ドラクエウォークでは「お土産」というものがあり、各都道府県に4ヶ所ずつお土産をゲットできる地点が設定されているのですが、そのひとつである新潟県上越市の林泉寺まで行ってきたというお話。
2万歩あるけってさ
だからって林泉寺に行こうと思って、計画して朝からお出かけしたってわけじゃありません。ある意味いつも通りの思いつきなのですが、この日はちょっとだけ状況が違いました。
その日は2019年12月1日。日曜日。
スッキリとはいかないまでも晴れ間の見える空を見上げると、冬の到来と年末に向かってる感がどこかのしかかってくるような気がしてきます。
個人的なことですが、仕事的な忙しさが増していたころでして。出勤が続いて休みも少なめでね。
ぶっちゃけた話をすれば寝ていたい。惰眠をむさぼり、ほんのわずかでも気力体力を回復したい。そんな状況でした。
そんな中で追い打ちをかけるように、正確には追い打ちかけやがってと勝手にこっちが思っただけなんですけども。
ドラクエウォークでね、イベントが開催されてまして。
ドラクエウォークを遊んでいない人に説明すると、ゲーム内では大なり小なり色々なイベントが連日のように開催されているのですが、中でも特定の期間内に規定の歩数に達するとアイテムなどがもらえる、みたいなイベントが不定期で行われているんです。
で、その週末もそういったイベントがあり、金土日の約三日間という期間内に累計で2万2千歩ほど歩くと、まあまあ良さげなアイテムがもらえる的な内容でした。
マイルールに縛られたあげく
繰り返しますが当日、12月1日は日曜日。
イベント期間的には大詰めです。厳密には翌月曜日の昼間くらいまでなのですが、仕事などもありますし、事実上この日がイベント最終日ということになります。
週末三日間の累計で2万2千歩を達成すればいいのですが、前日までは仕事、かつ仕事中にはドラクエウォークを起動しないというマイルールのために、ドラクエウォーク内の歩数としてはまだ千歩ほどしか計上されていません。
つまるところ、そのイベントをクリアするにはこの一日で2万2千歩を歩かなきゃいけないと。
日々の疲労も溜まってるというのに、2万2千歩ですよ。
歩幅ってのは身長に0.45センチをかけると、ざっくり算出できるんだそうです。
仮に身長170センチとしたら歩幅は76.5センチくらい。
1歩で76.5センチ進むわけですから、それに2万2千歩をかけて単位を直すと、出ました16.8キロメートル。
じゅうろくてんはちキロメートル?
具体的に例えると、皇居一周が約5キロなので3周ちょい。山手線一周が約34キロですからザックリその半分。スカイツリーで約26本分。別府タワーなら180本以上も並んじゃう。
さすがにピンとこないかもしれないので、もっとわかりやすく例えると、日本唯一のサメ博物館でおなじみの気仙沼シャークミュージアムから気仙沼郵便局までが1.6キロですから、なんと5往復ですよ。
「歩かなきゃいけない」にすり変わってる
ちょーわかりやすい例えで、はいはいそれは大変だねっていうのが伝わったんじゃないかと思いますけども。
なにせ、一日で2万歩オーバー約16キロを歩くとなると結構キツい。
ウォーキングや登山なんかをされるかたの中には、そうでもないよってなツワモノもいらっしゃるでしょうが、こちとら伊達と酔狂で歩いてんですから。
旅をする、その途中で「歩く」というスピード感を取り入れると、車や電車で通り過ぎていた風景にもまた何か違ったものを感じるよね、ってのがわざわざ歩いてる発端でね。
だから、どうしても歩きたいってわけじゃないんです。
なるべくなら気が向いたらもしよろしかったら、歩いてもあげなくもないよってなスタンスなんです。
ドラクエウォーク内のイベントを達成するみたいなことも、歩く目的、モチベーションとしてあるにはあります。
それにしたって、どうせゲーム内のデータがちょっと書き変わる程度の、ぶっちゃけどうでもいいことですよ。
ですから、無理に歩かなくたっていいんです。ましてや一日で2万歩とかね、バカいってんじゃないと。だって疲れるんだもの。ただでさえ疲労困憊で迎えた久しぶりの休日を、なんでそんなわざわざ大変な思いをして…
あ、待てよ。
そういえばドラクエウォークのお土産集めで、上越市にそれがあるんだよな。
それもついでに達成すればよくね?
