雪。降ったねぇ。
もうさ、毎年言ってるじゃん。10年に一度くらいの寒波とかってニュースになるじゃん。ボジョレーヌーボーの出来栄えくらい言ってるじゃん。
だからそういうので逆に慣れちゃってるっていうか。10年に一度って聞き慣れちゃってるからさ。そうは言うけど、そうでもなくね? ってなってっから。
で、今シーズンの雪は一回、どーんと降ってから、あとはしばらくなんにもなくて。
むしろちょっとあったかいくらいの陽気だったのね。だから、もうこのまま降らないんじゃないですかねーみたいな話も、世間話でそんなふうになってたんです。
寒波の中を
そこにきたよね。
あの大雪の年と同じくらいの寒波だと。
お約束っていうか。コントだとこの流れで出てくるのはヘッポコなやつじゃん。
だがやつは四天王の中でも最も弱い。ククク、我らの中では足手まといなやつよ… 的なことになるじゃん。でもそいつらもあっさり、やっつけちゃったりするじゃない。
もう、そういうのが頭に入ってるわけ。
で、ここ数年の寒波って、一日とか二日とかでピークアウトしてって、そこされ耐えきればなんとかなる感じだったんです。
今回のは長いの。何日にも渡ってずーっと雪。強弱はあるけどずーっと降ってる感じ。そりゃあ除雪も間に合わないっていう。
うちの近所とかまあまあ田舎ですから。住宅街で融雪装置が働いてても道路の雪が溶け切らなくて、車道の道幅は車1.5台くらいしかなかったりするんです。
歩道は基本埋もれちゃっててないんだけど、ここ数年で普及したのか、それとも町内会レベルで買ってるのか、除雪機で歩道を確保してるのを見かけるようになってます。
除雪機って言ってもなにを指してるか、特に雪が降らない地域の人にはピンとこないと思うんですけど。
あれですよ、クジラの潮吹きみたいな感じで、上に向けたノズルから雪を高く吹き上げてる赤いマシーンとか、テレビで見たことないですかね。
ああいう除雪機とか、あと農機具ってなぜか赤だよね。カラーリングが赤なイメージ。ガンメタリックとかないよね。パステルカラーのやつとかないじゃん。
さすがのキティちゃんも除雪機とコラボはしてないんじゃない? キティちゃん仕様の除雪機とか見たことないもん。キャタピラにキティちゃんが描いてあるの見たことないもん。
毎度おなじみ、本文とは一切関係のないキングです |
その日暮らしの果てに
それで、大雪で。
仕事にも影響が出るし、日常生活でもパンとか売り場にほぼない店とかあるしね。宅急便とかも遅れてるし、そりゃそうだよなっていう猛吹雪だったり道路事情だったりするからさ。
とはいえ、こっちは家にずっとこもってられる暮らしぶりじゃないっていうか。
いやね、備蓄とかは多少はありますよ。外出とか無理ってなるレベルの大雪になっても、一日二日くらいしのげますとも。おかゆだってあるよ。カップ麺もパスタもある。缶詰もなんかひとつくらいあんだろ。
でもそれは本当の本当に緊急事態用のやつっていうか。
基本、その日暮らしを続けてここまで来ちゃってるっていうのが、もう染み付いてるから。
だから、その日のエサはその日に確保する感じ。だから、野良犬と一緒だよね、生き方が。ドングリを隠してとっといたりしないっていうか。冬眠するために食いだめしたりもしない感じ。
でもそこはさ、多少なりとも環境に適応できてる部分もあって。
大雪で道路事情が悪いとなったら、比較的除雪とかが行き届いてる道を覚えてたり。
そういう時でも物があるスーパーにアタリをつけてたりするんです。
旅に出た時もそうで。
あたしの旅って、特にここ数年のはそういう傾向にあるんですけど、あちこち移動しまくるような行程にならないんですよね。どっちかっていうと、ある地域に滞在することが多くて。
