折からの暴風のために、目的地に行くことはやむなく取りやめたものの、すでに予約したホテルのそばまで来ていてキャンセルするのもアレだしと、目的を失ったままチェックインすることになった旅のお話。
ホテルディアモント新潟西にチェックイン
このホテルのことは以前記事にしました。
ここは新潟市西区のインターチェンジ近くにあって、鉄道での移動ではなかなか訪れにくい立地なのですが、車の移動であれば非常に便利でしかも清潔感のあるいいホテルなのです。
シングルルームでも充分広い |
以前も書いたように日帰り入浴も可能な大浴場があり、部屋も比較的広めですから、早い時間帯にチェックインしてゆったりするにはもってこい。
ビジネスホテルとしては近隣のホテルの価格帯の中では高めですが、駐車場も無料ですしトータル的にいいホテルだなと思っています。
で、今回はもともとの予定が朝が早い出発だったこともあり、早めにチェックインして大浴場にひとっ風呂浴びてまったりしてしまおう作戦で、岩盤浴プランを選んでいました。
早速、チェックイン後に荷物を置いて、忘れずにビールも部屋の冷蔵庫にスムースイン。お風呂からあがってくるころにはまぁまぁ冷えてるやつが飲めそうです。
岩盤浴を初体験
大浴場と岩盤浴は地下一階にあります。エレベータで降りていき、チェックイン時にもらった岩盤浴のチケットを受付の方に渡して入浴の説明を聞きます。
なんでも、ひとまずお風呂に入って身体を温めたあと一旦あがり、専用の衣服に着替えて隣の岩盤浴ルームへ移動して下さい、とのこと。
ロッカールームに行き、入浴セットと一緒に渡されたロッカーキーで着替えや部屋のキーカードを中に入れて、ひとまずは大浴場へ。ちなみにロッカールームを挟んで奥に向かって右手に大浴場、左手側に岩盤浴の部屋がありました。
大浴場は久しぶりの利用になります。前回は日帰りだったと思います。
温泉ではありませんが充分な広さの内湯があり、まだ早い時間帯だったせいかほぼ独占状態でした。身体を洗ってお風呂で温まったあと、ロッカールームへ戻ります。
身体を軽く拭いて、甚平のような岩盤浴用の服に着替えて敷物用のタオルを持って、岩盤浴ルームに入ります。岩盤浴は生まれて初めてですよ。
室内に入ると大きな石でできたベッドのような設備がズラッと並んでいます。中は少し温度が高めです。このベッドにタオルを敷いてその上に横になる感じなんでしょうか。
室内に先客はひとりもいませんから、好きな場所を選んでタオルを敷いてみます。
大理石的な材質のベッドの表面は温かく、その上に横になるとタオル越しにも結構な熱さを感じます。かといってそこに居られないというほどでもないので、しばらく寝てみることにしました。
…あの、あれですよ、真夏の海岸で降り注ぐ太陽で焼けた石に手を当てたこととかあるでしょう。あれの全身版みたいな感じ。
しばらく寝ているとベッドに面してる背中から汗が出てきます。サウナとかはどちらかというと無理して入らないのですが、これなら熱すぎないし身体の態勢的にもラクですし、あとは服を着てるってのも妙に悪い気はしません。
居心地がいいというわけじゃありませんが、この時はほんのり激務のあとでして、結構な疲労感があったのも確かで、横たわってるということそのものが負担が少なかったということもあって、しばらく岩盤浴をしていたと記憶しています。
その後、マッサージなんてものをしてもらい、身体はかなりラクになりまして。
早めの時間からもう飲み始めるかということになり。冷やしておいた、サッポロの静岡工場限定のビール「静岡麦酒」を飲みつつ、買っておいたお惣菜などをつまみつつの酒宴が始まります。
酒が進むやつ。鮭だけに |
例の鮭が美味すぎて明日また買いに行こうと決めつつ、ぼんやりしたりネットを見たりしながら、夜中には小腹が空いたとき用に買っておいたどん兵衛なんかを食べる、みたいな調子で夜を明かし、なんのアテもなくなったビジネスホテルでの一泊を満喫しました。
ラーメンに派手さはいらない
翌日。
まぁ嵐ですよ。風がすごい。
それほど早起きしませんでしたが、思う存分ベッドでごろごろできる余裕はちゃんとあります。なんたって予定がありませんからね。
そうしていても、これからどうしようかってのは頭の片隅にはあります。ですが、その考えの方はころころと変わっていってとりとめがありませんでね。
結局のところ、新潟市内のローカルなスーパーを巡ってみようということで無理矢理ケリをつけて、身支度を整えてホテルを後にしました。
