決まった時間に食事をとって、決まった時間に寝床に入って、決まった時間に目を覚ます、なんてことが無理な体質です。
そもそも朝が弱いし夜型ですから、睡眠時間が安定した試しがありません。メシだって好き嫌いはほぼありませんが、そこまで興味があるわけでもなく、あるものを食べて済ませてしまうことが多いんですよね。
旅とメシ
三度の飯を二度に削って旅費に充てることもありますし、朝食兼昼食だって朝飯前。特に旅に出てると、朝はまだしも昼飯をどうするかは結構バラバラで。
はじめましてのスーパーで見繕ったお弁当を買って、そのへんの知らねぇ公園のベンチで食うのが全然アリっていうスタイルでやらせてもらって早数十年。ぶっちゃけ、メシなんかなんだっていいんです。
御当地の有名なあれを食べよう、っていうような目的がないことの方が多い上に、食にそこまで執着がない。そしてそして、ちょっと油断すると気になった路地に30分ほど佇んでたりするじゃないですか。あたしってそうじゃないですか。あたしってそういうヤツじゃないですか。そりゃメシを食う時間帯なんか決まってないに決まってます。
もうちょい付け加えると、混んでるお店には入りたくない病が年々ひどくなってきてるんです。
いやね、客がゼロはやだよ。あたしの他にお客がゼロはさ、嫌な予感しかしないじゃん。入っちゃダメな店っていう気がしてきちゃうじゃん。
客がゼロも嫌だけど、その何十倍も混んでるのは避けたいんです。なので、定食屋でも町中華でも大手チェーン店でもいいんですけど、ランチタイムに外食するってことがまずありません。
むしろ。
むしろ狙い目としては15時あたりが、客も少なくて立ち寄りやすい時間帯で、なおかつ旅の途中なら、今夜はどこで寝ようか明日はどうしようかと思いを巡らせる作戦タイム的なタイミングには、その時間がちょうどいいってこともあり。
その日も15時を大きく回ったあたりで、駐車場に2台しか止まってない某大手回転寿司チェーン店に車を停めたんです。
| ため息は罪の味 |
ご提案
旅の途中で、どこにでもあるような全国チェーンの回転寿司に入るっていう選択肢が、そもそもどうかと思う人もいるかもしれません。
そりゃあ、あたしだってその土地ならではのうまいもんが食いたいっていうのは、ちょっとはありますよ、ちょっとは。
でも混んでんじゃん。
店の外にずらっと列ができてるじゃないですか。
そこに並ぶ時間は割けないんです。海が近いなぁ、なんつって小一時間ぼぉーっとしたりしますけど、20分行列に並ぶ時間は出せないんです。
そこで回転寿司ですよ。
最近の、特に大手の回転寿司のシステマチックさときたら、もう旅情とか人情とかからはるか遠いところにあるよね。
タッチパネルで注文してベルトコンベア的なのに乗ってお寿司がやってくるあの感じ。運ばれてくるのがボールペンとかワニ口クリップじゃなくてお寿司だからまだ正気を保ててますけど、客観的に見たら自動で出てくる餌やり機とほぼ変わらないからね。会計もほぼ無人でセルフ形式だしさ。
でも美味いじゃん。
普通に美味いじゃないですか。
そりゃあ例えば青森あたりの漁師町で代々やってる民宿のご主人が、まだ夜も明けきらぬうちに船を出して釣ってきた旬の魚でこしらえたアラ汁と刺し身と、女将さんが炊いた白いメシの方が絶対美味いのはわかってますよ。
ねじり鉢巻きしてほとんど口をきかないけど、背中を丸めてポツリと、
「…今日のはいいぞ」
とか東北訛りで言おうもんなら、そりゃあもう美味いに決まってんじゃん。
それに比べたらさ、どこでとれてどうやって捌いて保管してたか調理したのか、性善説に乗っかって大丈夫だろうってことで食うしかない、大手チェーン店のメシがね。美味いよ、美味いけどなんぼのもんだってのは理解できるんです。
でもその、サッと入って面倒なことなしに食事ができて店を出られる、予算と腹具合で食べる量を調節できてそこそこ美味いっていう、要は諸々のバランスを考えるとあたし的には回転寿司はアリってことでね。