で、その範囲でこんな店があるんだこんな道があるんだ、こう行ってここから入るとなるほどこの界隈に出るんだね、みたいなことを面白がる風潮になってて。
そこで特徴めいたもの、例えばこのスーパーのチェーンは魚が得意そうだとか、こっちは日用品の品揃えがいいなとか、この店は遅くまでやってるなとか、そういうのを覚えていくとその地域を知った気になるっていう。
もちろん付け焼き刃で、こっちが勝手に盛り上がってることだからさ。そんな、その地域の風土だとか歴史だとかまで入っていくのも野暮だろうよっていう。流れ者だから、こっちは。
でも、視点としてはそうで。
だから、自分なりにそんな目で見て、その日暮らしを続けられるようにしてるっていう部分はあって。こっちの店は仕事で遅くなってもお惣菜が残ってる、みたいな。
だからやってることは、やっぱり野良犬と一緒なんだよね。あそこに行けばエサがあるぞっていう。嫌なやつがいない、落ち着く物かげがあるぞっていうさ。
ノイルヒートを一ヶ月使ったら
そうはいっても、やっぱり大雪とかで道路事情が悪いってなると、外に出るのは億劫になるんです。ただでさえ、不要不急の外出は避けましょうって言われてるんだから。
あたしなんて、たいてい不要不急のことしかしてないんだもん。外出してやってることが、半額シールの貼ってあるうどんあったー! っていう。
今どき冷凍のうどんも安くて美味いのにさ、わざわざ出かけていってレンジであっためるタイプのうどんを買ってるのもよくわかんないわけ。
でね。
家にいる時間も長くなると、暖房をつけてるわけですよ。ぬくぬくしたいじゃん。さすがに。外はびゅーびゅー吹雪いてんだぜ。
で、ちょっと前のブログで、エアコンが調子悪くて、コロナのノイルヒートっていう暖房器具を買ったって話をしたんですね。
要は、ノイルヒートっていう暖房器具のなかにフィンがあってそれを加熱することで空気があったまると。それが上昇気流を生み出して部屋の空気が徐々にあったまっていくみたいな仕組みの、比較的新しいジャンルの暖房器具なんです。
それを買ってから約一ヶ月。使ってみましてね。
12月半ばに買って、年が明けて。何度も書きますけど大雪の日もありましたし、氷点下になった日もありました。
この期間を、エアコンが不調なのでノイルヒートだけで乗り切ったんですけど、要は求めるあたたかさってことだなと。
エアコンにと比べると、部屋がガンガンにあったまっててTシャツ一枚で冷凍庫からアイスでも出してきて食うか、っていう感じのあたたまりかたを求めるなら物足りないと感じるんじゃないかな。
でも、例えばあたしみたいに、冬なんだからそれなりにあったかい格好すりゃあいいし、そもそも暑がりで寒いのは多少なら問題ないっていう人なら充分だと思います。
この一ヶ月は、旅に出て家を空けてた日以外はほぼつけっぱなしにしてたんですけど、寒い外から帰宅するとふんわりあったかい感じ。
例えばなんかこう、帰宅するなりあつあつのおでんのスープを上からザッパぁぁってぶっかけられるっていうよりは、あなたお帰りなさい寒かったでしょぎゅっ、みたいな。そういうあたたかさ。
いや待て待て。
おでんぶっかけちゃってるけどいいの? 例えとしてだいじょうぶ? 普通、寒い時におでんぶっかけてあったまる?
あとは、灯油とか燃料を燃やすわけじゃないので比較的火の心配をしなくていいし、温風が出ない代わりにゴーゴーうるさくもないし、個人的にはマジでいいなと思ってたんです。
電気料金の請求を見るまでは。
Say Q Show
率直に書きますと、前年同期比で電気の使用量は倍以上になりました。金額ベースでは3倍でした。
前年の同じ期間はエアコンのみで、家にいる時はつけっぱなし。仕事などでいない時は消しておくみたいな使い方だったと記憶してますが、一ヶ月で一万円ちょいの電気料金でした。
今月は三万円オーバーです。
ささささんまんえん!?
