たまたまそっち方面に野暮用ができましてね。それが意外と早めに済んだもんですから、じゃあ足を運んでみようかとその場の思いつきで行動を開始したらどうなったかというお話。
洋風カツ丼ってなんなのさ
ご当地グルメだのB級グルメだのといったくくりで、それなりに歴史があるものから、どうもコンサルタントのニオイがするものまで、全国津々浦々にちょっと変わった食べ物がありますよね。
洋風カツ丼というのは新潟県長岡市が発祥とされる食べ物で、プレートに乗ったご飯にカツをオン。上からケチャップ系あるいはデミグラス系のソースがかかったもの、というものをそう呼ぶようです。
以前食べた洋風カツ丼 |
B級グルメといってもそのメジャー感には大きな幅があるものですが、この洋風カツ丼は長岡市内でも提供しているお店は多くはありませんし、他地域ではほぼ見かけないメニューです。
もちろん私の見聞きした範囲ですので、普段行かないようなオサレなカフェなんぞで流行っている可能性はありますけども。
洋風カツ丼を初めて食べた時のお話
新潟県のご当地グルメ 洋風カツ丼&イタリアンを初体験 - Time goes around - https://lifelogblog2015.blogspot.com/2018/12/B-gourmet.html
発祥の味を引き継ぐというお店
そんな洋風カツ丼。
それ自体はすでに、とあるお店でいただいています。ですから洋風カツ丼とはこういうものなのか、ってな部分については体験済み。
その味に感動したハマったということはありませんでしたけど、かといって嫌いな味というわけではなく、機会があったらまた食べてみたいものというのが正直なところだったのです。
そして、「機会があったらまた」はこのお店かなと前々から気になっていたのが、今回の目的地となる長岡駅付近のとあるレストランです。
洋風カツ丼発祥のお店というのはすでになくなっているそうですが、そこで修行されたご主人がその味を引き継いでいるお店があるとのこと。それが先述したレストランというわけです。
そういうお店なら、どんなものか食べてみたいじゃないですか。
ただひとつネックなのは、車では行きづらい場所にあること。駅前という場所は駐車スペースの問題などもあり、なかなか行く機会に恵まれませんでした。
長岡駅からそのレストランまでは徒歩でも充分行ける距離なので、公共交通機関などで駅まで行く機会があれば、一度訪ねてみたいなと思っていたんですね。
実際に一回、そういったハードルを越えて足を運んだことがあったのですが、あいにくの定休日という憂き目に会いましてね。今度こそは、という気持ちもどこかにあったのは確かです。
辿り着いて待っていたのは
そんなわけで冒頭にも書いたように野暮用から開放されたのが意外と早く、件の洋風カツ丼のお店に行くことを思いつきました。
私は「行ってみたい」と思った場所には、そこへ実際に行くアテがなくてもグーグルマップにマーキングをするようにしています。
ネットの記事を読んだり雑誌で見たりして、いいなと思った場所があったら、その場で地図上にチェックを入れておきます。今すぐには行く予定がなくても、いつか思いもかけず近くに行くことがあるかもしれませんからね。
私みたいに不意に何処へともなく旅へ出るような人には、マーキングすることがある種の事前準備的な感じになりますし、ちゃんと旅の計画を建てる時にも役に立ちます。
話を戻しましょうか。目的のお店もグーグルマップにマーキングをしてあり、アプリを開けば位置が確認できます。
ですが、現在地の長岡駅からは特にナビさせるほどもなく辿り着ける距離感ですし、先に書いたように一度行って定休日だったなんてこともありましたから、だいたいのルートはわかっています。
ですからスマホを取り出すこともなく、陽の傾きはじめた街を、確かこっちだったよなーなどとブツブツ言いながら歩きだします。
7月といってもそれほど暑いわけでもなく、広い通りや狭い路地を目で追いながらのちょっとした散歩、といった気分だったのを記憶しています。
途中で雰囲気のある路地にちょっとグッときたりしつつ歩いていたら、どうも道を一本間違ったかなという気がしてきましてね。
お店が混み合う時間帯だし、できればスムースに到着したい。
いや待てよ、そもそも営業時間を確認してなかったな。定休日じゃなかったはずだけどと、もう一度グーグルマップを開いて、例のマーキングのあるお店の位置を確認したんです。
そうしたらね。
閉業⁉
ヘイギョー⁉
いやいやまさかそんなはずはないと。
つい最近も雑誌かなにかに載ってるのを見たし、ほらアレだ、グーグルマップって情報の修正とかいって、申告すれば誰でも「すでに閉業」みたいな提案ができちゃうから。なんかそういうことで閉業にされちゃってんじゃないの?
