夏休み南東北放浪記 その3

2025年9月27日土曜日

#夏休み南東北放浪記 #食べもの #旅

t f B! P L

 2025年の夏に南東北を旅してきたお話です。

 宮城県は石巻に来ております。

うみだよ

石巻に滞在中

 結局、石巻に何日いたんだろう。ほぼ一週間くらいいたと思う。

 だって、連泊でとったホテルを出て、同じ系列の別の場所にあるホテルにまた連泊で予約入れたりしてっからね。さすがに言えなかった。フロントのよくしてくれるお兄さんにさ、延泊できますかとは言えなかったよ。

 てゆーか、バカなの? 一週間分まとめて予約するともうちょっと安くなったよね。わざわざ荷物まとめて、ほんのちょっとだけ離れてるホテルに移る意味がわかんないから。

 でもね。ホテルとっといてよかったなと思ったのは、途中で具合悪くなっちゃってさ。これが車中泊だと目も当てられないから。

 別に発熱してるわけじゃなくて、身体が重だるい感じとはいえですよ。咳もしないしメシも食えるんだけど、昼間は特になんかだるいみたいな。

 旅の前半と中盤以降は気温差もけっこうあって。そういうのにやられたのかもしれないんだけど。

 あと多分バカなんだよね。疲れてるんだって。お盆前の異様な仕事の忙しさを越えて、そっからたいして休まずにきてるから。そりゃ体調もどうかなっちゃうよね。

 何日かそんな日があったりして、今になって思い出そうと思っても、それがどの日のことだったのか、混ざっちゃってあんまよくわからない感じにはなってるんですけど。

 言い方はあれだけど、ブログ的な意味ではいわゆる撮れ高のない旅だったってことになるのかね。同じ長旅でも、過去に書いた中では例えば東北一周のやつとかは時系列で書けたんだけど、今回はそれがけっこうぼんやりしてるんです。

 もちろん、ブログに書くとか、それが目的で旅に出てるわけじゃないからさ。

 ここに色々書くのはあくまでも、あたしが生きて行動したりしなかったりしたことの副産物だから。

 副産物っていうか…

 言葉を選んで、あのー…

 吐瀉物?

 いやいやさすがにそれはあれだろ。言葉を選んだ結果でしょうよ。選べ選べ、ちゃんと選べよ。

 あーでも吐瀉物が一番しっくりくるんだよなぁ。読まされてる側にどう言えばいいのか、吐瀉物ですけどどうぞっていうのもさぁ、お吐瀉を、お吐瀉ですけどよろしかったら。いやそれはなぁ…

 まあいいや。

 あとはなにがあったっけ。

 スーパー巡りはけっこうやりました。あちこち行ったけど、一番の当たりはウジエスーパーっていう宮城ローカルのスーパーマーケットで。

 ウジエスーパー自体は東北一周の時も寄ったし、まったく初めてではなかったんですけど、惣菜がやたら美味くて。

 はらこ飯っていうの? 焼いた鮭の切り身とはらこと炊き込みご飯が、どれも結構な量入ってて600円くらいじゃなかったかな。お弁当なんですけど、ご馳走感もあるし食べた満足感もあるしで、滞在中の何食かはこれでしたね。