ってなりましたよ。ウェブで電気料金の明細が出るんですけど、ささささささってなりましたから。
いやまあね、ちょっと覚悟はしてたんです。
コロナのノイルヒートは、ノンオイルヒーターっていうジャンルの暖房器具なんですけど、これらは万能な暖房器具ではなくて、メリットばかりじゃないよって。電気料金的には高めになるってのは知ってたので。
もうひとつ、ノンオイルヒーターの特性として空気をあたためてできた自然な気流によって部屋をあたためるので、部屋全体が適温になるまでの時間が長いってのがあって。
そうなると、部屋にいない時はスイッチオフにしておいて帰ってきたらスイッチオン、即ぬくぬくもふもふわーいわーいっていう使い方はできないなってなるわけ。
要は数時間の間外出してて部屋にいないけど、つけっぱなしにしておいたほうがいいかなって気になってくるっていうか。
いったん部屋が冷えてから、適温になるまでに時間がかかるって思うとそうなっちゃう。
ノンオイルヒーターの特徴としてもういっこあるのが、スイッチを切ってもちょっとの間はまだあったかいんですよね。要はヒーターの中のフィンみたいなものを加熱して空気をあたためるので、オフにしてもしばらくは熱が残ってる感じというか。
そういうのを利用したエコモードみたいな機能もありますし、すぐあたたまらないものだってのは作ってるメーカーもわかってるわけで、例えば時間帯を設定すると自動でオンオフしてくれるプログラム運転とか、タイマー機能がけっこう充実してるんです。
でもね。
あたしだよ?
あたしがそんな、ハナっからそんな機能を使うと思う?
買ってきたソース焼きそばがあんまりだなってなると、平気で上から醤油をかけるようなやつですよ?
朝ごはんがゼリーで昼ごはんもゼリーみたいなやつですよ?
そりゃあもう、つけっぱなしと書いたらホントにつけっぱなしですよ。スイッチオン、よしっていう。
もうちょっと細かいことを書いておくと、電気料金のプラン的なこともあって。
平日はほぼ家にいないのね。夜も遅いわけ。
だから料金プランも平日の昼間は割高だけど、夜間や休日はそのぶん安いっていうのにしてるんです。
それが平日の昼間もつけっぱなしってなれば、料金が高くなってもそりゃそうだよねっていう。
あとは、コロナのノイルヒートの適正な空間よりも広い場所で使ってるってのもあると思います。確か10畳用なんですけど、置いている部屋はもうちょっと広いので。
だから、料金を見てささささささってなったけど、まあまあそりゃそうかっていう。もっと賢くやればそこまでの金額にはならなかったのかな、とは思ってます。
さすがに毎月さささ三万円は払ってられないので、今はタイマー機能を使って仕事に行く前にタイマーセット、ド残業して帰宅する頃にはちょっとあったかいくらいの感じになるように調整したりってのをやり始めました。
これでどのくらいまで料金が下がるか、様子見ですかね。おそらくちゃんとやれば、エアコンのみの時よりちょっと高いかなくらいでおさまるんじゃないかっていう予測なんですが。
自分なりのバランス
あとは結局、なにを価値観のメインにするかってこととバランスの問題じゃないですか。
電気料金をとにかく抑えるってのを主にするなら、極端な話、暖房は使わないってことになっちゃうし。
部屋が乾燥しまくってもいいですよ、重い灯油タンクをせっせと持ち運ぶのも仕方ないと思えばそうすりゃいいし。
真冬の北海道じゃ間に合わないかもしれないけど、もっと南に住んでて年に三ヶ月くらいお世話になるくらいならこれで充分ってこともあるでしょうしね。
あたしは気に入ってるよ、ただし電気料金には注意っていう感じですかね。