で。
店に入ったって店員さんとか出てこないんだ。入口に受付のタッチパネルがあって、何人なのか席はどうするかとかを選ぶとぴろーんってレシートが出てきて、そこに書いてある番号の席に座る感じで。
そこがカウンター席の一番端っこ。壁を挟んで見えないけどすぐ向こうにお寿司を握ってるであろう厨房があるっていう位置関係の席に通されたんです。
あのね、これは提案。
そういう大手外食系の店舗設計をされてるような方にご提案なんですけどね。
厨房の側に席を設けるのは止めたほうがいいですよ。せめて、店員さんじゃなく自動で空いている席に案内するようなシステムを導入するんなら、なるべくその席には案内しないような仕組みにするべきと、ご提案申し上げたいのです。
事務所でやれ
レシートに書いてある番号の席に座るじゃないですか。
タッチパネルで注文するのにももう全然抵抗はないわけ。
本当にレーンが店の中を延々と回ってて、その真ん中で一応は修行したであろう寿司職人さんが目の前で寿司を握ってるスタイルの昔ながらの回転寿司を知ってるあたしだって、もう慣れちゃってますから。
人の温かみが感じられないみたいなのは、あたしはそこまで思ってなくて。
だって昔の、職人さんが真ん中で握ってるスタイルの回転寿司ってさ、駆け引きが必要だったからね。
声のでかい押しの強い客が「エンガワ!」とか言うタイミングを避けて言わないといけないから。
家族連れがタマゴとエビを3貫ずつ、とか言ってるしそばからバイ貝もくれってオッサンとその声にかき消されてよく聞こえなかったからもう一回ってなってる、若いカップルのサラダ巻を避けてかわして注文しないといけないから。
そんな面倒に比べたら、タッチパネル最高だよ。サーモンじゃなくてサバて言ったって言い張る、耳まで真っ赤で呂律もあやしいようなオッサンと寿司職人さんが揉めてる横で、すいません今日のオススメのイワシをくださいなんて言える?
それに比べたら最高なんだって。マジで。
タッチパネルとかは別にいいの。
でもさ、聞こえてくるんだよ。厨房から。目の前にあるレーンが伸びてる先の厨房から。
当然、お寿司がレーンに乗ってくるわけだから、それが通るような穴が空いてるんでしょう。
聞こえてくるんだよ。新人教育してるのが。
おはようございます! 今日も一日よろしくお願いします! 消毒お願いします!
はい、言ってみて。
…おはようございます、き今日も、ええと一日よろしくお願いします、ええと
消毒お願いします!
しょうどくおねがいします
そう、そう言ってからね、元気よく。
じゃあまず手の洗い方ね。消毒液で何秒、そのあとこういうふうに洗ってこうして、そうじゃなくてこうやって下さいね。うんそうそう。
それが終わったら、朝の唱和をします。私がやってみせますから。
わたしは! おすしがだいすきです!
お客様にお寿司を食べていただくためにここにきています!
わたしは! 丁寧に仕事をします!
わたしは! 絶対にウソはつきません!
わたしは! 一緒に仕事をする仲間を愛しています!
はい、言ってみて。
…ってのが延々と聞こえてくるんだよ。
寿司、食える?
その場で寿司食えます?
しかもさ、たちの悪いことに見えねぇから。声だけだから。ラジオ聞いてるのと一緒でさ、すげぇ想像力が働いちゃうわけ。
声のトーンからして教育係のどうかしてる感じと、新人のさ、これはヤベェところに入っちゃったなっていう感じがすごいわけ。
そこでメシ食えます?
仕事する前にご唱和ください系の職場はいまだにあるんだろうけどさ、ご唱和してるほぼほぼ真横でメシを、それもそこで作ってるメシを食えますかっていう。味も変わっちゃうよ。そんなの聞かされながら食ってたら、三陸産のイワシだって青森産のホタテだって味なんかしないよね。
たぶん衛生上、全身タイツみたいな、クリーンスーツっての? あんなのを着て大手チェーンだからそういうのちゃんとしてるからさ、髪の毛一本も出さずにマスクと手袋してお寿司を握るんでしょ?
