どこへ行こうとして、そしてなにをしてどうなったのか、ポツポツと書いてみようと思います。
相変わらずグッダグダな、ひとり旅のお話。
連休だよどこに行こう
2月に連休が取れましてね。
今年、2020年は例年に比べて雪が少ないこともあり、道路事情もさほど悪くなっていません。積雪時に比べたら出かけやすい冬でした。
この時は例の新型コロナウイルスもまだ影響が少なかった時期で、たまの連休ですしどこかへ行こうかなと、ぼんやり思案していたんです。
そこにたまたま知人から連絡があって、なんだかんだと話をしているうちに、どうやらその連休と知人の休日のタイミングが合いそうだということになり。
「じゃあ遊びにおいでよ、佐渡ヶ島まで」
という、お気楽なお誘いをいただいたもんですから、じゃあ連休の予定はそれで決まりだなということになったんです。
そんなお誘いをいただいたのも理由のひとつなんですけれど、他にもドラクエウォーク的な事情もありましてね。
ドラクエウォークというゲームでは、実際にあちこち行くことでゲームが進められるのですが、サブ要素としてお土産システムというものがあるんです。
以前、上越市に行ってお土産をゲットしてきたお話を書きました。
で、このお土産がもらえる場所ですが、各都道府県に4ヶ所ずつあって、実は佐渡ヶ島にもその場所があるんです。
実際にそこに行かないともらえない仕組みですから、わざわざ海を渡って佐渡に行くなら、これは是非ゲットしてこないといけません。
そんな旅の日程を思い描いていたのが、2月の前半でした。
めずらしくちゃんと旅程を組む
知人との休みが合う日に現地に行く、という日程的な縛りがありますから、なるべく効率よく移動しなくちゃいけません。
普段はね、それはもういい加減な旅をしてますとも。
グーグルマップのタイムラインで、当日の行動履歴が地図上で見られるじゃないですか。旅に出た日はあれがひどい。
3歳児にクレヨン持たせたみたいな線が、行動履歴として地図上に書きなぐってあるんですよ。
あっちにいったりまた戻ったりグルグル回ったり。
挙げ句の果ては旅に出たのに日がな一日、海岸沿いでぼーっとしてたりするんですから。
だからって、旅の計画が立てられないかといったら、そんなことはありません。
今回だって、まず佐渡へ渡るために乗る船の時刻表を調べましてね。
佐渡へは船で行く方法しかほぼなく、その船は佐渡汽船という船会社しか運行していないのでそこに選択の余地はありません。
で、まず佐渡汽船のサイトにアクセスして時刻表を見ると、細かいことは割愛しますが始発の船は新潟港を6時に出るとのこと。これに乗ると到着は8時半くらいになるようです。
その次の便に乗ると到着がお昼ごろになってしまいます。
港からドラクエウォークのお土産がゲットできる場所までの距離がかなり遠いこともあり、現地での行動時間を確保するためにも始発の船に乗るしかない感じです。
ふたつの選択肢
そうなってくると、船が出る朝6時より前には、港のある新潟市の佐渡汽船に着いてないといけません。
ここでふたつ、選択肢がありまして。
まず、公共交通機関で新潟市へ行く場合。
このメリットはなんといっても移動中にお酒が飲める。これでしょう。
最終的には船に乗るんですから。青い空、広い海、頬を撫でる海風、デッキで飲むビール。ね?
イメージです |
そうなるのがわかってるなら、もうその前から飲んじゃったほうがいい。むしろ飲むべき。てゆーか飲まないつもりなのかって話ですよ。このアル中め!
