結局ね、予定なんか立てたって仕方ないんだって。そういう星のもとに生まれてんだと思うんです。もうどうしようもないの。
なにこの、のっけから愚痴から始まるやつは。まあね、そうなるんですよ。そうなるの。
二本の足
どこから話せばいいんだろう。
今思えば色んなフラグっていうか、そんなものが降り積もって重なってその結果、旅に出たなという気がしています。
その中で現時点から一番遠いのは、あれかな。靴を買ったことからかな。
靴を買ったんです。
靴なんてさ、そんなに何足も持ってたって仕方ないじゃないですか。足は二本しかないんだから。右がスニーカーで左が革靴ってわけにはいかないんだから。
靴をいくつも買うとしたら、TPOに合わせてってことだと思うんですよ。スーツに下駄ってわけにはいかないし、ウェディングドレスにゴム長ってわけにはいかないでしょう。
めっちゃ車高を下げて排気音がやたらうるさい車からは、白のジャージにキティちゃんのサンダル履いたヤンママが降りてくるべきでしょうが。ドレスコードってそういうことでしょうよ。
それでね。
TPOっていっても、そういう形式張った場所だけじゃなくて、気候季節にも合わせますよね。
どこに行くにもスニーカーって人もいますし、年中そんなのでいい地域もあるでしょうけど、あたしの今いる場所は雪国でして。
前回のブログでも書きましたけど冬はホントに寒いの。そして雪が積もる。冬はクロックスじゃ無理な地域なんです。
だからといってゴム長もさ、さすがにちょっとなっていう時もあるじゃないですか。毎日毎晩、八甲田山バリの雪中行進をやるわけじゃないから。
雪が少なくなった街を歩くには、対大雪仕様フルアーマーかんじき雪道強行踏破型Type-Rみたいな靴は、やっぱり歩きづらいんです。
かといってスニーカーじゃ濡れるし水がしみてくる。
そうなると、防水なんだけど脱ぎ着しやすい、多少の悪路でもオッケーで、できれば滑り止め的な靴底になってる冬靴があってもいいなということになるわけです。
でもさ、これはあたしの考え方の問題なんだけど。
足は二本じゃん。それ以上増えないじゃん。
なのに靴ばっかり増やしたところでどうすんのって思っちゃうの。だから、真冬用のブーツとその他の季節用のスニーカーとかサンダルくらいしか持っていなかったんです。
そんなあたしに天から降ってきたのが、某靴専門チェーン店で使える20パー引きクーポンでした。
魔法のクーポン
20パー引き。
この世にこんなに甘美な響きがありますか。これに勝るのは「半額」くらいでしょう。
だって、一万円の靴を買ったらニ千円引きですよ。あんまり物を持たないあたしでも、さすがになにか買ってもいいんじゃないのって思わせるパワーがありますよね。
で、買うとしたらさっきも書いたような、いわゆる足元のお悪い中を歩く時用の靴を持っててもいいんじゃないのとなりまして。
ただね。
結局、半分忘れてたりして、その靴専門店に行けたのが11月の終わりだったか、ともかくクーポンの有効期限の日だったんです。
みんながみんな、クーポン目当てってことはないでしょうけど、やっぱり冬を前にして準備をしようってことなのか、店内にはまあまあお客さんがいまして。
売り場も冬靴メインになってるの。キッズからレディースからみんな冬用の靴を推してて。お客さんたちも思い思いに試着してるわけ。
よーしお父さん、かっちょいい長靴買っちゃうよ的な。ママはガン無視ですよ。さっさと買って、回転寿司に連れてけオーラの強いこと。
そんな家族連れを横目に、こっちもウロウロしてたんですけど、売り場の目立つ位置にあったKEENの冬靴が目に止まって。
あれ、これはいいんじゃないの。
自分のイメージしてる冬靴に当てはまってるなと思って。とりあえずお値段を見るとジャスト一万円だっていうんです。
一万円ですよ。
普段、ワークマンのニ千円くらいのサンダル履いてどこでも行っちゃうあたしの足に、一万円ってさ。
でもね。
持ってんだ。こっちは20パー引きクーポンを持ってんだよ。
八千円ってことか。KEENのなんかよさそうな靴が八千円。
まぁいけなくはないよ。ワンチャンあるよ。清水の舞台から目をつぶってジャンプして複雑骨折するくらいの覚悟があれば買えなくもないよ。
