2024年末の旅話 その3

2025年1月5日日曜日

#2024年末の群馬旅 #鉄道 #旅

t f B! P L

 いよいよ2024年の大晦日、12月31日のお話になります。紆余曲折に右往左往な群馬への旅の3日目は、どこでなにをしていたのか。我ながらもうずっと昔のことのように感じています。

半分泥なんです

 さて、旅の3日目なんですけど、なぜかわかりませんがほとんど眠れなかったんです。

 こういう時に無理に寝ようとするのもなんですから、この旅のことを覚えているうちに書きとめてみたり。夜食に鴨南蛮そばを食ってみたり。

 結果2時間にも満たないくらい、ちょっとうとうとしただけで、そこからは眠れないまま朝の5時になりまして。

 あたしの体質がちょっと面倒で、基本は多分夜型なんだと思います。とにかく朝に弱いんです。

 眠れない、もしくは変な時間に起きちゃったりした場合、じゃあいっそ諦めて起きていようとするのですが、6時を回った瞬間から自分でもビックリするくらいの眠気が襲ってくるんです。

 まぶたが重くなってあくびが止まらなくなって、理性で抵抗しなければあっという間に寝てしまうであろう状態になるのね。自分でも意味がわからないくらいの。

 その日もキッカリ6時を境に急激に眠くなりまして。

 もうちょっと待てば朝食バイキングの時間だよ…

 それに今日はチェックアウトの、日、じゃん…

 …散らかし、ちらかした荷もつをまとめるじかん… いる… よ ね… 

 …

 …ん?

 寝ちゃってた?

 寝ちゃってたね。気がついたら8時すぎていたと思います。寝ちゃってたなぁ…

 朝スッキリ目覚めるかたには想像もつかないかもしれませんが、脳も身体も一切動かない感じ。目覚める前は泥だったんじゃないかと思うくらい。

 前世が泥なのか。もしくは泥があたしになってる夢を見てるか。どっちにしても泥っぽい。そのくらい起きられないってことです。

 それでもどうにかこうにか泥から人間へ身支度をして、朝食バイキングの会場まで行って、のそのそと朝ごはんにありつきましてね。

 昨日は色々並んでる中から、とろろ&卵かけご飯って取り合わせに魅力を感じてスルーした、朝カレー。今日はそっちだろと思って。

 でも脳はまだ半分泥なんです。

 半泥状態でバイキング会場にあるでっかい炊飯器からカレー用のお皿にご飯を盛ったら、なんかしらないけどやたらいっぱい乗せちゃって。

 しょうがないからバランスを取ってカレーも多めにして。

 朝からこんな食う? っていう。

 でもカレーもほどよい辛さでゆっくり完食しましてね。お口直しと目覚めのための缶コーヒーを買って、そろそろ引き払わなきゃならない部屋へ戻ってきました。

徒歩の旅のためのカバン

 旅をするのにカバンをふたつ。

 大きめのボディバッグと、小さめなんだけど意外と物が入るボディバッグという取り合わせで、今回はここまで来ました。

 大きい方は使ってる感覚としては、ストリートファイターⅡのリュウが持ってるズタ袋ってわかりますかね。円筒状のただただ頑丈そうな袋ひとつで世界中を彷徨い歩くっていう。ある意味ミニマルの極みっていうか。