まあこれから行きますから。行ったら写真でも撮って、営業してますよってグーグルマップに再修正を依頼しようかな。
そんなことを思いつつも、やっぱりちょっと気にはなる。現在地もやっぱり道を間違えていたし、地図を確認して現地へいそいそと行ってみたんです。
やって、ないね。
シャッター閉まっちゃてるし、ね。
ただ、店の外には普通ならありそうな閉店の挨拶などは見当たりません。
たまたま休みなのか、もしくは遅めの営業なのか。とにかくこのまま立ってても始まりませんから、ネットで色々と調べてみました。
結果、どうやら6月末、つまり昨日で閉店したのは間違いなさそう。店主さんがこの場所で別のお店を開くかも、といった情報もありましたが、少なくとも昨日閉店しての今日はこのシャッターが開く可能性はゼロでしょう。
てゆーか、昨日まで営業してたって。そこに翌日行く機会があるって。
なにこの、巡り合わせというか縁のなさというか。
聴きたかった深夜ラジオが終わって1分後にハッって目が覚めるみたいな感じ。なんなのもう。
もちろんお店が悪いんじゃありません。リサーチしない自分が悪いのです。個人的によくある、自分で勝手に盛り上がってしょんぼりするパターン。何度繰り返すのかと。
しあわせになれる選択肢は
どんより以外の表現が当てはまらない心のまま。
心のスキマ、スキマっていうか亀裂っていうかそういうものがポカーンと開いた口から見えちゃってるような状態で、もと来た道をふらーっと歩きだします。
できればそっと歩かないと心が瓦解しかねません。
どうする?
もとを正せば、洋風カツ丼自体はそこまで食べたいわけじゃない。
でもタイミングが合って行きたかった処に行ける日が来て、結果タイミングが悪くて閉業してた。そして、リベンジできる日が来るかどうかもわからないという流れ。
要するに自分で受けたダメージの回復方法がわからないわけです。
こういう時になんとなくでテキトーな飯屋に入ったら、間違いなく、
「でもなぁ…」
ってなるわけです。その飯屋は悪くないとしても、
「でもなぁ…」
ってなっちゃうんです、経験上。
ここは可能な限り無難で、かつダダ下がりのテンションがちょっとは上向きになるような選択をしなきゃいけません。
じゃないと、でもでも言いながら結局どこの暖簾もくぐらず、途中のコンビニでこれでいいやと買った塩おにぎりを膝を抱えて無言で食べる羽目になるんですから。こういうの何度もやってんですから。
この日はそんないつもと違って、案外すぐに対案を思いつきましてね。
以前記事にしましたが、独特の雰囲気のある喫茶店「モカ」へ行ってみようと。初めて行って以来久しぶりですから、あらためて足を運ぼうじゃないのと。
いや待て、落ち着いて。
これで行ってみたはいいけど定休日とか精神的に持ちこたえられる気がしません。
まずはネットで確認しましてね。やってるやってるオーケーオーケーと、すでに暗くなりつつある長岡駅前のアーケード通りを早く傷を忘れたい、しあわせになりたい一心で歩いたのです。
カレーショップ モカ
大きなアーケード街の交差点近くにある、看板がなければ見逃してしまいそうな階段。
それそのものはどこか趣があるのに、それに一切合わせてこない手作りかつ派手なメニューの掲示とのアンバランスさ。
初めて見つけた時もクラクラしたものですが、あらためて見るとやっぱりいいクラクラ具合です。
そしてこの看板のカッコよさを見て。
ゆっくりと階段を上がって店内へ。他にお客さんはいませんでした。
腰が低い、それでいてどこか威勢のいいラーメン屋さんのようなマスターに案内されて席に着き、メニューを眺めます。
この前とは違うのを頼もうかなと思ったものの、結局同じハンバーグカレーにして、下がったり上がったりの心を落ち着けようと、夏らしくレモンスカッシュも注文しました。
店内に流れている、70年代〜80年代のいわゆる歌謡曲と、その頃から使われていそうな店内の椅子やテーブル。
そしてレトロなフィギュアやポスターなどなど…
特にこの椅子がいいんですよね。この色合い風合いと、刺繍が微妙に違う感じ。
そしてハンバーグカレーとレモンスカッシュ。
カレーに目玉焼きの組み合わせが好きでしてね。加えてハンバーグも分厚いのが乗ってるとくれば、注文したくなるというものです。
レモンスカッシュは「いつものやつ」という感じの安心感。多分、ご想像通りのあのレスカだと思いますよ。
こういう癖のあるお店って好みが分かれるものですが、ここまで書いたように今日も今日とて色々ありつつも、帰り道の足取りがほんのり軽かったのは間違いありません。
何処から何処へ行くのか
そんなこんなで図らずも、ひとつふられて、どこかで埋め合わせすることができました。
旅先でも基本的にいきあたりばったりですから、こういうことはままあることで。そうと知っていても、偶発的な巡り合わせみたいなものが止められない部分もあったりね。
相変わらず右往左往しつつ一日が終わり、これからもおそらくどこかで、こんな日を重ねていくんじゃないかと思います。
それに若干呆れつつも、他にやり方を知りませんからね。せいぜい、そんな暮らしを続けていくしかないんだなと、そう思うのです。
前回モカへ訪れた時のお話はこちら
カレーとフィギュアとおばけパフェ 新潟県長岡市のカレーショップ モカ - Time goes around - https://lifelogblog2015.blogspot.com/2018/01/nagaoka-curryshop-moka.html