そうすれば一石二鳥というか、歩く目的もできるしさ。ただ2万2千歩歩けったって、なんかないと歩けないよね。
あ、いいな。いいアイデアだ。
そう思いついたのがその日、12月1日の午前中だったと記憶しています。今から車で近くまで行って、そこから歩いて目的達成して帰ってくるには充分な時間があります。
そもそもこれからの季節、雪が積もってしまうと歩道が埋もれてしまいますから、歩くことそのものがままならなくなるのです。
今日は天気も悪くないし、この機会を逃すとマズイんじゃないか。あのイベントやっときゃよかったと後悔するんじゃないか。むしろ今歩いておかないといけないんじゃないか。そうだ、歩こう。歩かなきゃ。
そこからはだるい身体に鞭打つようにノロノロと支度して、上着の他にもスマホ対応の手袋とか、12月の寒空の下を歩いてもいいような格好になりまして。
これから2万歩も歩かなきゃいけないという、ちょっとした憂鬱感からの重々しい足取りで出かけたのです。
つらい。ゲームなのにつらいってなんなの。なんなのもう。
目的地は林泉寺
休憩をはさみつつ上越市に着いたのが午後2時あたりだったと思います。
行き先は林泉寺というお寺。
この時点ではなんの予備知識も入れておらず、グーグルマップで目的地を検索して、そこから往復で2万歩はあるだろうといったあたりで、車を停めておいてもよさそうな場所を探します。
その場所で車から降り、徒歩で目指すは林泉寺。
ドラクエウォークを起動すると、林泉寺のあるポイント、ゲーム内でランドマークと呼ばれている場所は、画面上で遠目にも方向がわかるようになっています。
ですから、グーグルマップなどでルート案内せずに、ドラクエウォークの地図を頼りに歩いてみることにしました。
しばらく歩いていると大きな橋に差し掛かりました。謙信公大橋というようで、その名の通り上杉謙信からのネーミングなんでしょうね。
ゲーム内のAR機能でスライムと撮影 |
その林泉寺というのも、おそらくは上杉謙信がらみの多分有名なお寺さんなんだろうなぁと想像していました。
検索すればすぐわかるんでしょうが、あまりスマホの画面ばかり見ていてもつまらないだろうと、何も調べずあたりを見回しながらトボトボと歩き続けます。
デジャヴじゃない
謙信公大橋から連なる道路は交通量が相当多いような道だったのですが、ローカル線の駅である春日山駅の下をくぐったあたりから徐々に道幅も車の通りも減っていき、気がつけば静まり返った日曜の昼下がりの住宅地といった風情になっていました。
ゲーム内で敵と戦ったりしていたら、いつの間にか晩御飯の支度をする音が聞こえそうな、美味そうな味噌汁の匂いがどこからともなくするような、そんな街並みに入り込んでしまった感じがして、なぜかうろたえたものです。
林泉寺への道のりは、ドラクエウォークの地図を凝視するまでもなく、道沿いに看板がいくつもでているので迷うことはなさそう。
その通りに歩いていくと、周囲からはついに住宅が消えていき、収穫もとうに終わって寒々しいばかりの田んぼが広がる一帯に差し掛かりました。
歩道がないというか農道だな、なんて思っていた矢先に。
待てよ、この景色って見覚えがあるぞ、と。
記憶の引き出しをガラガラとかき回してみると、そうだ。ここって去年の今ごろに来たことがあると思い出したのです。
そのことは記事にもしました。
帰宅後に確認したのですが、この記事に書いた話は2018年12月3日のこと。ピッタリではないものの、ちょうど一年前にこの近くに来てたんです。
一年前はドラクエウォークそのものがまだありませんでしたし、今回の目的地である林泉寺には行かず、春日山神社というところに行っているのですが、そこと林泉寺は目と鼻の先という位置関係なんですよ。
偶然とはいえそんなことある? あるんですよね、不思議です。
林泉寺へ