 ズタ袋とは色も形も違うんですけど使用感としてはそれに近くて、デカい荷室とデカいポケットで構成されてる感じ。

 今回2泊で支度したんですけど、薄手の服とインナーと洗面用具とかの小物だけ突っ込んだら8割埋まるくらいのサイズ感でした。

 それと、財布とか常備薬とかモバイルバッテリーとかを持ち歩くための小さめのボディバッグ。

 こっちは拡張ポケット的なイメージで、欠かせないな物がすべて入ってピッタリっていう感じ。

 どっちも、いずれ徒歩の旅で使おうと思って買ったやつで、今回このセットで運用したら結構しっくりきまして。

 いつもの車の旅では、たぶんこのふたつの中間くらいのサイズ感のボディバッグをひとつ持っていくのがベストかなと思ってます。着替えとかは車に積んでいきますしね。

 でも、公共交通機関利用の徒歩の旅だと、すべて持ち歩かなきゃいけない。かといってキャリーケースをゴロゴロ引いて歩くのは好きじゃなくて。

 キャリーケースを全否定するつもりはないんですけど、やっぱりちょっと仰々しいなと思っちゃうんですよね。もうちょっとで行商人な感じっていうか。荷車引いてっていう。

 気が向いた方に行きたいっていうのがあたしの旅なので、とにかく身軽に最小限にしたいっていうのがあるんです。

帰ることになるかもしれず

 着替えとかを入れてあって移動中は基本開けないカバン大と、必要な物を入れたカバン小のコンビ。

 これは特にめずらしくもないパターンだと思いますけど、あたしの感覚だとカバン大でしっくりくるのが案外なかったんです。

 キャリーケースは野暮ったい。ボストンバッグとかは手が塞がっちゃうし、リュックもなんかこう旅をさせられてる感じがするのね。

 あたしの思う旅って日常とシームレスというか、散歩の延長っていうか。今日はちょっと遠くまで散歩してんな、ドライブしてんなっていう。

 歩いてたらバスがきたな、どこまで行くか知らないけどじゃあ乗ってみるか、みたいな。新幹線ってのがあと15分で出発するの? え、空いてるんだ、じゃあ乗るかくらいの感覚なことなんですよ。本来は。

 どういえば伝わるか手探りなんですけど、がんばってパッキングして、あらかじめチケットも取って乗換案内を凝視してスケジュールを組んで行って帰って来るのは、旅っていうより旅行って感じで。

 なんでしたっけ、トラベラーとツーリストの違いってのがあるみたいで。

 ツーリストってのは帰って来る前提でプランがあって旅をする人、みたいなニュアンスがあるらしいんですね。

 対してトラベラーってのは行ったきりっていうか。帰ってくるかどうかわかんねぇ旅みたいな。

 なんかそういうのを聞いたことがあるってだけで、ホントかどうかは知りませんけど。

 あたしの場合はそれでいうところのトラベラーに相当寄ってる、寄ってるっていうかむしろトラベラーっていうより、ハイカイーですよね。もしくはサマヨイー。

 徘徊とかってさ、行く気はあるよ。帰る気はないよっていう感じでしょう。その、病気とかで外に出ちゃう人もいるから、深刻な悩みでもあるからさ。そういうのはまた別としてね。

 旅に出る前は行くことしか考えてないの。どうやって帰ろうかってのは旅の途中で思うことで。まず旅に出ようっていう。話はそこからみたいなのがあって。

 だから行きについては多少なりとも調べたりするんです。でもねぇ、帰りとなるとモチベーションが出てこないの。作業なんだもん。

 どうやったって帰れるだろうみたいな。それより今日どうしようか。そんなことの方が気持ちの中で支配的っていうか。

 この日もそうだったんです。

どろぐ

 何度も書きますけど12月31日ですから。

 一応、年末年始は家にいようと思ってます。その気はあるの。2024年のお正月は地震があってお正月感ゼロだった、そのリベンジをしなきゃならないと。

 もうだらんだらんの。ぐでんぐでんのお正月じゃなきゃいけないと。だってこれから先あと何回お正月があるか、そろそろ今年が最後かもという思いもあるわけです。歳を重ねるとね、そう感じざるを得ないわけ。

 なんでしょうね、お正月からそういう暗い話をするんじゃないよ。そういうのは書くもんじゃないの。

 で。

 一応、帰るつもりはある。

 あるけど、この日も何度か、いやもう帰らなくてよくねってなってるんですけどね。

 どっかホテル空いてるんじゃねって。ぶっちゃけ今いるハナホテルにもう一泊できるかきいてみる? ってなってるから。

 いや待って。さすがに。さすがに帰るか。

 でも、別に急いで帰らなくていいよね。朝イチから帰る必要はないよね。今日中に家に着いてればいいよね。

 そこでグーグルマップを開いて、今日の作戦会議がはじまりました。

 グーグルマップには、行ってみたいと思ったポイントにチェックをしておく、ってのをやってまして。

 例えばツイッター。あたしゃ頑なにツイッターで通しますけど。年寄りが未だに松下電工っていう感じ。まだ海砂利水魚って呼んでるよっていう。

 まあまた話がそれるよ。長くなるよ。ここまでだって、よくわかんねぇカバンの使い分けの話にそれて、そっからさらに旅ってなんなのっていう話にそれてるからね。

 最終的にハイカイーとか言い出してるから。なに、ハイカイーって。ブログまで徘徊しなくていいんだよ。筋道立てて話しなさいよ。読者の皆さまが着いてきづらいだろうがよ。

 着いてこないなら置いてきます!