そんな感じで、日々はもう雑に生きてるんです。ホント雑。
大雪だったら家で鍋でも作ってりゃいいじゃんね。そうはならないの。吹雪の中をレンジであっためて食えるものを探しに行くのよ。
マメに細かいところまでケアして丁寧に、ってのは無理なんだって。性格的にもそうだし仕事してる時間的にもそうだしさ。
で、さっきもちょっと書いたけどバランスの問題ってことになるの。
元々が極端な人で、なんか気に入ったものがあれば延々とそれにかまってるし、嫌なものはやらないしかかわらないっていう。
とはいえ、あんまり極端なのもなぁってことで、例えば食生活が雑なんだったら栄養剤的なの飲んどく? とかさ。
疲れ果ててボロボロだったら、お金はかかるけどマッサージとかでケアするか、とかさ。
破綻ギリギリでバランスを取ろうとはしてたりするのね、一応は。
ただ、そうやってコントロールしようみたいに意識が働いてはいるんだけど、一番制御しづらいのが睡眠なんです。
今も午前5時4分、これを書いてるのがその時間なんですけど、早起きしちゃったわけじゃなくて1時半くらいから眠れてないのね。
こう書くとなんかつらい感じに受け取るかもしれないけど、そこまで本人はつらいとは思ってなくて。休みの日とか、見るに堪えないくらいグータラだから。
あれ、泥かな? 人間かな? 泥かな? くらいにはグータラなんだから。
バランスはそんなので取れてんだと思う。
とはいえ、一日単位で見ると眠れてないってのはちょっとはダメージがあるわけ。今日もこれから苦労するんだろうなと思うんだけど、寝れねぇものはしょうがないじゃん。
で、睡眠改善みたいなドリンク剤も飲んだりするんだけど、そんなに効果がある感じじゃなくて。
じゃあもう、あれだ。寝床をどうにかするかってことになり。
マットレスを買ったんです。一万円くらいかな。高反発の分厚いやつ。
もともと腰もよくないので、ふにゃっとしたのは苦手で。かといって板みたいなのに寝るのもキツいじゃん。
でも、よく考えたら車中泊とかはそんなに苦じゃないんだよね。なんとか眠れるんだけど。
でもまあ、家にいて寝るのにはそういう硬めのマットレスがいいなとは思っててね。
で、ある程度の厚みがあったほうがいいのかなと思い立って、10センチ厚の高反発マットレスってのを買ってみて。
これが思いのほかよくて。
硬いんだけど、鉄板みたいな硬さではなくてしっかり支えてくれる硬さというか。寝てても違和感はないんです。
確かにさ、たかだか自分ごときが寝るところに一万円払うっていうのは、どうかと思うよ。そんなご身分ですかっていう。
ただ、今のこの仕事のやたらハードモードな感じがまだまだ続くとなると、前の方で平日はほぼ家にいないって書きましたけど、家にいる時はほぼほほこのマットレスの上でぐったりしてるのね。
ここで寝てるか、座椅子の上に座ってるか。マジでそうなんだもん。膝を抱えて壁に向かって体育座りしてたあたしにセイグッバイですよ。
だから、いいよね。一万円。いいよね。
そりゃあさ、ポンと一万円出したわけじゃないですよ。
夜中にスマホを見つめて。
マットレスをカートに入れて、ポイント使いますかで、あるだけ突っ込んで200円引きクーポンも使いますかハイにして、いややっぱりやめますってカートから削除ってのを5回はやったよ。
一万円だよ?
電気代が三万になると知ってたらこんなの即やめですよ。フローリングにゴザ敷いて寝てりゃいいんだよ。捨て損なってる通販のダンボール箱とかあるだろうが、あんなの敷きつめときゃあいいんだって。
部屋の空気をあっためるのに三万円つかって寝るところに一万円出すとか、正気の沙汰じゃないって。車中泊の時は三千円の寝袋に厚着で朝までぐっすりなんだぜ?