いやーでもなぁ、と思って通り過ぎた先に、ノーブランドでもないけどそんなに聞いたことのないメーカーの、履きやすいを思いっきり全面に出してる靴があって。でもCORDURAのタグがあるし防水だし、作りもしっかりしてそうなのね。
なにより六千円。
クーポンの適用条件てあるところの「五千円以上の靴を買った時」をクリアしつつ、20パー値引きすると五千円以下で買えちゃうと。
こっちじゃね？ いや、こっちだ。これにしよう。
買ったよね。
普段二千円の靴が関の山だってのに、その相場の倍以上の靴とか買っちゃったよね。
でもクーポンがあるもんね。
QR決済で買うと自動的に適用されるから、いちいちクーポンの画面を見せたりしなくていいやつなんだもん。超スマートじゃん。時代の最先端じゃん。テクノロジーの最前線じゃん。
それでさ、その日は大雨で。
店を出てダッシュで自分の車まで行って、中に入って。その日も当然のようにサンダル履きだったんだけど、こっちには買ったばかりの防水対応の靴があるから。うってつけのやつがあるから。
で、ふとレシートを見たんだけど。
六千円って書いてあんの。お支払いが。
あれ？ と思って。
クーポンの適用がされてなくねって。
で、クーポンの画面を見たら、ご利用枚数の上限に達しましたって書いてあるの。
要は、クーポンは配布しますと。ただし、全国津々浦でクーポンが使われていって、ある一定の枚数が累計で使われたらそこでストップだと。
多分だけど利用期限の最終日だから、全国のあちこちでクーポンを使う人がいたんじゃないの。少なくとも買い物の前日まではそんな表示はなかったしさ。
クーポンが自動適用だからさ。
その当日はそんなの見てないわけ。靴を買いに来たんだもん。靴を見てますよ。クーポンは別に見せなくたっていいんだもん。そんな画面見ないよ。見ませんよ。
六千円って。靴に六千円って。
だから何度も言うけど足は二本しかないんだって。本降りの雨の日とか、中途半端な雪の日にしか履かねぇんだって。年間365日で6日くらいしか履かない可能性あるんだって。
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| 多分未公開な写真を貼っておけば年末だからいいじゃん的な |
歩いて旅に出るために
今年は妙に買い物をしてまして。
なるべく物を増やさないっていうことにしてるので、なにか買おうと思った時にけっこう考えるんです。本当にいるのか。なくても困らないんじゃないか。
物を増やすと果てがないと思ってて。
どこまでいっても増え続ける。今後そんなに長生きしない可能性もけっこうあるし、買っても数回しか使わないとかなら、別になくていいかなっていう気持ちがあって。
なのに、今年はちょいちょい物を買ってまして。
ブログに書いたのでも、ビクターの開放型イヤフォンとか買っちゃったし、前回のノンオイルヒーターもそうだし、カバンも買ってるし。スマホも買い替えたな。
で、靴も買っちゃったでしょう。
でも、イヤフォンとか全然使ってないわけ。熟考して、いいと思って買ったのに。全然なの。
普段は車移動が多いので、そこでは使わないでしょ。家にいてもスピーカーで聴くから使わないでしょ。
じゃあなんで買ったかっていうと、徒歩の旅、散歩といってもいいけどそのためにだったりするのね。
自分の中では歩くっていうスピード感は旅の時にけっこう大事で。旅の風景とか出来事の見落としがない速度って、歩く以外にないと思っててね。
その時に、音楽を聴いていたい。それも環境音と聴いている音楽が混ざって、それがすごく深く刺さる時があるからなんですけど。
なんでもない街の雑音、例えば踏切の音とかとその時聴いてる音楽が混ざる時に、なんとも言えない気持ちになることがあって。
そういうのが、ただただ旅することだけでは生まれないものだったりするから。
だから、車移動以外で音楽を聴くためのイヤフォンは、あたしには必須なのね。
でも、買ったはいいけどそういうシーンはなかなかなかった。これが事実で。
その寂しさ？ 虚しさ？ 手の届かなさ？ そのどれでもないやつが、ここ最近ずっと、心の底に降り積もってたんたと思います。今思えばですけど。
車移動じゃない旅に出たい。
そういうのがずっとどっかにあったわけ。そうすれば、イヤフォンも、さっきの冬靴も、カバンだって出番がある。報われるんじゃないかって。