そりゃあこっちだって知ってますよ。機械でお寿司を握ってるのは知ってますよ。
色々システマチックになって、整理されて整備されて管理されてデオドラントされてるんでしょ。
回転寿司で目の前で職人さんが握ってる時代はさ、衆人環視なわけでそこに確かに安心感はあったよ。今はそれが見えないけど、ちゃんとやってるよねっていう大前提で成り立ってるじゃん。
むしろ見せないことで機械が入れられて、修行してない新人でもちゃんとしたやつが出せるっていうメリットがあるんでしょ。
それでいいよ、それでいいけど、見えちゃダメだって。見せない前提のものがバレちゃダメなんだって。
新人教育しなさいよ、御社のやり方でやりゃあいいよ。でも事務所でやれって。見えないところで聞こえないようにやってくれって。
だから、レーンの近くの席に案内するのは止めたほうがいいよと、あたしゃ言いたいね。
…てゆーかね。
こんなどうでもいいことを、こんなに長く書くつもりじゃなかったんです。旅の話をしようと思ってたの。旅先でのメシの話から入ってと思って書き始めたんです。確か。栃木のとの字も出てこねぇと思ってるでしょ。行くから。ちゃんとこれから行くから。
あと、なんか知らねぇ漁師のオヤジいなかった? ねじり鉢巻の。誰だよあいつ。会ったことないやつ出てくんなよもう。
深夜、道の駅にて
…あたしはなにをしてるんだろう。
深夜。そんな気分にもなってくるというものです。
思えばちょっと見失ってた。いやとっくに見失ってるんですけど、さらに見失ってる感が真夜中の道の駅の片隅でまんじりともせずにいる自分の心で大きくなっていました。
どこかに行きたい。
そういう思いは濃い薄いはあれどいつも心のどこかにあります。もはや病気だろうと思っています。もしくは罪のようなものだと。
それは年々増してゆき、特に大きめの不調があってからなお、強まっているような気がします。
どこかに行きたい、を叶えるには多少なりともマネーが必要です。足元にビッグマネー叩きつけてやると歌ったのは浜田省吾ですが、叩きつけるマネーがあったらアゴアシ代として使いたいと、あたしがいつか武道館で歌うことがあったらシャウトしようと思っております。
まずは町内の講堂をオールスタンディングで満員にしてからですね。千里の道も一歩からと申しますもの。
てゆーかね、最近ちょっとマネーを使いすぎじゃないかと。そう思うわけです。
以前ほど身体がよくないのはわかる。わかるけども、てめぇはそんないいとこの子じゃないだろうと。
このブログにも書いてますけどね、旅に出る度にやれ朝食バイキング付きのホテルに連泊するだの、飯屋が近くにないからとやけっぱち牛角しただの、どうかしてんじゃないかと。
そもそも、東北一周した時もオール車中泊するようなやつなんですよ。いつだったか富山に一週間滞在した時だってフル車中泊だったんです。半額シールが貼ってあったという理由だけで、夕ご飯をおはぎ1個にするのも辞さないわけです。
だから決めました。車中泊限定で、どこかに行こうそうしよう。
なぁに、暦は10月、季節は初秋。車で寝たってちょうどいいくらいの気温気候になってるんです。宿代が浮けばその分を飯代に回したっていいし、面白そうだけど入場料が必要みたいななにかにマネーを使えるじゃないか。
今思えば、旅の動機がなんなのかサッパリわからないんですけど、ともかく車中泊するなら旅に出てもいいよという、謎の許可が降りまして。かるく支度を整えて車を走らせたのが10月のことでした。
もちろん許可したのは自分。許可されたのも自分です。決済印バーン!
