旅づいている。
見方を変えれば、生き急いでいると言ってもいいだろう。今しかできないことを、できるうちにやろうと思って久しいが、その思いが加速している。
急げ急げ生き急げ
急にどうした?
前書き、どうした? そんなブログだったっけ。まあまあ、そういうモードもあるよっていう。そっちからも行きますよっていうことですね。知らんけども。
生き急ぐ、なんていうのも大げさかもしれませんけど、当人にとっちゃそれなりになにかあるんです。
自分自身がさいなまれたりもしてるし、知ってる人が病気になったりってのを見ていたりってのもあるし。
他方、行き急ぐための環境が整ってきてるってのもあるかもしれません。
例えば遠方へ公共交通機関を乗り継いでいくのも、昔と今じゃ乗り換え案内やら電子マネーやらネット予約やらが発達してて、面倒が少なくなってるってのもあるでしょう。
昔は駅の路線図をガン見してさ、券売機に並んで。電車がくるホームを標識みたいなのを頼りに探すみたいな感じだったじゃん。それに比べたら天地の差なわけ。
そして、その公共交通機関に乗るっていうハードルが低くなりつつ、他方、自分自身の身体が移動に耐えられなくなりつつあるってのが、並行して起こってるという状況になってまして。
電車の席って進行方向を向いてるとは限らないじゃないですか。後ろ向きだったり横向きだったりするでしょう。自分が向いてる方向以外に移動するってのが、もう気持ち悪いんだ。三半規管がぶっ壊れてっから。
プラス満員電車とかになったら、ちょっとキツいどころじゃないかもしれない、っていう恐怖感があるわけ。
でも今なら、調子よければ耐えられるだろうと。10年後は知らないけど、今ならクスリを飲めばなんとかなる。
いや5年後、いや来年かも。
だから行けるうちに、身体が耐えられるうちに。
急げ急げ、生き急げっていう。
で。
今回は、かなり前から予定が決まってる旅ということで。あたしにしたらかなりレアケースなんです。
毎度のことですが、単に旅に出たよ行ってきたよっていうのを載せるだけのブログは、別にあたしがやらなくてもネットにあふれてるのでそっちを見てくださいなと思ってまして。
そもそもなんでってところから書きたいなと。
いくらあたしが無計画に、ほぼほぼ衝動で旅するっていったって、そこに至るにはなんかあるわけ。その衝動の根源みたいなものを書かずして、旅に出る出ないみたいなことを書いてもなにがなにやら。
だから、言い換えると病巣をご覧くださいって言ってるのと変わんないよね。
例えるなら、なんで切手を集めようと思ったんですか? に対して、ええ、幼い頃に見た夕陽と共に現れた切手大魔神様に、
「お前は切手を集めるために我が現世に遣わしたのだ!」
って言われまして、っていう感じ。
いう感じ? 例えとしていいのそれで?