 あと、葛に果物を混ぜて板状のアイスクリームっぽい感じで冷やして固めたのが売ってて。その名も葛バーって言ったかな。

 これも気に入っちゃって。やたら暑かったこの夏にピッタリで。ぷるんとした食感と凍った果物の感じが、あんまり食べたことのない感覚で。

 種類も色々あって、ウジエスーパーを見つけては寄って買うっていう。

葛バー

はらこめし

おすまい感

 一方で、そんな感じの体調ってこともあって、行くのを後回しにしてたら品切れになってたり休業日だったりして、結局行けなかったところもあって。

 また、ここに来る理由ができたっていうか。心残りが増えたっていう。

 都市部の徘徊もしたし、周りの海の見えるあたりを車でウロウロしたりして。

海

 いわゆる観光地にはそんなに興味はなくて、その土地の空気感とかが見たいっていうのは相変わらずなんだけど。

 たかだか一週間の滞在でなにか語るようなことはしないし、したくないし、根付くことのない放浪者がそういうことを言うもんじゃないし。

 でも、自分の中ではちょっと住んでるなっていう感じはあって。

 あちこち動いて移動してっていう旅も嫌いじゃないんです。とにかく遠くへっていうさ。それも旅に出る衝動のひとつじゃないですか。

 遠くに行きたいって思うから、色んなものを差し置いてどっか行っちゃうわけですよ。

 それはそれとして、知らない街に長く滞在するってのも面白いもんで。

 ある程度いると、どっかに行きたいと思ってもイチイチグーグルマップを開いたりしなくなるよね。こっちに行けば着くんじゃねみたいな、土地勘とまではいかないけど雰囲気がわかるっていうか。

