どこか健康ランドっぽい、ちょっとカオスな空気を漂わせつつ、健康ランドとも違う感じの不思議な印象の施設でしたよ。
魚沼というとコシヒカリ。
お米の産地として名が知られている地域になります。市町村合併の影響のようですが、さらに南魚沼市なんてのもありますので、私のような土地勘のないものには少々ややこしい地域でもあります。
新潟県の真ん中にある長岡市内から(これも新潟県に住んでいる人に言わせると違うらしいのですが、めんどくさいので割愛)、国道17号線を湯沢方面に向かって進んていくと、魚沼地域に差し掛かります。
鉄道好きなかたには人気のあるローカル線のひとつ、只見線のあるあたりが小出というのですが、そのエリアに今回お邪魔した「ゆ〜パーク薬師」があります。
わかりやすいのは、小出地域にある国道沿いのセブンイレブンがある交差点を山の方へ曲がり、そのまま進んでいって右手に見える道の駅を左折。
道なりに進んでいくと大きくカーブしているあたりで右に入って行く細い道がありますから、そこから辿り着けます。ちなみにマップを見ずに、看板を頼りに行こうとして迷いました。
米どころとあって、そこかしこに広がる面積の大きな田んぼには、もうずいぶんと背の伸びた稲があちこちで風に揺られています。もうしばらくしたら収穫期になるんでしょうかね。
美味い新米がいただけるのはうれしいですね。個人的に実りの秋は、稲刈りの影響なんだと思いますが、田んぼのあたりを通りがかるとクシャミが止まらなくなる時期でもあります。
このあたりにはちょっとした山があって、それが薬師山というんだそうです。ゆ〜パーク薬師自体も高台に建っています。名前の由来はそこからでしょうかね。
公式サイトはこちらから。
http://www.yu-park.com/
駐車場に車を停めて建物の方へ。入り口にのぼりが見えますね。
中へ入ると靴をロッカーに預ける仕組み。
その後、入り口脇の券売機で入場券を購入となります。大人650円、貸タオルは200円でした。
券を受付のお姉さんに渡し、貸タオルを借りたのでそれも受け取ります。初めてなので浴室の場所を聞くと二階とのこと。受付の反対側に階段がありました。
人が大勢いたので写真は撮ってませんが、ロビーでは特産物などが売られていたり、その近くにはゲームコーナーがあって、その向こうにはマッサージ機が置かれていたり、更に奥の方は食堂となっている模様です。
雰囲気的にはどこか健康ランドっぽい感じ。
もっと言うならこういう施設にありがちな、お客さんが長時間滞在するんならとアレもコレも置いた結果、若干のカオス感が漂っているといった風情なんです。
こういうの、嫌いじゃありません。
二階への階段の壁には食堂のメニューなども貼ってありました。
そのまま上がっていくと、ここも独特の空間になっています。
まず目立つのはマンガコーナー。結構な量の蔵書が棚にズラッと並べてあって、湯上がりの待ち時間なのか、それを超えて夢中になっているのかわかりませんが、何人かが読書中。
その奥側には自販機やマッサージなどのスペースになっています。
思わずマンガを手に取ったりして、ますますなんの施設なのか忘れてしまいそうです。
風呂、風呂。ともかくお風呂に入りましょう。
写真を撮っていないので記憶がちょっと曖昧なのですが、ロッカーはコイン返却式だったと思います。受付けでは鍵を渡されないので、好きな場所を選んで衣類を脱いで早速お風呂場へ。
全体的な印象は、ちょっと広めの銭湯という感じです。洗い場とシャワー、内湯があってバイブラバスや打たせ湯にサウナがあります。
この時期の限定なのか、メントール系のいわゆる冷やしシャンプーってやつが普通の備え付けのシャンプーとは別に置いてありまして、早速トライ。
訪問したのが夏真っ盛りだったので、頭皮がスッキリする感じが良かったのを覚えています。そういえば最近行った長野の日帰り入浴施設でも、冷やしシャンプーが置いてありました。
ちょっと話はそれますが、冷やしシャンプーっていつから始まったんでしょうね。
かなり前になりますが、当時の勤務先で午後から休みを取っていまして。別に用事があるというわけではなく、休日に働いた分の代休ってやつだったと思います。
午前の部も終わりに近づき、さて午後は何をしようかと考えた時に、そういえば髪を切りたいなと思ったんです。
で、勤務先の近所に住んでる人に、この近くにいいところは無いかと。できれば美容室じゃなくて床屋がいいと尋ねましたら、それならバーバーなんとかだなんて言われましてね。
その床屋の正確な名前は忘れてしまいましたが、初めてだってのに予約もせずにノコノコ行ってみたんです。
床屋さんの、あのわかりますかね、重ったいドア。昔の床屋さんの分厚いガラスのドアってやたら重いじゃないですか。あれを開けたら旦那さんがひとりでお客さんを相手にしてまして。
予約もしてないけど髪を切りたい的なことを言いましたら、40分ほど待ってくれればできるって言うんでね。