 あの、スーパーで駄々をこねてる子供に向かってお母さんが言うやつね。

 スーパーに入ると同時に親の手を振りほどいてダッシュで駄菓子コーナーに行って座り込んで動かない7歳の息子に向かって、最初はほらいくよーとかそういうトーンなんだけど、一気にマジギレして去っていく時のやつ。細かすぎて伝わらないやつ。あの感じで読んでもらえると。

 だからこういうのが要らないんだって。

 でも消さないよ。書いたんだから。書いたっていうか脳からドロっと出てきたのをそのまま文字にしてるだけだから。脳ドロ系ブログ。こんなのブログじゃなくてドログですよドログ。

 今しかこんなの出てこないんだから。しょうがないよね。出てきたんだもん、脳から。

 で、なんだっけ。なんの話してたっけ。

 あーその、グーグルマップに印をつけておくっていう話か。で、ツイッターでっていうところまでか。

 …その、一応きいていい?

 よく読んでるよね。

 このブログをよくここまで読んでるよね。もう体裁を整える気のないこの話をよく読んでるよね。

 どうもありがとう。

 いやマジで。普通はもうバツを押してページを閉じて時間を返せってなっててもおかしくないからね。

 あの、まだ書きますから。もうちょっと読んでってください。

そばうどんの自販機

 で。

 ツイッターとかインスタとかで見かけた、ちょっと気になる場所をグーグルマップ上でチェックしておいて、旅してて近くに寄ったら行ってみようみたいなのをやってるんです。

 その中で歩いていけそうな位置にチェックが入ってて、そこが自販機食堂っていうところで。

 昔ドライブインっていって道の駅とかが整備される以前にあちこちにあった、休憩場所というか。長距離の運転手の人とかがそこで休んだり飯食ったりするようなさ。

 今じゃ相当減ったと思うんですけど、そういうドライブインに、うどんの自販機とかが置いてあったんです。

 今の時代、食べ物系で自販機っていうと餃子とかさ、ラーメンとかスイーツ系とか、あちこちで見かけるようになったじゃないですか。あとは袋に入ったスナックなんかの自販機が、ホテルとかフェリーの中とかに設置してあったり。

 そのドライブインに昔あったのは、今あるような物がただ出てくるやつじゃなくて、その場で食えるように調理して出てくるんです。

 要は、お金を入れてボタンを押すと自販機の中でおわんの中にうどんが入ってて、そこにお湯が入って湯切りしてつゆをかけて出てくるの。もちろんその場で食えるやつ。ちょっとすごいよね。

 あたしが昔そういうのを利用したっていう経験は実はなくて、どっちかというと高嶺の花だったイメージで。

 こういう自販機ってゲームセンターにも置いてあったりして。

 あたしの通ってた当時のゲーセンは、今あるようなデートでも行けちゃうようなところじゃないよ。

 そこも基本は無人で、ゲーセンのゲーム機が置いてあって、電源が入ってないの。やりたきゃ電源を入れてお金を入れて勝手にやって的な。

 たぶん節電ってことなんだろうけど、客がいなかったらほぼ廃墟と同じっていうか。商売っ気のなさがすごいよね。

 そんな店でも飲み物とかの自販機はさすがに電源オフってわけにはいかないから、そっちはちゃんと買えるんだけど、その一角に自販機のうどんそばみたいなのがあって。

 こっちはさ、ゲームがやりたくて来てるじゃない。まだ子供ですよ。1回50円のゲームを、せいぜい3回とか。よくて5回もやるのが精一杯なわけ。

 そこに置いてある、当時いくらしたのか覚えてないけどうどんの自販機って、高嶺の花なわけですよ。

 たまにさ、大人がそこでうどんを食ってるのを見かけたりするんだけど、ああいうのってすげぇ美味そうじゃん。今食ったら多分たいしたことないんだけど、少なくとも当時の自分にはそう見えたのね。

 だから、あたしにとっては懐かしいっていう感じじゃなくて、あるのは知ってるけど今でもあるんだ、機会があったら見てみたいなっていう温度感のものなんです。

徘徊開始

 そんな自販機のうどんが置いてある、その名も自販機食堂と言う名のお店があるとネットで見たんだったかなにかしらで知って、グーグルマップに印をしておいたのを思い出しまして。