じゃあ行けばいいじゃんとお思いかもしれませんけど、これが簡単じゃなかったんです。
まず休みが少ない。あっても日頃の疲労を回復させるので精一杯だったりして。
そして、この身体の問題。
時系列が行ったり来たりしますけど、今まさに旅に出てまして。ホテルのベッドの上でペチペチと入力してるんですけど。
襲ってくるんです。身体の不調が襲ってきやがるんです。
めまいに頭痛、人混み耐性の低下によるストレス、件の流行り病で刷り込まれた衛生意識からのちょい潔癖みたいな症状。急激な腹痛。
そんなのがあるなと。知ってましたから。てめぇの身体ですからね。旅に支障が出るだろうと知ってましたから。
じゃあってんで、それなりに対策をしてても、ちょっと無理な時もあるだろうと。そういう時に車移動ってまだマシなのね。自分のペースで休んだり停まったりできるから。
公共交通機関での移動だと、それがまったくできないの。電車に乗ったらやたらと降りられないし、車の中というパーソナルスペースも存在しない。逃げ場がないわけ。
それで旅ができますか？
大雪が予定をくるわせる
できるんだよ。
てゆーか、やるの。やるのっていうか、出ちゃったんだよね。旅に出ちゃったんだもん、やるしかねぇっていうか。
その、土曜日かな。年末の最後の土曜日。28日。
ようやく仕事納めとなりまして。その日だって緊急対応的なことで最後の最後まで色々あっての、ようやく冬休みとなりましてね。
その前の週あたりでは思ってたんですよ。土曜だって多分半日で終わるから、それから色々準備したり家の片付けしたりあれもこれもって思ってた。
でも、土曜の仕事が終わったらもうグッタリしちゃってさ。べろーんって布団に横になって。気がついたら寝てて。
しかも今シーズン初の大雪で。
ガン降りですよ。除雪とか間に合わないレベルのやつで。これは街まで買い物に行くとか無理だなっていう感じの。
しょうがないから、仕事終わりで近所のスーパーにどうにか辿り着いて。鍋とか今日明日くらいまでは食えそうなものを作ってやり過ごすしかないかなってことで、食材を買って。
で、その大雪になる前の段階で、マッサージの予約を29日の日曜日にしてたんです。いつもお願いしてる先生が、多分人気なんだと思うけど結構前から予約しとかないとすぐ埋まっちゃうのね。
今年のうちに一回どうにかしてもらわないと、つらくて仕方がないっていう状態で。
予約を日曜の午後にしてたんだけど、それとは別に、それもクーポンだったかポイントの有効期限だったかなんかに引っ張られて、マットレスを通販で買っちゃって。
なにが熟考して買ってます、だよね。突然、財布の紐がゆるくなってんの。もしくはストレス解消的な心理もあるかもだけどさ。
で、マットレスも圧縮梱包ってやつでぎゅっとなってるらしいんだけど、あたしがいつも使ってる宅配ロッカーサービスの中に入らないサイズなの。
だから家で受け取らなきゃいけないんだけど、土曜まで仕事だから受取を日曜の午前中にしてたのね。
つまり、日曜の午前中は荷物待ち。そして午後はマッサージの予約ってスケジュールになってると。
これで日曜は半分以上埋まってるのに、その上にもう行こうってなっちゃって。旅に出ないと魂が滅んじゃうってなったもんだからさ。
年明けに出かけるのは、当初は年末年始が大荒れみたいな予報もあったし、そもそも年始も色々混雑しそうだし。
それに2024年のお正月は地震でお正月気分じゃなかったってのもあって、おうちで過ごすお正月的なのがずーっと消化不良だったってのもあり。
じゃあ年内だと。
そしたらもう29日から31日しかないと。
かつ、大雪予報も現実になって、いよいよ車で真冬の道を走るストレスと、逃げ場のない公共交通機関移動のストレスを天秤にかける時が来たんです。
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| 年末特別未公開写真を貼ってごまかせごまかせ的なやつ |
ふたつのプラン
そしたらさ、みっけちゃって。
年末に良さげな宿をみっけちゃって。
良さげっていっても、高級旅館的な良さじゃないよ。値段と場所と設備のバランスが良さそうなってことなんですけど。