散財ブルース
いやでもね。
確かにそうなんだけど、そのオイルヒーター、ノンオイルヒーターか、それだって本体価格はそうとうしたんだよ。旧モデルとかでちょっと値引きされてたけどさ、いい値段だったの。
でも、使ってみたらよかったわけ。マットレスもそう。
要はバランス。今日は何回かこのワードを書いてるけど、バランスなんだって。なんでも極端なんだから、あたしゃそうなんだから。
確かにお金は減った。そりゃあもう減ったよ。半額のお弁当で日々暮らしてんだぞ。旅先で450円のバスに乗るか歩いていくかで小一時間悩んだりするんだぞ。
でも、どこに投資するかっていうか。そんなおおげさじゃなくても、なにかを失うけど得るものはあってそれで多少なりとも前に進むとかさ、後退しないとかさ。
それならいいじゃんと思うのね。
で、今日はもう散財したっていう話の流れだから、もうひとつ書いちゃうんだけど。
マッサージに行ってきまして。
マットレスも買いました。睡眠改善みたいなも飲んでます。それで寝ても回復しないの。びっくりするくらい。
特に首肩腰のコリというのか、重だるさ。いや、首肩にいたっては痛みも出てるし、腰はもうギックリ常習犯だからさ。
あと腕ね。ふくらはぎも相当ヤバいし。足の裏も固いって言われる。
…なんかこう、あらためて書くと、あれだね。全部だね。
もうさ、パーツ交換してほしい。ジャムおじさんにちょっとがんばってもらって、新しい腰も焼いてほしい。
銀河鉄道999の世界だよね。機械の体にっていう。メカあたし。でも、そう思っちゃうくらい、まーこのわがままボディがわがままなわけ。
で。
いつもお願いしてるマッサージの先生は、けっこう人気があって。マッサージのウデもいいし、よくしゃべる方で施術中もどっかのカフェでお茶でもしてんのかっていうくらい、ずーっとしゃべっててそれも嫌いじゃないのね。
だから人気があるのはよくわかる。
ってことは空いてないの。こっちの休みの日に予約が取れないこともままあるんです。
でも、あたしの首肩腰は、もうヤダもうムリもう限界としか言わないわけ。三重苦。苦の大三角形。肩をいったん外してぶんぶん振ってもう一回付け直したいっていう。
そうなってくると、他のマッサージとか整体とかそういうところを新規開拓してみようっていう気にもなるわけ。
こっちは追い詰められてっから。そりゃ医療行為はしないと知ってるし、ホントに完全に治したいなら極端な話、仕事を辞めるとかさ、環境を変えるとかまで考えないとってなるのもわかってる。
わかった上で、その場しのぎを選択してるのね。根本からやり直そう反省しよう生まれ変わろうっていう人はそうすりゃあいいよ。あたしには無理だ。
とはいえ、目についたマッサージとか整体とかに片っ端から行ってみてってわけにもいかないじゃん。
さいわいというか、ネットの予約サイトを経由すると、初回の施術はサービスしますよ、初めてのお客さんには通常のお値段よりお安く、体験版的な感じでいいですよっていうお店もそこそこあるのね。
それでもけっこうなお値段するけど、それもバランスでさ。料金をケチって変なところに行っても後悔するなんてのは、この件に限ったことじゃないっていうか。
安いところにはそれなりの理由があるってのも、経験則として知ってるし、あとはお店のウェブサイトとかを見に行ってちょっとでも違うなと思ったらそこは候補から外そうみたいな。