 今いるホテルの前の通りにあるバス停からどうやら最寄りまで行けるっぽいというのがわかり。そこからちょっと歩けば辿り着けるらしい。

 じゃあ、伊勢崎市の南側に移動してそこから高崎の方に戻って来て、新幹線で帰るっていう流れにしようか。

 いや待てよ。

 わざわざ高崎まで戻るより、県境を越えて埼玉県の本庄早稲田駅の方が近いじゃん。そうしよう。

 それなら、自販機食堂からまたバスに乗って本庄駅まで行って、そこから徒歩で本庄早稲田駅まで歩くってのはどうだろう。それいいな、そうしようっと。

 今思えばですけど、ただただ帰りたくなかったんだと思います。

 普通、帰る方向に歩いてって疲れたらバスとか電車とかに乗ってそのまま帰るっていうのが自然っていうか、そうしますよね。

 帰らなきゃいけないっていう現実と向き合えないっていう、その時はそんな意識はなかったんですけど、今思えばそういうのがどっかにあったんだと思うんです。

 だから、あれだよね。こうやってブログとして旅を振り返るって自分にとって大事なんだなって思うよね。旅してる時は心理的にも正常じゃないからさ。どうかしてるから。その時は気がつかないの。

 だからこの時もまだ、気がついてないんです。

 で、ハナホテルをチェックアウトしましてね。お世話になりました。

 ホテルのすぐそばにバス停があるんです。北本庄行きだったか本庄行きだったか、確かにそんな路線名だったと思います。

 初日に伊勢崎駅からそれに乗ってホテルまで来た時は、そのバスで終点まで行くことになるとは思ってませんでしたけど。

 で、ホテルを出てバス停の方をちらっと見たら、なんかその、どう言えばいいのか。

 あんまり近寄りたくない系のおじさん? いやまだお兄さんくらいかな。そんなのが二、三人立ってるわけ。

 バス停の他になんにもないから、あたしが乗ろうとしてるバスに乗るんだろうけど。

 そういえば、とりあえずバスに乗ればいいやってことで何時に来るのか調べてなくて。

 つまり、あのバス停でしばらく一緒に並ぶことになるでしょう。なんかもうアレな感じのグループと一緒に。

 それはヤダなってことで、マップで見た限りでは大した距離でもないしと、本庄に向かって歩き出したんです。

 もうね。

 ホテルを出て2秒で予定が変わってるっていうか、そもそも乗り継ぎの検索すらしてないから予定とすら言えないんですけど、その漠然としたのですらもう変わっちゃってるから。

 それでその、てくてくと歩いていくんですけど、ホントに快晴で。数日前には大雪の街にいたんだってのが思い出せないくらい。

 いや、あれか。その大雪と向き合いたくないっていう深層心理みたいなのがあったのかもね。

 それでとにかく太陽を浴びておこうっていう感じで、のんびり歩いてて。大晦日の午前中ですよ。街も静かなもんでさ。休日感がすごいんだ。大人の休日倶楽部ってこういうことかと思って。

見知らぬ神社

見知らぬタイマッサージ

 それで、確かグーグルマップじゃこのまま道なりだったよなぁと思いつつ歩いてると、ポツポツと店が通り沿いにあってね。

 そのうちの一軒が遠目にもスーパーマーケットっぽい。

 朝から駐車場には車もたくさんあって人も行き来してるから、この辺にお住まいの方々が普段使うようなお店なんでしょう。そこそこ店内も広そうだってのが近づくに連れてわかってきまして。