まぁそんなもんです。切手大魔神のしもべってことです。
大魔神召喚
身体がどうかしてるのは、今に始まったことじゃありません。
幼い頃から続くもの、若い頃から引きずっているもの、最近になって起こったもの、長く生きてると色々な不調があるもんでね。
あるもんでって、アルデンテとデルモンテと似てるよね。うん。似てるよね。うんうん。
いや出てきたから。脳から出てきちゃったから。一応書いとかないとさ。出てきちゃったから。しょうがないじゃん。出来ちゃったんだから棚には並べますよ。
そりゃ、この2行は無駄ですよ? 無駄でも無駄じゃないから。食わねぇけどパセリは乗せとくもんじゃん。タンポポ乗せとくもんじゃん。
パセリ大魔神様は出てこなくていいの。帰った帰った。あとで出したげるから。色んなものにパセリを乗せてみたって記事書く時に大活躍させてあげるから。泣くんじゃないよ、大魔神だろうがよ。パセリ投げないの。
あのね、デルモンテまではいいよ、しょうがないよ。色んな大魔神出すんじゃないよ、読んでる方もどうすりゃいいのかってなってんだろ。
で。
…なんの話ししてたか忘れちゃったよ。
そうそう、身体の話。
その、あちこちぶっ壊れてんです。壊れかけだけど、まだ動いてて。
で、そんなになっても病院とかは好きじゃないんだ。あんまり行きたくないの。
だって病院って病人しかいないんだぜ? 知ってた? 病人とお医者さんしかいないんだぜ? イケメン金持ちドクターとか美人ナースとか、おとぎ話レベルで大魔神話レベルでいないんだって。
そりゃ行きたくないよね。
じゃあどうするかっていうと、自分でこれならいいなと思う方法を探すことになるんです。つらさは消えないけど病院に行ってもなぁってなるんなら、あとは自己責任ってことじゃないですか。
特に肩こりとか腰痛とかはゆるやかにひどくなってきてて。
肩こりとかはそういう人も多いでしょうけど、慢性的だしさ。腰痛は昔っから色々あってこれもまた慢性的だし。
最近は片頭痛も相当きてて、これが気圧差とか天候不順っていう要因もあるだろうけど、肩とか首からきてる部分もあるんだろうなという気もしてるのね。
そういうものに対して、ひとつは上手く付き合っていくってのもあると。そういう身体なんだと割り切って、どうにかこうにかやっていこうってのも、ある意味正解ではあると思うんです。
もうひとつは整体とかそっち方面からなんとかしようっていうね。
ただ、整体とかマッサージとか鍼灸とか色々あるし、それがどう、上手く言えないけど認められてるかとか。あるよね。変な施術じゃないのかとかはしっかり見極めないといけないじゃないですか。
今はそういう人たちもYouTubeとかブログ書いたりとかするし、こっちもそういうのを見て良い悪いを、自分視点で判断できる面もあるわけで。
ドス紫のオーラが肩から出てますね、これはおそらく大魔神の仕業ですよ、なんつってやってるYouTubeとかを出してるところには、普通はまあ行かないよね。チャンネル登録もしないしさ。ましてやブログとか見ないほうがいいと思うもん。
押しちゃったから旅に出ます
で。
整体とかマッサージとかが山ほどある中で、ここならちょっと行ってみたいと思うところがあって。
一応書いときますけど、例えばYouTubeで腰痛とか肩こりとかで探すと山ほどヒットするけど、ほとんど見ないんです。サムネイルとかで違うなと思っちゃうのが99パー、見るまでに至らないのがほとんどで。
読んでるかたも多分そうですよね。好きなこと、なにか趣味があってその動画を探す時に片っ端から見たりします?
明らかにこれ違うなってのは最初っから見ないと思うんですよ。例えば鉄道がものすごく好きっていう人だって、自分の志向と違ったりご迷惑な感じのははなっから見ないと思うんです。
そうやって、有象無象の動画から自分のアンテナに引っかかったやつを見て、それも大抵はハズレっていうか違うなってなるんですけど、ここなら一回、施術を受けてみたいなって思えるところがあって。
それが東京にお店を出してて。
で、ネットで予約ができるんですけど、ほぼ埋まっちゃってるわけ。基本、全然空いてないのね。
あたしが今いるところから東京っていう距離もそこそこ遠いし、行ったとて予約でいっぱいってことなら、一度やってもらいたいけど諦めておくかって感じに自分の中ではなってたんです。
それが、前回書いた東北の旅から帰ってきてその直後くらいだったと思うんですけど。
3本くらいに分けて書いたあの旅を読んでくださったとしたら、どう思ったかはわかりませんけど、かなり楽しかったんてす。ちょっとどうかしてるくらい楽しかった。
楽しかったがゆえに、旅モードから現実の、まーあたしにとってはどうでもいいようなどうのこうのとかあれこれとかに順応するための切り替えが、全然上手くいかなくて。
これはそのなんていうのか、デザート的な。
最高級のステーキを食べたあとで、ちょっとしたアイスをいただく感じっていうか。特茶飲んどくかっていうか。
そんなちょっとした旅をしないと、どうやら上手く納まらないんじゃないかって気がしてきてて。
それでその、そんなこともこれまでにあんまりなかったっていうかさ。
これまでまったくゼロじゃないけど、かなり久しぶりにそういう謎の動機で旅にでなきゃってなってたんです。
それはそうとして、例の整体の予約状況を見ていったら、何週か先になるけど、しかも夜遅めの時間帯だけど、そこだけポツンと空いてるのがわかり。
その前にも後にも空きはないんだ。そこしかないの。その日ならあたしも休みだし。
もうそこじゃね?