整髪料やシャンプーの香りが混ざった、床屋さん独特の匂いに包まれつつ、特に興味もない雑誌をパラパラめくっては、ああ世の中こんな風になってるんだなぁなんて思ったり思わなかったりしつつ待ってたんです。
そしたら、多分お昼休みだったんでしょうね、床屋の旦那の奥さんらしき人が店に現れたんです。旦那さんももう40代後半といった風体でしたし、奥さんもそれに近いようなかただったと思うのですが、さすがにハッキリは覚えておりません。
その奥さんが切った髪の落ちてる床を掃いたりとか、なんだかんだしたあとで私の方に来て、先にシャンプーしますから、ということになりましてね。
その後に続く言葉が、
「スカッとするやつと普通のやつとどちらにします?」
・・・私もそれほどカンの悪いほうじゃないと自分では思ってますから、多分整髪料か、もしくはコンディショナー的なもののことを言ってるんだなとは思ったんです。
でも、スカッとする方ってなんだろう。
誰がスカッとするんだろう。
スカッとするって言葉は普通、胸のつかえが下りたみたいな、気持ちが晴れたみたいな時に使うものでしょう。
私がスカッとする分には良いんですけど、ことによると奥さんがスカッとする可能性だってあるよなと。
日頃のストレス解消に、私の頭を鷲掴みにしてガッツンガッツンにシャンプーしたり。
頭のマッサージでよくやる、手刀で軽く頭部をパチパチ叩くやつを、瓦割りみたいな勢いでチェストォー! みたいな。
・・・妄想はさておき。
まあでも、ここで普通っていうのもつまらないし、第一いくら職場の近くとは言え、今日を逃したらもう来ない可能性だってなくはないわけで、それなのに普通を選んじゃったらその「スカッとするほう」は謎のままになるんでしょ?
そんなの、スカッとどころかモヤっとするじゃないのと思ったもんですから、じゃあスカッとする方でと答えたわけです。
仰向けで後頭部をシャンプー台の上に乗せると、眩しくないようになのかリラックス効果なのか、目の上に蒸しタオルを置かれます。
奥さんが洗髪の準備をしながら、「今日はお休みですかー」なんて世間話を振ってくるのですが、視界は塞がれてますし、いつスカッとするために早解きルービックキューブみたいな手つきでシャンプーしてくるんじゃないかと身構え気味になってるもんですから、上の空もいいところですよ。
ですが、まあ当たり前ですけど、いつまでたってもぜんぜん激しくならない、むしろ丁寧なシャンプーを受けてたら、だんだん頭皮が熱くなるような、洗い流されていくと今度はひんやりするような感じになってきたんですよ。
これかと。
これがスカッとするやつかと。
これが今で言う冷やしシャンプーってやつで、これが初体験だったと記憶しています。
スカッとするほうなんて床屋の女将さんが言ってたくらいですから、冷やしシャンプーという言葉が出てきたのはその後なんだろうと思いますが、理容店の目新しい商品みたいな感じで、夏場になると見かけるようになっていきましたよね。
・・・なんの話でしたっけ。
えーと、温泉ですね。
冷やしシャンプーに加えてボディソープもそういうタイプだったので、もう全身ひんやり状態で内湯へむかいます。
ぬるめのお湯でゆっくりと浸かっていられる感じ。特にお湯のクセは感じません。
強いて言えば、風呂場の入り口を向いて湯船に入る格好になるおかげで出入りする人の動きが目に入るもんですから、ちょっと落ち着かないかもしれませんね。
浴室内には露天風呂への入り口があり、そちらへ行ってみます。ドアを開けると正方形の空間があって、外側に窓がなくポッカリと開いている構造になっています。
外を覗いてみると、高台の建物の二階にあるにしてはそれほどいい景色という感じではありませんが、田園風景が広がっていてそれなりにのんびりした気分になってきます。
写真は露天風呂からの景色ではありませんが、魚沼市で撮ったもの |
この露天風呂、どうやら一か所しかないようで、日によって男性が使えたり女性が使えたりという運用をしているようです。
女性用の浴室に通じると思われるドアもあったりして、なんとも不思議な感じがしました。もちろん露天風呂側からは立入禁止な表示がありますし、おそらく鍵もかかってるんでしょう。
浴槽自体は特に変わったものではありませんし、ベンチなどが置いてあるものの露天な感じは低めになっています。
お湯は内湯よりも更にぬるめで、体温に近い感覚でした。お客さんが少なければ、ぼんやり長湯できそうです。
風呂上がり。
脱衣所にはドライヤーが完備されています。変わったところでは水素水のウォーターサーバーらしき機械が置いてあって、有料で水素水が飲めるようになってました。契約しちゃったんだ・・・ とか、色々な意味でアレな気持ちになったような気もいたします。
というわけで、ゆ〜パーク薬師にお邪魔してきました。
一般的な日帰り入浴施設とはちょっと違う感じのする、洗練されたスーパー銭湯にはない手作り感、おもちゃ箱感のような気配の漂う、独特な温泉施設でした。