日帰り温泉レビュー 寒波の中、千手温泉 千年の湯へ(新潟県十日町市)

2018年3月11日日曜日

#レビュー #日帰り温泉 #旅

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 今回は新潟県内でも有数の豪雪地帯に数えられる十日町市にある、千手温泉 千年の湯に行ってきました。十とか千とか漢数字がいっぱいです。
 当日は大寒波が来ておりまして、はてさて無事に温まってくることができたのか、というお話。


 公式サイトはこちら。
 千手温泉 千年の湯(新潟県)源泉掛け流し日帰り温泉
http://www.machidukuri-kawanishi.com/onsen/
 
 一番先に書いておきましょうか。こちらのお風呂は加温循環なし。すなわち源泉掛け流しでございます。みんな大好き掛け流し。聞いただけで目がハート、いや温泉マークになるという方もいるんじゃないでしょうか。
 
 私の場合、泉質よりも立地が気になるという奇病を患っておりますので、千年の湯がどんな所に在るかから書いていきましょう。

豪雪地帯の住宅街にある温泉


 場所はすでに書いた通り、新潟県中越地域の十日町市にあります。
 十日町市は、信濃川中流に分断されるような感じで位置していて、地理的に奥まった場所のせいか、周辺地域からのアクセスはそれほど良くない印象です。

 温泉が多い土地ですが、新潟県に来る前はそれほど聞かない地名だった事や、機会に恵まれなかった事もあって、個人的にもまだ数回しか訪れていないエリアです。
 
 十日町市を流れる信濃川のすぐ西側は、地形的に河から一段高いような感じになっていて、そこに都市部が広がっています。そのさらに西側は山。
 東側も信濃川沿いに都市部が広がっていますが、こちらもすぐ山になります。

 つまり、山に挟まれた信濃川両岸のわずかな平野部分に、十日町市の市街地エリアが集まっている感じで、他の地域に行くためには信濃川沿いの狭い平野部を通るのでなければ、ちょっとした峠を越える必要があります。
 
 今回訪れた千年の湯は、信濃川の西側に位置しています。県道が通る住宅地の中にあって、案内の看板などは目立つものがないようなので、ナビなしで行くのはちょっと難しいかもしれません。

襲来、大寒波


 その日は連日連夜の大寒波が襲来中でした。
 運転していると前が見えなくなるほどの大雪で、そんな平日の夜に、雪深い地域に向かって数十km走ろうとしてる物好きはどこのどいつだと。

 まあ、行きたくなったんだから仕方ないんですけどね。ええええ。

 そんな埒のあかない事を思いながら車を走らせていたら、十日町市に近づくにつれて晴れ間が出てきまして。道路の除雪も、アスファルトが見えるくらいにしっかりとされていたもんですから、ちょっとホッとしました。
 

 大きめの通りから少し入っていった先に、目的地の千年の湯があります。
 空いている駐車場に車を入れてよく見てみると、建物が緩やかな弧を描いていて、ちょっと面白い造りです。入り口の横では、除雪用の重機がひと時の休憩を満喫中でした。
 
 そのさらにその脇では、もうもうと湯気を立ててお湯、おそらくは温泉が散布されていてビックリ。除雪の一環なんでしょうか。湧き出す湯の量が豊富なんでしょうね。
 近くまで行ってみると、本来はそこに足湯がある模様。夜のせいか冬のせいか不明ですが、訪れた時にはやっていませんでした。
 
足湯もある屋根の下

外観も内装も特徴的


 中へ入っていきましょう。
 弧を描いた建物の中央から見ると、向かってやや左側にある玄関を抜けて、そのすぐ脇に鍵付きの下駄箱が並び、その奥には鍵のない下駄箱があります。鍵はフロントに預けず自己管理のようです。
 
 券売機で入浴券を購入します。大人600円で18時以降は500円と、新潟県内の温泉施設では安めな価格設定でした。今回は100円の貸タオルも借ります。
 

 受付で券を渡して、お風呂はあちらです、と言われるがままに進むと、休憩ができるようなロビーがあります。窓側や壁際には、ゆったりできそうな背の低い椅子や、趣のある木製の長椅子とテーブルが並べられています。

 日帰り温泉施設では、座敷のようなスペースがあるのが定番ですが、ここでは椅子席が多いのが特徴的です。畳風のマットを敷いたエリアもありますが、ほんのちょっと。
 
 内装の全体的なイメージは「和」な空気感ですが、ログハウスっぽいイメージと言えば伝わるでしょうか。よくある日帰り温泉系の、大広間の座敷と座布団みたいな感じとは違って面白いですね。
 

 そのロビーの中ほど。「ゆ→」と書かれた看板の奥がお風呂場です。めっさわかりやすい。週替りで男女入れ替え制との事でした。

お客さんの会話に耳を疑う


 その奥の脱衣所へ。
 あの、この脱衣所が狭いのです。狭い脱衣所ってのは、古めの施設ではよくあるものですが、ここはレイアウトが良くないんですよね。
 部屋自体もそれほど広いとは言えないのですが、室内を二分するように、ロッカーがある脱衣所と洗面台が配置されています。
 
 脱衣所エリアでは、100円返却式のコインロッカーが壁際に4段積みで並び、その向かい合わせにカゴの並んだ棚があります。人が二人立ったら奥には入れないくらいの幅です。これが部屋の半分。
 