下手すりゃもう二度とないかもよ。あたしのスケジュールと旅の費用とか諸々の余裕と、お店の空き具合がマッチするタイミングなんて、二度とないかもよ?
…
押したよねー
予約しますボタン、押したよねー
押したよねー
ネットってこういうところが良くもあり怖くもありだよね。これが電話予約オンリーだったらさ、行ってないと思うもん。予約できてないと思うもん。
そんなわけで、旅の目的ができてしまったんです。
心残りを一気に晴らす
ここで話は終わりじゃなくて。
予約できた9月のある日の夜に、東京都内に行かなきゃならないと。これはもう決まりですと。
初めはね、日帰りでもいいかなと思ったんです。電車とかで午後から出発して予約した時間に合わせて着いて、終わったら終電で帰るみたいなのも、やってやれなくはないなと。
でも待てよと。
その予約したお店の近くに、そこもずっと前から行きたいなと思ってた別のお店があって。それもネットで調べたら、その日に空きがあって。
そんなことあります? いやあるだろうけど、行きたいなと思ってからしばらく経つんだよ? ここまで行きたいと思っててもなんの進展もなかったのにさ。
急にどうしたってなるよ。
で。
じゃあもう、くっつけちゃえと。これでまたひとつ、無念とか心残りを晴らす旅ができるじゃないかと。
そこは午後の2時かなんかに予約が取れたんです。
じゃあほら、午前中のいい時間に新幹線で東京駅まで行って、そっから電車移動でいいじゃんってなって。
それで乗り換え案内とかを調べていくんだけど、結構タイトなんです。特に夜は、その整体のお店で施術を受けて終わるのが、下手すると9時くらいになるかもしれなくて。そこから結構バタバタするなと。
じゃあいっそ、翌日も休みなわけだし、ホテルとか泊まっちゃうか。
で、そこからじゃらんとかで調べてみるんだけど都内のホテルって高いよね。またその日が三連休になってて、空きが少ない状況ってのもあってさ。
カプセルホテルなら空いてるっぽいんだけど、あの狭さがあんまり好きじゃないんです。
だったら車中泊しますって感じなんだけど、都心を車で走る鬱陶しさもあるし、道が不案内の中を車で行って万が一予約時間に遅れたらってのも不安だしさ。
で、結局はふたつのお店に予約を入れただけで、移動手段とか宿泊とかのスケジュールを組むのはいったん保留ってことにしたんです。
あれから
色々と考えた結果ね。
都内は電車バスと徒歩移動が、やっぱりいいんじゃないかと。ジャマイカ学酋長だと。ジャマイカ学校の。ジャマイカ大学の酋長であると。いうことになり。
なったまま進めるよ。もうなったものはしょうがないじゃん。酋長の衣装のまま続けっから。
んで、予約した日を含む三連休は自分も暦通り休めそうだと。
てゆーか、その三連休のうちの一日は自分にとってちょっとした記念日でね。ブログのどこかにも書いたけど、初めてひとり旅をしたのがその日だったんです。しかも行き先は都内で。
あれからもう何十年ですよ。その日にまた旅を、それも都内へ行こうってなってるってのに気がついちゃって。
やっぱさ、思うところがあるわけですよ。
これは日帰りじゃないなと。ちゃんと連休の三日間旅をしようってことになりまして。
かといって、都内で2泊は予算的にちょっとキツイと。そうなると近県で宿を確保して、そこから電車で都内へ向かうのがいいんじゃないかということになり。