予約ボタンを押そうとして、やっぱり待ってよく考えてってのを三回くらいは一応やったんだよ。一応さ。三回やれば熟考でしょうが。旅なんてのはそんなもんだって。
それで、29日の日曜日の夜から連泊で宿を押さえちゃって。
それで、その、もうねぇ…
ここまでがワンセットなんだけど。
マットレスも欲しかった、マッサージだって受けたかった、旅にだって出たかった。全部ウソ偽りのない本心なわけですよ。
でも、その予定のギッシリ感でもう嫌になっちゃってんの。全部まるっともういいよってなってんのね。家で寝てたいってなってんの。
予定なんて立てちゃダメなんだって。それを遂行するんだと思うだけで逆にダルくなるんだもん。
だって、前日の28日、土曜日はグッタリして、買っておいた鍋も作らずにお茶を濁すみたいな夕ご飯でやめちゃってるしね。
だからって今から鍋にしたって旅に出る前に食いきれないからさ。お肉は冷蔵庫に入ってるの。年末は鍋だよ。多分そうだよ。チンゲンサイとかもなんか知らねぇけど買ったしさ。
で、もうひとつややこしいのが、じゃあ車は止めて公共交通機関でってなった時に、家からバスとか電車のアクセスがどうにも悪いわけ。
もう田舎も田舎だからさ。バス停は近いっちゃ近いんだけど、大雪なんだもん。普段なら歩いても数分で着けるのにこの雪でどうなるかわかったもんじゃないのね。
そうなってくると、今度は服装の問題が出てくるんです。
要は真冬の吹雪いてる中を歩けるような靴だったり上着だったりを着なきゃいけないと。この前買った冬靴じゃなくて、雪道でも行けるようなやつじゃないと無理なんじゃないか。
でも予約したホテルは伊勢崎なんだぜ？
晴れてるって。天気予報じゃ関東方面なんかカラッとしてんだ。そこにTHE・雪国って感じの、もっこもこの上着とゴム長みないなので行ける？
で、もっとややこしくなるんだけど、マッサージの予約をしてるじゃない。
お店はJRの駅から歩いて行けなくもない距離なんです。だからバスに乗って駅まで行って、そこから歩いてマッサージのお店に行くという手もあるの。
大雪じゃなければね。
で、マッサージは午後イチくらいに予約してるんだけど、家からバスで駅まで行ってそこから歩いてマッサージのお店に予約した時間までに辿り着くには、午前中のこのくらいの時間には自宅を出なきゃいけませんってのが決まってくるじゃないですか。
なのに、配達時間を午前に指定したマットレスが届きますと。受け取るためには家にいる必要がありますと。
つまり、午前指定の荷物の配達が、バスのリミットの時間までに来た場合と来ない場合のふたつのルートが考えられるんです。
リミットの時間までに来たとしたら、歩いて最寄りのバス停まで行って、それに乗って駅に着いたら徒歩でマッサージ店まで行く。これが一番無駄がない、プランＡ。
仮に来なかった場合は、いったん駅付近のマッサージのお店に車で行って、終わったら自宅に帰ってきてあらためてバスに乗って駅まで行くことになると。これがプランＢという感じ。
なにこれ。なにこのめんどくさいやつ。誰が予定立てたんだよ。あたしだよね。
旅支度
で。
大雪ですよ。ド雪ですよ。レミオロメン言うところの、どかぁぁぁゆきぃぃぬぇですよ。
ここで気がつくんだけど。
普段これといって特別に旅支度をしないし、忘れ物防止で一応リストを作っててそれに合わせて準備すればいいようになってるんです。
そのリストに抜けがあって。
折りたたみ傘、いるんじゃね？ って。
だって雪だもの。
プランＡが、徒歩でバス停に行ったり駅付近のお店まで行くやつなんだから、めっちゃ歩くわけ。
傘があったほうがよくね？
駅とそのマッサージのお店を往復することになるんだよ。
上着のフードじゃ間に合わない感じのが窓の外で延々と降ってる、あれが羽毛布団ビリビリまき散らし大会の決勝戦でもやってんなら傘なんかいらないよ。
てゆーか、その大会にはなるべく近寄らないほうがいいけどね。布団という布団をビリッビリ破かれるから。着てるダウンベストだってビリッビリにされっから。
もうひとつあって、濡れたままの傘をどうするの。新幹線とか電車に持ってくわけでしょ。
混んでるぜ？ 年末の電車とか多分混んでるぜ？
じゃああれか、マイクロファイバー仕様の傘カバーみたいな、濡れてもすぐ吸収されます的なやつもあったほうがいいのか。