 もちろん吸い込まれていきますよ。こっちから吸い込まれにいってます。

スーパーマーケット巡り 

 旅先でスーパーマーケットを見かけると立ち寄るようになったのはいつからだろう。

 結局その、観光地へ行くっていうことも楽しいし面白いんですけど、どっちかっていうとその土地のよそ行きじゃない日常の方が見たいってのがあって。

 観光地ってよそ行きのものでしょう。こういうところがあるよって聞きつけて、わざわざ遠くから来た人たちが大勢いる場所だから、自然とよそ行きになっていくわけで。

 そういうのにあんまり興味がないっていうか。

 だからって、商店街主催のちいさなお祭りにずかずか入っていって神輿を担げるわけもねぇっていう。そうじゃん。そんな馴染めないよ。

 前回のブログにもちょっと書いたけど、外から中の様子が見えないような店に入るのは勇気がいるじゃないですか。

 今まで明らかに盛り上がってたのに、ドアを開けて入った瞬間シーンとなる。

 何だこいつって感じで常連たちがジロジロと見てきて、店のオヤジも今日は満席なんでってガラガラなのに言ってくるような感じかもしれないじゃん。

 あるからね。実際、そういうこともあったからね。

 あの、お風呂の浴槽にお湯をためててさ。

 今じゃそんなのも少ないけど、給湯器に温度表示とかなくて。お湯をとにかくためてみて熱すぎたら水を足してっていう感じの古いタイプのお風呂で。

 ある程度お湯がたまった時にそっと指を入れてみて、熱いかなぬるいかな冷たいかなって感じでおそるおそる指先を入れてみる。

 あの感じ。

 あたしが旅先でスーパーマーケットに行くのはあんな感じなんです。

 いきなりコアな常連しかいない居酒屋は熱いに決まってんじゃん。

 混ざれるかな、混ざれないかなって。今は余所者だけど混ざりたい気持ちがゼロではないの。むしろ、旅してきたけどここが終の棲家になるかもしれないじゃんって、自分の中のどっかで思ってるフシはあるのね。

 その街の湯加減を探ろうと思って一番行きやすいのがスーパーっていう。

 こんなの売ってるんだ初めて見るな、こんな遠いところで水揚げされた魚が売ってるんだ、お惣菜もこういう感じか、店員さんも若い人が多いなぁ、あのおっさんウチの近所にもいそうなツラ構えだなぁ。

 そんなのが垣間見える場所って他にあんまり思いつかないよね。

 あくまで行きずりの他人がやることだからさ。勝手に来て勝手に見て、勝手に想像することだから。それで色んなことを考えて、それが楽しいっていうか。

 そういうのが、あたしが旅を続ける要素のひとつだったりしますね。

ワッフル

 それで、そのスーパーに入ったんですけど。

 行ったらだいたいちょっとでもなにか買うことにしてまして。

 記念ってことでちょっとした物を買って、レシートを写真に撮ってってのをやってまして。

 で、どうしてそうなったのかまったく覚えてないんですけど、こんなのを買いまして。

ワッフル
ワッフルワッフル(いちご&ブルーベリー)

 なんか朝からときめいちゃって。このワッフルにときめいちゃってさ。

 朝から買い物かごにスイーツを入れちゃって。どうした。いったいどうした。

 あとちょっとしたお土産にチーズケーキも買ったわ。買ったはいいけど、チーズケーキには専用の袋がありますので、ってレジで言われてさ。

 普通のレジ袋にワッフルと、いかにもお土産でございって袋に入ったチーズケーキをぶらさげてまた旅に戻ったんだけど。

 そのワッフルをさ、どうしたらいいかわからないわけ。スーパーを出た瞬間に魔法が解けちゃってるから。ときめきがもうどっか行っちゃってんの。

 それで仕方ないからさ、歩きながらフタ開けて食ったよ。

 いないよ、そんな人。

 もういい歳だぜ。

 ワッフルにときめくのまではまだいいよ。

 ワッフル食いながら口の周りに生クリームついたまま歩いてる大人なんか、それも大晦日にさ。そんなやついないよ。

 そりゃ遊園地とかさ、そういうはしゃいだ場所にはいるかもしんないけどさ。少なくとも伊勢崎にはいないって。すれ違った自転車のおっさんが二度見してったんだよ。いないって。

 それで、そのまま徒歩でとりあえずの目的地だった自販機食堂に着いたんですけどね。

 なんだろう、お腹が空いてないよね。

 よくよく思い返すと、朝カレー食ってるんだよね。なんか大盛りになっちゃった朝カレー食ってんの。

 もちろんバイキングだからさ。置いてあるんだ。ボイルのソーセージとかさ卵焼きとかが置いてあるの。ご自由にどうぞって感じで。

 食ったよ。ちゃんといただいたよ。

 そんなのさ、ここまでのんびり歩いてきたくらいじゃ消化されないって。

 自販機食堂の店内でうどんのボタンを押す気にならないのはなぜだろう、ハッ!