そんな感じで宿を探し始めるんですけど、そもそも近県の宿といっても、そこまで新幹線なり電車なりで行くとすると、結構制限があるなと気がつくんです。
都内で予約したお店のひとつは予約時間が午後2時なんだけど、だいたいのホテルってチェックインは3時からじゃないですか。
都内じゃなくて近県のホテルでまずチェックインして荷物とかを置いて、そこから都内に向かう作戦が理想なんですけど、この時点ではチェックインができないわけ。勢いで予約だけしちゃってっから。
つまり、最初の店に行く時には2泊分の服とかの荷物を持って歩く必要が出てくるのね。
で、2件の予約のうち夜の方は7時くらいに始まって9時くらいに終わると。
だからホテルを取ってチェックインできるとしたら、最初の予約が終わった3時くらいから7時の間で、いったん都心から離れて千葉なり埼玉なり神奈川なりへ移動してチェックイン。
その後また都心まで戻るっていうプランにするか、荷物を持ったまま最後の予約が終わった9時以降に移動してチェックインするか、ってことになっちゃう。
お店の予約と予約の間にチェックインするなら、その合間に移動できる範囲でホテルを探すことになるし、全部終わってからにするとしても、今度は夜遅い時間になるわけでそこから電車を乗り継いでってのはかなり大変な上に、荷物をずっと持ってなきゃならなくなると。
じゃあコインロッカーに預けるのはどうかと思って色々調べてると、コインロッカーとかも今はマジで便利になってんのね。空き状況とかがネットでわかるだけじゃなくて予約もできるのね。
うん、もちろん空いてなかったけどさ。うん。
で、このパズル的なものが面倒なのと、そもそもギュッとしたスケジュールが嫌で自由気ままな旅をしてるはずなのに、っていう気持ちがあるのと、もっと言えば乗り換えを間違ったり電車が遅れたりっていうトラブルに合わない保証はなくて、結果予約の時間に遅れたりしたら、みたいな。
そんなことを考えてるとだんだん、ほら、例の感じになってくるんです。
もう止める?
この旅、止めておく?
いやマジで。めんどくさいんだもん。
そんなことを何日か考えつつ宿を探したりしてたんだけど、連休ってこともあって目をつけてたホテルの空きがどんどん減ってるのがわかってきて。
もうね、ますます止めたいよね。スケジュールのきちんとした旅とか向いてないって。
まだ暑い9月に
その当日。色々予約した9月のある日。
早起きしまして。
車に乗り込みましてね。関東方面へ向かう高速道路に乗ろうと。
行きますよ。一応、行きますよ。予約しちゃったしさ。
それもその朝にウダウダあったんだよね。まず早起きはしたけど、予定の時間には起きられなくて。
そりゃそうだよ、前の日が飲み会だったんだもん。
忘れててさ。
会社で、それも気の合う仲間同士数人でとかじゃなくて、まあまあ規模の大きなやつがあったのを忘れててさ。
なんか知らねぇけど、こっちからは一切注ぎに行ってねぇ上に、誰も注げないように生ビールのジョッキを抱えてんのに、やたら酒を注ぎにきやがるんだ。
そりゃ注がれりゃね、飲みますよ。失礼ってもんでしょうよ。せっかくさ、わざわざあたしの席まで来てそれが義理なのかフリなのか知らんけども、注いでくれんなら飲みますよね。
コップのビールと生ビールを交互に飲むっていう。なんなの。コーラとペプシを交互に飲んでる感じ。ドリアとミラノ風ドリアを交互に食ってる感じ。なんなの?