さのらー
旅の途中の話と旅に出る前の話が行ったり来たりしますけど。読みにくいよね。読みにくいですよね。
でも、このままなのです。直すつもりが一切ないのです。
でね。
どこに行きたいか、なんですけど。
そりゃあ行きたいところはあちこちにあります。じゃあこの10月の三連休。どこに行ったら褒められるんでしょう。
今年はやたらと旅に出てて、4月の舞鶴から始まり富山、鶴岡、石巻、東京、埼玉みたいな感じで近場から比較的遠方まで行ってまして。
じゃあ、まだ行ってない場所にしようということになり。
近隣で行ってないのは福島、長野あたり。群馬はちょっとだけ立ち寄ったし、行って石川とか秋田とか栃木茨城とかそんな感じじゃなかろうかと。
ついこの間、関東圏には行ったしじゃあ山形方面だなと思ったものの、旅に出ようと思ってる日はどうも急激に気温が下がるようなんです。
ぶっちゃけ、暑いよりは寒いほうが車中泊には向いています。暑いのはエアコン以外に対処のしようがないんですけど、寒いのは服を着込んだり毛布を持ち込んだり使い捨てカイロを準備したりと、けっこう手段があるんですよね。
ただ、やはり付いて回るのはこの身の不調。特に寒暖差に弱くなったと感じてる手前、北に行くのはちょっと怖いなと。いくら芋煮であたたまろうとも、ですよ。
じゃあまた関東方面に行ってみようか。この前は埼玉あたりをウロウロしたけれども、例えば宇都宮で餃子を食べたっていいじゃないかと。
餃子もいいんですけど、個人的には佐野ラーメンを食べてみたいなと思ってまして。
佐野ラーメンって知ってます? 有名ってことでいいですよね。
ご当地ラーメンってあちこちにありますけど、佐野ラーメンって言い方はアレですけどすごく地味なやつで。
あたしが最初に食べたのはどこだったかもう忘れたんですけど、手打ちの麺と醤油ベースのシンプルなラーメンで。
こちとらそんなにいい舌なんか持ってないのね。夕食がおはぎだって全然かまわないような暮らしぶりだし、味に良いも悪いもそんなにないんです。
だけどちょっと思うのは、今どきのラーメンってやたら派手というかゴツいの多いじゃないですか。異様にこってりだったり油っぽかったり。ラーメンそのものだけじゃなくて、例えば店員さんの主張が強かったり面倒なルールがあったりさ。
そういうゴツいのに比べると、佐野ラーメンってすごくシンプルで好感を持ったんですよね。
ラーメンそのものもそうだし、店内ルールとかも含めての話なんだけど、もうその、面倒くさいのはついていけないの。食べるのに制約とかハードルがあるのは、行かなくていいやってなっちゃうのね。
ましてや旅先で食べるとなれば、わざわざ並んでまでっていうんだったら次の店へ行きゃあいいんです。
その街が合わなかったら次の街へ行っちゃえばいいわけですよ。そこにこだわる必要はなくて。
そんな感じで、佐野ラーメンの有名店とか一切調べずに、とにかく栃木へ行こうみたいなノリで出発したと記憶しております。
決まってるようでないようで
あたしの旅にテーマがあるっていうだけで、もうけっこう珍しいことでね。
佐野ラーメンを食べる。以上。
たったこれだけでも、自分としてはまあまあ重たいのね。だっていつもはひとつも、なんにも、欠片もないんだから。テーマなんざ。
行きたい方へ行けばいい。なんか違うなと思ったら避ければいいし、気に入ったならいつまでも居ればいいっていう。
だから結果として佐野ラーメンを食わなくたって成立するんです。どうしても食わなきゃみたいになっちゃうと、もう本末転倒っていうか。
別に栃木に行ってモスバーガー食ったっていいわけ。宮城に行ってずんだ成分ゼロの普通のシェイクを飲んだっていいわけですよ。
栃木のスーパーでやってる北海道フェアで売ってたやきそば弁当にレトルトのチャンピオンカレーをぶっかけて、阿波踊りをひとしきり踊りまくったあとで今年の恵方に向かって食ったっていいわけです。ミラノ風ってこのことかと思いながら、無言で食ってたっていいんです。
でもよく考えたら、夏になぜかしらんけど石巻に行ったの以外は、なにかしらテーマというか目的があったんですよね。
舞鶴はフェスに参加するために行ったし、富山も東京も行きたいお店があったし。
石巻はマジで旅の途中で決めて行ったけど、あとは出発前に行き先が決まってるやつでした。
そういう意味では、佐野ラーメン食おうっていうのも事前に決まってるといえばそうだけど、どっちかというとゆるい感じで自分の中ではなってて、ピンとこなきゃやめていいよくらいのね。
そもそも、佐野ラーメン自体を1回かそこらしか食べてない上に、シンプルで美味かったっていうことしか記憶にないから。何をもって佐野ラーメンなのかは、これを書いてる今でも知らないし調べる気もないっていう。
だから、あれだよね。
栃木県佐野市で入ったラーメン屋の看板に佐野ラーメンって書いてあったから、っていうのが唯一の拠り所ってことになりますね。
いいの? こんなふんわりしたやつ、ブログにしていいの?
怒られない? なんかわかんねぇけど佐野ラーメン大臣みたいな人に、ラーメンキング佐野に怒られたりしない?
ほっぺにナルト模様が書いてある、王冠がどんぶりのさ、あの「喜」みたいな字っていうか模様が書いてあるどんぶりかぶった、所属タレント2人くらいの事務所にいそうなラーメンキング佐野に、最近占い師に改名を勧められてキングラーメン佐野になったあいつにけしからんとか言われない?