あと冬だから。デッキにいたら寒いから。
あくまでイメージです |
しかしこれがやっかいで、自宅から出発して6時の出航時間に間に合うような電車やバスがどうも見つからない。
つまり前日に新潟市内に到着しておいて、どこかで一泊。そこから早朝、徒歩かタクシーで佐渡汽船に向かうことになります。
ここも一難あって、ホテルが集中している新潟駅前から佐渡汽船までが約2.5kmと、そこそこ遠いのです。徒歩で30分ほどですから、それも加味して早起きしなくちゃいけません。
一方、マイカーで向かえば朝は相当早いものの、前日は比較的自由になりますし、直接船乗り場まで行ってしまえるのでラクです。
細かく言えば、マイカーごと船に乗って佐渡へ行ってしまう選択肢もあるのですが、そのぶん旅費が跳ね上がるので、佐渡に行っている間は佐渡汽船の有料駐車場に止めておくことになりそうです。
この公共交通機関とマイカーという2パターンのどっちがいいのか。
移動の費用、前日泊のホテル代とマイカーで佐渡に行ってる間の駐車料金、待てよマイカーで移動するとお酒が飲めないから酒代的な意味でオトクじゃね? とかさ。色々あるでしょう。
他にも時間的な自由度や体力的なことなど全体的に検討してみると、これがどっちとも言い難い、微妙な感じなんですよねぇ…
2千円分のポイントがさらにややこしくする
そんな2月の初旬だったのですが、ここで思わぬことが起こるんです。
旅の宿泊施設はじゃらんで探すことが多いのですが、まれにじゃらん限定ポイントというのがもらえることがありましてね。
宿泊費用等に充当できるポイントで、特定の期間内のみ有効というものなのですが、それの2千円分のポイントをもらえちゃったんです。
2千円分ですよ。
普段は平気で車中泊したりネットカフェで夜を明かすってのに。ホテルに泊まるとしても値段抑え気味で選ぶってのに。
繰り返しますけど2千円分ですよ。一泊3千円の庶民には手が出ないような超高級ホテルでも、差額のたった千円で泊まれちゃうんですよ。
そして、有効活用しない手はないこのポイントの期限が、2月末日なんです。
渡りに船以外に言葉が浮かんできませんよね。渡りに船にカモがネギ背負って新幹線でそれも一番前の席でやってくる感じですよ。
でもよく考えると、これがワナとは言わないまでもちょっと悩ましい。
ポイントがあるなら、例の二つの選択肢のうち、前ノリしてホテル泊をする公共交通機関を使うパターンで決まりに思えます。
ですが、先述したようにホテルが多い新潟駅前から佐渡汽船までが結構遠くて、さらによくよく調べてみると、始発の船に上手く接続するようなバスもどうやらないらしい。
タクシーを使わないとすれば、暖冬の2月とはいえ夜も明けきらない冬の新潟を、延々と3km近く歩かなきゃいけません。
寒いよきっと。
絶対寒いって。苦行でしょう。早起きだって苦行なのに、真冬の早朝なんて一番気温が低い時間帯を歩くとか、なんの罰だって話ですよ。
それによく考えたら、さんざん歩いたあと、船に乗って冬の日本海を越えるわけで。
ちょっと海が荒れでもしたら、相当体力を消耗するでしょう。船に乗るまではなるべく体力を温存しておいたほうがいいに決まってます。
タクシー使えばいいじゃないかと思う向きもあるでしょう。
でもね、申し訳ないでしょ。
私なんかのために早朝の路面が凍結してるかもしれない道を走ってもらうなんて、申し訳ないでしょうよ。
や、けっして旅費をケチってるわけじゃないんです。こちとら3千円のホテルを2千円分のポイント使って泊まろうとしてるんですよ。普段は車中泊とかしてんですよ。
けっして、ケチってるわけじゃないんです。ね?