泥酔なんかはしないけどさ、朝はそりゃ起きれないよ。5時起きとか思ってたけど、無理だって。
その飲み会終わりでそのまま駅まで行って最終で都内へ向かうプランも考えたんだけど、2泊分の荷物持ってまず宴会場に乗り込むっていうさ。そのダルさみたいなのもあって。
しかもそんなことするの、あたしだけだろうよ。飲み会終わりで出張ですかっていう。やだよそんなの。
で、酒宴を終えていったん帰宅しまして。
朝になって。
2泊3日くらいの身支度にはそんなに時間はかからないものの、そういえばガソリン入れとかなきゃとか、Suicaにチャージしなきゃとか、なんだかんだしてからの出発になりまして。
高速で関東方面に向かうんですけど。
結局、東京じゃなく近県に宿を取りまして。
連休だってのに値段もまあ普通だろうっていう感じのホテルが見っかりまして。都心まで電車で1本で行けちゃう駅のそばにありながら駐車場無料。しかもダメ元でお願いしてみたら、チェックイン前に車だけ置かせてくれるっていう。
ありがたいよね。これで着替えとかは車の中に置いときゃいいんだから。スマホと財布と、せいぜいモバイルバッテリーとかだけ持ってればいいわけ。
そのホテルが埼玉にあるんで、まずはそこを目指して走り出したんです。
逆算すると、2時に都内に行くにはそのホテルに12時前に着いてればいいと。それには充分間に合う時間には出発できてるから、あとはそれなりに走ってれば途中で一回くらいサービスエリアで休憩してもいいかなっていう感じで。
もつ煮定食とか食ったりして。
| サービスエリアでもつ煮定 |
それで、ナビがホテルの裏手に案内したせいで、ちょっと回り道したけど無事に到着しまして。
ご厚意で車を置かせてもらって、徒歩移動用に荷物を整えましてね。
9月といえども、まだぜんぜん暑くてさ。曇りなんだけど、じとっとした感じで。着てる服もTシャツにハーフパンツにサンダルみたいな。
サンダルも最近見るようになったリカバリーサンダルっていうのを買っちゃって。
もうね、自動でツイートするようになってるから、あたしのツイッター、現エックスをご覧の方はわかるかもですけど、仕事でやたら歩くのね。そりゃそんなサンダルも買うよね。
あとは、いつものボディバッグにスマホとモバイルバッテリーと常備薬とかを入れて、乗り換え案内を表示させつつ最寄り駅まで歩いていったんです。
スルリ・サラリ
東武東上線で都内までは一本。それも土曜の昼だったけど、運よく座って行けまして。
で、池袋で乗り換えてそこも座っていけたんだったかな。
意外と酔わないなっていう感じ。一応、乗物酔いの薬は飲んでみたので、それが効いたのかもしれないんだけど。
でも、何年か前の流行り病以降、人が多い事自体がより苦手になってて。都心なんてどうかしてるくらい電車に乗ってくるじゃん。でもなんとか、なんとかって感じで。
どういえばいいか、観光地とかイベント会場とかで人がごったがえしてるのとは違うんだなって思ったの。埋没できる感じっていうか。
みんな日常じゃないですか。電車に乗って移動するのが日常な人だらけじゃない。だから、誰もはしゃいでないし、日々を黙々と生きてるってだけだから、こっちもそうなっていくっていうか。
だから、人混みも耐えられそうなやつとそうじゃないやつの2種類あるんだなって。
で、最初の予約したお店に行って。
そこも日常感があったな。スルって迎えてくれて。スルスルって席に通されて。
30分か、40分か。いたのはそのくらいなんですけど。
近くに住んでる人なんでしょ、って感じでポツポツと会話して、あたしもそれに合わせて。そうであれと思って。
久しぶりに降りましたねぇ。雨になりましたねぇ。なんつって。
嘘をつくとかじゃなくて、そういう演技っていうか。この店のご主人のとある一日、っていう劇の登場人物として、あたしが居た感じ。壊しちゃいけねぇっていうさ。
床屋さんなんだけど。
昔ながらの。