 …朝カレーを食べている…

 ハッ、じゃねぇよ。さっきワッフルもふたつ食ったろうがよ。

バス停にて

自販機食堂

 自販機食堂からトボトボとバス停に戻りまして。

 次のバスが20分後というのをそこで知りまして。

 うん。

 ちょっと落ち着こうと。

 そもそも伊勢崎から本庄まで、群馬県から埼玉県まで歩くってなんだ。しかもその道をバスが通っているのに。

 たまにはバスに揺られて行くのもいいじゃないか。なにをわざわざ歩いているんだ。

 それに歩きたいなら、本庄までしかバスが行かないから、そこから新幹線駅の本庄早稲田まで歩けばいい。そこは距離もそれなりだし、なにかめっけもんがあるかもしれないじゃないかと。

 で、バス停でその、待つわけです。

 20分ほど。

 あー、ここでワッフル食えたなー

 そう思ったくらい、だーれも通らないね。

 車は通るけどさ。たまに自転車に乗ったおばさんとかが、バス停と一体化してるあたしの横を通り過ぎていったりするけど、基本だーれも通らない。他のバス待ちの客もいない。

 そりゃそうだよね。普通さ、バスを利用したいなら時刻表を調べるもんね。その時間に合わせて来るよね。行き当たりばったりで来るから、20分も待ったりするんだよ。

 それにつけても、乗換案内アプリが優秀でさ。ローカル路線のバスの年末年始運行までちゃんと組み込んで案内してくれるんだもんな。

 ただ、こっちが使い慣れてないってのと、時刻表を見て乗り継いでっていうことそのものに不慣れなんですよね。

 Suicaと、バスの運賃用に小銭さえあれば、行き当たりばったりでもどうにかなるだろうっていう感じもあるしね。

 そうだ、Suicaにチャージが必要だったな。忘れてた。

 これが面倒で、どうやらSuicaを何度か利用した実績がないと、クレジットカードからのチャージ金額に制限がかかるらしくてね。

 これもエラーメッセージの番号を見てどうやらそうらしいなっていうだけで正確なところがわかってないんですけど。

 一応、普段使ってるaupayとSuicaを連携させてて、そっちからチャージすることが可能なんです。

 それにこんな旅のしかたですから、Suicaが使えるなら路線バスから新幹線までそれで払うのがラクすぎて。できればそこそこな額をチャージしたいってのもあり。

 そうなると、少なくとも新幹線に乗る前にローソンかセブンイレブンに行って、まずaupayにチャージしてからモバイルSuicaにチャージするっていう段階を踏まなきゃいけないってことで、次の目標が決まったんです。

本庄早稲田駅が本性をあらわした

 バスに乗って埼玉県に入りまして。まさかのですよ。群馬には行くつもりだったけどさ。ここは埼玉かっていう。

 本庄駅を降りて徒歩で本庄早稲田駅っていうさらに南方向へ徒歩で向かいましてね。

 だんだんお昼くらいですから、ホントにあったかいわけ。あまりにあったかくて、チャージに寄ったローソンでついでにアイス買って食ってるから。

 それでSuicaのチャージもOK。いざ新幹線で帰ろうか。ずいぶん歩いたよ。もう充分。

 それに今から帰れば、年末で営業時間が短いであろう駅前のスーパーに間に合うだろうと。年末年始の食い物を確保した状態で、なんならバスを1本遅らせて駅前で旅の終わりを祝して一杯ひっかけてから家に帰るなんてこともできちゃいそうだと。

 で、本庄早稲田駅に着いたんだけど。

 駅で、次の電車を確認したら、帰る方面の新幹線があと2分で出るってなって。

 いや待ってくれと。

 そんなに慌てなくてもいいだろうと。こっちはここまで、午前中ですでに約1万2千歩ほど歩いてるの。今からダッシュで新幹線に乗るのは無理だって。

 次のに乗ればいいよ。どうせ1時間に1本くらいはあるでしょう。

 んで、乗換案内アプリを出して、ここで初めて自宅の最寄りのバス停を到着地にして、要は寄り道なしでまっすぐ帰るルートを検索したんです。

 そしたらなんかしらないけど、いったんバスに乗って本庄駅に戻って、そっからどうにかして高崎に行くのが一番早いみたいになってるのね。

 は? と思って。

 いくつか提案してくる乗り換えパターンもだいたいそんなで、料金が高くていいなら次の長野行きの新幹線で高崎まで行って、そこから乗り換えろみたいなことを言い出すわけ。

 え?