自由度優先で旅程を組むことに
色々と考えた結果。
新潟駅前や佐渡汽船からはかなり遠いものの、何度かお世話になったお気に入りのホテルが空いてるのを発見したこともありまして。
前日に車で新潟市に移動してそのホテルに一泊し、朝ちょっと早いけど車で船の乗り場に行って駐車場に車を置いていくのが、お金はかかるものの身体的な負担は少なかろうということになりました。
あとそのホテルに久しぶりに泊まりたいし。
前ノリしておけば、そのぶんバカみたいに早起きしなくてもよくなりますし、車で佐渡汽船まで行けば体力的にもラクできますからね。
あとね、そのホテルに久しぶりに泊まってみたいなーなんて。
そのホテルは、ビジネスホテルにしてはちょっとお高めなんですけども、新潟駅前の比較的安めなホテルは軒並み駐車場が別料金だったりするので、車で行くなら結果的に値段的な差は小さくなるんです。
今回はポイントがありますからお得に泊まれるし、いいホテルだってのは知ってますから。
知らない安ホテルに飛び込んで、あーあやっちゃったってことにならない分、妙な不安なく旅に集中できるんならいいじゃないかと。
公共交通機関だって、時間に間に合うように出かけることがストレスになったりしますからね。それなら自分のペースで移動できるマイカーで行くほうが自由度も高いし、総合的にラクなはずですから。
あとねあとね、ちゃんとしたホテルに泊まりたい。わかるよね。わかってるよね。
なんかポイントを使うために余計に費用がかかってる気がしないでもないけど。
ちょっと腑に落ちないよ。落ちませんよ。でもよくね? ラクだし。
…言い訳OK?
嵐がくる
私にしては滅多にない、旅の計画を立てたせいじゃなかろうなと、そう思わなくもないんですけど。
なんか爆弾低気圧的なやつがね。
どうもその連休に合わせてやってくるらしいなというのが、前々日くらいにわかりまして。
どうやら、船が出ないかもしれないと。
海が荒れて、船が出ないかもしれないと。
佐渡に行く予定日の前日、つまり新潟市まで移動してホテルで一泊する日ですが、その日の朝の段階で佐渡汽船のサイトにアクセスすると、お昼までの船は出るけどもそれ以降はまだ未定のまま。
じゃあ、予定を早めて出航が決まっているお昼までの船になんとか乗るべく、今すぐ出発したほうがいいんじゃないか。
ところが、新潟でホテルを予約しちゃってる関係で、それも難しい。
しかも15時にチェックインする予定で、その後はホテル内で日々の疲れを癒やそうとマッサージとかも予約しちゃったもんですから。
これを全部キャンセルするのはさすがに大変だと。
さらには今すぐ出発して船に乗れたとしても、一日早く現地に着いてしまう関係で、今度は現地の宿泊先を見つけなきゃいけません。
いくら知人でも予定外に押しかけるってのはどうも苦手な性分ですから、例えいいよと言われてもホテルなり旅館なりを探して泊まるに決まってます。
そうなると、新潟市のホテルでキャンセル料金を払った上に、佐渡島内のホテル等で一泊するわけでその負担も大きいですしね。
結局、今すぐ出発して船に乗り込むのはやめたほうがよさそうです。
でも、15時には新潟市のホテルに到着する必要がありますから、船の状況が決まる前にはどのみち出発しなきゃいけないわけです。
今の時点ではどうなるかわかりませんが、万が一船が出ることも考えて、わずかな手荷物の他にお取り寄せした限定のビールギフトをお土産として車に積みまして。
今の心境にも似た、どんよりと曇った空の下を走り続けて新潟市内に入ったころには、船の状況も確定していました。
この日は残りの船がすべて欠航、です。
この時点で知人と連絡をとったところ、翌日に仮に船が出たところで冬の大シケの日本海を越えてきたら、間違いなく具合悪くなっちゃうよと。
それなら延期にしようかということになりましてね。
新潟市に行く必要もホテルに泊まる必要も、同時になくなりまして。ええ。
…もう帰ってよくない?
行き先、なくなっちゃったし、もう帰ってよくない?