一年前に通った道を進んで、その時は通らなかった方向へ曲がると目的の林泉寺がありました。
林泉寺というと、ドラクエウォークのプレイヤーのかたは覚えているかもしれませんが、このゲームのリリース直後にドラクエウォークのプレイヤーと思しき人が無断入山するという内容で少しニュースになりました。
こちらは入山料が必要で、入り口からまもなく駐車場があってそのすぐ向こうの門の近くに受付があり、そこで500円を支払うとパンフレットをいただけて中へ入ることができます。
到着した時間が遅く、受付時間間際ではありましたが、それでもいい旨を伝えると無事に中へと入ることができました。
そんな時間でも、年配中心のの団体や若いカップルといった観光客をはじめとして、近所にお住まいであろうランニング途中のかたが門の前で手を合わせていったりする光景も見かけました。ドラクエウォークやってるんだろうなという人は、パッと見はわかりませんでした。
せっかくですから写真をいくつか。
私自身は信仰がなく、歴史への興味もごく普通といった感じですけれど、夕暮れ時というロケーションが重なったせいもあってか、どこか心が落ち着くような気がしてきたものです。
ここまで結構な距離を歩いてますから、上がっていたテンションを少し休めて静めてもらえたような気になり、思ったよりも長くゆっくりとあちこちを眺めて過ごしました。
歩いてきたからには帰りも歩き
ドラクエウォーク的にはランドマークに行くという目的も達成して、無事にお土産もゲットしましてね。
あとは帰るだけ、なんですけれど、来た道をただ引き返すのも芸がないし、モチベーション的にもさっき見た風景ってのはあまりよろしくないわけです。
疲れもある、あるけれどなにより2万2千歩の目的のほうが達成できてない。というより、このままのペースだと足りないぞというのが見えてきたこともあり、とりあえず一年前に訪れた湧き水を見に行ってみようということになりました。
16時を回って、頭上にかかっている厚めの雲と遠く広がる街の境界線がゆっくりと赤みを帯びていくのが、なかなかどうして悪い感じじゃありません。
去年見かけたヤギさんがいた広場を抜けてしばらく歩くと、御前清水と呼ばれる湧き水が出る場所に辿り着きます。
見にくいけどヤギさんのおうち |
今回は水を汲めるようなものを持ち合わせていませんし、少し手を清める程度にして写真をいくつか撮りました。
そういえば春日山城の本丸跡地とか、行ってみようと思っていてまだ行ってなかったなとチラリと考えたものの、もうすぐあたりは暗くなりますし、何よりつらい。足がつらい。
だいたい昔の城なんて、敵が来ないように山奥とか行きづらい場所に建ってるわけで、暮れなずむこの時間から本丸跡地みたいなところを目指してノコノコ歩いていったら遭難するから。討ち取られに行くようなもんですから。
帰りたいのにまだ帰れない
あやしい思いつきを振り払って帰り道を急ぎ、どうにかこうにか車を停めたあたりに着いたころには、すでにあたりは暗くなっていました。
上越市内はローカルなスーパーが集まっている地域でもあり、私の旅ではおなじみのローカルスーパー巡り欲と、ついでに小腹も満たすために、市内をちょいとウロウロして買い物を済ませてから帰路に着いたと思います。
で。
結果、我が家の駐車場に帰り着いた段階で、あと800歩足りないということがわかり。
家が目の前。すぐそこなのに入れない。入っちゃいけない。あと800歩歩くまで入っちゃダメ。
つらい。娯楽であるはずのゲームなのにつらい。なんなのもう。
結局、そのまま家の周りを徒歩で2周しまして。させられまして。夜。12月。寒いなか。
そんなやついる?
怒られてお家に入れてもらえない悪い子かっていう。
そんな感じで、ようやく目的の歩数に到達したという、なんだかもうあれなお話でした。