 ともかく時刻表を調べると、乗りたい方面に行く次の新幹線が17時とかになってるの。

 そうなんだよ。本庄早稲田って長野方面へはそこそこ便があるんだけど、上越新幹線はそんなに止まらない駅なのな。

 知らないから。

 知らないし、こんなノープランもノープラン。ノーノープランプランの旅、旅っていうか徘徊じゃない。徘徊プランプランじゃない。

 自宅まで一気に行くような乗換案内をするっていう発想がないわけ。

 それでさ。

 人もまばらな、だだっぴろい本庄早稲田の駅構内のベンチに座ってさ。

 あー、ここでもワッフル食えたなー

 そりゃそうだよね、ワッフル食うくらいしかやることがないんだもん。

善光寺で初詣ルート

 でね。

 さすがにここで17時までは時間が空きすぎると。

 じゃあまた歩いて本庄駅まで戻るか。

 いや待てよ、長野へ行くのはいくつもあるんだろ。

 …長野に行っちゃう?

 もうそれでよくない? 今から長野経由で帰ろうと思えば帰れるんじゃないの? それか長野で一泊して善光寺で初詣してさ、手打ちそばでも食って年越せばいいんじゃないの?

 いやいや待て待て。

 家に帰ると、出かける前に鍋にしようと思って買ったお肉があるんだよ。読んでるあなたも思い出して。もしくはこっちから先に読んだんなら、ふたつ前の記事に書いてっから。

 確か今日が期限のお肉があるんだよ。一緒に入れる用の野菜もなんか買ってある。冷蔵庫にはかろうじて入れた。冷凍はしていない。

 てゆーか、冷静に考えればなんで旅に出るっていうのに鍋の具材なんて買ったんだろうね。大雪で外に出るのが危ういからって、別にお惣菜とか買い込んでおけばいいのにさ。

 買ったんだろうね、じゃないの。誰も知らねぇっての。

 まあ細かいことをいえば、長野に宿があるのかとか、そもそも大雪が嫌で太陽の出てる街に行きたかったのに、長野なのかとかさ。

 結果ね。

 もう歩きたくないと。

 チャージも充分してあるし、このまま新幹線で前橋までひと駅分だけ行って、そこから乗り換えて帰ろうっていう。

 急に贅沢な感じの。

 いや別に、旅費を削ろうと思って歩いてるわけじゃないから。旅先で歩くのが楽しかろうと思ってのことだから。

 自分の無知でわざわざ遠回りになる駅まで来ておいて、歩いて戻るとかはもう罰ゲームでしょうよ。贖罪の旅になっちゃうから。

とりとだるまと 

 んで、前橋に出て。

 そうだ、お土産でも探そうと思って、改札からいったん出ましてね。駅ナカのお店を見回ったんだけと特に惹かれるものがなくて。

 で、駅を出てしばらく歩いて回ったんだけど、さすが大晦日だよね。やってないね。お店がぜんぜんやってない。

 てゆーかね、薄々気がついてるの。

 もう旅モードじゃなくなってるの。帰る、しかも心のどこかでは帰りたくないけど色々考えると帰るのが正解か、っていうモードになってるの。

 なんだかんだ愚痴を書いてますけどね、トータルすりゃあ旅は楽しいんだ。こんなに長々と3本も記事を書くくらい楽しいの。

 でもそれがもう消えてて、楽しめなくなってる。だからお土産とかを見て回っても色褪せちゃって見えるのね。

 これを書いてる今だったら、駅ナカのオサレなカップルとかが行き交う通りに、だるまが並んでるだけでももうすでに面白いけどね。

 なんか若い子たちがキャリーケースをガラガラ引いて現れて、このだるまかわいくなーい? って言ってるその感じが今ならもうかなり面白いんだけど、その時はいや別にだるまですけどって心の中で思ってたから。

 その中でも唯一、美味かった駅弁があって。

 ネットで見たんだったかで知ってた、登利平のとり飯弁当。竹と松があって、竹が780円だったか800円だったかで。

登利平のとり飯

 これが派手な味付けじゃないんだけど、もうひとつイケそうなくらい美味くて。駅の構内のそれっぽいところでササッと食べたんだけど、マジで夕ご飯用にもうひとつ買ってこようと思ったくらい。

 でもそうだ、鍋を作らなきゃいけないんだ。

 なんだろう。仮出所感っていうか。もともと作りたくて食材を揃えたのに、もう罰になってるこの感じ。帰ったら刑に服さなきゃっていう。

新幹線を見送って

 今回はJRのタッチでGo新幹線っていって、モバイルSuicaなら利用登録をしておけば、新幹線の自由席でよければ改札でスマホをピッてやるだけで乗れますよっていうので帰ろうと思ってるから。