今さ、なんかもうオシャレにするぞ! っていうお店ばっかりじゃない。ああいうのは、あたしゃダメで。押し付けられてる圧が強いっていうか。
そうじゃなくて、サラッと会ってサラッとやってくれて、またどうぞ、みたいなのがいいの。あたりさわりのないやつで、でも人間味はちゃんとあるっていうさ。
そこは思ったとおりだった。すごくいい時間だったな。
また、行きたいって思ってる。
急変
そのあと、夜までどうにか時間を潰さなきゃならないってことで。
それは予定通りというかわかってたことですから。この時間はそのへんを歩き回ってればいいやと思ってたんです。
事前に見た天気予報も曇りだったし。30度くらいの気温だったけど、いざ来てみたら風もけっこうあって、悪くない感じでね。
歩いてみてなんかピンとこなかったら適当に電車に乗ったっていいわけだしさ。そんな感じでなんにも考えてなくて。
唯一、お昼を食べてないから、なにかないかと思ってたんですけど、これもたまたまこの近くにあるラーメン屋さんでいいと聞いてたところがあって行ってきたんですけど。
これがお客さんが、あたし以外全員外国の方で。店員さんは日本人だったけど、客は団体だったり個人もいた気がするけどみんな外国人。
そういう場所柄なのか、お店の人も簡単な英語はできるみたいだったし、客のほうも日本語をどうにか話そうとしてて。
そんな中、カウンターの隅にポツンと座って、埋没する感じっていうか。カタコトの会話がずっと聞こえ続けてるのが、むしろ寸劇っぽいっていうかさ。
あたし以外が演劇の真っ最中で、間違って舞台に上がっちゃった感じっていうか。
ラーメンも美味かったし、ここも行ってよかったなと思って。
で、店を出て。
腹ごなしにまた歩きはじめたんです。特に目標もなくウロウロとして、休んだりしながら。
| コーヒー・ぞう煮 |
だんだん陽も傾いてきて。それでも次の予約の時間まではかなりあるってな状況で。
そしたらスマホの通知が立て続けに鳴ってさ。
見てみると雨が降るっていうのね。
ん? と思ってたら、風が急に冷たくなりはじめて。
天気予報、曇りだったじゃん。
この旅が決まってから、ちょいちょい予報を見てたんだけど、ずーっと曇りだったんだって。
サンダル履きだよ。Tシャツとサンダルだよ。
もうさ、どわーって降ってきて。大雨だよ。
サンダル履きのやつが傘持ってるわけないよね。とりあえずビルの入口みてぇなところに避難したけど、ピークはすぐに越えたものの止むような気配はないんだ。
どうすんの?
とりあえず傘を手に入れるかと思って近くのコンビニまで移動したものの、雨の降り方もいわゆるゲリラ豪雨から、いわゆるゲリゴーみたいな感じでもなくなったし。
あ、今、いわゆってねぇって顔して読んでるでしょ。わかるんですよ。あたしゃ。いわゆってねぇなって顔だったもん。見たもん。
見たもん?
で。
傘は買うかどうかすげぇ悩んだけど、傘って邪魔になるしさ。折りたたみにしても邪魔になるじゃん。
結局傘は買わずに、降ったり止んだりを繰り返しながら夜になっていく街をさまよい出すんだけど、予約の時間まで2時間はあるわけ。
さすがにずっと散歩して回るのは無理だと。これはもうどこか喫茶店みたいなところで時間を潰すしかないなってことになり。
それでネットで最寄りの喫茶店を探すんだけど、都心だから喫茶店自体はけっこうな数ヒットするものの、夕方で営業終了するお店ばっかりで。
その中でもまだ営業してるところに行くんだけど、一軒目は入店待ちの列ができてんだ。
そこをパスして二軒目に移動するんだけど、また雨が強くなってくるしさ。どうにか濡れないように歩くものの、さすがに限度があるわけ。
なんなの。いや、なんなのもなにも、準備してないこっちが悪いんだけどさ。知らねぇ街で雨と水たまりを避けながら歩いてるこの感じ。
せんきゅう