 街のつくりが、こうなってそうだみたいなのがあって、実際行ってみると自分の脳内で道が繋がったりして、こんなところに出るんだとかこっちに行くとちょっと近いのかとか。

 そういうのが住んでる感に繋がっていくし、楽しくなっていくし。

 しばらく徘徊していくと、こんな店あるじゃん、こんな公園あんだ、商店街いいなとか発見していくようになって。

 さっきも書いたけど、現実には住んでないから。どこか傍観者であり、しょせんは余所者であり、根無し草がたまたま風に乗って辿り着いたっていうだけなのね。

 だからそこに住んでる、根付いてる人とは根本から違う。在り様からして違う。

 それを持ちつつも、長居しててなんかいいなって思える街って、この世にどのくらいあるのよっていうことなんだと思うんです。

 また来ようと思った。最後の日、宿を引き払って街を出た時は、そう思ったよね。

罰ゲーム開始 

 次に行かなきゃいけないと思ったんです。

 もうここにはいられない。在ってはならないんです。誰もそれを許してはくれないから。

 でも、次がどこなのかはわからないんです。

 それでもとにかく、今いる場所に長居しちゃいけないって思ったんです。

 わかんないよね、こんなこと。書いてる自分でもわけがわからないから。

 ちょっと時間が経ってるのもあって、石巻からどうやってどこを通ったのか、あんまり覚えてないんですけど。

 休みの日程的にはもうちょっと猶予があったから、いったん南下したような気はするんだけど。

 スーパー巡りをしつつ、ウロウロしつつだったような。

 要は帰りたいわけじゃないの。むしろ帰りたくない。

 だって、旅が楽しいんだもん。知らない街も知らない道も楽しいんだもん。

 見慣れたいつもの景色を見てホッとするとか、ぶっちゃけよくわからないんです。帰ってきたってのは、あたしにとっては嫌なことにまあまあ近いので。

 だから、まっすぐ帰るとかは無理。寄り道しつつ、遠回りしつつ。

 でもその遠回りも寄り道も、自分を追い詰める行為に他ならないからね。だって期限があるんだもん。

 夏休みを一日延長くらいなら、あやまって回ればなんとかなるかもしれない。一週間延長ならまだ戻れるかもしれない。

 でもそれが限界でしょうよ。さすがに一ヶ月とか無理でしょ。しょせんそんなものだよね。

 帰る。

 たぶん帰る。

 帰るとは思うけど、けっして帰りたいわけじゃないっていう、この感じ。ある意味、罰だよね。旅に出た罰。旅に出るっていう罪への、罰ゲームみたいなもんなんです。

 帰るということへの苦痛みたいなものが、間違いなく、少なくともあたしにはあって。

 その苦痛をどうにかやわらげたいから、とりあえず件の葛バー。ウジエスーパーの葛バーを求めて宮城県内をウロウロしはじめまして。

 これがバリエーションがけっこうあって、果物の種類だけでもリンゴとか桃とかで、6種類とかあった気がするんですけど。

 で、お店によってはそのうちのいくつかしか置いてないところもあるし、品切れになってたりもするしで、ここまでてまだ食べてないのがあったんです。

 別の店に行けばそれらが置いてないかしらっていう。

 そうなると、グーグルマップを開いてスーパーマーケットで検索して、最寄りのスーパーから順に巡っていくのが効率がいいかなということになり。

 あっちに行けばいいらしいぞ、なんつって10分とか15分走ってはまた次、みたいなことを繰り返していくんですけどね。

 もうね、きれいなちょうちょを追いかけて気がついたら知らない街に、っていうのとほぼ同じノリだよね。やってることが迷子の五才児と一緒なんだよ。

 目とかキラキラさせちゃって。ちょっと小走り気味でスーパーの中に入って、葛バーあった! みたいな。

夢宿る

 そうこうしてるうちに、ちょっと変わった店なんかが検索に引っかかってくるわけです。

 ローカルスーパーでもチェーン店化してて名前が知れ渡ってるところもあれば、もう超ローカルな店もあるじゃないですか。ああいう店を見つけるわけ。

 これはもう、ネットの発達の弊害みたいなもんだと思ってるんですけど、口コミってあるじゃないですか。

 こっちはただ場所を確認したいだけなのに、星いくつとか勝手に表示されるから目に入っちゃうじゃない。

 あれも、そのへんの有象無象が特に基準もなく勝手に付けたやつじゃん。それがさも、評価基準でございみたいなことになってるけど、そんなのいいも悪いも正しいも正しくないもないっていうか。

 そもそも、どんなことにでも文句をつける人ってのは一定数いるわけでしょう。めっちゃいいことをしたって、見方を変えればひねくれて見ようと思えばネガティブな評価はできちゃうわけで。

 例えば、美味いレモンティーを出す喫茶店があったって、レモンが嫌いっていうんじゃ、低評価とさせていただきます勢からすればそうなっちゃうわけでしょう。

 美味いレモンティーを出す、サラッサラの髪をポニーテールに結った吉岡里帆似の美人な店員さんがいる店でも、レモンが嫌いで髪型はショートカットが好きって人にはマッチしないわな。そりゃ、低評価とさせていただきますよってことになる。

 でも、その人に合わせてってのもおかしな話でしょう。バッサリ、ショートにしてブルーマウンテンを運んできたら、ポニテ大好きレモンお手玉オジサンとかが低評価つけてくるじゃんね。

 ちょー美味いレモンティーを。

 あーもうじゃあわかったよ、吉岡里帆さんご本人がエプロンつけて持ってくてくれる、派手さはないけど静かで落ち着ける雰囲気の喫茶店だとしても、店長が牛タン音頭をずーっと踊ってるんだと。

 牛タンを着て、うしの舌には神宿るうしの舌には夢宿るからはじまる牛タン音頭を一心不乱に踊ってる店長が、エルビス・プレスリーそっくりの店長がいたとしたら、低評価とさせていただく他はないじゃないですか。さすがに。

 こちとら帰りたくないからさ。旅を終わらせたくないから。そりゃ牛タン音頭も聞こえてくるよ。なに、牛タンを着るってなに。どういうことだよ。

スーパー巡りの果てに

 なんの話ししてたっけ。ひとしきり牛タン音頭を踊ってたもんで。

 そう、スーパー巡りだ。

 そんな感じでグーグルマップで引っかかった店に行っては、店内を見て回るみたいなことをしてる間に見つけた、スーパーっていうかディスカウントショップみたいなのがありまして。

 これがかなり濃い店で。

 行ってみたんです。結果、行ってきたんですけど。

 系統としては業務スーパーが近いんだけど、あんなにこなれてないというか。洗練されてない感じ。

 要は安くて量が多くてってのを押し出してて、普通のスーパーがスーツを着てるイケメンだとしたら、ここは軍手してる感じ。ゴム長に軍手っていう。柄の長いスコップ。競馬新聞。

 それが店の真ん前の駐車場の8割くらいを使って、所狭しとカートっていうの? スーパーとかで品出しする用のデカい台車あるじゃん。あれが駐車場のほぼほぼ一杯に置かれてるの。