それを売ってる店を探してる時間なんてないよ。かといって帰省の時期で混雑してる新幹線とか電車内で、そんなの持ってるのもなぁ…
そんなことに気がついて、色々調べててこれだと思ったのが、宅急便。ヤマト運輸のサービスが最近アップデートされてて、クロネコメンバーズってのに登録してると、自宅受取の際に置き配を選べるようになってて。それも玄関前に置いてとか管理人さんに預けてとか色々選べるようになってるのね。
これを今からやっておいて届いたマットレスを置き配にしてもらえば、受取のために家にいる必要がなくなるじゃんね。
ただし、ずっと外に置いておくわけにもいかないし、中身が圧縮梱包のマットレスだからいったん開封して、復元しておきたいんです。そうすれば旅から帰ってきたら新しいマットレスで新年を迎えられるっていう、もう完璧なやつですよ。
そんなのを土曜日に、色々おっぱじめる前の日にやってたんです。
出発の日
そりゃあね、朝はもちろん起きられませんよ。
結局、折りたたみ傘を買いに家を出たのが日曜の10時前なんだもん。
とりあえず出たのはいいけど、プランＡのバスのリミットが11時半とかなのね。その時間までに行ってこれる場所にある、折りたたみ傘と濡れないような傘カバーが売ってる店の目星がついてないんです。
ホームセンターにならありそう、と思ってるんだけど、この雪であちこちの道路では絶賛除雪中という感じで、車の流れも悪いわけ。
これはホームセンターまで行ったら時間的にバスに間に合わないなということになり、じゃあとりあえずコンビニに行けばあるんじゃねと思いつきまして。
で、急遽コンビニに行ってみたんですけど、これが正解で。
折りたたみ傘にしては大きめで冬の荒れた天気でもだいじょうぶそう。かつ、吸水性のある傘カバー付き。
おまけに包装のビニールがファスナー付きで、使ったあともそこに入れておけば周りが濡れる心配もない、っていうのがコンビニに置いてあったんです。
すごくない？ リサーチなしでここまでピッタリなやつが置いてあるコンビニに行くの、すごくない？
さらには、ホームセンターへ行くという時間もカットできて、余裕を持って家に戻ってこれたんです。機転がきいてる。普段はのべぇーっとしてるけど、あたしだってやる時はやるんですから。
でも、今度は荷物が来ない。バスの時間は刻々と迫ってるけれど荷物が来ないの。
プランＢの、車でマッサージに行ってまた戻ってきてってのがあるからいいけど、いいけれども、そうすると折りたたみ傘いらなかったよねってなるわけ。置き配にわざわざ変えたりもしたもんね。
プランＡが発動する可能性があったから、傘は必要なんだよ。なんだけど、結果いらないかもってなると、じゃあこの一連の右往左往はなんなのよってなるじゃん。コンビニに飛び込んで折りたたみ傘があったー！ みたいなの、あれなに？
結局、荷物が来たのはバスの時間の6分前とかで、中身のマットレスを出して広げてから歩いて行ったら間に合わないということになりまして。
ようやく旅路へ
プランＢの発動でございます。
車でマッサージのお店まで行っていったん家に戻ってから、バスであらためて出発するっていう動きなんですけど、これはこれで時間がけっこうタイトでして。
ホテルのチェックイン予定はかなり遅めにしてあるから、出発が多少遅れたくらいじゃ問題はないんですけど、午後になると今度は家から駅までのバスの本数がグッと減るんですよね。
マッサージにかかる時間と家まで戻ってくる時間を考えると、最速で乗れるバスはかなりギリギリな感じ。で、その一本後のバスは一時間以上遅くなるんです。
で、マッサージのお店に聞いたら予約時間のちょい前から入れるっていうことになり、そこで積年の疲れをガッツリほぐされた後、年の瀬の挨拶もそこそこに車で家まで帰ってきたと思ったら競歩みたいなスピードで雪のない場所を選んで歩くという。
どうにかバス停に着いたのが発車3分前っていう。
えーと、ここまでも書いてないけど細かく色々あったんだよ。ネタにしないと浮かばれないやつがいくつかあるんですけど、珍しく端折ろうと思ってるのは、ここからが大変だったからなんです。