いいか。別にいいか。そもそも別に食レポブロガーでもねぇしな。まいうーとか宝石箱とか言わねぇし。妄言しか書いてねぇし。
また食べたい
それで、確かその日は雨で。
それも群馬あたりからかなりの大雨。ヘラヘラしたボーカルが歌う押し付けがましい応援歌系のサビで手を左右に振るくらいのスピードじゃ全くもって追いつきませんから、ワイパーを最高速度に合わせて沼田渋川あたりを通り過ぎます。
群馬と栃木の県境を縫うように走る道をのんびり走って行くと、その街道沿いにも佐野ラーメンと看板の出てる店をちらほら見かけましてね。どこかピンとくる店でと思ってたもののイマイチこう、いい感じの店に出会わなくて。
例えば、駐車場がいっぱいだったり、立ち寄りにくい位置関係に建ってたり。
味とか有名店とかそういうのじゃないんですよね。吸い込まれるように入店できる感じじゃないと、そもそも行こうと思わないっていう。なおかつ、混雑してる時間帯は避けるのがもう身に染み付いちゃってますから。
そうやって次々とラーメン屋をパスしてる間に、適当に車を停めて休憩したりウッカリおにぎり食べちゃったりしてたら、すっかり日が暮れちゃって。
もうね、旅先での無駄な時間の使い方をさせたら日本一かもしんない。
それで、暗くなってから佐野ラーメン探しを再開したんです。
で、一軒。
大通り沿いなんだけど、駐車場の広いラーメン屋さんがポツンとあって。外から覗くと夕方の食事時だってのに客がそんなにいない、佐野ラーメンって書いてあるお店があって。
車も停めやすいし多少は客もいるし、ここでよくねってことになりましてね。
そこで佐野ラーメン、食べましたよ。餃子もつけたりして。
よく考えたらおにぎり1個食べたくらいで、あとはほとんどドリンクだけでここまで来ちゃったから、おなか空いちゃって。
トッピングしたのかこういうラーメンだったのかはもう忘れたんですけど、美味かったな。
美味かったっていうか、また食べたいって感じだよね。創作系とかゴツい系のラーメンって一回食べりゃあもういいやってなるじゃん。
また食べたいって大事だと思うんです。
溶け込みたい
その日は車中泊と決めてたので、栃木県内の道の駅に移動したんです。そこも駐車場が車でいっぱいってほどでもなく、でも車中泊であろう車がそこそこいてって感じで。全然うるさくなくて、ここを選んで正解っていう。
数ヶ月前に車が変わって初の車中泊ってことで、適当な装備であとはやってみて考えようみたいなノリで臨んだもので、いざやってみるとあれも欲しいなこれがあったらいいなとはなったものの、眠れないほどでもなく。
時折起きては飲み物を調達したり、見知らぬ道の駅でいったいなんでここにいるんだろうみたいな謎の気持ちになったりしつつ、朝を迎えたんです。
久しぶりの車中泊。
それがやっぱり、身体にダメージが残るというか疲れが抜けなくて。
最近でも東北一周オール車中泊とかあったし、車で寝ても疲れが抜けない感じはまったくなかったんですね。
それがどうも、つらさだるさを感じているんです。
いつか。
いつか年をとってまだ動けるなら、車で日本一周とかさ、いいじゃない。仕事の合間の休みじゃ行けないような遠くまで、なにも気にせず縛りもなく行けたらいいじゃない。
そういう感じの人を見かけたこともあります。老夫婦らしき二人連れが、早朝の道の駅で車中泊で旅してる感じで。軽ワゴンの後ろに手作り感がすごい棚とか作ってあったりしてさ。
でも、あたしは、いかにもってのは好きじゃなくて。
キャンピングカーとかもそうだし、軽自動車をちょっと改装したようなのもそうなんだけど、いかにも車で寝てますっていうのが出ちゃってるのは好きじゃないんです。
あたしは溶け込みたいのね。紛れ込みたいの。
わかるから。
見えないようにしてもわかるから。そういう旅をしてる人なんだなってわかるから。
あたしは、旅先の街に溶け込みたいの。完全に溶け込んだら、その街に受け入れられたってことじゃない。
旅人は浮いちゃうものなのよ。どこか浮いちゃうものなのよ。
その前にパズルをどうぞ
で。
この辺で宿を探そうと思って。
佐野ラーメンも食ったし、帰ってもいいんですけどね。
でもさ、旅に出てて帰る選択肢なんてあります?