それで絞っていくと、行けそうなお店ってなかなかないんです。通うことも考えるとアクセスが悪いみたいなのもマイナスポイントになったりして。
あとは、いわゆるもみほぐし的なタイプのお店はあちこちにあるから、今まで体験したことのないような施術をしてくれるところがいいなとも思ってて。
そうやって、あるマッサージ店に辿り着いたんですけども。
古い街をストリートビューで眺める
これがねぇ、なんていうか変わってて。
詳細まで書くと、あの、こっちは貶めるつもりはないから。施術されて確かにちょっと良くなった感はあったから。
だから詳細までは書かないけど、これはっていう感じ。
まず、予約サイトで見っけて、そこを予約しましてね。
で、場所はどのへんだろうって地図を見てみたんです。そうすると、地方でもけっこう小さめな街の中でも、おそらく古い町にあるんだなぁって。
あの、地方って昔からある通りとか商店街とかがあって、そこからちょっと離れたあたりにでかい道路ができてその周辺が開発されて発展して、みたいな構造じゃないですか。そういう感じわかりますかね。
その古い方の町。
今回行ったマッサージ店は商店街ではないんですけど、古くからある町じゃなかろうかっていう一角に、どうやらあるらしいなと。
ビルが、あっても二階建てまで。木造の家が並んでて道幅も狭いような感じの町並みを想像してもらうといいんですけど。
で、あたしの家からはけっこう遠くて。
そうなると車で行くので、駐車場があるかどうかが気になるんです。そういう町だから、郊外にできたでかいショッピングモールとかと違って、どこでもザックリ停められるって感じじゃないと思うのね。
で、その予約サイトの情報を読んでいくと、店舗前に1台分停められるってなってんの。
それで、今は便利になっててさ。ストリートビューでかなり細かいところも確認できるじゃん。
その店の前もストリートビューで確認できるんだけど、まず店の看板が映ってないのね。
それは、よくよく調べたらオープンして間もないらしく、だからストリートビューにも映ってないってことなんだけど。
ってことは、昔からやってるいわゆる按摩さんとか、鍼灸みたいな感じのマッサージ店ではないってことを指してて。
これも、店の名前からして最近の流行りの感じな雰囲気があるから、予約前からそうだろうなとは思ってて別に意外ではないんだけど。
要は、最近は古民家風とかいって、昔の建物をリノベーションして古い商店街に新しい店をオープンしたりするパターンがあるじゃないですか。たぶんそういうことだろうと思って。
ここまではそんな感じだろうなっていう範疇だったんだけど。
で、肝心の駐車スペースなんだけど、それっぽいのがストリートビューで見当たらないのね。
店舗前に1台分ってなってるけど、住所は確かにここなんだけどストリートビューに映ってるのは、古い、それこそ木造の建物でなんかの事務所らしいんだ。
その店の前は歩道すらなくていきなり道路なんだけど、強いて言えばその事務所の車庫。
車庫っていってもガレージとかカーポートっていう感じじゃなくて、一軒家の勝手口の脇に仮の屋根を付けただけみたいな、軽自動車がギリ入るくらいの車庫の前。そこが空いてるように見えるのね。
ここ?
ここなの?