旅の目的をむりやり作り出す
予定をね。
めずらしく立てた時に限ってね。
自然には勝てませんよ。船を出してくれなんて爪の先ほども思っちゃいませんし、むしろ荒れた海を渡らなくていい安堵感すらあります。
ですが同時に徒労感というか、ああもう! ってな感情があるのは否定しません。
旅に出ちゃったあとで目的地がなくなるって、途方に暮れる以外にできることがありますかっていうね。
糸の切れた凧よろしく、惰性で車を走らせて。
新潟市内の海に近いあたりまでくると、風がかなり強くなってきました。
雨も降り始めたところでコンビニに車を止めまして。あったかいコーヒーでも買ってきましてね。運転席のシートをちょっと倒して。
さて、これからどうしたもんかなと。
とりあえずはホテルで色々やることにしてますから、そこまでは決まってる。
そのあと、天候が大崩れしだすであろう今夜、徒歩で飯を食いに行ったり飲みに出たりってものちょっとないだろう。
今の時点では翌日のことまでかまっちゃいられませんから、その日のことはいつものようにその日になって決めりゃあいいじゃん、と。
結局、いつもの旅になってきてるんですよ。そうなるんだよ。そうなるの。
こうなったら晩ごはんも事前にスーパーで買い出しして、ホテルに引きこもろう。お土産用だったビールが山ほどあるから、あとは美味いアテがあればいいや。
スーパーに行くなら、最近やってる地方のスーパー巡りすればいいじゃん。そうだそうだそうしよう。ってゆーかそうさせて。
行けばなんか食えるものくらいあるだろうと、現在地の近くにあるスーパーへ向かったのがチェックインの1時間ほど前でした。
清水フードセンターでしょっからい鮭を買う
地方のローカルなスーパーマーケットを巡る旅というのを、ここしばらくやっています。旅先の地域の雰囲気が色濃く出てるのは、観光地じゃなくてそういう場所だろうという目論見です。
悪天候で旅の目的地へ行かないことにした以上、なんかやっとかないと空振り感に耐えられませんからね。
とりあえずは宿泊予定のホテル近くにある、清水フードセンター黒崎店というスーパーに行ってみることにしました。
雨がひどくて外観の写真を撮っていませんが、道の駅やショッピングモールなどが国道沿いに展開している一帯に入居している、売場面積的には中規模くらいのお店でした。
近隣には地域トップクラスのチェーン店も出店している、激戦区と言っていい立地にあります。
建屋を別にして敷地内の隣にはホームセンターがあり、その系列の雑貨売り場と100円ショップなどと一緒に入居しています。
清水フードセンターはもともと地場のスーパーマーケットですが、何年か前からイオングループに入ったようで、そのまま吸収されるのかと思いきや、独自の屋号で営業を継続しているようです。
トップバリュ商品も置いてありますが全体的には少数で、イオンっぽさはあまり感じないのが個人的には好印象でした。
旅の途中とあって生鮮品や野菜などを買うわけにはいきませんから、お惣菜を中心にウロウロしていると、これを発見。
ピンボケとか気にしないスタイル |
その名も、しょっからい紅鮭。
身にくっついた白い塩。ご飯と一緒に食ったら止まらないやつでしょ、これ。
最後のひとつのようですから迷わず確保しまして。
こうなるとご飯がほしいなと、それっぽいチョイスで買い物カゴを埋めていきます。
あとはお刺身。
この流通や保存方法の発達した現代においてナンセンスだとはわかっちゃいますけど、やっぱり海に近い街の魚は値段も安めで質量も申し分ないと思うんです。
例えばそれが安物のインスタントコーヒーでも、山頂で飲むと格別に美味かったりするんでしょう?
海に近い街で食う魚が、例え雰囲気込みであったとしても美味いなと感じるなら、それでいいような気がするんです。
そんな感じで買い物を済ませて、予約したホテルに向かうことにします。
ああでもないこうでもないと行ったり来たりしながら、つまるところはアテがなくなったこの旅の、唯一取り残された部分はホテルに泊まるということだけ。
それにすがるように、雨の中を走り出したところで続きはまたあらためてといたしましょうか。