で、二軒目でカウンター席が空いてる、チェーン店の喫茶店に辿り着いて。カウンター席っていっても、ひと席ずつちょっとした間仕切りがついてて窓に向かって座る感じなんだけど。
右隣はタブレットを開いて勉強なのか仕事なのかをしてるふうの、オフィス街を颯爽と歩いてそうなデキる感じのお姉さんで。
左隣はヘッドフォンにバックパックにゴツいスニーカーって感じのアメリカ人らしきニイちゃんで。
その間にあたしっていう。並びな。この並び。
で、ウェイターさんも外国人で、ちょっとカタコトくらいのお兄さんがお水注いでくれたりするんだけど。
今どきのチェーン店なんて、みんなタッチパネルで注文じゃん。だから、そのウェイターさんにすいませーんなんて言うこともないし、隣のメリケンも、イケメンのメリケンも、デキるおねえさんも、他の客も思い思いに過ごしてるんだけど。
それでも注文したものを持ってくるのはその外国人のウェイターのお兄さんなのね。配膳ロボットとかじゃないの。
その微妙な感じわかります? 伝わるかな。
最先端の街にある洗練された大手チェーン店で、やっぱりちょっと人の手が加わる感じっていうか。
隣のおねえさんのとこには、ちょーデカい皿に盛られたパスタみたいなのが届いて、反対の隣のイケメンメリケンにはハンバーガーとナイフとフォークが届いて。
あたしんとこにはアイスコーヒーが届いて。
みんなあのウェイターさんが持ってくるんだけど。
持ってきてくれたら誰もが、ありがとうとかサンキューって言うわけ。
そういえば、昼間のラーメン屋でも客は全員外国人だったけど、みんなセンキューとかアリガトーとか言ってたなと思い出して。
あたし自身はさ、もういい歳だしね、今さら深い縁とかつながりみたいなものを求めてないわけ。今まで出会ったものに義理を果たすので精一杯なの。これ以上増えたって手に負えないっていうか手一杯っていうかさ。
かといって、タッチパネルで注文して配膳ロボットが持ってきてってなるんだったら、セルフレジのコンビニであたためもセルフの弁当食べるのと変わらなくね? っていう気持ちもあるわけ。
わかんねぇけど、自販機みたいなやつのボタンを押したら白い錠剤が3粒出てきて食べると満腹感もあって栄養も取れるみたいな、ディストピアっていうか。冷たい感じの未来観とどう違うのってなるわけですよ。
人情が100%いいとは思ってないし、人のあたたかみ、みたいなものに過剰にすがることはないけど、まったくゼロもなんだかなとは思う部分もあって。
いいとか悪いとかじゃなくて、その日はやたらと、ありがとうとかサンキューって言葉を聞いた気がするなとは思ったよね。
夜の電車には誰が乗る
まあね、そんなこと言ってても雨の日にサンダル履きで寄る辺もなくさまよってるようなやつなんだから。困ったらすぐに大魔神様を呼び出すようなブログなんだから。
そのあと行った整体も、強烈だったけど明らかに不調をどうにかしてもらった感はあったな。こうするといいんだとか、こうやってたのは間違いじゃなかったかな、みたいなのはあった。
じゃあ通うかと言われたら距離もあるしちょっとって思ったけど、ちゃんとというか納得性の高いというか、そういうところがよかった。
終わった頃には雨も止んでて、電車で埼玉のホテルまで戻るんだけど。終電にはまだ時間があるものの連休の夜ってことなのか、電車がかなり混んでて。
それでも立ってたら目の前の人がすぐ降りちゃってそこに座れる、みたいなラッキーもあって。そこから一時間くらいは電車で移動して、車を置いたホテルのある最寄り駅に着いたのは22時過ぎとかでした。
今からスーパーとか探してもなぁ、ってことで駅前の居酒屋みたいなのを検索したものの、結局コンビニで適当なお弁当を買ってその夜はそれで終わったと思います。
ただ、その駅前周辺を検索した時の違和感から、また話は続いていくんですけど、それはまた次の機会にしましょうか。
だってもう一万文字超えてっから。なげぇから。
そんなだよ。そんな旅の一日目だったよ。