外は雨と風が吹き荒れています。
普通ならそのまま帰路に着くのが正着手なのかもしれませんけれども、もうお昼も近く、まずは腹ごしらえをということになりまして。
それなら行きたいラーメン屋さんがあるなと、そちらへ車を走らせました。
新潟市は沼垂というあたりに、昔ながらのラーメン屋さん「栄華楼」というお店があります。
美味い美味いという感じでは正直ないのですが、派手派手で逆に面倒になりそうな創作系ラーメンやら、意識だけは無駄に高そうな、看板にひらがなでらぁめんとか書いちゃってる店に行くくらいならここが安定安心です。
知人に連れて行ってもらってから、不定期になんとなく食いたくなるラーメンとして認知してまして、近くに行くことがあれば立ち寄ることにしています。
唯一、近くに駐車場がなく駅からも遠いのが難点で、今回はちょっと遠いパーキングに停めて行ってきました。
栄華楼はラーメン以外のメニューもあって、この店から徒歩圏内に住んでいると思われる常連さんたちは焼きそばだのカツ丼だのを食べてるのですが、私はいつもチャーシューメンとギョウザにしてしまいます。
チャーシューメン |
お冷のカップとサイズを比較 |
チャーシューメンはスープが多めで細麺。噛みごたえのあるチャーシューとその麺を交互に口に入れておけば、まず間違いありません。
ギョウザは手作り手包みでかなりの大ぶり。ギョウザライスにするべき一品だと思うのですが、ライスが入る余裕はないくらいボリュームがあるやつです。
いつから営業されているのかわかりませんが、年季の入ったお店の様子は「近所のいつもの定食屋」として図鑑に登録したいくらいでして、飛び道具はやめて普通の飯が食いたいならここ、ですね。
鮭を探して
その後はガソリンを入れたり、そのままの流れで海沿いをドライブしたりと、良く言って自由気まま、悪く言って糸の切れた凧な感じ。
あのね、なんだかんだといいつつも小さな旅を楽しめる体質なんですよ。そういう性なんです。
生きてる限りは旅を続けてるに決まってます。
車を海岸沿いに停められる場所を見つけて、荒れる海を見ながら時々、買っておいた缶コーヒーを飲んで。
波が散って風にとけてゆくのを飽きもせずに眺めてたりすれば、時間なんてあっという間に過ぎていくのです。
ひとしきり海を見て。
いつしか午後の、主婦のみなさんが買い物をしに来るであろういい頃合いの時間帯になったんじゃないかと、別に確証もないのに決めつけて、目星をつけておいたスーパーへと向かいました。
まずは例の塩引鮭が美味かったもんですから、今日も買おうと清水フードセンターへ。調べると新潟市内に数店舗展開しているようなので、現在地から一番近い位置にあるきのうとは別のお店へ行ってみます。
車を降りましてね。軽くスキップで。暴風雨の中、ほんのりスキップで入店しまして。
そりゃあもう昨日の鮭が美味かったもんですから、昼用と夜用と買っちゃえばよくねなどと思いつつ、普段なら買いもしないのに見て歩く生鮮やら肉やらのコーナーをまさにスキップして、惣菜コーナーへまっしぐらです。
が、ないの。
ないわけ。鮭自体はあるけれど、昨日のやつじゃなく食ったら一切しょっぱくないであろう優しいやつしかないんです。
売り切れたか? もしかしたら売り切れたか?
そういえば、先ほどこの店を探した時に近所にもう一軒ヒットしたなと思い出して、そちらへ行ってみることにします。
が、ない。ないよ。どうなってんの。
そうか、あの鮭はきっと昨日行った店だけの、オリジナル商品なんじゃないか。店内の調理場でこしらえているやつなんじゃないか。
そうなるとあの店まで行くしかない。でも今いる場所からはちょっと遠い。遠いったってバカみたいな距離じゃないけれど、この雨の中行くにはちょっとという感じなのです。
未練が次の旅へと向かわせる
結果から言いますけど、あの塩鮭はあの日だけのものだっだのか、都合三軒ほど系列店を回ったもののすべて空振りに終わってしまいました。なんだったんでしょう。
食べたいのに見つからないとなると余計に食べたくなるのが人情ってもんですが、店を回っているうちに悪天候も重なってすっかりあたりは暗くなってきました。
これはさすがにタイムアップということで、後ろ髪をグイグイと引っ張られながらの帰宅となりました。
念のため、いつも行く近所のスーパーを未練がましく覗いてみて、やっぱないよねというのを確認し、次の旅のための重荷のようななにかがまたひとつ、心の底に沈んでいくような気がしたのを覚えています。