 次の新幹線の自由席があるのに乗らなきゃいけないわけ。

 ただ、全席指定の新幹線の方が便数が多いらしく、使ってる乗換案内アプリはそれで詳細検索的なことができないっぽくて。

 時刻表を見たら自由席のある新幹線が、あと10分で出るってことで、改札でスマホをタッチして乗り場まで行ったんです。

 新幹線が来ました。

 自由席に乗り込む乗客の列はまあそれほどでもって感じなんだけど、滑り込んできた新幹線が超満席なの。

 通路も立ってるお客さんでいっぱいで、なんなら乗り降りのドア付近までびっちりお客さんがいるから、駅に着いてドアが開いたらドア前に立ってる客がいったん外に降りないと奥にいる客が降りられない、みたいなことになってるの。

 …見送ったねー

 いったん見送ったよね。それは手に負えないっていう。

 で、もう改札をピッてやって通り過ぎてるからさ、今から指定席ってわけにもいかないわけ。

 いや、調べてないよ。鉄道マニアの人なら、もしくは西村京太郎ならここをこうしてこうって感じで、今の状態からでも指定席に切り替える方法をご存じかもしれないけど、それももう面倒ってなってるから。

 きっと、次も混んでるよね。

 多分、その次もまだ混んでるよね。

 だって大晦日だもんね。帰省客、いっぱいいるよね。

 あれか、いったん東京駅に行って。始発のいっちばん前に並べば自由席でも座れるんじゃね?

 それも大変か。だったら長野に行ってもよかったってなるか。

 次のに乗るか。つらいけど、でも時間にしてそんなに長い時間乗るわけじゃないし。

 当然、次のもド満席ですよ。

 乗ったよね。車両と車両の間の空間に、埋まるようにして乗ったよね。ちゃんと酔い止めは飲んだよ。絶対体調がひどくなると思って。

 乗ってる間に思ったのはさ、この状態と、大雪かつ積雪の峠道を越えるのと、どっちがいいかと聞かれたら答えに困るかなぁって。

 でも誰も押し黙って騒がないもんね。みんなすごいよ。何処に行くか知らないし、もう二度と出会うこともないけど。

2024年の終わりに

 降りるべき駅で、ペッと吐き出されるようにして降りて。頭痛もひどくて、ちょっと休んでみたりして。

 その間に乗換案内を見たら、家に向かうバスが10分ほどで出発するらしく。

 へとへとだよ。もうグッタリだけど、とにかくそれに乗ろうと思ってバスターミナル的なところに行ったんです。

 で、時刻表を見るんだけど、乗換案内に書いてあった時間にバスがないわけ。

 てゆーか、そもそも時刻表自体がいくつかあって、その中でも付け足したみたいに貼ってある、年末年始の運行みたいなやつが最新っていうか今日のやつっぽいのね。

 どうやら、乗換案内はその年末年始用のスケジュールに対応してないらしくて。

 いや、今までがちゃんとしすぎてたんだって。そういうのにも対応して、乗換ルートを表示してたから。それに安心してるこっちが悪いんだって。

 本来は、今は年末年始で普通と違うぞっていうのを強く念頭に置いて旅をするのが、正しいっていうか自衛手段としてはそうあるべきなんだよね。

 行き当たりばったりの旅なんかしてる方がどうかしてるんだって。

 まだ20分くらいあるの。次のバスまで20分。

 さいわいなことに雪は降ってなかった。

 雪じゃなくて大雨だね。

 バカみたいに寒いよね。

 駅前のスーパーに寄るには時間的に微妙だね。一杯ひっかけるのも微妙だね。

 しょうがないからさ。

 ちょっと離れた自販機であったかいペットボトルのお茶を買ってきまして。ポッケに入れましてね。

 待ったよね。20分。

 まわりのお客さんたちはぬっくぬくの服装ですよ。こっちはつい二時間前までぽかぽかの群馬埼玉にいたからさ。それに合ってる服装だよ。昼間アイス食ってたんだから。

 超満員の新幹線に自ら閉じ込められに行く刑が終わったと思ったら、まだあったね。極寒の屋外で20分待ての刑。

 2024年も終わるというのに、罰がまだあったのね。

 なにしてんの? あたしゃいったい、なにしてんの?

 

 そんなだよ。そんな年末だったよ。

QooQ