 それも整然と並べてあるんじゃないんだよね。もう雑然と散らかしてある感じ。そこに色んな商品が置いてあって、陳列棚と同じ扱いっぽいんだ。買い物客はそこから持っていっていい感じ。

 なんならウイング車が置いてあってその荷台もなんか商品が並べてあるのね。駐車場だぜ? 店はちゃんとあるんだよ。

 で、客の駐車スペースは店の周囲にいくつかあって、それもわかりにくくて一回スルーしちゃったんだけど、その店の前の本来だったらメインの駐車スペースであろう場所に、商品を積んだ台車が大量に並んでるその感じがもう異様なわけ。

 で、店に入ってみると、とにかく量が多くて安いってので押してる感じ。お客さんも多くて、お盆期間中とはいえけっこうな繁盛具合だったな。

 でも、これはあたしがそうっていうことなんだけど、旅先でスーパーに行くのは理由があって、その土地の空気感が一番よくわかるんじゃないかっていうね。

 その土地の人の普段の生活を支えてるスーパーに行けば、そこに住んでる人が素でウロウロしてて、その土地の言葉で会話してて普段食うものが置いてあって、ってのが垣間見えるじゃない。

 へたな観光地に行ってもそういうのとはもう無縁でしょう。全力で観光客向けに、建物も商品もサービスも人もそうなってるところに行ってもなんかなっていう。

 そういう意味では、この店も見どころがないわけじゃないんだけど、お店の方針が極端な方向に振ってるからさ。当然、客層もそうなってくるよね。

 それはあたしが見たいものと、ちょっと違うっていうか。テイストとしては観光地とあんまり変わんないよね、っていう。

 ウチはこういうお店です、ドーンってなっててそれが好きなお客さんが集まっててっていう関係性はすごいと思うんだけど、あたし向きではないんです。

 こっちは平熱のところが見たいっていうかさ。なんて言えばいいのかね、こう、なにかに特化してるっていうよりは、知らない街の日常がいいみたいな。

 圧が強いと引いちゃう感じ。とれたて全部入りカニ汁じゃなくて普通の味噌汁くださいっていうか。

旅が終わり、旅がはじまる

 色々と調べればわかるんだろうけど、これを書いてる今となっては帰り道をどこを通ってどうやって来たのか、一切覚えてないよね。

 石巻に来た時の道ではないと思ったんだけど、どのあたりを通ってきたのか、もう全然。あえて調べることもしてないし。

 確か途中で、山あいの住宅地みたいなとこを通ったら、もう夜だったんだけど、道沿いのほとんどの家の前で小規模の焚き火って言っていいのか、そんなのをやっててさ。

 火を焚いて一応その番をしてる人がいて、っていうのを見かけて。普通のお家なの。一軒家が集まってる地域があって。

 いわゆる野焼きみたいなことじゃなくて、普通の民家の玄関先で炭なのか薪なのかちょっとした、多分小一時間で燃え尽きそうなくらいな火を焚いてるの。

 それがそのあたりの、お盆の風習なのかなんなのかわからないけど。

 でもそういうのがよくない?

 地元の盛大な、何日もやるお祭りよりも、そういうのに出会うのが旅してる感じがするんだよね。

 すげー! っていうよりも、へぇーっていう。そっちのが好きっていうか。

 それで、途中で一回か二回、休憩を入れたけど仕方なく帰ってきちゃったんです。

 でも、旅した先がよかった、鶴岡も石巻もよかったからだと思うんだけど、旅が終わった気がしなくて。だからこの旅の記事の最初でそんなことを書いた気がするけど。

 そういうのもあんまりない経験なんです。

 いやいや終わっていくのはいつものことなんだけど、終わればあー終わっちゃったなで、そこで切り替えがあるんですけど、今回はそういうのがあらわれなくて。

 で、そのせいで、多分そのせいであまり時間を置かずに、また遠出をするって決めてしまうことになります。なりました。なってしまいました。

 続いてるんだよ。旅ってのは、続いてるの。終わりなんかないの。

 そんな。そんな夏だったよ。

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