ここもなにも、そこしかないんだよ。その隣は違う家が建ってるしさ。
非日常な体験を貴方にも
で、もう予約しちゃったしとりあえず行こうと思って。あたしもそんなに土地勘がない場所だから、ナビを起動してちょっと早めに着くように行ってみたんです。
そしたら看板はあったのね。
じゃあやっぱりここなんだ。田舎の集落っていうほど閑散とした場所じゃないけど、普通の家しかないような通りなわけ。
で、やっぱり車庫の前が一応空いてて。でもその車庫には軽自動車が停まってんだよ。それも行ってみると空いてるっていっても、セダンは無理って感じの。あたしのマイカーがポルシェじゃなくてよかったねっていうか。
で、早く着いたから一回通り過ぎてみて。
だって、そのちょっとした空き地に停めていいのかわかんないからさ。様子見しつつ、時間調整してお店に行ったんです。
その空きスペースに車を停めて。マジでってなりながら停めましてね。
あの、これを読んでる人が例えば古民家風カフェを自分で出したいとしたらっていう。やってみたいなと。ベレー帽とエプロンっていうイメージなんだけど。
じゃあ、古い一軒家とかを探してリノベーションするとしたら、ってちょっと想像してから読んでほしいんですけど。
まず、入口は引き戸ね。
横にガラガラっていうあの引き戸なんだけど、それはいいよ。で、その元々あるなんかの事務所と入口は兼用らしいのね。
で、その引き戸を開けるとすぐ目の前にドアがあるの。ドアの方に行かないと、多分事務所に行くんだと思うんだけど。
雰囲気は完全に他人の家。人んち。クラス替えで仲良くなったやつの家に初めて遊びに行く感じ。
そのドアを開けるとマッサージ店の女性の店員さん、店員さんというか多分ひとりでやってる店だと思うんだけど、出迎えてくれて。
これが内装がすごく凝ってて、どういえばいいのかな。
魔女の家?
いや、それは違うか。えーと、でも儀式っぽいんだよなー 儀式感があるの。
間接照明オンリーで、ちょっと御香っぽいのを炊いてあって、加湿器のミストがやたら漂ってて。
内装も黒いカーテンとか壁もそういう感じなんだけど。
それが全部、素人がやった感じがすごいんだって。もしかしたら、この女性の店員さんがひとりでやったんじゃねっていうか。
壁も、壁紙を貼るっていうよりはペンキで、しかも刷毛で塗ってる感じ。刷毛のあとがくっきりっていう。
ちょっと非日常な空間を演出っていうイメージでやってるんだろうけど、入り口までの雰囲気は完全に他人の家なんだよ。引っ越しして初めて回覧板を回しに隣の家に入る、あの感じなの。
なんなら施術中に事務所にお客が来て、来年の町内会長を決める集まりをいつやろうかって話をずーっとしてるのが丸聞こえなんだから。
左官の田中さんにお願いしてみようか、でも奥さんが入院しちゃったし大変だもんなって話が延々と。
こっちは加湿器がぎゅんぎゅんに青白いミストを吐き出してる薄暗い部屋でさ。
うっすらヒーリングミュージック的なやつが流れてる部屋で、なんかこうもっこもこの上っ張りをかけたソファみてぇのに座らされて、肩甲骨のあたりをゴリゴリやられてんだぞ。
で、あいまあいまに、ミネラルウォーターになにかおまじないをかけたみてぇな、謎の水を出されて飲まされてんだ。
で、目の前が道路だから車が通るたびに走行音がするし、三軒隣の井上さんの孫がかわいいってのを延々としてる隣の事務所の世間話もずーっと聞こえてるの。
ここで非日常空間を演出するのは無理じゃね?
なんかもっと、もうちょっとさ、その、いろいろ雑だって。な?
迷い込んだ町を出て
でも、ふと思ったんだけど。
あの店員さん、あの事務所が実家なんじゃないかって。
要は、娘がなんかマッサージの店を始めたいらしいぞと。なんかしらないけど資格もどうやらとったらしいと。
じゃあ、事務所ったってたいしたもんじゃないし、その一角を使わせてやろうか、そうすりゃ初期費用も抑えられるし、的なことじゃないかと思って。
だってそうじゃないと、その町の空気感とそのお店の非日常っていうか異空間な感じと、手作りにしても雑な感じの理由がわからないって。
あとは、あちこちにあるマッサージ店の中から、その店にぶち当たるあたしのチョイスな。思い返すと選んで選んで辿り着いたのがここだったよね。どういうこと?
もちろん狙って行ってないんだよ。こっちは日々の疲れをどうにかしたいって一心でさ。背中も肩も腰もバッキバキなんだよ。
なのになぜこうなる。なぜなんだ。
そんなだよ。そんな。