 もう半分には同じように、向かい合わせで洗面台が並んでいます。つまり、着替えをするエリアと髪を乾かす洗面台部分が同じくらいの面積になっていて、明らかにアンバランスなのです。洗面台を減らしてレイアウトを変えると、もう少し使いやすいかなと。
 
 
 そんな脱衣所で空きロッカーを見つけてモゾモゾとやっていると、他のお客さん、おそらく地元の方々の会話が聞こえてきます。
 訛りでところどころ分からないんですが、意訳すると多分こんな感じ。
 
 「今日はいい天気だったねぇ!」
 「そうだねぇ、道の雪も溶けて」

 思わず耳を疑います。
 いや、今日なんか大荒れで大変だったのよ・・・
 
 「なんか◯◯市のあたりじゃ凄いことになってんでしょ?」
 「おお、そうみたいだねぇ。大変らしいよ」

 え? いや、はい?
 大寒波ですよ? 大寒波が絶賛襲来中ですよ?
 
 いや待てよ。
 確かに十日町市に近付いたら、屋根や道の脇にはうず高く雪が積み上がっていたけれど、路面には雪が無くなってたような気が。
 あれって除雪がちゃんとされてたわけじゃなくて、天気が良くて・・・ ってこと?
 
 ええ? と思ったのですが、どうやら本当のようで、普段豪雪地帯と言われている十日町市付近と、それに比べたら積雪の少なめな地域で、逆転現象のような事になっていたらしいのです。
 

とにかくあたたまろう


 ある種、衝撃的な会話が聞こえる中、窮屈感のある脱衣所で手早く服を脱いで、お風呂場へ。
 洗い場は仕切りなし。左右はまあまあ広いのですが、後ろはそれほど余裕はありません。洗い場が背中合わせで配置されているため、ちょっと気を使いますね。
 
 浴槽は大きなものがドーンとひとつあって、ヒノキが浴槽の縁に使われています。男女入れ替え制で入れるもうひとつのお風呂場は、石造りです。

 お湯の性質上滑りやすいとの事で、滑り止めの模様が刻んである木の板が、浴槽の縁のあちこちに設置してあります。
 浴槽内は一部がジェットバスとジャグジーになっていて、個人的に最近ジャグジーにハマっている事もあり、そこでしばらくのんびりと温まりました。
 他にはサウナと水風呂があります。
 
 露天風呂へ。
 石造りの大きな浴槽と、隣にもうひとつ小さな浴槽があります。小さな方は屋根付きで、お湯の温度も高いようです。
 大きい方の露天風呂には先客がいたので、必然的に小さな方へ。
 確かに熱めですね。加温なしとの事ですから、源泉は結構な温度なのでしょう。真冬でしたが温まり方がよくて、風呂上がりにしばらく汗が引かなかった程でした。
 
 先にちょっと触れましたが、入れ替え制のふたつのお風呂は、丸い石造りの内風呂とヒノキの露天風呂の組み合わせのものと、その逆に内風呂がヒノキで露天風呂が石造りのもので、対照的に構成されています。
 

湯上がりにロビーでまったり


 お邪魔したのは平日の夜、ピークタイムは過ぎた頃だと思うのですが、お客さんがボチボチいました。人気があるのを感じ取れますね。

 お風呂場に人が居るってことは、モタモタしてると脱衣所が大変な事になりそうです。お風呂場自体もそれほど広くはありませんし、ここは長湯せずに出る事にして、休憩所でちょっとひと息いれましょう。
 
 っとその前に、仮眠室が脱衣所の上にあるのを発見します。
 脱衣所内に階段があって、上っていくとちょうど二階部分というか屋根裏部屋的な空間に繋がっていて、畳風のマットが並ぶ仮眠室がありました。
 脱衣所の上に仮眠室という配置はあまり見かけない気がします。部屋も天井が低めで窓がない事もあって、少し圧迫感を感じました。
 
 
 今度こそ脱衣所からロビーへ。
 先程の「ゆ→」の看板の前には、木製の長椅子とテーブルが並べられていて、マッサージ機が4台あったり、ちょっとしたキッズスペースがあります。
 特に部屋のような仕切りはなく、板張りのロビーにあれこれと配置されている感じですね。
 
 地元のみなさんは、お風呂から上がるとそのまま帰ってしまうのか、ロビーに人はまばら。隅っこの長椅子に腰掛けて、かなり暖まった身体をクールダウンさせつつ休憩を取ります。

 聞こえるともなく、他のお客さんの方言混じりの会話がうっすらと耳を通り過ぎたりしていると、旅して良かったなと思わざるを得ません。
 距離じゃなく時間でもなく、こんなことでも私には旅なんです。
 

寒波の街へ逆戻り


 ようやく腰を上げる気になり、受付の方へ。
 向かって右手には野菜や果物などの地場産の物が売られていて、その奥は食事処。
 ここは仕切りのある部屋になっていて、座敷に長机といった感じ。営業終了していたので休憩してもいいのか不明でした。その奥に自販機コーナーがあります。


 千年の湯を出て、脱衣所で聞いた会話を思い出します。また雪で埋もれた街へ戻るのです。温泉でゆったりモードになっている気分を切り替えるのが、これまた面倒でね。
 このまま眠りたいような気持ちをなんとか奮い立たせて、車を走らせたのを覚えています。

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