから、夕陽を見ながら旅のエンディングとか迎えてねぇの。暗くなるのが早い山道を燃料の残りを気にしながら走った記憶しかないから。
家へ帰って旅先で買ったもの並べてみたら、調味料だらけだったよ。味どうらくの里の1.8リットルのデカいボトルと、スタミナ源たれの瓶をいっぱい。あとレトルトカレー。
スタミナ源たれなんか輸入業者かっていうくらい買ってきててさ、ガラス瓶に入ってるから一応割れないように旅先で買った珪藻土のマットに付いてたプチプチのクッションで包んだりして。
なのにその日の帰り道の、家から小一時間くらいのスーパーで夕ごはんを買う時に何気なく棚をのぞいたら普通に売ってんの。
いや、次はそこで買いますよ。相当在庫がありますけどね。毎日焼き肉にしたってニヶ月は持つくらいの在庫がありますけどね。
…そんなだよ。そんな東北一周だよ。