こちとら、帰るために旅に出てんじゃないよって。行きっぱなし上等。できることなら帰りたくなんかないんだから。
三連休で旅に出たんなら一泊で終わるとか意味がわからないでしょう。でしょうって言われても困ると思いますけども。
でも車中泊はキツいなと。
それで、じゃらんでホテルを探しまして。
迷ったんですよ。元々、ちょっとお金を使いすぎだろってのがあっての、今回の旅ですから。ホームセンターとかカー用品店とかでちょっと装備を整えて、今夜も車でひと晩明かそうと思ったんです。
でもそうやって出費するんなら、もうちょっと足してビジネスホテルに泊まったらどうだと。探せば安いホテルだってあるだろうと。シモンズのベッドなんかなくていいじゃないか。ウェルカム・コーヒーなんかなくていいじゃないか。壁と屋根があればいいじゃないか。北関東いいじゃないか音頭ですよ。
んで、そこそこのお値段で佐野市からそんなに離れていない小山市に宿を見っけまして。
じゃあ小山に行っちゃうかと。
もうね、今に始まったことじゃありませんけど、宿が取れたからその街に行くっていう、謎の。旅立つ前は行く予定がなかった街だからね。
それでふわふわだらだら、佐野市から対して遠くもない小山市に向かうんですけど。景色を見たり街をちょっと歩いたり。車にスマホを忘れてみたり。
ただ、やっぱりちょっと身体がつらい。どうも寝方が悪かったのか首と腰に違和感が残る感じなんです。
こんなこと、連日のように車中泊してた頃にはほとんどなかったんですけどね。疲労も溜まってる可能性もあるけれど、年齢的なやつもあるかもしれません。19歳なのに。ハートはずっと19歳なのに。
それで、ホテルに辿り着いた頃にはもう真っ暗になってまして、予約した時に駐車場無料とあったのは確認してたんで行ってみると、あるにはあるけど1台分だけ。
それもすごくて、空いてる隣が長さのある高級車で、その斜向かいにこれまたハイエースクラスのいかつい感じのバンが止まってて、どっちも通路にはみ出すような感じになってるんです。
そこしかないんだ。そこしか空いてないの。てゆーか全体的に狭めな駐車場にもってきて、そんな感じでデカいのが停まってるもんだから、そりゃ誰も停めようと思わないよねっていう感じなの。
で、一応ホテル周辺をぐるっと回ってみたんだけど、夜で暗いからよくわからないものの、おそらくパーキング的なところはそこしかないんだ。
かといって、いったん路上に停めてホテルのフロントに確認に行こうにも、ホテルの目の前の通りがけっこう激しくてさ。
はぁ…
もうしょうがないじゃん。そこに停めるしかないんだよ。それにモタモタしてると他の宿泊客が先に停めちゃうかもしれないじゃん。バイクとかさ、チョロQのちょっとデカいのに乗ってきたやつとかさ。いるかもしんないじゃん。
疲れてるよ。だからホテルをとったんだよ。そのホテルに辿り着く前にそんなハードルある? そりゃため息も出ますよね。
それで、また戻って。バックモニターと何回か降りて視認して切り返しながらさ。
たまに海外の動画とかで前後に隙間なく停められちゃったところからどうにか脱出する、みたいなのあるじゃないですか。あれの逆だよね。なんなの? パズルなの? っていう。
挙げ句に、四苦八苦してどうにかこうにか停めてからチェックインしたら、分かりにくいけどもう一ヶ所、別のところに駐車場があるんですとフロントマンが教えてくれまして。
そっちは空いてますよと。
あった? そんな駐車場あった? こっちも一応回ってみたんだよ。ホントにあった?
どうなさいますか、停めなおされますかっていうけど、やらねぇよって。
どうやって停めたのっていう感じになっちゃってんだから。テトリスだったら駐車場の車が全部消えてる感じで停めてるんだぞ。そこから出してでしょ。今やっと停めたのを出してでしょ。無理だよ。別の駐車場は無理だよ。
…まだあるよ?
愚痴はまだまだあるよ? でもこのへんにしておきますよ。なげぇから。また一万文字とかになっちゃうから。
旅? また行くよ。行きますよ。しょうがないでしょうよ、そういうもんなんだから。
そう。そんな。そんななのです。