結果ね、服装は雪国仕様じゃなくて、裏地がぬくぬくなパーカーを羽織って、件の冬靴っていう感じにしたんです。着替えの入ったカバンも背負ってるし、上着の脱ぎ着とかが面倒だろうと。
で、ついに活用できる開放型のイヤフォンをつけて、バスに乗って駅まで行きまして。
この感じ。
徒歩の旅に出るこの感じっていつ以来だろう。かなり新鮮で。これをやりたかったっていうか、ようやくできたっていうか。
不安はあるよね。そりゃああるけれども、なんだかんだと支度もしてあるし、どっかで見切りをつけて歩き出さないとっていう。
なにより、移動がラクなんだよ。真冬の峠とかを運転しなくていいんだもん。雪道でスリップしたりブレーキ踏んでも止まらなくて焦ったりしなくていいんだもん。座ってるだけでいいんだもん。ラクに決まってんだよ。
帰ってもいいですか
でね。
JR東日本のモバイルSuicaのサービスで、タッチでGo新幹線とかっていう、自由席ならスマホひとつで新幹線に乗れますよ的なやつで新幹線に乗り込みまして。
新幹線に乗るのも久しぶりかもしれない。車内もまあまあ空いてて快適だったんです。
ここまで色々あったけど、やっぱり旅に出てよかったなって。車を使うばっかりじゃなくて、電車バス新幹線みたいなのを乗り継いで行くような旅を、これからもうちょっと増やそうかななんて。
で、高崎駅で降りまして。
ここからはバスを乗り継いで、予約したホテルがある伊勢崎まで行けってナビアプリが言うもんですから、その通りにするんですけど。
そのバス停の位置がイマイチよくわからない。
いや。
そんなことより、ちょー寒いの。
とっくに日も暮れて、気温0度近いんだ。南の方の生まれなんだろうなっていう外国人観光客の人なんか、両腕で我が身を抱きかかえるようにしてガッタガタ震えてるの。
それなのにミニスカートの娘さんとか平気で歩いてんだぜ。どっちも同じ人間ですよ。意味がわからないって。
駅前を歩いてる人の格好を見てもさ、これは少なくとも上着はいつもの防寒着でよかったんじゃないの、って思い始めてるんだけど、とりあえずバスの乗り場を特定するのに凍りつく高崎駅の周りをぐるっと歩く羽目になりまして。
確かに車の運転に比べて電車バスは移動中はラクだよ。
でも降りたら歩くんだよ。外気温0度だろうが歩くしかないんだよ。
で、バスを乗り継ぐことになるんだけど、スマホをいじってるうちにうっかり乗換案内アプリを閉じちゃって。
そのせいで降りるバス停を間違って。
冷え切った群馬の知らない街を履きなれない靴で延々と歩く羽目になったり。
乗るバスを間違えてみたり。
仕方なく乗る予定にないバスを待ってみたり。
ホテルの周辺に飯を食うところはおろか、コンビニすらないというのに気がついて、慌てて乗り換えの10分ちょいの間に近くのスーパーで買い物したり。
…あのね。
帰ろうかなって。
もう旅とかやめようかなって。
そうなるって。いい大人が夜になって気温0度の知らない街で屋根すらないバス停に突っ立ってたらそうなるって。このまま立ってたら、あたしがバス停になっちゃうんじゃないかって思えてくるんだから。
でもホテルを取ってあるから。近くまでは来ちゃってるから。徒歩の旅のために靴もイヤフォンも準備してあるから。かなり本気で帰ろうかなと思ってるのに進むしかないっていうさ。
てゆーか、居酒屋とかがあればとりあえず飛び込んであったまりたいとすら思ってるのに、ないよね。こういう時はぜんぜん見当たらないよね。
それで、ホテルに着くまでにはもう完全に凍えちゃってて。解凍したてのマグロみたいになっちゃってて。フローズンにもほどがあるっていうか。
ホテルの部屋で暖房が効くまでの間、頭痛と腹痛とで体調がぐっちゃぐちゃになっちゃって。
それでも大浴場の温泉につかったりして、どうにかこうにか体調も戻ってきて。ホントに温泉付きのホテルにしてよかったと思ったよね。
それで、潰れるようにして寝たのが旅の初日のことでした。
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| 投げっぱなし投宿 |
…まだ初日だけだよ。ここまで一万文字使って、まだ初日だけだよ。
あと2日あるからね。この調子であと2日あるんだからね。
そんなだよ。
予定なんて立てたってね、結果こうなるんだから。
そんなだよ。そんな。
